発表年:2014年
ez的ジャンル:ブラジリアン・クラブミュージック/新世代ボサノヴァ
気分は... :人生を塗る色を自分で選べ!
Marcelinho da Lua(DJ)、Marcio Menescal(b)、Alexandre Moreira(key)によるブラジルの新世代ボサノヴァ・ユニットBossacucanovaの最新作『Nossa Onda e Essa』です。
エレクトロニカ・サウンドとボサノヴァ/サンバを融合させた進化形サウンドで新世代ボサノヴァを牽引するBossacucanovaの紹介は、メンバーMarcio Menescalの父Roberto Menescalとの共演作『Brasilidade』(2001年)に続き2回目となります。
最新作『Nossa Onda e Essa』はオリジナル・スタジオ・アルバムとしては、『Uma Batida Diferente』(2004年)以来となると思いますが、エレクトロニカ・サウンドと伝統的なボサノヴァ/サンバを上手く融合させた進化形サウンドが相変わらずお見事です。
本作の特長として、多数のゲストとの共演があります。ざっと挙げると、Wilson Simoninha、Oscar Castro Neves、Maria Rita、Davis Feldman、Cris Delanno、Elza Soares、Emilio Santiago、Martinho da Vila、Marcela Mangabeira、Teresa Cristina、Moska、Monobloco、Roberto Menescalといった顔ぶれです。
こうしたゲスト陣の個性を上手く引き出している点にメンバー達のクリエイターとしてのセンスを感じます。
また、ゲスト陣の中にはOscar Castro Neves、Emilio Santiagoといった本作のレコーディング後に逝去したアーティストもおり、名残惜しく演奏や歌声を聴いてしまいます。
伝統に敬意を示しつつ、進化し続ける進化形サウンドを堪能しましょう。
全曲紹介しときやす。
「Adeus America」
Geraldo Jacques/ Haroldo Barbosa作。Wilson SimoninhaとOscar Castro Nevesをフィーチャー。Os Cariocasによる名曲をカヴァー。当ブログでは以前にLuciana Souzaのカヴァーを紹介しています。ここではブラジリアン・ソウルの名シンガーWilson Simonalの息子Wilson Simoninhaがヴォーカルをとり、昨年9月に惜しくも逝去したOscar Castro Nevesがギターを弾いています。Bossacucanovaらしい新世代ボサノヴァを堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=XAWcdDlm_1E
「Deixa A Menina」
Chico Buarque作の名曲をカヴァー。ここではMaria RitaのヴォーカルとDavis Feldmanのピアノをフィーチャーしています。Maria Ritaがいつもながらの素晴らしいヴォーカルで魅了してくれます。このMariaのヴォーカルだけでも本作は買いですね!Marcio Bahia(ds)、Sidinho Moreira(per)という名手たちによるリズム隊も強力です。
http://www.youtube.com/watch?v=_bNbbHKrDf8
「Balanca (Nao Pode Parar!)」
Bossacucanova作。Roberto Menescalに見出された女性シンガーCris Delannoをフィーチャー。当ブログではAlexandre MoreiraとCris Delannoの共演アルバム『Nosso Quintal』(2012年)も紹介済みです。シャープなエレクトロニカ・サウンドにのって、Crisが異なる艶っぽいヴォーカルを聴かせてくれます。名手Leo Gandelmanがサックスで盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=iZz88SW_JUM
「A Pedida E Samba」
Roberto Martins/Jair Amorim作。ベテラン女性シンガーElza Soaresをフィーチャー。彼女の個性的なヴォーカルを活かしたエレクトロニカ・サンバ・チューンに仕上がっています。バック・コーラスでTia Surica、Eliane Farias(Paulinho Da Violaの娘)が盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=jyyzryinI1I
「E Preciso Perdoar」
Alcyvando Luz/Carlos Coqueijo作。昨年逝去した男性シンガーEmilio Santiagoをフィーチャー。Joao Gilbertoのヴァージョンでお馴染みのボサノヴァ名曲ですが、当ブログではAmbitious Lovers、Adam Dunning、Isabelle Antenaのカヴァーも紹介済みです。個人的にはAdam Dunningのヴァージョンが好きですが、この曲は甘くセクシーな男性ヴォーカルが似合いますね。素敵な新世代ボサノヴァに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=FpL0xAwYPFI
「Segure Tudo」
Martinho da Vila作。作者Martinho da VilaとCris Delannoをフィーチャー。Joao Donatoの息子Donatinhoがキーボード&アレンジで参加しています。軽快なエレクトロニカ・サンバで盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=-c9oROopCnE
「Ficar」
Bossacucanova/Ronaldo Bastos作。女性シンガーMarcela Mangabeiraをフィーチャー。エレクトロニカ・サウンドにJaques Morelenbaumのエレガントなチェロが加わり、美しい音世界を織り成します。
http://www.youtube.com/watch?v=VP4xY1-TknM
「Waldomiro Pena」
Jorge Ben作。 Wilson Simoninhaをフィーチャー。Jorge Benのオリジナルは当ブログでも紹介した『Salve Simpatia』(1979年)に収録されています。サンバ・ファンク名曲をシャープにカヴァーしています。
http://www.youtube.com/watch?v=_CtD2y8PVUA
「Deixa Pra La」
Leci Brandao作。女性サンバ・シンガーTeresa Cristinaをフィーチャー。当ブログではSambalanco Trioのヴァージョンも紹介済みです。エレクトロニカ・サウンドながらサンバへの愛情が感じられるBossacucanovaらしい1曲に仕上がっているのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=e21rpdvtK_U
「Rio De Inspiracao」
Bossacucanova/Moska作。シンガー・ソングライターMoska(Paulinho Moska)をフィーチャー。クールなボッサ・チューンはかなりいいですよ。Marcos Suzanoも参加しています。
http://www.youtube.com/watch?v=nbVHPCseGH4
「To Voltando」
Mauricio Tapajos/Paulo Cesar Pinheiro作。Cris Delannoのヴォーカル、サンバ・グループMonobloco、Roberto Menescalのギターをフィーチャーしています。さらに名手Ze Carlosがギターで参加しています。ラストは開放的なサンバ・チューンで明るく締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=LxhtEiSZ8iU
Bossacucanovaの他作品もチェックを!
『Revisited Classics』(1999年)
『Brasilidade』(2001年)
『Uma Batida Diferente』(2004年)
『Ao Vivo』(2008年)