2014年09月03日

Pure Soul『Pure Soul』

素晴らしいヴォーカル・ワークに圧倒される女性R&Bグループ☆Pure Soul『Pure Soul』
Pure Soul
発表年:1995年
ez的ジャンル:ポストEn Vogue系女性R&Bグループ
気分は... :圧倒されるヴォーカル・ワーク・・・

今回は90年代女性R&Bグループの作品の中からPure Soul『Pure Soul』(1995年)です。

Pure SoulはワシントンD.C.で結成された女性R&Bグループ。メンバーはShawn AllenHeather PerkinsKeitha ShepherdKirstin Hallという4名。

グループの唯一のアルバムが本作『Pure Soul』(1995年)です。アルバムにはTeddy RileyRaphael SaadiqFoster & McElroyといった有名プロデューサーも参加しています。

ジャケでメンバーがポーズをキメていますが、ヴィジュアル的にはそれ程垢抜けた感じはしませんよね。ただし、歌の実力は本物です。

この時期の女性R&Bグループといえば、En VogueTLCSWVのいずれかを意識していたグループが多いと思われますが、Pure Soulの場合にはEn Vogue路線でレコード会社は売り出したかったようですね。En Vogueの生みの親、Foster & McElroyも参加していますし・・・

Teddy RileyRaphael SaadiqFoster & McElroy等の仕事ぶりも気になりますが、それよりも素晴らしいヴォーカル・ワークに圧倒されるアルバムです。

シングルにもなったオープニング「We Must Be In Love」The O'Jaysの名バラード・カヴァー「Stairway To Heaven」あたりにグループの本質が凝縮されていると思います。個人的にはキャッチーな「I Want You Back」やリラックスした「What Did We Do?」あたりが好みですが・・・

実力派の90年代女性R&Bグループを聴きたい方はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「We Must Be In Love」
アルバムからの1stシングルとして全米R&Bチャート第11位となっています。クワイア仕込みの素晴らしいヴォーカル・ワークに圧倒されるはずです。あくまでも歌の実力で勝負する女性R&Bグループであることを実感できるオープニング。
Kim Jordan/Todd Mushawプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=8wUAFPnixrw

「Something About The Way That You Do」
Teddy Rileyプロデュース曲その1。ソングライティングはTeddyに加え、Rodney Jerkinsの名前もあります。Teddy Rileyの色を出すというよりも、グループの良さを引き出すことに重点を置いた仕上りです。この曲を聴けば、彼女たちがEn Vogue路線を目指したのがわかります。
https://www.youtube.com/watch?v=ApnouyU3RQs

「I Want You Back」
Teddy Rileyプロデュース曲その2。アルバムからの2ndシングルとして全米R&Bチャート第26位となっています。こちらはTeddy Rileyプロデュースらしい楽曲に仕上がっています。その分、グループの個性を埋没させているのも事実ですが、こういう時流にのったキャッチーな楽曲はアルバムには必要ですからね。何だかんだいって僕の一番のお気に入りです。
https://www.youtube.com/watch?v=Qgm0HOxDv2k

アルバム未収録ですが、Boogie Down Productionsの「The Bridge Is Over」、「South Bronx」という2大クラシックをサンプリングしたTrack Masters Everything's Lovely Mixもチェックを!
「I Want You Back (Track Masters Everything's Lovely Mix) 」
https://www.youtube.com/watch?v=yHRdwBLZCP8

「What Did We Do?」
Raphael Saadiq作&プロデュース。Raphaelによる落ち着きのあるクラシカルなミディアムは、彼女たちにとてフィットしていると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=HWtlsyhXCtw

「I Feel Like Running」
A. Haqq Islam/Denzil Foster/Thomas McElroy/Kim Jordan/Todd Mushawプロデュース。Foster & McElroy絡みの曲として要チェックです。ファンキーなR&Bサウンドと素晴らしいヴォーカル・ワークがよく調和しています。かなり完成度高いと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=CQJ2BtRO4s4

「You Stay On My Mind」
A. Haqq Islam/Kim Jordan/Todd Mushawプロデュース。ダンサブルな楽曲もヴォーカルもフルパワー素晴らしいのですが、少し両者が喧嘩している印象もあります。サウンドか歌のどちらかを少し抑えると良かった気が・・・実力派グループならではの悩みかも?
https://www.youtube.com/watch?v=39lkpMkfh4s

「Stairway To Heaven」
The O'Jaysによる名バラードをカヴァー(Kenny Gamble/Leon Huff作)。オリジナルは当ブログでも紹介した『Family Reunion』(1975年)に収録されています。本ヴァージョンはアルバムからの3rdシングルとして全米R&Bチャート第18位となっています。カヴァー曲として、この曲をセレクトするあたりにグループの特長がよく表れていると思います。Pure Soulというグループ名に恥じないソウル魂を聴かせてくれる名カヴァーです。A. Haqq Islam/Dexter Wansel/Kim Jordanプロデュース。後期フィリー・サウンドを支えた名プロデューサー/キーボード奏者であるDexter Wanselの参加が目を引きますね。
https://www.youtube.com/watch?v=IkfMU1CEPLY

僕の保有するCDには未収録ですが、本家The O'Jaysを迎えた「Stairway To Heaven(Old School Love Remix)」も要チェックです。
Pure Soul Feat. The O'Jays「Stairway To Heaven(Old School Love Remix)」
https://www.youtube.com/watch?v=bedMbGdFHAs

「Turns Me On」
Kim Jordan/Todd Mushawプロデュース。しっとりとしたヴォーカルの大人のR&Bを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=V4ZPTFaWCQQ

「Wait For You」
Kim Jordan/Todd Mushawプロデュース。素晴らしいヴォーカル・ワークに重点を置いたミディアム・スロウ。ただただ聴き惚れます。
https://www.youtube.com/watch?v=WHZktWIcOhU

「Baby I'm Leaving」
A. Haqq Islam/Kim Jordan/Todd Mushawプロデュース。あえてレトロ・テイストを前面に押し出したオーセンティックなスロウ。こういう曲を歌わせればお手のものといった感じです。その分、面白みには欠けますが・・・
https://www.youtube.com/watch?v=Xcx-qZxEzYw

「Wish You Were Here」
Raymone Carter/Tom Keaneプロデュース。P-FunkグループMutinyの元メンバーRaymone Carterとかつて兄弟ロック・バンドKeane(Keane Brothers)として活躍していたTom Keaneという興味深いプロデュース陣。シンプルなアレンジであくまで素晴らしいヴォーカル・ワークを引き立てています。
https://www.youtube.com/watch?v=AnW9OSG8-Go

「Woman That I Am」
A. Haqq Islam/Kim Jordan/Todd Mushawプロデュース。ラストはクワイア調で彼女たちの実力を如何なく発揮してフィナーレを迎えます。
https://www.youtube.com/watch?v=gWT14DqzYRs

ご興味がある方は、本作と同時期の女性R&Bグループ作品の過去記事もご参照下さい。

Kut Klose『Surrender』(1995年)
kut klose surrender.jpg

Harmony Innocents『H.I....Naturally』(1995年)
H.I....Naturally

702『No Doubt』(1996年)
ノー・ダウト

Assorted Phlavors『Assorted Phlavors』(1996年)
Patience
posted by ez at 01:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月02日

Johnny Bristol『Strangers』

メロウ路線のAtlantic移籍第2弾アルバム☆Johnny Bristol『Strangers』
ストレンジャーズ(紙ジャケット仕様)
発表年:1978年
ez的ジャンル:職人系メロウ・ソウル
気分は... :新天地に臨む・・・

欧州サッカーは移籍期限の土壇場になってマンUを中心に大物の移籍が相次ぎましたね。ファルカオ、ディ・マリア、バロテッリ、F.トーレス等々・・・香川も忘れちゃいけませんね。

マンUはディ・マリア、ファルカオ等の大型補強をしましたが、果たして投資効果に見合う成績が残せるんですかね!香川やエルナンデスはチームに見切りをつけて正解だと思います。ただし、エルナンデスはマドリー移籍ではマンU時代の二の舞になりそうな気がします。その点、香川のドルトムント復帰はいい選択だと思います。マンUよりドルトムントのサッカーの方が断然面白いですからね。

今回はJohnny Bristolが1978年にリリースした4thアルバム『Strangers』です。

ソウル職人Johnny Bristolの紹介は、『Bristol's Creme』(1976年)、『Feeling The Magic』(1975年)に続き3回目となります。

Atlantic移籍第1弾アルバムとなった前作『Bristol's Creme』でメロウ路線を打ち出したJohnny Bristolですが、本作『Strangers』もその流れを継続させた都会的なメロウ・ソウル作品に仕上がっています。

Bristol自身がプロデュースを手掛け、レコーディングにはJohnny Bristol(vo、p)以下、James Jamerson Jr.(b)、Darrell Budget(ds)、James Gadson(ds)、Ollie Brown(ds)、David T. Walker(g)、David Williams(g)、Mitch Holder(g)、Steve Edwards(g)、Hense Powell(key)、Fred Remarez(syn)、Bobbie Hall(per)、Robert Torres(per)等のミュージシャンが参加しています。

Tavares提供曲のセルフ・カヴァー「Strangers In The Dark Corners」あたりが有名かもしれませんが、「I'm Waiting On Love」「Everday She's Around」「When He Comes (You Will Know)」といったメロウ・ダンサーが本作の魅力だと思います。

メロウ路線を極めた都会的な大人のソウル作品を満喫しましょう!

全曲紹介しときやす。

「Strangers In The Dark Corners」
オススメその1。Tavaresに提供した楽曲のセルフ・カヴァー。Tavaresヴァージョンは『Check It Out』(1974年)に収録されています。込み上げ系バラードであったTavaresヴァージョンに対して、こちらは都会的な大人のメロウ・バラードで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=YZt1LzrTqpQ

Tavares「Strangers In Dark Corners」
 https://www.youtube.com/watch?v=vgXnwPF5V6A

「I'm Waiting On Love」
オススメその2。David T. Walkerの軽快なギターがナビゲートする爽快メロウ・ダンサー。Bristolのヴォーカルと華やかな女性コーラスの絡みもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=Y3k689Wm7do

「If You Ever Need Somebody」
オススメその3。James Gadsonが叩き出す軽快なリズムをバックに、Bristolのヴォーカルと女性コーラスが躍動します。効果的なホーン・アレンジもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=GH-kwjLiuLQ

「She's So Amazing」
ストリングも配したロマンティックなサウンドをバックに、Bristolがラブソングを歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=l2xG44en6OE

「Everday She's Around」
オススメその4。この曲も人気が高いのでは?エレピの音色が心地好いメロウ・グルーヴ。本作らしい都会的でスムーズなヴォーカル&サウンドを堪能できます。
https://www.youtube.com/watch?v=Y8qCvVUqWKA

「You Can't Have Love (Without Complications) 」
メロウの中にも少しイナたい雰囲気があって、それが味わい深さにつながっています。こういう曲の方がある意味でJohnny Bristolらしいかもしれませんね。

「I'm So Proud Of You」
落ち着きのある大人のバラード。噛みしめるようなBristolのヴォーカルがいいですね。

「When The Five Is Burning」
シブめの曲調ですが、都会的なサウンドで実にスマートな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=hUSiPTj8EUg

「Why Stop It Now」
アコースティック・メロウな味わいでじっくりと聴かせてくれます。じわじわときます。
https://www.youtube.com/watch?v=qHzqjAvLcug

「When He Comes (You Will Know)」
オススメその5。ラストはセクシーなメロウ・ダンサーで締め括ってくれます。僕の一番のお気に入りはコレ!ソフト&メロウ路線を極めたJohnny Bristolを満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=zZnhGd7xpnM

Johnny Bristolの過去記事や彼のプロデュース作品の過去記事もご参照下さい。

『Feeling The Magic』(1975年)
フィーリング・ザ・マジック

『Bristol's Creme』(1976年)
Bristol's Creme

Buddy Miles『All The Faces Of Buddy Miles』(1974年)
All The Faces Of Buddy Miles

Boz Scaggs『Slow Dancer』(1974年)
Slow Dancer
posted by ez at 05:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月01日

Sonido 5『En Vivo』

セルメン・クローン系ユニットによるメキシカン・ボッサ☆Sonido 5『En Vivo』
sonido 5 en vivo.jpg
発表年:1967年
ez的ジャンル:セルメン・クローン系メキシカン・ボッサ
気分は... :アギーレ・ジャパンはどうなる?

いよいよ9月ですね。そして、今週の5日はサッカー日本代表アギーレ・ジャパンの初戦でもあります。

今回はアギーレ監督の母国メキシコのボッサ・グループSonido 5が1967年にリリースした『En Vivo』です。

Sonido 5はメキシコシティで1967年に結成されたグループ。実態としては、チリ人のプロデューサー/アレンジャー/コンポーザーであるKiko Camposが手掛けた、Sergio Mendes & Brasil '66を模したセルメン・クローン系のメキシカン・ボッサ・プロジェクトと呼んだ方が相応しいようですが・・・

メンバーはMiguel Angel Rosado(ds)、Marco Antonio Moran(b)、Ricardo Cortes(p)、Arturo Cortes(vo)、Antonio Hernandez(per)、Ann Michel(vo)、Kiko Campos(vo)という7名。

『En Vivo』は、タイトルの通りライブ作品であり、各曲に曲紹介のMCや聴衆の歓声が入っています。

楽曲はMarcos ValleJoao Donato、Haroldo Lobo/Niltinho、Jorge Benといったブラジル人コンポーザーを中心としたカヴァー曲が殆どです。

録音も良くなくB級感が漂いますが、逆にその部分に面白さがあると思います。

たまにはこんなB級作品もいいのでは?

全曲紹介しときやす。

「Intro」
ショーのオープニング。

「Batucada」
Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作。Walter Wanderley等でお馴染みのMarcosの名曲をカヴァー。Marcosヴァージョンは『Samba '68』に収録されています。躍動するジャズ・サンバのリズムとセルメン・クローンらしい男女ヴォーカルで盛り上げてくれます。ただし、本曲に関していえば、本家セルメンのヴァージョン(『Look Around』収録)より時期的にコチラの方が先ですね。

「La Rana/Up up And Awan」
裏ジャケの表記は「Presentacion/Up up And Awan」となっていますが、実際はJoao Donatoの名曲「La Rana(A Ra)」とThe 5th Dimensionのヒット曲「Up up And Awan(Up, Up And Away)」(Jimmy Webb作)のカヴァー・メドレーです。どちらかといえば、「Up up And Awan」メインのメドレーですが、小粋なジャズ・サンバに緩急をつけたドラマティックなアレンジが印象的です。

英語タイトル「The Frog」でも知られる「A Ra(La Rana)」に関して、当ブログではJoao Donatoのヴァージョン(『Quem e Quem』および『A Bad Donato』)をはじめ、Sergio Mendes & Brasil '66Joao GilbertoGal CostaJoyceAgustin Pereyra Lucenaのカヴァーを紹介済みです。

「Todavia」
Armando Manzanero作。メキシコの偉大なコンポーザーArmando Manzaneroの作品をカヴァー。そのせいか、アレンジにもノスタルジック・ムードが漂います。

「More」
1962年のイタリア映画『Mondo Cane(邦題:世界残酷物語)』の主題歌カヴァー(Riz Ortolani/Nino Oliviero作)。当ブログではBalancoGary McFarlandMatteo Brancaleoniのカヴァーを紹介済みです。素敵な男女コーラスを配したムーディーなカヴァーに仕上がっていますが、このユニットであればジャズ・サンバ調の躍動するアレンジでも良かった気がします。

「Tristeza」
Haroldo Lobo/Niltinho作の名曲カヴァー。当ブログではSergio Mendes & Brasil'66Elis ReginaBirgit LystagerCarlos Lyraのヴァージョンを紹介済みです。この曲についても「Batucada」同様、本家セルメンのヴァージョン(『Look Around』収録)よりも先なんですね。セルメンを基準にすれば、セルメン・ヴァージョンにラテンのアクセントを加えたヴァージョンといった雰囲気ですね。

「Felicidad」
Armando Manzaneroのカヴァー2曲目。このグループらしい軽快なリズムと爽快な男女コーラスを満喫できます。ノスタルジック・ムードとセルメン・フレイヴァーが喧嘩せずに調和しているのがいいですね。

「Amor」
Kiko Campos作。唯一のオリジナル。でも3分強の約半分はMCです(笑)。本編は女性ヴォーカルを前面に出したムーディーな仕上がりです。

「Mas Que Nada」
ラストはJorge Ben作の名曲をカヴァー。この曲はセルメン・ヴァージョンをお手本にしているかもしれませんね。ただし、本ヴァージョンは男性ヴォーカルの方がメインですが・・・

本曲に関して、当ブログではSergio Mendes & Brasil'66Tamba TrioLill LindforsSteen Rasmussen Feat. Josefine CronholmOscar PetersonIsabelle Aubretのヴァージョンを紹介済みです。ご興味のある方はそれらの記事もご参照下さい。

アギーレ・ジャパンについては、新戦力の発掘に期待しています。
海外組はひとまず置いて、まずは国内組メンバーをいろいろ試して欲しいですね。
基本フォーメーションは4-3-3のようですが、個人的には中盤の3枚とFWの両サイドに、どのようなタイプの選手を起用し、何を求めるのかに注目しています。
posted by ez at 00:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする