発表年:1977年
ez的ジャンル:姉妹系R&Bコーラス・グループ
気分は... :クリンスマン対レーブ!勝者は・・・
今日のW杯はグループDに続く激戦区であるグループGの最終戦。特に「アメリカ対ドイツ」は面白そうですね。個人的にはガーナに勝ち上がって欲しいし・・・でもポルトガルも底力があるし、ドラマティックな結末も期待してしまいます。
今回はPointer Sisters『Having A Party』(1977年)です。
Pointer Sistersはカリフォルニア州オークランド出身のRuth、Anita、Bonnie、JuneというPointer姉妹によって結成されたコーラス・グループ。
1973年にBlue Thumbからデビュー・アルバム『The Pointer Sisters』をリリース。Allen Toussaint作のシングル「Yes We Can Can」が全米チャート第11位のヒットとなりました。初期のPointer SistersはR&Bやゴスペルをベースにしつつ、ジャズ・コーラスやカントリーのエッセンスも取り入れ、シングル「Fairytale」ではカントリー部門でグラミーを受賞しています。
1977年にBonnieがソロ活動のためにグループを脱退。残った3姉妹はRichard PerryのPlanetへ移籍し、Richard Perryのプロデュースの下、コンテンポラリーなポップ路線の作品をリリースし、70年代後半から80年代半ばにかけて、「Fire」(全米チャート第2位)、「He's So Shy」(全米チャート第3位)、「Slow Hand」(全米チャート第2位)、「Automatic」(全米チャート第5位)、「Jump (For My Love)」(全米チャート第3位)、「I'm So Excited」(全米チャート第9位)、「Neutron Dance」(全米チャート第6位)といったヒットを連発しました。
2006年、Juneは癌のために死去しています。
僕がリアルタイムでPointer Sistersを聴いたのは、ヒット曲「Slow Hand」だった記憶があります。当時は全米Top40(そういえば先日Casey Kasemが亡くなりましたね)を中心に洋楽を聴いていたので、上記に挙げたようなヒット曲もよく聴きました。でも、それほど好きという印象ではなかったですね。我が家のCD棚にもグループ最大のヒット・アルバム『Break Out』(1983年)もありますが、正直あまり聴いていません(泣)
その意味では、今日紹介する『Having A Party』が彼女たちの作品の中で、僕の嗜好に一番フィットします。商業的には最も振るわなかった作品の1つですが、今日的にはフリーソウルをはじめ再評価の高い1枚ですね。
『Having A Party』はデビュー時から在籍してきたBlue Thumbのラスト作品であり、一時的にJuneが抜け(「Having a Party」のみ参加)、Ruth、Anita、Bonnieという三人体制によるアルバムです。また、Bonnieのグループ在籍最後のアルバムでもあります。
デビュー時から彼女たちを手掛けてきたDavid Rubinsonのプロデュースの下、レコーディングにはSonny Burke(key、syn)、Stevie Wonder(key、syn)、Tom Salisbury(key、syn)、James Gadson(ds)、Ed Greene(ds)、Gaylord Birch(ds)、Louis Johnson(b)、Chuck Domanico(b)、James Jamerson(b)、Willie Weeks(b)、Gene Santini(b)、Wah Wah Watson(g)、Ray Parker, Jr.(g)、David T. Walker(g)、Robert Bowles(g)、Chris Michie(g)、Ernie Watts(sax)、Kenneth Nash(per)、Andy Narell(steel drums)等が参加しています。
アルバム全体としては、日産ティーダのCM曲にもなった「Don't It Drive You Crazy」に代表されるソリッドなファンク・サウンドが中心です。また、躍動するグルーヴィー・ソウル「Waiting on You」とブラジリアン・メロウ・グルーヴ「Bring Your Sweet Stuff Home to Me」という2曲のフリーソウル・クラシックがアルバムの魅力を倍増させています。
Pointer Sistersというグループの魅力が凝縮された捨て曲ナシの全7曲です。
全曲紹介しときやす。
「Having a Party」
Sam Cooke作。オープニングはSam Cooke、1962年のシングルをカヴァー。デビュー当初からのノスタルジックなスタイルで、その素晴らしいコーラスワークを堪能できます。アルバムからの1stシングルにもなりました。
http://www.youtube.com/watch?v=_D1i9xrYEmY
「Don't It Drive You Crazy」
Ted Ashford作。前述のように日産ティーダのCM曲としてお馴染みですね。このイントロを聴いただけでゾクッとします。ソリッドなファンク・チューンですが、彼女たちのヴォーカルが醸し出す妖艶なムードにクラクラです。聴けば聴くほど完璧な1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=PCmI_3wy1qU
本曲はGang Starr「Execution of a Chump」のサンプリングソースとしてもお馴染みですね。「Execution of a Chump」も大好きです。それ以外にRakim「Put It All to Music」、Willie the Kid「#!Chump」、Xatar「Ein Dieb Kann Kein Dieb Beklauen」のサンプリングソースにもなっています。また、当ブログでも紹介したMadelaineのカヴァーも合わせてチェックしてみてください。
Gang Starr「Execution of a Chump」
http://www.youtube.com/watch?v=Z75mfqaaHvE
Madelaine「Don't It Drive You Crazy」
http://www.youtube.com/watch?v=LE37KuojSyw
「I Need a Man」
David Rubinson/Bruce Good/Jeffrey Cohen/Anita Pointer/Bonnie Pointer/June Pointer作。アルバムからの2ndシングル。ファンキーなカッティング・ギターが先導するソリッドなダンサブル・チューン。あまり注目を浴びない曲ですが、個人的にはかなり格好良いと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=BgksA9hIcf4
「Waiting on You」
Melvin Ragin/Ruth Pointer作。フリーソウル・クラシックとしてお馴染みの人気曲。躍動感に包まれたヤングソウル調の爽快グルーヴィー・ソウルです。スティール・ドラムもいいアクセントになっています。聴いているだけで活力が湧いてきます。サイコー!
http://www.youtube.com/watch?v=yjqZxGYY_Fs
「I'll Get by Without You」
Melvin Ragin/Bonnie Pointer/Don Grusin作。トロピカル・テイストを織り込んだミディアム・グルーヴ。どっしりしているけど重すぎず、ビターな味わいの中にほんのり甘さが香る絶妙のサジ加減です。
http://www.youtube.com/watch?v=cTQRK2PIoGY
「Bring Your Sweet Stuff Home to Me」
Stevie Wonder/Anita Pointer/Bonnie Pointer作。Stevie Wonderが書き下ろした本曲もフリーソウル人気曲です。Stevie自身のエレピも聴けるブラジリアン・フレイヴァーのメロウ・グルーヴです。ブラジリアン・リズムと彼女たちのキュートなヴォーカルがよくマッチしています。後半の盛り上がりもサイコー!
http://www.youtube.com/watch?v=rvLZzQXkVI4
「Lonely Gal」
Anita Pointer/Bonnie Pointer/Ruth Pointer作。ラストはソリッドなファンキー・サウンドをバックに、大人のコーラスワークを貫録たっぷりに披露してくれます。
Pointer Sistersの他作品もチェックを!
『The Pointer Sisters』(1973年)
『That's A-Plenty』(1974年)
『Steppin'』(1975年)
『Energy』(1978年)
『Priority』(1979年)
『Special Things』(1980年)
『Black & White』(1981年)
『So Excited』(1982年)
『Break Out』(1983年)
『Contact』(1985年)
『Hot Together』(1986年)
『Serious Slammin』(1988年)
『Right Rhythm』(1990年)
『Only Sisters Can Do That』(1993年)