2014年07月02日

Aca Seca Trio『Ventanas』

アルゼンチン・フォルクローレ重要グループの一つの極み☆Aca Seca Trio『Ventanas』
Ventanas
発表年:2009年
ez的ジャンル:アルゼンチン・コンテンポラリー・フォルクローレ
気分は... :メッシ級に凄い1枚

サッカーW杯決勝トーナメント「アルゼンチン対スイス」は延長戦の死闘の末、アルゼンチンがディマリアの決勝ゴールで勝利しました。

スイスはFIFAランク6位の力を見せてくれましたね。フランス戦での大敗を見た時には「こんなものか」と思いましたが、そこから立て直してきました。一方のアルゼンチンは攻めながらもメッシが封じ込められると、ディマリアの奮闘のみが目立ち、少し手詰まり感がありましたね。でも最後はそのメッシとディマリアで決めてしまうのですから、やはりアルゼンチンには底力がありますね。

今回はアルゼンチン・コンテンポラリー・フォルクローレの重要グループAca Seca Trioの3rdアルバム『Ventanas』(2009年)です。

Juan Quintero(g、vo)、Mariano Cantero(ds、per、vo)、Andres Beeuwsaert(p、key、vo)のトリオAca Seca Trioの紹介は初めてですが、当ブログではメンバーAndres Beeuwsaert関連の以下の3作品を紹介済みです。

 Andres Beeuwsaert『Dos Rios』(2009年)
 Tatiana Parra & Andres Beeuwsaert『Aqui』(2011年)
 Andres Beeuwsaert『Cruces』(2012年)

アルゼンチン・フォルクローレをベースに、ジャズ、クラシック、ロック、ブラジル音楽等のエッセンスを取り入れた美しいサウンドで南米音楽好きを魅了するAca Seca Trio

Aca Seca Trio名義では、これまで『Aca Seca Trio』(2003年)、『Avenido』(2006年)、『Ventanas』(2009年)という3枚のアルバムをリリースしています。

3rdアルバムとなる本作『Ventanas』ですが、上記のジャケは2011年にジャケを一新した新装盤です、僕が保有するのもこの盤です。

ちなみに2009年にCD+DVDとしてリリースされたオリジナル盤のジャケはこんな感じです。

Aca Seca Trio『Ventanas』(2009年) ※オリジナル・ジャケ
aca seca trio ventanas 2.jpg

レコーディングには、メンバー以外にTatiana Parra(vo)、Liliana Herrero(vo)Juan Pablo Di Leone(fl)、Fernando Silva(cello、contrabass)、Javier Malosetti(b、g)、Victor Carrion(cla、ss)、Dante Yenque(back vo)が参加しています。Andres Beeuwsaertとの共演作でもお馴染みのブラジル人女性シンガーTatiana Parra、少し前に当ブログで初ソロ・アルバム『Miro Por La Ventana』を紹介したアルゼンチン人コントラバス/チェロ/ベース奏者Fernando Silvaに注目です。

Aca Seca Trioが一つの極みに達したと思わせるような高い完成度のアルバムだと思います。特に7曲目「Chiquita」からラストの「Casa」までの素晴らしさは圧巻です。メッシ級の凄さですね!

澄み切った美しさ、大自然のな神秘、人間の生命力を感じるAca Seca Trioならではの音世界に圧倒されます。僕の場合、Andres Beeuwsaertのソロが入口だったので、どうしてもAndres中心に聴きそうになったのですが、実際に聴くとJuan Quinteroの存在感も大きいです。

アルゼンチン・コンテンポラリー・フォルクローレの魅力を余すことなく伝えてくれる名盤だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Paloma」
Juan Quintero作。アルゼンチン・フォルクローレらしいオープニング。牧歌的なサウンドとJuan Quinteroの優しい歌声がジワジワと感動を高めてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=nHBieftnjPg

「La Manana」
Juan L. Ortiz/Sebastian Macchi作。Andres Beeuwsaertのピアノを中心に神秘的な美しさを持つ音世界を堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=uZliUBdKZNU

「Maria」
ウルグアイを代表する偉大なギタリスト/コンポーザーEduardo Mateoの作品を取り上げています。奥行きのあるフォーキー・サウンドに魅了されます。
http://www.youtube.com/watch?v=Il_E0DYOzak

「Ventanas」
Jose Flamenco作。タイトル曲は聴いていると心が落ち着く、純朴なフォルクローレ。Fernando Silvaのチェロが盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=UmP-xT2SP1w

「Pobre Mi Negra」
Anonimo Popular作。メンバーのみのア・カペラ。演奏のみならず素晴らしいコーラスワークもAca Seca Trioの魅力であることを実感させられます。
http://www.youtube.com/watch?v=GeUfBz2QpAQ

「Distancia」
Andres Beeuwsaert作。Andres Beeuwsaertのピアノを中心とした澄み切った音世界を存分に堪能できます。思わず息を止めて聴き入ってしまうほどの美しさです。
http://www.youtube.com/watch?v=wV5LTbEzgbg

「Chiquita」
Edgardo Cardozo作。実験的ポップ・フォルクローレ・グループPuente Celesteのカヴァー。オリジナルはアルバム『Manana Domingo』(2004年)に収録されています。キャッチーさとミステリアスな雰囲気が交錯するところがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=Jn-Do3feOBg

「Pasan」
Andres Beeuwsaert作。Andres Beeuwsaert『Cruces』にも収録されていた楽曲です。室内楽的な雰囲気の『Cruces』ヴァージョンに対して、こちらは牧歌的な雰囲気も漂う美しい大平原のような仕上がり。身も心も癒される澄み切った音世界です。AndresのピアノとJavier Malosettiのギターの美しい響きにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=f-beclyZQ6Q

「Cancion De Las Cantinas」
Manuel Castilla/Rolando Valladares作。Liliana Herreroをフィーチャー。Liliana Herreroとメンバーによるア・カペラ。声のみでこんなに素晴らしい音世界を創るとは・・・脱帽です。
http://www.youtube.com/watch?v=oztZJMBErC0

「Esa tristeza」
2曲目のEduardo Mateo作品。名盤Diane Denoir/Eduardo Mateo『Ineditas』や先日紹介したばかりのDiane Denoir『Diane Denoir』にも収録されていた名曲です。そんな名曲をAca Seca Trioならではのコンテンポラリーな音世界で表現する秀逸カヴァーです。Aca Seca Trioの凄みを実感できる演奏です。
http://www.youtube.com/watch?v=c4LHQ2EHN8s

「Solitario」
Juan Quintero作。Juan Quinteroのシンガー/ソングライター双方の魅力を堪能できます。その優しく包み込む歌声が心を浄化してくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=pQGjilQY1_U

「Casa」
Andres Beeuwsaert作。ラストはブラジル人女性シンガーTatiana Parraをフィーチャーし、美しく感動的なフィナーレで締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=V55vzPLHweg

Aca Seca Trioの他作品やAndres Beeuwsaert関連の過去記事もチェックを!

Aca Seca Trio『Aca Seca Trio』(2003年)
Aca Seca Trio

Aca Seca Trio『Avenido』(2006年)
アベニード

Andres Beeuwsaert『Dos Rios』(2009年)
Dos Rios

Tatiana Parra & Andres Beeuwsaert『Aqui』(2011年)
aqui.jpg

Andres Beeuwsaert『Cruces』(2012年)
andres beeuwsaert cruces.jpg
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2014年07月01日

The Jazz Defektors『The Jazz Defektors』

アシッド・ジャズ前夜に突如現れたモンスター・アルバム☆The Jazz Defektors『The Jazz Defektors』
ザ・ジャズ・ディフェクターズ
発表年:1988年
ez的ジャンル:UKダンス・ジャズ・クラシック
気分は... :映画『Absolute Beginners』懐かしい・・・

今回はUKのダンス・ジャズ・クラシックThe Jazz Defektors『The Jazz Defektors』(1988年 ※国内盤は1987年)です。

The Jazz DefektorsはUKのダンス・ジャズ・ユニット。

グループの前身はMark Paul SwabyPaul CummingsSalts(Andrew Anderson)Barrington Wilksの4名によるダンス・ユニット。

ダンサーとしての彼らは、当ブログでも紹介したSpecial AKAのシングル「What I Like Most About You Is Your Girlfriend」(1984年)のMVや、strong>Julien Temple監督の映画『Absolute Beginners』(1986年)の中で確認できます。

Special AKA「What I Like Most About You Is Your Girlfriend」
 http://www.youtube.com/watch?v=hi_uV6ojDSs

ちなみに映画『Absolute Beginners』David BowiePatsy KensitEighth Wonder)、Ray DaviesThe Kinks)、Sade AduといったUKの人気ミュージシャンが大挙出演したミュージカル作品として話題になりました。当時大学生だった僕も封切りしてすぐに映画館へ足を運んだ記憶があります。今思えば、映画自体はかなりチープでしたが(笑)

このようにダンス・ユニットとして知名度を上げていった彼らですが、次なるステップとして音楽ユニットThe Jazz Defektorsへ進化していきます。

グループは前述の4名がヴォーカルを務め、さらにChris Manis(per)、Vincent Corrigan(sax)、J. Franco(g)、Duncan Esperanto(key)、Gary Verbickas(b)、Mike Lawrence(ds)という6名のミュージシャンを加え、10人編成となりました。

そんなThe Jazz Defektors唯一のアルバムが本作The Jazz Defektors『The Jazz Defektors』(1988年)です(※国内盤は1987年リリース)。

アルバムはStyle CouncilPaul WellerMick Talbotがミックスを担当したことでも話題になりました。

須永辰緒氏が「アシッド・ジャズ前夜に突如現れたモンスター・アルバム」と称したように、クラブジャズの到来を予期していたかのような踊れるダンス・ジャズ作品に仕上がっています。

あくまで「踊れるジャズ」にこだわった格好良さが魅力です。ラテン/ブラジルのエッセンスを取り入れた楽曲が多いのも僕好みです。

あの時代に、こういうアルバムを創ったことに改めて驚かされる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Pressure」
クラブジャズを先取りしている格好良いオープニング。踊れるジャズの楽しさを実感できます。
http://www.youtube.com/watch?v=hK0rIkI7wvk

「Invisible You」
程良いメロウネスとラテン・リズムが心地好いラテン・ジャズ・グルーヴ。
http://www.youtube.com/watch?v=hazo5rQSAuA

「Bounce-Back」
この曲はダンシング・ジャズというより構成力で聴かせてくれます。ブラジリアン・フレイヴァーが心地好いです。

「Another Star」
『Songs In The Key Of Life』収録のStevie Wonderのお馴染みの名曲をカヴァー。ラテン・ジャズのフレイヴァーを強調した疾走感あふれるダンス・ジャズ・クラシック。マリンバがいいアクセントになっています。

「Ooh! This Feeling」
この曲も人気曲です。ポップかつダンサブルな4ビート・ジャズ。彼らのセンスの良さを実感できる1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=qkKorakfdNU

「Pandemonium」
ラストは軽やかに弾けます。踊れるジャズらしく疾走し、アルバムは幕を閉じます。

国内盤にはボーナス・トラックとして、「Another Star (Kei Kobayashi Routine Jazz Edit)」が追加収録されています。

サッカーW杯、先ほど終わったばかりの「フランス対ナイジェリア」はなかなか面白い試合でしたね。GL終了時点で今大会のフランスはかなり行けると思わせてくれましたが、優勝候補の1つに躍り出た感がありますね。

順当にいけば、準々決勝はドイツと対戦するはず!「フランス対ドイツ」となれば名勝負が期待できそうです。楽しみ!
posted by ez at 02:53| Comment(2) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする