録音年:1982年
ez的ジャンル:Sly & Robbie系レゲエ・ヴォーカル・グループ
気分は... :継続と変革と・・・
今回は80年代のジャマイカ・レゲエ・シーンを牽引したグループBlack Uhuru絶頂期の1枚、『Chill Out』(1982年)です。
Black Uhuruは1974年ジャマイカ、キングストンで結成されたレゲエ・ヴォーカル・グループ。オリジナル・メンバーは、Derrick "Duckie" Simpson、Euvin "Don Carlos" Spencer、Rudolph "Garth" Dennisの3名。
その後、メンバーが交代し、Derrick "Duckie" Simpson、Michael Rose、Errol "Tarzan" Nelsonというラインナップになります。このメンバーでデビュー・アルバム『Love Crisis』をリリースします。
1978年にはErrol "Tarzan" Nelsonが脱退し、女性シンガーSandra "Puma" Jonesが加入し、Black Uhuru最強ラインナップが揃います。このメンバーとSly & Robbieのタッグにより、『Showcase』(1979年)、『Sinsemilla』(1980年)、『Red』(1981年)、『Chill Out』(1982年)、『Anthem』(1983年)という名作を次々とリリースし、グループは絶頂期を迎えます。
その後も、メンバー交代を重ねながら、作品をリリースしました。
僕の中では、Bob Marley亡き後、世界に向けてレゲエを発信したグループという印象が強いですね。
レゲエ史上最強のリズムセクションとして名を馳せた、泣く子も黙るSly & Robbie(Sly Dunbar/Robbie Shakespeare)が全面バックアップしていたグループとしても注目されていましたし、The Rolling Stonesのツアーの前座を務めたことでロック・ファンからも認知が高いグループでしたね。
僕自身は彼らの熱心なリスナーというわけではありませんでしたが、当時は新作が出されれば気にはなりましたし、我が家のCD棚のレゲエ・コーナーを眺めれば、Black Uhuru本体のアルバム以外に、Michael RoseやMichaelの後釜のリード・シンガー Junior Reidのソロ・アルバムがあったりします。
やはりBlack Uhuruといえば、最強ラインナップ時代にIsland Recordsからリリースした『Sinsemilla』(1980年)、『Red』(1981年)、『Chill Out』(1982年)、『Anthem』(1983年)あたりが聴きどころになるのではないでしょうか。ちなみ、最強ラインナップの紅一点Sandra "Puma" Jonesは1990年に癌のため惜しくも亡くなっています。
今回、『Red』(1981年)と本作『Chill Out』(1982年)のどちらにするか悩みましたが、より聴きやすい『Chill Out』の方をセレクトしました。『Red』あたりは案外ロック好きの人が聴くと、グッとくるかもしれませんね。
『Chill Out』はUSマーケットも意識したせいか、前作『Red』と比較すれば、硬派ながらもサウンドがよりクリアでポップになり、レゲエを聴かない人もとっつきやすいアルバムという気がします。
レコーディングはChannel OneおよびCompass Pointで行われ、レコーディングにはSly Dunbar(ds)、Robbie Shakespeare(b)をはじめ、Radcliffe "Dougie" Bryan(g)、Mikey Chung(g)、Bertram "Ranchie" McLean(g、org)、Robert Lyn(p)、Wally Badarou(syn、vocoder)、Chris "Sky Juice" Blake(per)、Uziah "Sticky" Thompson(per)というChannel Oneのセッション・ミュージシャン軍団The Revolutionariesnoのメンバーが参加しています。
魅力的なMichael Roseのヴォーカルと、Sly & Robbieらによるクリアかつ大胆なサウンドで80年代前半らしいレゲエを聴かせてくれます。
Sly & Robbieがレゲエの枠を飛び越え、当時大人気であった理由がわかる気がする1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Chill Out」
本作らしいクリアなサウンドを満喫できるオープニング。ニューウェイヴっぽい雰囲気があるのもいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=9X65IYbYPgs
「Darkness」
Sly & Robbieによる軽快なリズムが心地好いですね。Michael Roseのヴォーカルも魅力的です。
https://www.youtube.com/watch?v=PIvHUKRsWo0
「Eye Market」
ダビーな雰囲気も漂うサウンドと、Michael Roseの節回しがいいですね。Pumaらのコーラスもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=uUbzuwWXhzE
「Right Stuff」
ディスコのエッセンスを取り入れたクロスオーヴァーな仕上がり。ディスコ・ファンクなんかと一緒に聴いてもマッチすると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=aBaLvm7hJDc
「Mondays」
タイトルの通り、曜日の数え歌風です。それ以上にクリアなサウンド&リズムが(当時の)新時代のレゲエという雰囲気です。サウンド・クリエイターとしてのSly & Robbieのセンスを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=VBmYmbgCXIY
「Fleety Foot」
ルーツ・レゲエ風の硬派な仕上がりです。Robbie Shakespeareのベースが腹にきます。
https://www.youtube.com/watch?v=rDCLM3se8fY
「Wicked Act」
Bob Marley好きの人は気に入るであろうルーツ・レゲエ。ギター・ソロはUKのギタリストBarry Reynolds。
https://www.youtube.com/watch?v=uWuMAXSGvts
「Moya (Queen of I Jungle)」
ルーツ・レゲエながらも、サウンドが実に洗練されているあたりが本作らしいのでは
https://www.youtube.com/watch?v=1yL8rtqVU3U
「Emotional Slaughter」
Michael Roseのヴォーカルの魅力を堪能できます。また、ダイナミックなミックスで本作らしい音空間を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=EHLlQMghMIU
Black Uhuru、最強ラインナップ時代の他作品もチェックを!
『Black Uhuru』(1980年) ※『Showcase』(1979年)のリ・エディション
『Sinsemilla』(1980年)
『Red』(1981年)
『Tear It Up - Live』(1982年)
『The Dub Factor』(1983年)
『Anthem』(1983年)