発表年:1966年
ez的ジャンル:スウィンギン・ロンドン系サウンドトラック
気分は... :写真を引き伸ばすと・・・
今回はイタリア映画の巨匠Michelangelo Antonioniが監督し、Herbie Hancockが音楽を担当した映画『Blow-Up(邦題:欲望)』(1966年)のオリジナル・サウンドトラックです。
これまで当ブログで紹介したHerbie Hancock作品は以下の8枚(録音年順)。
『Inventions And Dimensions』(1963年)
『Empyrean Isles』(1964年)
『Maiden Voyage』(1965年)
『Speak Like A Child』(1968年)
『The Prisoner』(1969年)
『Fat Albert Rotunda』(1969年)
『Thrust』(1974年)
『Sunlight』(1978年)
映画『Blow-Up(邦題:欲望)』(1966年)は、人気カメラマンの主人公をめぐる出来事を通して、当時のロンドンを席巻したスウィンギン・ロンドンの空気を伝えてくれる人気カルト・ムーヴィーです。映画はカンヌ映画祭で見事パルムドールを受賞しています。
DVD『Blow-Up(邦題:欲望)』
そんな映画の音楽を託されたのがHerbie Hancockです。当初Antonioni監督は音楽を使う予定がありませんでしたが、撮影中に耳にしたHancockの音楽に魅せられ、起用を決定した模様です。
参加メンバーはHerbie Hancock(p)以下、Freddie Hubbard(tp)、Joe Newman(tp)、Phil Woods(as)、Joe Henderson(ts)、Paul Griffin(org)、Jimmy Smith(org)、Jim Hall(g)、Ron Carter(b)、Jack DeJohnette(ds)という、なかなか豪華な顔ぶれです。
スウィンギン・ロンドンを扱った映画のサントラのせいか、Hancockらによる演奏もロック、ブルースなどのエッセンスを取り入れたヒップなサウンドを楽しめます。
まずはまずは「Main Title from Blow Up」、「Bring Down the Birds」、「The Thief」あたりを聴けば、本作のスウィンギン・ロンドンな空気を実感できます。
本作のもう一つの目玉は映画内で演奏シーンが挿入されるYardbirds「Stroll On」です。しかも、ここでのYardbirdsはJeff Beck、Jimmy Pageのツイン・ギター!ロック好きの人にはたまらないですよね。Antonioni監督はこの演奏シーンでThe Whoに出演を依頼していましたが、交渉がまとまらず敏腕マネジャーGiorgio Gomelskyが割って入りYardbirdsの出演が決まったようです。
最後はThe WhoのPete TownshendばりにBeckがギターを叩き壊す姿が印象的です。
スウィンギン・ロンドン好きの人はぜひチェックを!
全曲紹介しときやす。
「Main Title from Blow Up」
スウィンギン・ロンドンな空気が伝わってくるメイン・テーマ。1分半強の短い演奏ですが、モッズ好きの人を虜にするビートの効いたロッキンな演奏を楽します。終盤はジャズ・モードで締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=xubk-WNvkJI
James Taylor Quartetの格好良いカヴァーもありますね。
James Taylor Quartet「Blow Up」
http://www.youtube.com/watch?v=nD2EUNtYBlc
「Verushka (Part 1)」
ブルース・フィーリングたっぷりの演奏です。
「Verushka (Part 2)」
パート2も相変わらずブルースですが、こちらはサックスがメインになっています。
「Verushka (Part 1 & 2)」
http://www.youtube.com/watch?v=KjMNkRC95xw
「The Naked Camera」
この参加メンバーらしいャズ・サウンドを堪能できます。格好良いトランペットがキマっています。
http://www.youtube.com/watch?v=x7Y2-tIgGMY
「Bring Down the Birds」
この演奏も本作のハイライトの1つです。イントロのベースラインをどこかで聴いたことがある人も多いのでは?そうです、大ヒット・ダンス・チューンDeee-Lite「Groove Is In The Heart」のサンプリングソースです。グルーヴ―でヒップな演奏は文句ナシに格好良いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=tADslgXuYig
Deee-Lite「Groove Is In The Heart」以外にCircuit「Shelter Me (Touchdown Mix)」、Lorna「Papi Chulo... (Te Traigo El Mmmm)」のサンプリングソースにもなっています。
Deee-Lite「Groove Is In The Heart」
http://www.youtube.com/watch?v=etviGf1uWlg
「Jane's Theme」
Jim Hallの美しいギター・プレイを堪能できるバラード。
http://www.youtube.com/watch?v=ohTE2DLQ93w
「Stroll On」
前述のように、この曲のみYardbirdsの演奏です。Beck & Pageのツイン・ギターを堪能しましょう。当初、Tiny Bradshawのカヴァー「Train Kept A Rollin'」を演奏しようとしたのですが、権利の問題が発生し、メンバーらが新たに詞を書き、同曲を改作するかたちで本曲「Stroll On」となった模様です。ロック好きは聴き逃せない名演なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=cj8QQizmykY
「The Thief」
Manfred Mannあたりが好きな人ならばグッとくるスウィンギン・ロンドンらしいグルーヴィーなモッド・ジャズです。
http://www.youtube.com/watch?v=JyN7XVa2Aiw
「The Kiss」
Jim Hallのギターとオルガンによるロマンティックな演奏です。
http://www.youtube.com/watch?v=m5TpwEH1PrM
「Curiosity」
さすがはHancockと思わせる美しい演奏を堪能できます。もっと長尺で聴きたい!
http://www.youtube.com/watch?v=yks2E-b0eEk
「Thomas Studies Photos」
ポリリズムで疾走する格好良いサウンドです。これも長尺で聴きたい!
http://www.youtube.com/watch?v=WCryOMixNu0
「The Bed」
Hancockらしい美しいピアノ・プレイを堪能できるエレガント・バラード。
http://www.youtube.com/watch?v=eoWH7Po5f34
「End Title Blow Up」
エキサイティングなタイトルのリプライズです。
http://www.youtube.com/watch?v=S7Bn33Cte3U
オリジナルには未収録でしたが、UKのロックバンドTomorrow(Steve Howe、Keith WestらがいあたアノTomorrow)による演奏が収録されているヴァージョンもあります。
Herbie Hancock作品の過去記事もご参照下さい。
『Inventions And Dimensions』(1963年)
『Empyrean Isles』(1964年)
『Maiden Voyage』(1965年)
『Speak Like A Child』(1968年)
『The Prisoner』(1969年)
『Fat Albert Rotunda』(1969年)
『Thrust』(1974年)
『Sunlight』(1978年)