発表年:2014年
ez的ジャンル:フューチャリスティック&エクスペリメンタル都市型民族音楽
気分は... :W杯前にコロンビアの音楽を聴こう!
今回はハイブリッド作品をリリースし続け、エッジーな音楽ファンから高い支持を得ているUK出身のアーティストQuanticの新作『Magnetica』です。
QuanticことWill Hollandの紹介は、The Quantic Soul Orchestra名義の『Stampede』(2003年)、Alice Russellとの共演作Quantic & Alice Russell With The Combo Barbaro『Look Around The Corner』(2012年)に続き3回目です。
2007年にコロンビアへ移住し、現地ミュージシャンとコラボを通じて、ラテン音楽、カリビアン・ミュージック、レゲエ/ダブへアプローチしてきたQuanticでしたが、現在はコロンビアでの生活を終えてN.Y.にいる模様です。
そんなQuanticが次のステップへと進んだ作品が本作『Magnetica』です。コロンビア時代の成果を踏まえつつ、エレクトロ・サウンドとの融合など新たなアプローチに取り組んだ作品が『Magnetica』です。プレスリリースの"フューチャリスティックでエクスペリメンタルな都市型民族音楽集"という表現も納得できます。お馴染みTru Thoughtsからのリリースです。
アルバムにはお馴染みAlice Russell、L.A.を拠点に活動するアレンジャー/コンポーザーMiguel Atwood-Ferguson、コロンビアの伝説的なミュージシャン2人FrukoとMichi Sarmiento、アンゴラ出身のポルトガル女性MC Pongo Love、エチオピア人シンガーDereb The Ambassador、コロンビア人女性シンガーNidia Gongora、80〜90年代に大人気だったレゲエDJ Shinehead、ブラジル人シンガーIara Renno、コロンビア人アコーディオン奏者Anibal Velasquez、Orquestra Imperialの一員でもあるブラジル人女性シンガーThalma De Freitas等の国際色豊かなゲストが参加しています。
サッカーW杯でコロンビアと対戦することもあり、コロンビアへの注目が高まっているだけに、本作のような作品を介してコロンビアの音楽に接するのもいいのでは?
コロンビア時代に一区切りをつけ、新しいステージへ入ろうとしているQuantic。これからも目が離せません。
全曲紹介しときやす。
「Magnetica」
タイトル曲は、エレクトロ・サウンドを重視した本作らしい仕上り。レトロ・フィーリングをフューチャリスティックなエレクトロ・サウンドで表現しているのがQuanticらしですね。
「You Will Return」
Alice Russellをフィーチャーし、Miguel Atwood-Fergusonがアレンジを務めた話題曲。フューチャリスティックな民族フォーキーといった雰囲気ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=7ki4gXTpDyA
「Descarga Cuantica」
Fruko y sus Tesosのメンバーとしても知られるFrukoとサックス奏者Michi Sarmientoというコロンビアのベテラン・ミュージシャン2名をフィーチャーしたフューチャリスティック・デスカルガ。コロンビア・サルサをQuanticが進化させています。
http://www.youtube.com/watch?v=omrE-h0tlNQ
「Duvido」
アンゴラ出身のポルトガル女性MC、Pongo Loveをフィーチャー。コロンビアのアフロ系伝統音楽であるクルラオを前面に押し出しつつ、Pongo Loveのラップが絡むあたりがエクスペリメンタルな都市型民族音楽なのかもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=JqYtyb9iERk
「Arada」
オーストラリア在住のエチオピア人シンガーDereb The Ambassadorをフィーチャー。"エチオピア演歌"といった感じでコブシを回します。
「La Plata」
コロンビア人女性シンガーNidia Gongoraをフィーチャー。汎大西洋的なアフロ・ラテン・チューンです。トラディショナルでありながら、野暮ったくしないところがいいですね。
「Sol Clap」
エレクトロ・サウンドとコロンビア音楽を融合させた仕上がり。本作に先駆け2011年のベスト盤『The Best of Quantic』にも収録されていました。
http://www.youtube.com/watch?v=zVcMi4YCLWQ
「Spark It」
懐かしのダンスホールDJ Shineheadをフィーチャー。僕の中では"あの人は今・・・"的な存在だったShineheadでしたが、その健在ぶりを示してくれます。楽曲自体もなかなかキャッチーなダンスホール・チューンに仕上がっています。
「Caruru」
ブラジル人女性シンガーIara Rennoをフィーチャー。この曲もレゲエ調の仕上がり。ゆったりのんびりした感じがいいですね。
「La Callejera」
コロンビア人アコーディオン奏者Anibal Velasquezをフィーチャー。なかなかノリのいいアフロ・ラテン・グルーヴで僕はかなり好き!
「Muevelo Negro」
Nidia Gongoraをフィーチャー。大地のリズムを感じるトラディショナルな味わいのクルラオです。
「Aguas De Sorongo」
Orquestra Imperialの一員でもあるブラジル人女性シンガーThalma De Freitasをフィーチャー。アフロ・ブラジリアン調の爽快ブラジリアン・グルーヴは僕好みです。
「Painting Sithouettes」
ラストは全てをQuanticがこなしたアコースティック・チューンで締め括ってくれます。
国内盤には「Duvid (instrumental)」、「Muvelo Negro (a cappella)」という2曲のボーナス・トラックが収録されています。
The Quantic Soul Orchestra名義の他作品やQuantic関連の他作品もチェックを!
The Quantic Soul Orchestra『Stampede』(2003年)
The Quantic Soul Orchestra『Pushin' On』(2005年)
The Quantic Soul Orchestra with Spanky Wilson『I'm Thankful』(2006年)
The Quantic Soul Orchestra『Tropidelico』(2007年)
Quantic『The 5th Exotic』(2001年)
Quantic『Apricot Morning』(2002年)
Quantic『Mishaps Happening』(2004年)
Quantic『An Announcement to Answer』(2006年)
The Limp Twins『Tales From Beyond the Groove 』(2003年)
Quantic & His Combo Barbaro『Tradition in Transition』(2009年)
Quantic Presenta Flowering Inferno『Death of the Revolution』(2008年)
Quantic Presenta Flowering Inferno『Dog With a Rope』(2010年)
Quantic & Alice Russell With The Combo Barbaro『Look Around The Corner』(2012年)
Ondatropica『Ondatropica』(2012年)