2014年04月06日

Seun Kuti & Egypt 80『A Long Way To The Beginning』

Robert Glasperプロデュース!Fela Kutiの遺志を継ぐ最新アフロビート☆Seun Kuti & Egypt 80『A Long Way To The Beginning』
Long Way to the Beginning
発表年:2014年
ez的ジャンル:Fela Kuti直系アフロビート
気分は... :洗練しつつ、鋭く切り込む!

今回はアフロビートの創始者Fela Kutiの一番下の息子Seun Kutiが、父も率いたグループEgypt 80を従えた最新3rdアルバム『A Long Way To The Beginning』です。

1982年生まれのサックス奏者/ヴォーカリストSeun Kutiの紹介は2ndアルバム『From Africa With Fury: Rise』(2011年)に続き2回目となります。

1stアルバム『Many Things』(2008年)、2ndアルバム『From Africa With Fury: Rise』(2011年)とアルバムをリリースする度に、Fela Kuti直系アフロビートを進化させてきたSeun Kuti

1st『Many Things』ではMartin Meissonnier、2nd『From Africa With Fury: Rise』(2011年)ではBrian Enoといった大物プロデューサーを起用し、アフロビートを進化させてきました。

そして、本作『A Long Way To The Beginning』では、なんと『Black Radio』(2012年)で音楽シーンに衝撃を与えた今最も注目される先鋭ジャズ・ピアニストRobert Glasperを共同プロデューサーに迎えています。Fela Kutiの正当な継承者と先鋭ジャズ・ピアニストがどのような化学反応を起こすのか、この一点のみでも本作を聴く価値があると思います。

また、アルバム・タイトル『A Long Way To The Beginning』は、故ネルソン・マンデラの自伝『Long Walk To Freedom』を意識したものと思われ、父Fela Kutiの遺志を受け継ぐ鋭いメッセージを聴く者に投げ掛けます。

アルバムにはRobert Glasper(key)をはじめ、USのHip-HopユニットDead PrezのメンバーM1、ガーナ出身で現在はN.Y.を拠点に活動する男性ラッパーBlitz the Ambassador、ナイジェリア出身でドイツを拠点に活動する女性ネオ・ソウル・シンガーNneka、フランス出身のヴィブラフォン奏者David Neermanといったゲストが参加しています。

メッセージは鋭さを増し、サウンドは洗練されつつダイナミズムを増した進化形アフロビートを満喫しましょう。

『A Long Way To The Beginning』Album Teaser
http://www.youtube.com/watch?v=YUrJNWydgIQ

全曲紹介しときやす。

「IMF」
国際通貨基金(IMF: International Monetary Fund)を"International Mother Fu**er" と読み替え、その実態を皮肉ったメッセージ・ソング。この1曲を聴いただけで、Seun KutiがFela Kutiの継承者であることを実感できるはずです。躍動するアフロビートのリズムにのってDead PrezのM1が鋭いリリックを畳み掛けます。M1といえば、故Gil Scott-Heronへのトリビュート・アルバム『Evolutionary Minded -Furthering The Legacy Of Gil Scott-Heron』への参加も印象的でしたね。
http://www.youtube.com/watch?v=8fGcf3GODKE

「African Airways」
軽快なアフリカン・リズムと素晴らしいホーン・アンサンブルが織り成す大地のグルーヴに魅了されます。

「Higher Conciousness」
人々から搾取する政府、銀行、企業へ宣戦布告するFela Kuti顔負けの1曲。イントロがRobert Glasper Experiment風なのも印象的です。

「Ohun Ruye」
ヨルバ人としてのアイデンティティを歌った曲。サウンド面では汎カリブ的なエッセンスが印象的です。

「Kalakuta Boy」
Fela Kutiが作ったコミュニティ「カラクタ共和国(Kalakuta Republic)」の精神を受け継ぐ1曲。アフロビートの躍動感を維持しつつ、サウンドが洗練されているのがいいですね。終盤の洗練された高揚感がたまりません。このあたりはRobert Glasper起用の効果かもしれません。

「African Smoke」
Blitz the Ambassadorをフィーチャーし、鋭いメッセージでアフリカの現状を訴えます。重厚なサウンドも素晴らしいですね。進化するアフロビートを実感できる1曲に仕上がっています。

「Black Woman」
Nnekaをフィーチャーしたソウルフルな仕上がり。美しさと同時に力強さを感じる女性賛歌です。David Neermanのヴァイヴの音色を聴くと、父Fela KutiRoy Ayersの共演アルバム『Music Of Many Colours』を思い出しますね。
http://www.youtube.com/watch?v=gXpkzhvkj7w

Seun Kutiの過去作品もチェックを!

『Many Things』(2008年)
Seun Kuti & Fela's Eygpt 80

『From Africa With Fury: Rise』(2011年)
From Africa With Fury: Rise
posted by ez at 01:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする