名盤『Samba Meu』の続編的なサンバ回帰アルバム☆
Maria Rita『Coracao a Batucar』♪
発表年:2014年
ez的ジャンル:コンテンポラリー感覚ルーツ・サンバ
気分は... :W杯なのに南米選手権?
ブラジルW杯は、いよいよ決勝トーナメントです。
今日は「ブラジル対チリ」「コロンビア対ウルグアイ」という南米対決の2試合です。この勝者が準々決勝で対決するわけで、このブロックに南米勢が集中してしまったのは勿体ないですね。
開催国で優勝候補No.1にとっては、南米対決2連戦は優勝に向けてかなりの試練になりそうですね。
新世代MPBを代表する女性シンガー
Maria Ritaの待望の新作
『Coracao a Batucar』です。
これまで当ブログでは
Maria Ritaのスタジオ・アルバムを全て紹介済みです。
『Maria Rita』(2003年)
『Segundo』(2005年)
『Samba Meu』(2007年)
『Elo』(2011年)
MPBの女王であった故
Elis Reginaの娘である
Maria Ritaは、2012年に母Elis の没後30周年のトリビュート・ライブを行い、それまで歌うことを封印してきた母のレパートリーのみで構成されたショーで大成功を収めました。この模様はライブ・アルバム
『Redescobrir』としてリリースされたました。
『Redescobrir』(2012年)
そして、
『Elo』(2011年)以来のスタジオ・アルバムとしてリリースされた最新作が
『Coracao a Batucar』です。
『Coracao a Batucar』は、名盤の誉れ高い3rdアルバム
『Samba Meu』(2007年)の続編というべきサンバ回帰のアルバムです。
僕にとって、新旧ブラジル作品に接する機会がグンと増えるきっかけを作ってくれた作品が
『Samba Meu』でした。そんな思い出深い作品の続編となるサンバ・アルバムである
『Coracao a Batucar』への期待は高まるばかりでした。
実際に聴いてみると、期待以上の充実した内容に大満足です。
まだ6月ですが、年末恒例の『ezが選ぶ2014年の10枚』入りは確実な気がします。
Maria Rita自身がプロデュースし、
Jota De Moraesがアレンジを手掛けています。
レコーディングには
Maria Rita(vo)以下、
Wallace Santos(ds、per)、
Alberto Continentino(b)、
Davi Moraes(g)、
Rannieri Oliveira(key)、
Marcelinho Moreira(per)、
Andre Siqueira(per)等が参加しています。
この中ではMaria Ritaと結婚し、公私のパートナーとなった色男ギタリスト
Davi Moraesに注目です。ちなみに、アルバム・タイトル
「Coracao a Batucar」は
『Elo』でDavi Moraesが楽曲提供した曲のタイトルです。
『Samba Meu』の続編らしく、
Fred Camacho、
Rodrigo Maranhao、
Arlindo Cruzといった
『Samba Meu』に関与したミュージシャンが再び楽曲提供しています。
Fred Camachoは
『Samba Meu』や
『ezが選ぶ2013年の10枚』にセレクトしたサンバ・アルバム
Paula Lima『O Samba E Do Bem』でも楽曲提供していたコンポーザーです。
Rodrigo Maranhaoは
『Samba Meu』で楽曲提供した
「Caminho das Aguas」が第7回ラテングラミー賞の最優秀ブラジル歌曲賞を受賞したことでもお馴染みの新世代SSWです。
Fundo de Quintalのバンジョー奏者Arlindo Cruzも
『Samba Meu』や前述の
Paula Lima『O Samba E Do Bem』で楽曲提供していました。最近では先々週紹介したGilles Petersonの最新ブラジリアン・オールスター・プロジェクト
Gilles Peterson presents:Sonzeira『Brasil Bam Bam Bam』にも参加しています。
Fred CamachoやArlindo Cruz以外にも
Paula Lima『O Samba E Do Bem』の楽曲提供者の名がクレジットで多く見られるのも興味深いですね。
そうそう
Joyce Morenoの楽曲も忘れていけません。
そんな素晴らしい楽曲、躍動するサンバ・リズム、コンテンポラリーなアレンジを従え、Mariaのヴォーカルがさらにワンステージ上のランクへ進化した印象を受けます。女王
Elis ReginaのDNAを受け継いだMariaの豊かなヴォーカル表現に惚れ惚れします。
これから長く聴き続けるであろう極上のブラジリアン作品です。
全曲紹介しときやす。
「Meu Samba, Sim, Senhor」Fred Camacho/Marcelinho Moreira/Leandro Fab作。実力派バトゥケイロMarcelinho Moreiraらが叩き出すサンバのリズムにのって、Mariaが開放的かつリラックスしたヴォーカルを聴かせてくれるパーカッシヴなオープニング。
http://www.youtube.com/watch?v=twvJrnhA7RA 「Saco Cheio」D. Fia/Marco Antonio作。華やいだムードに包まれたサンバ・チューン。大人のサンバって感じがいいですね。Mariaのヴォーカルも余裕のある感じが実にいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=RrvV3G9DqA4「Fogo No Paiol」Rodrigo Maranhao作。Rannieri Oliveiraの小粋なピアノともに始まる哀愁サンバ。軽快なサンバ・リズムをバックに、少し抑えたMariaの哀愁ヴォーカルがたまりません。実に完成度が高い1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=D9f2YWLE22Q 「No Meio Do Salao」Magnu Sousa/Maurilio de Oliveira/Everson Souza作。派手さはありませんが、アレンジ・センスにグッとくる哀愁メロウ。キレがあるのにコクもあるって感じがたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=IjwibuMa-Zs「Abismo」Thiago Silva/Lele/Davi Dos Santos作。少し抑えたバックがMariaの伸びやかなヴォーカルを際立てます。エレピがよく似合う感動的なメロウ・チューンです。
http://www.youtube.com/watch?v=_2B5jXzu5Os「Vai, Meu Samba」Noca da Portela/Sergio Fonseca作。ジャジー・ムードのシブめの仕上がり。Mariaの表情豊かな哀愁ヴォーカルが素晴らしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=BknOTygw0yU 「Abre O Peito E Chora」Serginho Meriti/Rodrigo Leite/Cauique作。憂いを帯びたMariaのヴォーカルと共に疾走する哀愁サンバ。旦那Davi Moraesのギター・プレイも楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=BRzVLnRgTn0「Bola Pra Frente」Xande de Pilares/Gilson Bernini作。打楽器隊によるパーカッシヴ・リズムとRannieri OliveiraのミステリアスなピアノをMariaのヴォーカルが上手くまとめあげている感じがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=GI0wXekGBpc「Nunca Se Diz Nunca」Xande de Pilares/Leandro Fab/Charlles Andre作。旦那Davi MoraesのギターがMariaのヴォーカルに寄り添います。アルバムで最もシンプルなアレンジです。
http://www.youtube.com/watch?v=zNqRolAlYgQ 「Rumo Ao Infinito」Arlindo Cruz/Marcelinho Moreira/Fred Camacho作。大人のジャジー感に包まれたビューティフル・サンバ。ヴォーカル、楽曲、アレンジ全てが噛み合った極上の1曲だと思います。大感動で胸に熱いものが込み上げてきます。僕の一番のお気に入り。
http://www.youtube.com/watch?v=Zot9mvURZD4 「Mainha Me Ensinou」Arlindo Cruz/Xande de Pilares/Gilson Bernini作。シンプルながらもMariaのヴォーカリストとしての魅力を存分に堪能できるメロウ・サンバ。この曲も素晴らしすぎます!
http://www.youtube.com/watch?v=3G6pSKJRBrI「No Misterio Do Samba」Joyce Moreno作。清涼感のある爽快メロウ・サンバは実に心地好いです。
http://www.youtube.com/watch?v=dyPSn648FNk「E Corpo, E Alma, E Religiao」Arlindo Cruz/Roge/Arlindo Neto作。ラストはハンド・クラッピングと共に始まる開放的なサンバ・チューンで締め括ってくれます。生命力に満ちたMariaのヴォーカルもサイコーです。
http://www.youtube.com/watch?v=jdTTaFaqvtoMaria Ritaの過去記事もご参照下さい。
『Maria Rita』(2003年)
『Segundo』(2005年)
『Samba Meu』(2007年)
『Elo』(2011年)