2014年08月08日

Black Uhuru『Chill Out』

Sly & Robbieプロデュースによる絶頂期の1枚☆Black Uhuru『Chill Out』
Chill Out
録音年:1982年
ez的ジャンル:Sly & Robbie系レゲエ・ヴォーカル・グループ
気分は... :継続と変革と・・・

今回は80年代のジャマイカ・レゲエ・シーンを牽引したグループBlack Uhuru絶頂期の1枚、『Chill Out』(1982年)です。

Black Uhuruは1974年ジャマイカ、キングストンで結成されたレゲエ・ヴォーカル・グループ。オリジナル・メンバーは、Derrick "Duckie" SimpsonEuvin "Don Carlos" SpencerRudolph "Garth" Dennisの3名。

その後、メンバーが交代し、Derrick "Duckie" SimpsonMichael RoseErrol "Tarzan" Nelsonというラインナップになります。このメンバーでデビュー・アルバム『Love Crisis』をリリースします。

1978年にはErrol "Tarzan" Nelsonが脱退し、女性シンガーSandra "Puma" Jonesが加入し、Black Uhuru最強ラインナップが揃います。このメンバーとSly & Robbieのタッグにより、『Showcase』(1979年)、『Sinsemilla』(1980年)、『Red』(1981年)、『Chill Out』(1982年)、『Anthem』(1983年)という名作を次々とリリースし、グループは絶頂期を迎えます。

その後も、メンバー交代を重ねながら、作品をリリースしました。

僕の中では、Bob Marley亡き後、世界に向けてレゲエを発信したグループという印象が強いですね。

レゲエ史上最強のリズムセクションとして名を馳せた、泣く子も黙るSly & Robbie(Sly Dunbar/Robbie Shakespeare)が全面バックアップしていたグループとしても注目されていましたし、The Rolling Stonesのツアーの前座を務めたことでロック・ファンからも認知が高いグループでしたね。

僕自身は彼らの熱心なリスナーというわけではありませんでしたが、当時は新作が出されれば気にはなりましたし、我が家のCD棚のレゲエ・コーナーを眺めれば、Black Uhuru本体のアルバム以外に、Michael RoseやMichaelの後釜のリード・シンガー Junior Reidのソロ・アルバムがあったりします。

やはりBlack Uhuruといえば、最強ラインナップ時代にIsland Recordsからリリースした『Sinsemilla』(1980年)、『Red』(1981年)、『Chill Out』(1982年)、『Anthem』(1983年)あたりが聴きどころになるのではないでしょうか。ちなみ、最強ラインナップの紅一点Sandra "Puma" Jonesは1990年に癌のため惜しくも亡くなっています。

今回、『Red』(1981年)と本作『Chill Out』(1982年)のどちらにするか悩みましたが、より聴きやすい『Chill Out』の方をセレクトしました。『Red』あたりは案外ロック好きの人が聴くと、グッとくるかもしれませんね。

『Chill Out』はUSマーケットも意識したせいか、前作『Red』と比較すれば、硬派ながらもサウンドがよりクリアでポップになり、レゲエを聴かない人もとっつきやすいアルバムという気がします。

レコーディングはChannel OneおよびCompass Pointで行われ、レコーディングにはSly Dunbar(ds)、Robbie Shakespeare(b)をはじめ、Radcliffe "Dougie" Bryan(g)、Mikey Chung(g)、Bertram "Ranchie" McLean(g、org)、Robert Lyn(p)、Wally Badarou(syn、vocoder)、Chris "Sky Juice" Blake(per)、Uziah "Sticky" Thompson(per)というChannel Oneのセッション・ミュージシャン軍団The Revolutionariesnoのメンバーが参加しています。

魅力的なMichael Roseのヴォーカルと、Sly & Robbieらによるクリアかつ大胆なサウンドで80年代前半らしいレゲエを聴かせてくれます。

Sly & Robbieがレゲエの枠を飛び越え、当時大人気であった理由がわかる気がする1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Chill Out」
本作らしいクリアなサウンドを満喫できるオープニング。ニューウェイヴっぽい雰囲気があるのもいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=9X65IYbYPgs

「Darkness」
Sly & Robbieによる軽快なリズムが心地好いですね。Michael Roseのヴォーカルも魅力的です。
https://www.youtube.com/watch?v=PIvHUKRsWo0

「Eye Market」
ダビーな雰囲気も漂うサウンドと、Michael Roseの節回しがいいですね。Pumaらのコーラスもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=uUbzuwWXhzE

「Right Stuff」
ディスコのエッセンスを取り入れたクロスオーヴァーな仕上がり。ディスコ・ファンクなんかと一緒に聴いてもマッチすると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=aBaLvm7hJDc

「Mondays」
タイトルの通り、曜日の数え歌風です。それ以上にクリアなサウンド&リズムが(当時の)新時代のレゲエという雰囲気です。サウンド・クリエイターとしてのSly & Robbieのセンスを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=VBmYmbgCXIY

「Fleety Foot」
ルーツ・レゲエ風の硬派な仕上がりです。Robbie Shakespeareのベースが腹にきます。
https://www.youtube.com/watch?v=rDCLM3se8fY

「Wicked Act」
Bob Marley好きの人は気に入るであろうルーツ・レゲエ。ギター・ソロはUKのギタリストBarry Reynolds。
https://www.youtube.com/watch?v=uWuMAXSGvts

「Moya (Queen of I Jungle)」
ルーツ・レゲエながらも、サウンドが実に洗練されているあたりが本作らしいのでは
https://www.youtube.com/watch?v=1yL8rtqVU3U

「Emotional Slaughter」
Michael Roseのヴォーカルの魅力を堪能できます。また、ダイナミックなミックスで本作らしい音空間を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=EHLlQMghMIU

Black Uhuru、最強ラインナップ時代の他作品もチェックを!

『Black Uhuru』(1980年) ※『Showcase』(1979年)のリ・エディション
Black Uhuru

『Sinsemilla』(1980年)
Sinsemilla

『Red』(1981年)
Red

『Tear It Up - Live』(1982年)
Tear It Up - Live

『The Dub Factor』(1983年)
Dub Factor

『Anthem』(1983年)
Anthem
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2014年08月07日

Spirit Of Atlanta『The Burning Of Atlanta』

Tommy Stewartプロデュースのアトランタ産ファンク☆Spirit Of Atlanta『The Burning Of Atlanta』
Burning of Atlanta
録音年:1973年
ez的ジャンル:Buddah系アトランタ産ファンク
気分は... :オトナの解放運動・・・

今回はBuddah Recordsからリリースされたファンク作品Spirit Of Atlanta『The Burning Of Atlanta』(1973年)です。

レア・グルーヴ/フリーソウル方面でも人気のアルバムですね。僕もフリーソウルのコンピを通じて本作の存在を知りました。

Spirit Of Atlantaは、アトランタを拠点に活動するスタジオ・ミュージシャンが結集したユニット。

Donald Davis、T.C. Jason、Barbara Gooden、Louise Franklin、J.D. Morris、Charles Terrall、Steve Milner、Barry Abernathy、G.C. Coleman、Bobby Tate、Steve Carry、Clerance Carter等のミュージシャンが参加しています。

これらのメンバーをまとめ、ファンキー・サウンドを創り上げたのがジャズ/ソウル分野のプロデューサーTommy Stewart。当ブログでも彼のソロ・アルバム『Tommy Stewart』(1976年)を紹介済みです。

アルバム・ジャケからしてファンキーですよね。
そんなジャケ・イメージをそのまま音にしたようなファンキー・サウンド満載のアルバムです。

Curtis Mayfield『Superfly』あたりに通じるブラック・シネマ風のグルーヴィーなファンキー・サウンドが実に刺激的です。

フリーソウル人気曲「Freddie's Alive And Well」、ガラージな魅力もあるレア・グルーヴ人気曲
「Messin' Around」、ブラック・シネマ風の煽動的なファンキー・グルーヴ「Hunter Street」あたりがオススメです。

オトナの解放のために必要なこと・・・ファンキーであれ!

全曲紹介しときやす。

「Hunter Street」
オープニングはブラック・シネマのサントラのような不穏な空気が支配する煽動的なファンキー・グルーヴ。キレキレのリズム隊とグルーヴィーなオルガン、ドラマティックなストリングスが一体となって疾走します。
http://www.youtube.com/watch?v=6pmJsqJ4AUM

「Buttermilk Bottom」
ビターな味わいのソウル・チューン。適度にイナたい感じがいいですね。Hilltop Hoods「Super Official」のサンプリングソースにもなっています。

Hilltop Hoods「Super Official」
 http://www.youtube.com/watch?v=6n3D_3rOmiw

「Peachtree Street」
フルートが先導するファンキー・グルーヴ。ボトムの効いたベースラインにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=0iWHt33LeWo

「Auburn Avenue」
妖しげなムードとファンキー・リズムの組み合わせが魅力のソウル・チューン。ここでも緩急自在のベースラインがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=RVXVZI3GxG8

「Vine City」
妖しげなオルガンとホーン隊が先導するファンキー・グルーヴ。粘っこいグルーヴ感がいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=mNrGIB360Rc

「Freddie's Alive And Well」
フリーソウル人気曲。タイトルからしてCurtis Mayfield「Freddie's Dead」を意識したものでしょうね。グルーヴィーなオルガンとシャープなカッティング・ギターが格好良いアッパーなファンク・チューン。文句なしに格好良いですね。中盤のブレイクもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=21lsK2TkcoE

「Messin' Around」
レア・グルーヴで人気のアッパーなインスト・ファンク。ガラージ好きの方も気に入るであろうパーカッシヴなリズムがクセになります。
http://www.youtube.com/watch?v=pc8W6fl2ODA

「Down Underground」
ラストもブラック・シネマのサントラ風です。格好良いホーン隊が大活躍するファンキー・グルーヴで締め括ってくれます。。
http://www.youtube.com/watch?v=iN-jgaTfW88

本作のプロデューサーTommy Stewartのアルバム『Tommy Stewart』(1976年)の過去記事もご参照ください。

Tommy Stewart『Tommy Stewart』(1976年)
Tommy Stewart
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2014年08月06日

The Foreign Exchange『Connected』

10年経っても色褪せないジャジー&メロウHip-Hopの名盤☆The Foreign Exchange『Connected』
Connected
発表年:2004年
ez的ジャンル:エレクトリック系ジャジー&メロウHip-Hop
気分は... :原点はここに・・・

アングラ・ジャジーHip-Hop史に燦然と輝くThe Foreign Exchangeのデビュー・アルバム『Connected』(2004年)です。

オランダ出身のトラックメイカーNicolayとアメリカ・ノースカロライナ出身のHip-HopグループLittle BrotherのMCであったPhonteの二人から成るユニットThe Foreign Exchangeについて、これまで紹介した作品は以下の3枚。

 『Leave It All Behind』(2008年)
 『Authenticity』(2010年)
 『Love In Flying Colors』(2013年)

また、Nicolayの別ユニット作品やPhonteのソロ作も紹介済みです。

 Nicolay & Kay『Time:Line』(2008年)
 Phonte『Charity Starts At Home』(2011年)

NicolayPhonteが直接会うことなく制作された『Connected』。発売当時からアングラ・ジャジーHip-Hop名盤との評価が高かった1枚ですが、10年経ってもその評価は不動ですね。

この10年間でThe Foreign Exchangeは音楽シーンの中で確固たる地位を確立し、Hip-Hopの枠を飛び越えて、エレクトリック・ソウル〜クロスオーヴァーへとその音世界を拡げています。

そんな彼らの原点が本作『Connected』(2004年)です。ジャケからしていい感じですね。

基本的にはジャジー&メロウなHip-Hop作品ですが、後のエレクトリック・ソウル〜クロスオーヴァー路線の片鱗も垣間見れるあたりが面白いですね。また、本作にはBig Pooh9th WonderというPhonte以外のLittle Brotherのメンバーも多くの曲で参加しており、Little BrotherとNicolayのコラボ的なトラックがあるのも興味深いですね。

YahzarahDarien BrockingtonMedianといったThe Foreign Exchange作品でお馴染みのシンガー/ラッパーも参加しています。特にYahzarahの独特のキュートな歌声はいつ聴いてもいいですね。

The Foreign Exchangeの原点ここにあり!

全曲紹介しときやす。

「Foreign Exchange Title Theme」
女性シンガーYahzarahのヴォーカルをフィーチャー。9th Wonderがミックスで参加しています。アルバムのプロローグ。浮遊するトラックとソウルフルなヴォーカルが本作の内容を予感させます。Wilbert Longmire「Love's Holiday」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=0fvvCprYNoc

「Von Sees」
Von Peaをフィーチャー。Les Baxter「Sunken City」ネタの幻想的なトラックが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=fbiHjxfz1xY

「Raw Life」
Joe Scuddaをフィーチャー。乾いたスネアと浮遊する上モノにのってJoe ScuddaとPhonteがソウルフルなフロウを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=7f-SPepj_5g

「Hustle, Hustle」
Critically Acclaimedをフィーチャー。9th Wonderがエンジニアで参加しています。ホーン隊やソウルフルなコーラスも加わったキャッチーな仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=sXhkujqakuY

「Let's Move」
PhonteのLittle Brotherの盟友Big Poohをフィーチャー。Bing Crosby「A Gal in Calico」ネタの温もりのあるトラックをバックに、Phonte、Big PoohというLittle Brotherのフロント2人が揃ってフロウを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=6onJYamb8ws

「Nic's Groove」
前曲に続き、 Big Poohをフィーチャー。9th Wonderもエンジニアで参加し、Little Brotherのメンバー勢揃いです。女性バック・コーラスも加わったソウルフルな仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=fy2RjQvBeL4

「Be Alright」
Medianをフィーチャー。僕の一番のお気に入り。ジャケのようなメロウ・ヴァイヴが伝わってくるジャジー&メロウHip-Hop。ジャジーHip-Hop好きの人であれば気に入るはず!
http://www.youtube.com/watch?v=kD0zoziotU0

「Sincere」
Yahzarahをフィーチャー。Yahzarahの女性ヴォーカルに導かれ、Phonteのフロウも好調です。エレクトリック色を織り交ぜたクロスオーヴァー感覚のトラックもいい感じ!
http://www.youtube.com/watch?v=77LTOk1B3NQ

「Brave New World」
Phonteのラップにヴォコーダーによるバック・コーラスに絡みます。
http://www.youtube.com/watch?v=ZbQAhGVpQvk

「The Answer」
Kenn Starr、Oddiseeをフィーチャー。本作らしい浮遊するメロウ・ヴァイヴを堪能できます。Phyllis Hyman「Living All Alone」をサンプリング。
http://www.youtube.com/watch?v=vceyJwTWzcs

「Come Around」
Darien Brockingtonをフィーチャー。その後のエレクトリック・ソウル路線を予感させる仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=BLfPMV7Vk4c

「Happiness」
Big Poohをフィーチャー。ヴォーカルのミックスには9th Wonderも加わり、Little BrotherとNicolayのコラボって雰囲気ですね。Nicolayによる幻想的なトラックが僕好みです。
http://www.youtube.com/watch?v=M1DWa2TnqjY

「Foreign Exchange End Theme」
Yahzarahをフィーチャー。短いながらもYahzarahのキュート・ヴォーカルを活かしたクロスオーヴァー感覚のソウル・ヴァイヴが心地好いです。Tyree「Rock the Discotech」をサンプリング。
http://www.youtube.com/watch?v=PZoPtP7yKi4

「All That You Are」
Medianをフィーチャー。ラストはエレクトリックなトラックで締め括ってくれます。The Sylvers「That's What Love Is Made Of」をsンプリング。
http://www.youtube.com/watch?v=f3TPGfCz5LM

ここから3曲はボーナス・トラック。

「Be Allright (Nicolay's Easybreezy Sunday Afternoon Remix)」
「Be Allright」のリミックス。ここではアコースティック・ギターの音色を活かした透明感のあるトラックには、オリジナルとは別の魅力があっていいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=d-GGenIidag

「Call」
Darien Brockingtonをフィーチャー。メロウなエレクトリック・ソウルはなかなか心地好いです。
http://www.youtube.com/watch?v=_HdzkDmj2_c

「Downtime (Nicky Troutman's Bounce To The Ounce Remix)」
エレクトリック・ファンク調のリミックス。タイトルからしてRoger Troutmanを意識したのかもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=s2YEcG7fUIg

The Foreign Exchangeの過去作品もチェックを!

『Leave It All Behind』(2008年)
Leave It All Behind

『Authenticity』(2010年)
Authenticity

『+FE Music: The Reworks』(2013年) ※リミックス集
+FE Music: The Reworks

『Love In Flying Colors』(2013年)
Love in Flying Colos

Nicolay & KayPhonteのソロ作の過去記事もご参照ください。。

Nicolay & Kay『Time:Line』(2008年)
Time:Line

Phonte『Charity Starts At Home』(2011年)
Charity Starts at Home
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2014年08月05日

Genai『Heaven On Earth』

ハワイで結成された黒人男女デュオによるジャジー・ソウル/AOR☆Genai『Heaven On Earth』
ヘヴン・オン・アース
録音年:1999年
ez的ジャンル:男女デュオ系ジャジー・ソウル/AOR
気分は... :クール・ミュージック!

今回はハワイで結成された黒人男女デュオGenaiのデビュー・アルバム『Heaven On Earth』(1999年)です。

Genaiは、シカゴ生まれ、ハワイ育ちの黒人女性シンガーGinai K. Johnston、同じくシカゴ生まれでハワイ、L.A.を拠点に活動していたマルチ・ミュージシャンOliver Wendellによってハワイで結成された男女デュオ。

Oliver Wendellは故George Dukeとも交流があったようですね。

グループは今日紹介する『Heaven On Earth』(1999年)を皮切りに、『Heaven Not So Far Away』(2000年)『Rejoice』(2001年)、『Let Love』(2002年)、『Dance With Me』(2004年)といったアルバムをリリースしています。

黒人男女デュオですが、ソウル色が強く出ているわけではなく、ハワイで結成されたユニットですが、ハワイ色が強調されているわけでもありません。ジャズ、ソウル、ブラジル、ラテンのエッセンスを巧みにまとめあげたアーバンなジャジー・ソウル/AORというのが全体の印象ですね。Ginaiの艶やかなヴォーカルとOliverの都会的なサウンド・センスが上手く噛み合っていると思います。

本作『Heaven On Earth』はオリジナルとカヴァーが半々といった構成です。

どうしても「Africa」「Runaway」「Brazil(Aquarela Do Brasil)」「The Biggest Part Of Me」「It's Too Late」「Human Nature」といったカヴァーが目立ってしまいますが、このグループの持つアーバンなジャジー・ソウルを堪能したいのであれば、「Heaven On Earth」「Wouldn't You」「Pretend」といったオリジナルもオススメです。

Oliver Wendellがプロデュースを務め、Brian Simpson(p)、David Choy(sax)、Everette Harp(sax)等のミュージシャンがゲスト参加しています。

夏に重宝するアーバンなジャジー・ソウル/AORをご堪能あれ!

全曲紹介しときやす。

「Heaven On Earth」
Oliver Wendell/Ginai K. Johnston作。タイトル曲はアーバン・メロウなジャジー・ソウル。Ginaiの艶やかなヴォーカルとOliverの創り出す都会的なサウンドがよくマッチしています。彼らの魅力が凝縮された1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=uII-FsPjKIU

「Africa」
Toto、1983年全米チャートNo.1ヒットのカヴァー(David Paich/Jeff Porcaro作)。当ブログでは少し前にEric Benetのカヴァーも紹介しました。女性ヴォーカルによる「Africa」もなかなかいいですよ。
http://www.youtube.com/watch?v=1KqpkweRe-s

「Temperamental Winds」
Oliver Wendell/Ginai K. Johnston作。アーバンなミディアム・スロウ。David Choyのムーディーなサックスも印象的です。

「Runaway」
Loleatta HollowayをフィーチャーしたThe Salsoul Orchestraによるダンスクラシックをカヴァー(Vincent Montana/Ronnie James/Janice Gugliuzza作)。Nuyorican Soulのカヴァーでもお馴染みの楽曲ですね。ここではパーカッシヴなラテン・フレイヴァーのジャジー・ソウルで聴かせてくれます。

「Brazil」
Ary Barroso作の名曲「Aquarela Do Brasil(邦題:ブラジルの水彩画)」をカヴァー。当ブログではToots Thielemans & Elis ReginaElis ReginaOriginal Soundtrack『Brazil』のカヴァーを紹介済みです。ここではブラジリアン・フレイヴァーのアコースティック・メロウといった雰囲気のカヴァーを聴かせてくれます。

「The Biggest Part Of Me」
Ambrosiaのヒット曲をカヴァー(David Pack作)。Take 6のカヴァーでもお馴染みの曲ですね。このカヴァーはかなりハマっているのでは?AOR好きの人もグッとくるはず。Ginaiの艶やかなヴォーカルはよく栄えるメロウ・バラードに仕上がっています。

「Some Day Out There」
Oliver Wendell/Ginai K. Johnston作。軽快な中にもエレガントな魅力があります。

「It's Too Late」
Carole Kingの名曲カヴァー(Carole King/Toni Stern作)。当ブログはThe Isley BrothersMike James KirklandGene Riceのカヴァーを紹介済みです。この名曲を大人のアーバン・メロウで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=EwL7bsxO5dg

「Wouldn't You」
Oliver Wendell/Ginai K. Johnston作。アーバン・メロウなR&Bに仕上がっています。哀愁のメロディを切々と歌い上げるGinaiのヴォーカルにグッときます。

「Human Nature」
Michael Jacksonの大ヒット曲をカヴァー(Steve Porcaro/John Bettis作)。オリジナルの雰囲気をそのまま受け継いだカヴァーです。Ginaiのヴォーカルがこの曲に合っていますね。

「Pretend」
Oliver Wendell/Ginai K. Johnston。ラストはアーバン・メロウなジャジー・ソウルで締め括ってくれます。なかなか雰囲気があって好きです。

ご興味がある方はGenaiの他作品もチェックを!

『Heaven Not So Far Away』(2000年)
ヘヴンス・ノット・ソー・ファー・アウェイ

『Rejoice』(2001年)
リジョイス

『Let Love』(2002年)
レット・ラヴ

『Dance With Me』(2004年)
ダンス・ウィズ・ミー
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2014年08月04日

Candy McKenzie『Lee‘Scratch’Perry Presents Candy McKenzie』

Lee‘Scratch’Perryプロデュース!幻のラヴァーズ作品☆Candy McKenzie『Lee‘Scratch’Perry Presents Candy McKenzie』
Lee 'scratch' Perry Presents Candy Mckenzie
録音年:1977年
ez的ジャンル:Lee‘Scratch’Perry系ラヴァーズ
気分は... :間口の広いラヴァーズ作品!

今回はレゲエ界の伝説的プロデューサー/エンジニアLee‘Scratch’Perryが手掛けた幻のラヴァーズ作品Candy McKenzie『Lee‘Scratch’Perry Presents Candy McKenzie』(1977年)です。

50年代後半から活躍し、60年代後半からThe Upsettersと活動し、70年代に入ると伝説的スタジオThe Black Arkを拠点に、数々のレゲエ作品を世に送り出したレゲエ史上の重要人物かつダブのオリジネイターの1人であるLee‘Scratch’Perry

そんなLee‘Scratch’Perryが絶頂期の1977年にプロデュースしたものの、お蔵入りとなっていた幻のアルバムが本作Candy McKenzie『Lee‘Scratch’Perry Presents Candy McKenzie』です。収録曲のうち、「Disco Fits」「Breakfast In Bed」は12"でリリースされていたようですが、アルバム・リリースとまではいかなかったようです。

2011年にアナログ再発、2012年にCD再発が実現し、この幻のラヴァーズ作品を堪能できるようになりました。

本作の主役であるCandy McKenzieはUK出身の女性シンガー。そのキュートで伸びやかなヴォーカルはレゲエ・ファン以外にもアピールできると思います。

Lee‘Scratch’PerryのThe Black Arkレコーディング作品ということで考えれば、素直すぎて毒が足りない曲が多いのかもしれませんが、裏を返せばそれだけ聴きやすい作品だということなのでは?

なぜお蔵入りになったのかは知りませんが、時代が一回りしてレゲエ・シンガーらしからぬ伸びやかなヴォーカル、The Black Arkレコーディング作品らしからぬ聴きやすさ、という本作の特徴がリスナーから受け入れられやすくなったのかもしれませんね。

レゲエ以外の夏向けメロウ・チューンと一緒に聴いても、さほど違和感がない間口の広いラヴァーズ作品だと思います。

ジャケの雰囲気が気に入った人は、ぜひチェックしてみてください。

全曲紹介しときやす。

「Disco Fits」
Lee Perry作。タイトルの通り、オープニングは脱力系ディスコ・ファンクといったところでしょうか。僕自身はこういう怪しげなジャンルの際のサウンド大好きです!
http://www.youtube.com/watch?v=V571xOpVL-Q

「Someone To Love Me」
Boris Gardener作。ラブリーなラヴァーズ・ロック。Candyの伸びやかでキュートなヴォーカルの魅力がよく引き出された仕上がりだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=13AgcvYQ5u0

「Breakfast In Bed」
Donnie Fritts/Eddie Hinton作。まるでいちごカレーのような(?)The Black ArkのプロダクションとCandyのヴォーカルの組み合わせの妙に納得してしまう極上ラヴァーズ。
http://www.youtube.com/watch?v=hecfFD_D_pU

「Waling In The Sun」
Jeff Barry作。あくまでCandyのヴォーカルありきで、サウンド・プロダクションは控えめなのが逆にいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=IF5pJcuBDNU

「Jah Knows」
Candy McKenzie作。切々とうたうCandyのキュート・ヴォーカルにグッときてしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=eAg16LFWGCI

「Ice Cream」
Lee Perry作。Lee‘Scratch’PerryらしさとCandyの魅力を両立させるという意味では、この曲が際立っているのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=joLF1yxvBx4

「Sky At Night」
Candy McKenzie作。メロウなラヴァーズが聴きたい、ということであれば、この曲はピッタリなのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=89TPXk6AoFA

「Keep Him Strong」
Candy McKenzie作。黄昏モードの哀愁のメロディにグッとくる1曲。聴き重ねるたびに好きになっていきます。
http://www.youtube.com/watch?v=ot0nffv4uaY

「Tell Me A Lie」
Lee Perry/Mikey Backins作。この曲は名曲の雰囲気が漂いますね。Candyのヴォーカルも実に活き活きしています。
http://www.youtube.com/watch?v=adYa6uBWKWU

「When The Big Day」
Candy McKenzie/Lee Perry作。ラストはLee‘Scratch’Perry色を出したサウンドで締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=U21KnrT7s7w

本作と同時期にThe Black Arkでレコーディングされ、本作の主役であるCandy McKenzieもバック・ヴォーカルで参加しているThe Congos『Heart Of The Congos』(1977年)あたりもチェックしてみては?

The Congos『Heart Of The Congos』(1977年)
HEART OF THE CONGOS
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