発表年:1990年
ez的ジャンル:ブリストルR&B/トリップ・ホップ
気分は... :アトレチコ強かった!
昨日のエントリーでも書いたバルセロナ対アトレチコ・マドリッドの大一番は、先制を許したアトレチコ・マドリッドが同点に追いつき、リーガのタイトルを獲得しました。いや、やはり今年のアトレチコは強い!
さて、今回はブリストル発、トリップ・ホップ前夜の作品Carlton『The Call Is Strong』(1990年)です。
CarltonことCarlton McCarthyはイギリス、バーミンガム出身。やがてブリストルへ移住し、地元のバンドで活動するようになります。そうした中で後にブリストル・サウンドを代表するプロデュース・チームとなるSmith & Mightyと出会い、彼らと行動を共にするようになります。
そうした中でCarltonの初レコーディングとなったのが、メジャー・デビュー前のMassive Attackが1988年にリリースしたシングル「Any Love」(Rufus & Chaka Khanのカヴァー)です。
Massive Attack feat. Daddy Gee & Carlton「Any Love」(1988年)
http://www.youtube.com/watch?v=ZdueXE2KZS8
そして、Smith & Mightyのプロデュースにより制作されたCarlton名義のアルバムが本作『The Call Is Strong』(1990年)です。
当時のUKは前年にSoul II Soul「Keep On Movin'」が大ヒットし、この年にはSoul II Soulから独り立ちしたCaron Wheelerがデビュー・アルバム『UK Blak』(1990年)をリリースするなど、グラウンドビートがシーンを席巻していました。
そんな流れで本作も日本ではグラウンドビートの新作として紹介されていました。僕も第2のSoul II Soulを期待して本作を聴いた記憶があります。当時の僕の印象は「やけにダークなグラウンドビートだな」という印象でした。
まぁ、本来ブリストル・サウンドやトリップ・ホップの流れで捉えるべきアルバムなので、このような印象を受けるのは当然ですよね。ブリストル・サウンドやトリップ・ホップをシーンに印象付けたMassive Attackの衝撃作『Blue Lines』がリリースされたのは翌年の1991年でしたから、まだまだブリストル特有のダーク・サウンドへの免疫ができていない状態でした。
そのせいか、一刀両断するような批評も当時は目立ちましたね。
しかしながら、その後のブリストル・サウンドやトリップ・ホップの躍進を踏まえれば、トリップ・ホップ前夜のアルバムとしてもっと再評価されてもいい気がします。
とりあえずSmith & Mightyの名が気になる方はぜひチェックを!
全曲紹介しときやす。
「Cool With Nature」
アルバムからのリード・シングルにもなったオープニング。Carltonの寂しげなファルセット・ヴォイスとSmith & Mightyによるチルアウトなクール・ビートがよくマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=vlhFU4y6A2g
「I Know」
哀愁のシンセ・サウンドが織り成すダーク・グルーヴ。確かに、このあたりはグラウンドビートを意識したものかもしれません。
「We Vie」
メランコリックでダビーなダーク・ソウルがトリップホップ前夜を感じさせます。
「Come On Back」
「Cool With Nature」同様、Carltonの寂しげなファルセット・ヴォイスとSmith & Mightyによるレゲエ調のダーク・サウンドが調和し、本作ならではのヒンヤリ感を堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=3UIuTr_Ioak
「Love And Pain」
Burt Bacharachの名曲「Walk On By」を見事にカヴァーしたSmith & Mightyのポップ・センスを実感できる1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=l4fOn6q044Y
Smith & Mighty「Walk On...」
http://www.youtube.com/watch?v=Mt_G7PO093Y
「Do You Dream」
この曲もシングルになりました。ブリストル流ハウス・チューンといった趣のダーク&ダビーなアッパー・チューンになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=Kq1UChMMpyo
「Indicaton To You」
レゲエ/カリビアンなエッセンを取り入れています。ただし、トーンはあくまでダークで・・・
「Please Leave」
ダビーなダンサブル・チューン。このあたりは完全にブリストル・サウンド全開ですね。当時はこのダークな魅力を理解できませんでしたが・・・
「I Will Be」
キャッチー&ダンサブルという点ではアルバム随一かもしれません。
「True Colours」
ブリストル好きの人にとっては、重苦しいグルーヴにCarltonの儚いファルセット・ヴォイスが乗るこの曲もかなりグッとくるのでは?
ご興味がある方はSmith & Mightyの作品もチェックを!
Smith & Mighty『Bass Is Maternal』(1995年)
Smith & Mighty『Big World Small World』(1999年)
Smith & Mighty『Life Is』(2002年)