発表年:1983年
ez的ジャンル:女性MPBシンガー
気分は... :並みの新人ではなかった・・・
今回はブラジルものから、80年代以降を代表する実力派女性MPBシンガーの一人、Leila Pinheiroのデビュー・アルバム『Leila Pinheiro』(1983年)です。
Leila Pinheiroは1960年パラー州ベレン生まれの女性シンガー。1983年にデビュー・アルバムとなる本作『Leila Pinheiro』をリリース。その後Roberto Menescalに見出され、ボサノヴァを歌うようになり、1989年にリリースしたボサノヴァ・アルバム『Bencao, Bossa Nova』が大ヒットとなりました。
その後も幅広いスタイルで今日までコンスタントにアルバムをリリースし続ける実力派MPBシンガーです。
そんな実力派シンガーのデビュー作が本作『Leila Pinheiro』(1983年)です。
Antonio Carlos Jobim、Toninho Horta、Ivan Lins、Joao Donato、Dori Caymmi、Francis Hime、Gilson Peranzzetta等の大物ミュージシャンがこぞって参加している点だけとっても、彼女が並大抵の新人シンガーではなかったことが窺えますね。
そんな大物たちの期待に応えるべく、Leila Pinheiroは新人とは思えない幅の広いヴォーカルを披露してくれます。すでに貫録十分といった雰囲気でさまざまなタイプの楽曲を堂々と歌い上げます。
プロデュースはRaymundo Bittencourt。
初々しさと早熟ぶりが同居する素晴らしいデビュー作だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Tudo Em Cima」
Sergio Natureza/Tunai作。いきなり、AOR/ポップ・ロック調のオープニング。アルバムの中では異質なタイプの印象を受けますが、中盤ではしっかりブラジル作品らしいサンバのエッセンスが組み込まれています。Luiz Claudio Ramosのギターが活躍します。
http://www.youtube.com/watch?v=hNZ0-RB58hc
「Bons Amigos」
Ronaldo Bastos/Toninho Horta作。Toninho Horta自身のヴァージョンは当ブログでも紹介した『Toninho Horta』(1980年)に収録されています。ここでは作者Toninho Hortaのギター、Ricardo Pontesのアルト・サックス、壮大なオーケストレーションを配したエレガントなサウンドをバックに、Leilaがしっとりと歌い上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=drQDodJIE18
「Vai Ficar No Ar」
Ana Terra/Gilson Peranzzetta/Joao Cortez作。作者のGilson Peranzzettaのピアノが印象的な少しミステリアスな雰囲気の仕上がり。
「Coracao Vagabundo」
Caetano Veloso作。オリジナルは『Domingo』(1967年)に収録されています。少し憂いを帯びたLeilaのヴォーカルと美しいバックが調和した大人の雰囲気がいい感じです。
「Falando De Amor」
Antonio Carlos Jobimのカヴァー1曲目。美しいオーケストレーションをバックに、哀愁ヴォーカルを雰囲気たっぷりに聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=n2seOsLqkBQ
「A Porta」
Dori Caymmi/Paulo Cesar Pinheiro作。作者Dori Caymmi自身がアレンジを務めています。Gilson PeranzzettaのエレピとToninho Hortaのヴィオランが織り成す美しい音世界にグッときます。
「Lua De Cetim」
Francis Hime/Olivia Hime作。僕の一番のお気に入り。軽快かつメロウなジャズ・サンバとキュートなLeilaのヴォーカルが爽快な気分にさせてくれます。作者Francis Himeもピアノで参加しています、
http://www.youtube.com/watch?v=PbrZ4rrmRoU
「Espelho Das Aguas」
Antonio Carlos Jobimのカヴァー2曲目。Jobim自身のピアノをバックに、Leilaがしっとりと歌い上げます。実にエレガント!惚れ惚れしますな。
http://www.youtube.com/watch?v=XaMkwKbjFMs
「Maos De Afeto」
Ivan Lins/Vitor Martins作。Ivan Linsのオリジナルは『Somos Todos Iguais Nesta Noite』に収録されています。Ivan Lins自身もピアノで参加し、Leilaをサポートしています。Ivan Linsらしい哀愁のメロディを丁寧に歌い上げます。Mauricio Einhornのハーモニカがいいアクセントになっています。
「Silk Stop (Passarinha - Gaiolas Abertas)」
Joao Donato/Martinho da Vila作。作者Joao Donato自身もピアノで参加。寛いだ雰囲気ながらもコンテンポラリー感のあるアレンジに惹かれます。「Lua De Cetim」と並ぶ僕のお気に入りです。
「Cao Sem Dono」
Paulo Cesar Pinheiro/Sueli Costa作。ぐっと大人の雰囲気で歌うサウダージ・モードの仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=j4jEWuffjcI
「Nossa Rua」
Alberto Arantes/Paulinho Tapajos作。ラストはコンテンポラリー感のあるボッサ・チューンで締め括ってくれます。
Leila Pinheiroの他作品もチェックを!
『Bencao, Bossa Nova』(1989年)
『Outras Caras』(1991年)
『Coisas do Brasil』(1993年)
『Isso e Bossa Nova』(1994年)
『Catavento e Girassol』(1996年)
『Na Ponta da Lingua』(1998年)
『Reencontro』(2000年)
『Mais Coisas do Brasi』(2001年)
『Nos Horizontes do Mundo』(2005年)
Leila Pinheiro & Roberto Menescal『Agarradinhos』(2007年)
『Meu Segredo mais Sincero』(2010年)
『Raiz』(2011年)
Leila Pinheiro & Nelson Faria『Ceu e Mar』(2012年)