発表年:2013年
ez的ジャンル:アルゼンチン・コンテンポラリー・フォルクローレ
気分は... :アトレチコ・マドリッド二冠なるか!
現在、サッカー・リーガ・エスパニョーラ最終節の大一番「バルセロナ対アトレチコ・マドリッド」を観戦中。本来ならば、バルサを応援したいのですが、今シーズンに限ってはアトレチコ・マドリッドにリーガとチャンピオンズ・リーグの二冠を獲らせてあげたいですね。今シーズンの欧州サッカーの主役は間違いなくアトレチコ・マドリッドであり、素晴らしいチームを創り上げたシメオネを男にしてあげたいですね。
その意味ではジエゴ・コスタの負傷交代が心配です。
チャンピオンズ・リーグ決勝は大丈夫なのか?
もし、出場できない状況であればW杯スペイン代表にも影響しそうですね。
今回はシメオネ監督の母国アルゼンチンから、久々に"静かなる音楽"の新作を紹介します。アルゼンチンのコンテンポラリー・フォルクローレ・シーンを支える重要ミュージシャンFernando Silvaの初ソロ・アルバム『Miro Por La Ventana』(2013年)です。
昨年リリースされたアルバムですが、最近国内盤がリリースされ、日本でも入手できるようになったので、今年の新作扱いで構わないと思います。
Fernando Silvaは1979年アルゼンチン、サンタフェ州ロサリオ生まれのコントラバス/チェロ/ベース奏者。
コンテンポラリー・フォルクローレ・シーンの巨匠Carlos Aguirreのグループ(Carlos Aguirre Grupo)を支えるベーシスト、Sebastian Macchi、Claudio Bolzaniとの共同名義でリリースしたコンテンポラリー・フォルクローレ名作『Luz De Agua』(2005年)でも知られるFernando Silva。
当ブログで紹介した作品でいえば、Carlos Aguirre『Orillania』(2012年)、Andres Beeuwsaert『Cruces』(2012年)といった作品でFernando Silvaの演奏を聴くことができます。
ちなみに、先週紹介したQuantic関連の作品でもベーシストFernando Silvaの名を目にしますが、こちらはコロンビア人のベーシストであり別人です。
そのFernando Silvaの初ソロ・アルバムが本作『Miro Por La Ventana』です。Carlos AguirreのレーベルShagrada Medraからのリリースです。
レコーディングには、Carlos Aguirre(vo、p、key、fl、accordion)や『Luz De Agua』の盟友Claudio Bolzani(vo、g)、Sebastian Macchi(vo、p)をはじめ、Marian Ruggieri(p、celesta)、Gonzalo Diaz(per)、Guadalupe Abero(vo)、Nicolas Ibarburu(g)、Andres Beeuwsaert(p、el-p、syn)、Luis Chavez Chavez(g)、Eugenio Zeppa(bass clarinet)、Juampi di Leone(fl)等のミュージシャンが参加しています。
アルバム全体としては、コンテンポラリー・フォルクローレをベースに、ジャズ/フュージョン、クラシック、ブラジル等のエッセンスを取り入れた美しく感動的な1枚に仕上がっています。
コンテンポラリー・フォルクローレ好き、"静かなる音楽"好きの人は勿論のこと、Jaco Pastorius、Pat Methenyあたりがお好きなジャズ・ファンにもグッとくる1枚ではないかと思います。特にJaco Pastoriusからの影響を随所に感じます。
今年のマイ・ベスト10の有力候補の1枚です。
こういう素晴らしい作品に出合ってしまうと、他の作品が聴きづらくなり困ります(笑)
全曲紹介しときやす。
「Miro por la Ventana」
Juan L. Ortizの詞に、Fernando Silvaが曲をつけたもの。Sebastian Macchi、Claudio BolzaniやCarlos Aguirreも参加した静かなる美しさに魅了されるオープニング。
「Danzando」
Fernando Silva作。波音の効果音と共に始まるこの曲はGuadalupe Aberoの女性ヴォーカルをフィーチャー。都会派コンテンポラリー・フォルクローレといった洗練を感じます。Marian Ruggieriのピアノが躍動します。
「Candombe pa la Negra」
Fernando Silva作。ブラジリアン調の仕上がり。ブラジリアン・リズムとFernandoのフレットレスベースの組み合わせが実に心地好いですね。Pat Methenyなんかと一緒に聴きたくなる1曲です。
「Hace Tiempo」
Carlos Aguirre作品のカヴァー。再びGuadalupe Aberoの女性ヴォーカルをフィーチャーしています。聴く者を優しく包み込む、心穏やかになるサウンドです。作者Aguirreの美しいピアノにも惹かれます。
「A Pata Luma」
Fernando Silva作。印象的なEugenio Zeppaのバス・クラリネットと共にスタートします。Fernandoのフレットレスベースやシンセなどが織り成す音空間は、ゆったりとした中にもコズミックを感じます。
「Evocacion Futura」
Carlos Aguirre作。ここでも実に穏やかで美しい演奏を聴くことができます。Andres Beeuwsaertが彼らしい美しいピアノを聴かせてくれます。作者Aguirreのアコーディオンもいいアクセントになっています。
「Tarde Gris」
Fernando Silva作。チェロを多重録音したインタールード的な小曲。
「Bienaventuranza」
Marian Ruggieri作。作者RuggieriのピアノとFernandoのチェロ/コントラバスを中心としたクラシカルな演奏は"静かなる音楽"好きにはグッとくるはず!
「Booper/Republica de Tenochtitlan」
Fernando Silva作。Fernando Silvaのベースを存分に堪能できる1曲。"Jaco Pastorius・ミーツ・コンテンポラリー・フォルクローレ"みたいな感じがいいですね。
ご興味がある方はFernando Silvaが参加している下記2作品の記事もご参照下さい。
Carlos Aguirre『Orillania』(2012年)
Andres Beeuwsaert『Cruces』(2012年)