発表年:1968年
ez的ジャンル:ティーン女性ヴォーカル系サイケデリック・ロック
気分は... :失われた時を求めて ・・・
今回は60年代後半のサイケデリック・ロック作品からThe Love Exchange『The Love Exchange』(1968年)です。
The Love Exchangeは1967年にL.A.で結成されたグループ。
Dan Altchuler(g)を中心としたMike Joyce(b)、Jeff Barnett(ds)、Fred Barnett(g)、Walter Flannery(org)という5名に、当時16歳の女性ヴォーカリストBonnie Blunt(vo、tbr)を加えた6人組。女性ヴォーカルの追加は彼らを見出したプロデューサーLarry Goldbergの提案だったようです。
1967年にシングル「Swallow The Sun」でデビューし、1968年にはアルバム『The Love Exchange』をリリースしています。しかし、今後の方向性をめぐりマネジャー、メンバー間で分裂が起こり、バンドは空中分解してしまいます。
ジャケのイメージやティーンの女性ヴォーカリストというメンバー構成から、バブルガム・ポップのような音を想像する人もいるかもしれませんが、思いきりサイケな内容になっています。サウンド的にはJefferson AirplaneやDoorsあたりがお好きな人はフィットするのでは?
紅一点のBonnie Bluntの華のあるヴォーカルは、キュートながらも過度にガ―リーではないのがいい感じです。
「Get Out Of My Life Woman」、「Swallow The Sun」、「Flying High」、「Meadow Memory」、「Saturday Night Flight 505」、「Give Up On Love」という前半6曲に本作の魅力が凝縮されていると思います。
サイケ・サウンドとキュート・ヴォーカルの組み合わせはなかなかハマります。
全曲紹介しときやす。
「Get Out Of My Life Woman」
Allen Toussaint作。Lee Dorseyが1966年にヒットさせた曲ですが、Solomon Burke、The Butterfield Blues Band、The Leaves、The Comin' Generation、The Blues Effort、The Mad Lads、The Kingsmen、Cads、Iron Butterfly、Jimi Hendrix等もカヴァーしている名曲です。R&Bテイストのサイケ・ロック・サウンドとBonnie Bluntのキュート・ヴォーカルの組み合わせが独特の雰囲気を醸し出しています。
https://www.youtube.com/watch?v=2h_3-loubLQ
「Swallow The Sun」
Jack Merrill作。60年代の名曲を集めた人気コンピ『Nuggets Volume 10: Folk Rock』にも収録されていた楽曲です。グルーヴィーなオルガンとThe Mamas & the Papasライクなヴォーカル・ワークが印象的です。The Peanut Butter Conspiracyが歌詞を変え、「Dark On You Now」のタイトルでカヴァーしています。
https://www.youtube.com/watch?v=y5l1BfTlrhA
「Flying High」
Larry Goldberg作。スピーディーに駆け抜けるサイケ・チューン。Jefferson Airplaneなんかもそうですが、女性ヴォーカルがフロントにいると華があっていいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=d4Hu1jbkWns
「Meadow Memory」
Larry Goldberg/Mark Andrews作。Doorsあたりと一緒に聴きたくなる妖しげな雰囲気が漂います。Dan Altchulerの12弦ギターがサイケに響きます。
https://www.youtube.com/watch?v=h_3qXlgn7RM
「Saturday Night Flight 505」
グルーヴィー&サイケなオルガンがサイケ・ワールドへ誘うトリップ感Maxな演奏です。10代の女性ヴォーカルがこんなサウンドをバックに歌っていていいのでしょうか?
https://www.youtube.com/watch?v=5tpzzw6-Yd4
「Give Up On Love」
Kenny Smith作。Bonnie Bluntのヴォーカルを前面に押し出した仕上がり。ロッキンな中にポップなエッセンスが上手く織り交ぜられています。
https://www.youtube.com/watch?v=VlbEBD00khg
「Two-O-Tango」
Walter Flannery作。哀愁のメロディをBonnieを歌い上げますが、緩急でアクセントをつけています。個人的には緩めずアクセル全開の方が良かった気がしますが・・・
https://www.youtube.com/watch?v=kVIZInrmkMQ
「Ballad Of A Sad Man」
Mike Joyce作。アシッド・フォーク調の仕上がり。他の曲に比べると少し退屈かも?
https://www.youtube.com/watch?v=o5eeVKFWp88
「Nothing At All」
Danny Hutton/Larry Goldberg作。後にThree Dog Nightを結成するDanny Huttonがソングライティングに参加しています。ソウルフルな味わいがなかなかいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=CbfDwRgCKk4
「Mrs. Ansel Griffith」
M. Cooper作。ラストは哀愁モードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=j781MjdcL4w
CDには「Boston」、「Live A Little」、「Step To The Rear」、「Get Out Of My Life Woman (alternatre take)」、「Meadow Memory (alternatre take)」、「Swallow The Sun (alternatre take)」の6曲はボーナス・トラックとして追加収録されています。