発表年:2014年
ez的ジャンル:コンセプチュアル・コンシャスHip-Hop
気分は... :まゆゆ念願叶う!
今回は最強Hip-HopバンドThe Rootsの最新作『...And Then You Shoot Your Cousin』です。
これまで当ブログで紹介したThe Roots作品は以下の10枚。
『Do You Want More?!!!??!』(1994年)
『Things Fall Apart』(1999年)
『Phrenology』(2002年)
『Game Theory』(2006年)
『Rising Down』(2008年)
『How I Got Over』(2010年)
John Legend & The Roots『Wake Up!』(2010年)
Betty Wright & The Roots『Betty Wright: The Movie』(2011年)
『Undun』(2011年)
Elvis Costello & The Roots『Wise Up Ghost』(2013年)
昨年Elvis Costelloとのコラボ作『Wise Up Ghost』をリリースしていますが、グループのオリジナル・アルバムということでは『Undun』(2011年)以来、約2年半ぶりの新作となります。
前作『Undun』はRedford Stephensという人物の短い生涯を軸にしたコンセプト・アルバムでしたが、本作『...And Then You Shoot Your Cousin』もコンセプチュアルなコンシャスHip-Hop作品に仕上がっています。
ちなみにアルバム・タイトルはKRS-One「Step Into A World(Rapture's Delight)」のリリックに因んだもののようです。また、アーティスティックなジャケは黒人芸術家/作家のRomare Beardenが1964年に発表した「Pittsburgh Memory」を使用したものです。
本作におけるバンド・メンバーはAhmir "?uestlove "Thompson(ds)、Tariq "Black Thought" Trotter(vo)、 Kirk "Captain Kirk" Douglas(g)、Kamal Gray(key)、James Poyser(key)、Frank "Frankie Knuckles" Walker(per)、Damon "Tuba Gooding Jr." Bryson(sousaphone)、Mark Kelley(b)の8名。前作『Undun』と同じラインナップです。
ゲストとして、元メンバーのDice Rawをはじめ、Greg Porn(P.O.R.N.)、Mercedes Martinez(Jazzyfatnastees)、Modesty Lycan、Patty Crash、Raheem DeVaughnが参加しています。
また、オリジナルのみならず、偉大な黒人女性シンガーであったNina Simone、黒人女性ジャズピアニストの草分けMary Lou Williams、フランスの電子音楽家Michel Chionといったアーティストのパフォーマンスを織り交ぜている点も興味深いです。
アルバム全体としては、ダークなトーンが支配する聴き応えのある重厚な作品に仕上がっています。
個人的にはもっと弾けたRootsサウンドを聴きたい気もしますが、Rootsだからこそ創ることができる重厚でコンセプチュアルなコンシャスHip-Hopに納得してしまいました。
最強Hip-Hopバンドによる圧倒的なHip-Hopワールドを堪能しましょう。
全曲紹介しときやす。
「Theme From Middle of the Night」
アルバムはNina Simone「Theme From Middle of the Night」からスタートします(George Bassman/Paddy Chayefsky作)。Nina Simoneのオリジナルは『The Amazing Nina Simone』(1959年)に収録されています。Nina Simoneのディープな歌声が、これから語られる様々なストーリーを暗示しているかのようです。
http://www.youtube.com/watch?v=jAQS-mh9h6A
「Never」
Patty Crashをフィーチャー。彼女のコケティッシュなヴォーカルと美しくも重厚なサウンドのコントラストが印象的です。ダークなストリングスやBlack Thoughtのライムにも重みがあります。
「When the People Cheer」
Modesty Lycan & Greg Pornをフィーチャー。アルバムからの先行シングル。哀愁トラックにのって、Greg PornとBlack Thoughtが噛みしめるようにライムを叩きつけ、それを包み込むようにModesty Lycanの女性ヴォーカルが絡みます。ストップモーション・アニメのPVも秀逸です。
http://www.youtube.com/watch?v=51K4gqmgoPU
「The Devil」
黒人女性ジャズピアニストの草分けMary Lou Williams(1910-1981年)の「The Devil」。Howard Roberts Singersをフィーチャーしたオリジナルは『Black Christ Of The Andes』(1964年)に収録されています。
「Black Rock」
Dice Rawをフィーチャー。やはりDice RawとBlack Thoughtが揃うと、一気にThe Rootsらしくなりますね。ダークな中にも深みを感じる聴き応え十分の1曲です。
「Understand」
Dice Raw & Greg Pornをフィーチャー。オルガンの音色が印象的なソウルフル・サウンドにのった、Dice Raw、Greg Porn、Black Thoughtのマイクリレーを楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=Ys3HCHJ_8r0
「Dies Irae」
フランスの電子音楽家Michel Chionの実験的作品。オリジナルは『Requiem』(1978年)にリリースされています。
「The Coming」
Mercedes Martinezをフィーチャー。彼女は当ブログでも紹介したThe RootsファミリーのグループJazzyfatnasteesのメンバーとしてもお馴染みですね。美しいピアノをバックに、哀愁のメロディを切々と歌います。ミステリアスでドラマチックなアレンジも秀逸です。
http://www.youtube.com/watch?v=_dRetzIui3E
「The Dark (Trinity)」
Dice Raw & Greg Pornをフィーチャー。タイトルの通り、ダークなトーンが支配します。本作らしい世界観がよく表れた1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=kbo3AfHI1mg
「The Unraveling」
実力派男性R&BシンガーRaheem DeVaughnをフィーチャー。物悲しいメロディを切々とRaheemが歌い上げます。それに続くBlack Thoughtのラップは物語の語り部のようです。
「Tomorrow」
ラストもRaheem DeVaughnをフィーチャー。ダークな雰囲気が支配するアルバムですが、最後は希望の光が差し込むかのような美しいしたソウル・チューンで締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=LmjXL6jLkJY
The Rootsの過去記事もご参照下さい。
『Do You Want More?!!!??!』(1994年)
『Things Fall Apart』(1999年)
『Phrenology』(2002年)
『Game Theory』(2006年)
『Rising Down』(2008年)
『How I Got Over』(2010年)
John Legend & The Roots『Wake Up!』(2010年)
Betty Wright & The Roots『Betty Wright: The Movie』(2011年)
『Undun』(2011年)
Elvis Costello & The Roots『Wise Up Ghost』(2013年)