発表年:1973年
ez的ジャンル:アルゼンチン・ボッサ
気分は... :人生は理不尽の連続である・・・
今回はアルゼンチン録音のボッサ作品『Sebastiao Tapajos/Maria Nazareth/Arnaldo Henriques』(1973年)です。アルゼンチン・ボッサの名盤として名高い1枚ですね。
本作はブラジル人ギタリストSebastiao Tapajos、アルゼンチン人女性シンガーMaria Nazareth、アルゼンチン人ベーシストArnaldo Henriquesの3名によるボサノヴァ作品。
ジャケに写るポルトガル航空機の垂直尾翼のロゴ「TAP」が目立ちすぎて、アルバム・タイトルを『TAP』と紹介しているサイトも結構ありますね。
そのテクニックを如何なく発揮するTapajosのギターとMariaのキュート・ヴォーカル、Henriquesの脱力系ヴォーカルが織り成す軽快なボッサ・グルーヴに魅了される1枚に仕上がっています。
ブラジル人アーティストによるボサノヴァ名曲のカヴァーと彼ら自身のオリジナルを織り交ぜながら、アルゼンチン・ボッサらしい空気感を存分に味わえるはずです。
全曲紹介しときやす。
「Potpourri:Agua de Beber/Tudo de Voce/A Metade de Um Beijo/Quem Sabe o Mar/Por Causa de Voce Menina」
オープニングは「Agua de Beber」(Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Moraes作)、「Tudo de Voce」(Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作)、「A Metade de Um Beijo」(Norival Reis/Jorge Duarte作)、「Quem Sabe o Mar」(B. do Silva/Paulinho作)、「Por Causa de Voce Menina」(Jorge Ben作)というボサノヴァ名曲メドレー。わずか3分強の中に、このコラボの魅力がぎっしり詰まっています。軽快なTapajosのギターにのって、MariaとHenriquesが活き活きと名曲を歌い上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=yKojWzI_CS0
「Samba Triste」
Baden Powell/Billy Blanco作。ここではMariaのヴォーカルを全面的にフィーチャーし、郷愁モードたっぷりのサウダージなヴォーカルを堪能できます。美しいストリングスが盛り上げてくれます。
「Tamborim de Prata」
「Tamborim de Prata」(Arnaldo Henriques/Criz Tapajos作)。Jorge Benあたりが書きそうな軽快な楽曲です。この曲では作者Henriquesの全面ヴォーカルをフィーチャー。少しとぼけた味わいのHenriquesのヴォーカル&スキャットがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=yifnuBb8xCg
「Sambachiana」
Sebastiao Tapajos/Edna Savaget作。疾走するTapajosのギターにのって、MariaとHenriquesが息の合った掛け合いヴォーカルを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=O99q7k0PvJ4
「Olha Maria」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Moraes/Chico Buarque作。憂いを帯びた歌声でHenriquesがしみじみと歌い上げます。
「Vida Burguesa」
Sebastiao Tapajos/Marilena作。MariaのキュートなヴォーカルとTapajosの素晴らしいギター・ワークが印象的な爽快ボッサ・グルーヴ。僕の一番のお気に入り曲です。
「Triangulo」
Sebastiao Tapajos/Marilena作。MariaとHenriquesの切ない哀愁ヴォーカルが印象的です。
「Samba da Minha Terra」
Dorival Caymmi作の名曲「Samba da Minha Terra」のカヴァー。当ブログでは少し前にRosinha De Valencaのカヴァーを紹介したばかりです。Tapajosの小気味良いギターとHenriquesの線の細いヴォーカルがよくマッチした軽快なジャズ・サンバ。後半のHenriquesのスキャットは思わず一緒に口ずさみたくなります。
「Voy Por Ahi」
Baden Powell/Aloysio de Oliveira作「Vou Por Ai」をカヴァー。Tapajosの美しいギターをはじめとするエレガントなバックを従え、Mariaがしっとりと歌い上げます。
「El Viejo Y La Flor」
Toquinho/Vinicius de Moraes作「O Velho e a Flor」をカヴァー。クールな疾走感にグッとくるボッサ・チューン。MariaとHenriquesの掛け合いも絶妙です。「Vida Burguesa」と並ぶ僕のお気に入り。
「Pra Decir Adios」
Edu Lobo/Torquato Neto作「Pra Dizer Adeus」をカヴァー。当ブログでは少し前にMaria Bethaniaのカヴァーも紹介済みです。哀愁のメロディをMariaが憂いのあるヴォーカルで歌い上げます。美しさと切なさが同時に伝わってくる感じがたまりません。
「Samba da Lagoa」
Billy Blanco作「Samba De La Laguna」をカヴァー。しっとりとした序盤からサンバ・モードへ切り替わり、さらにテンポアップしハッピー・サンバで盛り上がる感じがたまりません。
CDには「Heloisa」、「Negro」、「Belem」の3曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。
本作を気に入った方はSebastiao Tapajosも参加したArnaldo Henriquesのソロ作『So Danco Samba』(1975年)も要チェックです。