発表年:1988年
ez的ジャンル:シカゴ・ハウス・クラシック
気分は... :美しく、儚く、妖しい...
今回は伝説のシカゴ・ハウス・ユニットFingers, Inc.唯一のアルバム『Another Side』(1988年)です。最近、待望の再CD化が実現しました。
Fingers, Inc.は、シカゴ・ハウスの牽引者Mr. Fingers(Larry Heard)(key、prog)が、Robert Owens(vo)、Ron Wilson(vo)と共に結成したハウス・ユニット。
「Mysteries Of Love」、「Can You Feel It」(Mr. Fingers名義)、「Bring Down The Walls」 (Robert Owens名義)、「A Path」といったシングルを経て、唯一のアルバム『Another Side』(1988年)をリリースしています。
ユニット解散後にMr. Fingersが『Introduction』(1992年)でブレイクし、Robert Owensもシングル「I'll Be Your Friend」(1991年)がヒットする中で、Fingers, Inc.の存在がシカゴ・ハウスの伝説的ユニットとして改めて注目されるようになりました。
僕の場合、Mr. Fingers『Introduction』(1992年)の人気ぶりをうけて、CDリリースされた国内盤を保有しています。ただし、オリジナルLPは2枚組全16曲であったのに対して、CDは上記のシングル4曲を除いた全12曲だったのですが・・・
その点、今回のCD化ではオリジナルLPと同じく全16曲が収録されています。
おそらくMr. Fingers『Introduction』(1992年)は僕が最もよく聴いたハウス・アルバムであり、アルバムからカットされた「Closer」、「On A Corner Called Jazz」、「On My Way」、「What About This Love?」という4枚のシングルについても、リミックス・バージョンが欲しくて、全てCDシングルを揃えました。
また、Robert Owensにもついても1stソロ・アルバム『Rhythms In Me』(1990年)や彼が客演したSatoshi Tomiie/Frankie Knuckles「And I Loved You/Tears」(1990年)をかなり聴いていました。もちろん、「I'll Be Your Friend」も大好きでした。
その意味で彼らの原点となる『Another Side』(1988年)も興味深く聴いていた思い出があります。
Mr. Fingersが創るアンダーグラウンドな雰囲気たっぷりのトラックに、Robert Owensの儚いヘタウマ・ヴォーカルが絡むと、妖しいシカゴ・ハウス・ワールドを堪能できます。
シカゴ・ハウス好き、ブラック・ミュージック好きの人にぜひ聴いて欲しい1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Decision」
陽の当たることのない"裏ブラック・ミュージック"といった雰囲気のアンダーグラウンド感にグッとくるオープニング。
「Bye Bye」
Larry Heardの鍵盤使いも含めて『Introduction』を予感させるクールで美しい音世界を堪能できる1曲。Robert Owensのファルセット・ヴォーカルにもよくマッチしています。『Introduction』好きの僕としては当時一番好きな曲でした。
http://www.youtube.com/watch?v=wbcNJAJ7yuU
「Never No More Lonely」
Robert Owensの官能ヴォーカルが支配する1曲。途中でLarry Heardの鍵盤さばきも楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=gxvVo03M8g8
「Shadows」
この曲も『Introduction』に収録されていても違和感なさそうなインスト・チューン(うっすらコーラスが入っていますが)。実に心地好い楽曲であり、ハウスが踊るためだけの音楽はないことを実感できます。
http://www.youtube.com/watch?v=iHaKciJAPOI
「Another Side」
再びダークで妖しい裏ブラック・ミュージックを満喫できるタイトル曲。アンダーグラウンドな世界に手招きされているようです。終盤は和テイストです(笑)
「So Glad」
この曲あたりはソウル好きの人が聴いても違和感ないのでは?アンダーグラウンドなアーバン・ソウルといった趣です。
http://www.youtube.com/watch?v=z4_Q_fIBpng
「I'm Strong」
部屋を真っ暗にして聴きたいアンダーグラウンド・ハウスな雰囲気たっぷりの仕上がり。当時のハウスらしくて好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=iM6StGLqyFk
「A Love Of My Own」
Fingers, Inc.ならではのハウス・ワールドを楽しめる1曲。それ程凝っているわけではないのに、独特の雰囲気があります。
「Distant Planet」
この曲も人気なのでは?特にRobert Owens好きの人はこのタイプがお好きなのでは?妖しく倒錯した世界へようこそ・・・
http://www.youtube.com/watch?v=qa3YBDXY7c4
「Feelin' Sleazy」
Larry Heardによるミニマルな音世界が印象的な仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=euhiyhKBRvw
「Music Take Me Up」
黎明期のハウス・ミュージックといった感じの未完成感が逆に興味深いです。
「Mystery Friend」
「Bye Bye」と並ぶ僕のお気に入り曲。Fingers, Inc.らしい美しくも儚いハウス・ワールドを堪能できます。
「Mysteries Of Love」
記念すべき彼らのデビュー曲であり、シカゴ・ハウス・クラシック。今聴くと開発途上感がありますが、そこも含めて感慨深い1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=CvUp3P9sLO4
「A Path」
この曲も1986年にリリースされたシングル曲。アンダーグラウンド感に満ちたディープなハウス・ワールドが誘います。
http://www.youtube.com/watch?v=cf8KnPHbViU
「Bring Down The Walls」
前述のようにRobert Owens名義でリリースされたシングル曲。Larry Heardによる音創りと、Robert Owensの独特のヴォーカルがマッチした名曲だと思います。大すき!
http://www.youtube.com/watch?v=QeYYG_2kYEs
「Can You Feel It」
Mr. Fingers名義でリリースされたシングル曲。この曲もシカゴ・ハウス・クラシックですね。彼らの初期シングルの中ではこれが一番好き!
http://www.youtube.com/watch?v=tFuujExs03A
Mr. Fingers(Larry Heard)やRobert Owensのソロ作もチェックを!
Mr. Fingers『Ammnesia』(1988年)
Mr. Fingers『Introduction』(1992年)
Mr. Fingers『Back To Love』(1994年)
Robert Owens『Rhythms In Me』(1990年)