2014年08月23日

Moacir Santos『Saudade』

サウダージなブラジリアン・ジャズ☆Moacir Santos『Saudade』
サウダージ
発表年:1974年
ez的ジャンル:サウダージ系ブラジリアン・ジャズ
気分は... :サウダージ...

今回は再評価の高いブラジル作品Moacir Santos『Saudade』(1974年)です。

Moacir Santos(1926-2006年)は、ブラジル北東部ペルナンブーコ州生まれのコンポーザー/マルチプレイヤー。サックス、クラリネット、トランペット、ギター、ドラム、パーカッション等を演奏していました。

40年代後半にはリオでバンド・リーダー、コンポーザー、アレンジャーとして活躍するようになりました。1965年にアメリカに渡り、その後カリフォルニアに定住します。1965年に初リーダー作『Coisas』(1965年)をリリース。70年代に入るとHorace Silverの仲介でBlue Noteと契約し、『Maestro』(1972年)、『Saudade』(1974年)、『Carnival of the Spirits』(1975年)という3枚のアルバムをリリースしています。

本作『Saudade』(1974年)は、今日ブラジリアン・ジャズ名盤として評価の高い1枚ですね。

Duke Pearsonがプロデューサーを務めたL.A.録音です。

レコーディングには、Moacir Santos(as、bs)、Steve Huffsteter(tp、flh)、Benny Powell(tb)、Jerome Richardson(ss、as、ts、bs、fl、alto-fl)、Morris Repass(b-tb)、Sidney Muldrow(french horn)、Ray Pizzi(fl、as、ts、bassoon、piccolo)、Lee Ritenour(g)、John Heard(b)、Harvey Mason(ds)、Mayuto Correa(per、conga)、Carmelo Garcia(per、conga)といったミュージシャンが参加しています。Lee RitenourHarvey Masonの参加が目を引きます。

また、Donald AlvesMike CampbellJose MarinoPetsye PowellCarmen SaveirosRegina Werneckといったシンガーがヴォーカルで参加しています。

Moacir Santosのブラジルへの想いが込められた1枚ですが、彼自身がプレイヤーとして前面に立って目立つというわけではなく、全曲のアレンジを手掛け、トータルな音作りを重視しているようです。

その成果として、実に洗練されたブラジリアン・ジャズ・サウンドを聴くことができます。殆どの楽曲がヴォーカル入りで聴きやすいのもいいですね。特に、トロンボーンで参加のBenny Powellの奥方であるPetsye Powellの女性ヴォーカルが最高です。

各種コンピで人気の「Kathy」をはじめ、「Early Morning Love」「This Life」あたりを聴けば、本作の洗練されたセンスを実感できると思います。

サウダージ・モードになりたい方はぜひ・・・

全曲紹介しときやす。

「Early Morning Love」
オススメその1。Moacir Santos/Yanna Cotti作。開放的なボッサ・グルーヴをバックに、健康的な男女ヴォーカルが躍動するオープニング。Petsye Powellの爽快な女性ヴォーカルにグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=K2wxASZKV_E

「A Saudade Matta a Gente」
Antonio Almeida/J. de Barro作。全編に渡り、軽快なホーン・アンサンブルを楽しめる1曲。ムーディーなパートとリズミックなパートのコントラストがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=aDWxYqN52ZQ

「Off and On」
Moacir Santos/Yanna Cotti作。スリリングなリズムとPetsye Powellの哀愁ヴォーカルが印象的なジャズ・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=svfxDqCwqnE

「The City of LA」
Mark Levine作。ムーディ―なフルートが牽引するボッサなインスト・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=6Tv89QTYGtI

「Suk Cha」
Moacir Santos作。のんびりと寛げる雰囲気が落ち着くバカンス・モードの仕上がり。クラリネット、バスーン(ファゴット)が効いています。
https://www.youtube.com/watch?v=qZTvXaNe4xA

「Kathy」
オススメその2。Moacir Santos/Ray Evans/Jay Livingston作。各種コンピでも人気の本作のハイライト。疾走するボッサ・ビートと男女スキャットが織り成す格好良すぎる1曲。21世紀のブラジリアン・ジャズ/クラブジャズを予見しているかのような仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=6WrK8m82z-Q

「Haply-Happy」
オススメその3。Moacir Santos/Petsye Powell作。まさにハッピー・モードの仕上がり。躍動するリズムとヴォーカルが楽園へと誘ってくれます。全般的にパーカッシヴなのが僕好み。Lee Ritenourのギターも効いています。

「Amphibious」
Moacir Santos/Assis作。軽快なブラジリアン・リズムをバックに、開放的なホーン・アンサンブルを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=VMzfJF0bNws

「This Life」
オススメその4。Moacir Santos/Yanna Cotti作。アフロ・ブラジリアン・リズムにのって、華やかなPetsye Powellの女性ヴォーカルとコーラス隊が躍動します。セルメンをもっとモダンにした雰囲気ですね。僕の一番のお気に入り。
https://www.youtube.com/watch?v=Qx8-u4NsRME

「What's My Name」
Moacir Santos/Ray Evans/Jay Livingston作。最後は、Donald Alvesの哀愁男性ヴォーカルがよくマッチしたサウダージな演奏で締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=eH7YmIovG9U

『Coisas』(1965年)
Coisas

『Maestro』(1972年)
マエストロ

『Carnival of the Spirits』(1975年)
カーニヴァル・オブ・ザ・スピリッツ

『Ouro Negro』(2001年)
Ouro Negro

『Choros & Alegria』(2005年)
Choros & Alegria
posted by ez at 12:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする