2014年05月03日

Maria De Fatima『Bahia Com H』

Hugo Fattorusoらが参加したウルグアイ産ブラジリアン作品☆Maria De Fatima『Bahia Com H』
maria de fatima bahia com h.jpg
発表年:1981年
ez的ジャンル:ウルグアイ産ブラジリアン
気分は... :ウルグアイ代表は死のグループを勝ち残れるか?

今回はウルグアイで制作されたブラジリアン作品Maria De Fatima『Bahia Com H』(1981年)です。

Maria De Fatimaはブラジル出身の女性シンガー。L.A.を拠点にしていた時期には、Maria Fatima名義で当ブログでも紹介したMilton Nascimento『Milton』(1975年)、Airto Moreira『I'm Fine, How Are You?』(1977年)、Gilberto Gil『Realce』(1979年)などブラジル人アーティストのL.A.録音作品に参加しています。

また、本作『Bahia Com H』(1981年)をレコーディングしていた時期のMariaは、ウルグアイを代表するグループOpaのリーダーとして知られるキーボード奏者Hugo Fattorusoの奥方であり、公私にわたるパートナーでした。

当時のHugoとMariaは、Hugoの弟Osvaldo Fattorusoらとウルグアイ産プログレ・バンドBarcarolaを組んでおり、本作同じ1981年に唯一のアルバム『Barcarola』をリリースしています。

そんな関係からMaria de Fatima(vo、g)を含む、Hugo Fattoruso(p、key)、Osvaldo Fattoruso(ds)、Pippo Spera(g、vo)、Eduardo Marquez(b)というBarcarolaのメンバーが本作で集結しています。

それ以外にRoberto Galletti(per)、Chango Castro(per)、Jorge Graf(per)、Marcos Szpiro(g、fl)、Pedro Wrede(fl)等のミュージシャンがレコーディングに参加しています。

アルバムの内容は、オリジナル3曲、ブラジル人アーティストのカヴァー6曲という構成です。全体としては透明感のある美しいブラジリアン作品に仕上がっています。カヴァーのセレクトやサウンドも含めて、Mariaがトロピカリアやミナスの音楽の影響を受けていることが窺えます。また、Hugo Fattorusをはじめとするウルグアイ人ミュージシャンの素晴らしい演奏が本作に大きく貢献している点も聴き逃せません。

ウルグアイ人ミュージシャンに囲まれて制作されたブラジリアン作品だからこその透明感のようなものを感じる素敵な1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Toda Menina Baiana」
Gilberto Gil作。GilのオリジナルはMariaもレコーディングに参加した『Realce』(1979年)に収録されています。オリジナルよりも少しテンポを落とした、ゆったりとした爽快感が心地好いカヴァーに仕上がっています。レゲエやカリビアンなんかと一緒に聴いてもフィットするかも?

「Voce」
Maria de Fatima/Marcos Szpiro作。オリジナルの爽快アコースティック・グルーヴ。爽快さの中に土着的なパーカッシヴ感が織り込まれているのがいいですね。

「Movimento Dos Barcos」
Jards Macale/Capinam作。Maria Bethaniaのレパートリーとしても知られるJards Macale作品のカヴァー。少し気怠い雰囲気でMariaが憂いのあるヴォーカルを聴かせてくれます。

「Coisas Estranhas」
Maria de Fatima作。スキャットや子供の声を織り交ぜたアコースティック・グルーヴ。

「Bahia Com H」
Dennis Bryan作。Joao Gilbertoのレパートリーとしてお馴染みの曲ですね。当ブログではClara Morenoのカヴァーも紹介済みです。メロウネスが香る美しいボッサ・チューンに仕上がっています。軽快な前半とエレガントな後半のコントラストも素晴らしいです。

「O Tabuleiro da Baiana」
Ary Barroso作の名曲「No Tabuleiro da Baiana」をカヴァー。透明感のある素敵なメロウ・ボッサ。Hugo Fattorusoの心地好いエレピも効いています。

「Candombe Brasileiro - Montevideano」
Maria de Fatima/Hugo Fattoruso作。タイトルにある通り、ウルグアイの民族音楽であるカンドンべのエッセンスを取り入れた作品です。土着的なリズムにシンセ・サウンドを組み合わせるあたりがHugo Fattorusoらしいですね。

「Sao Joao Xango Menino」
Gilberto Gil/Caetano Veloso作。Caetano/Gal/Gil/Bethaniaによるオリジナルは『Doces Barbaros』(1976年)に収録されています。ポップかつリズミックなサウンドで開放的かつ華やかな雰囲気のカヴァーに仕上げています。

「Tres Pontas」
Milton Nascimento/Ronaldo Bastos作。Miltonのオリジナルは『Milton Nascimento(Travessia)』(1967年)に収録されています。この名曲を少しテンポを落とし、クール・ボッサな雰囲気で聴かせてくれます。

ウルグアイといえば、サッカーW杯でのウルグアイ代表も楽しみですね。グループDはウルグアイ、イングランド、イタリアというW杯優勝経験のある3ヶ国が同居するグループリーグで最も過酷な死のグループですが、その分グループリーグから全開モードのウルグアイ代表が観られることを期待しています。
posted by ez at 04:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする