2014年09月29日

Lionel Loueke『Heritage』

Robert Glasperプロデュース。ベナン出身のジャズ・ギタリストによる進化形ジャズ☆Lionel Loueke『Heritage』
ヘリテッジ
発表年:2012年
ez的ジャンル:アフリカ系ジャズ・ギタリスト
気分は... :Mark Guiliana恐るべし!

今回はJazz The New Chapter(JTNC)強化月間の第12弾、西アフリカ、ベナン共和国出身のギタリストLionel LouekeRobert Glasperプロデュースの下でリリースした『Heritage』(2012年)です。

Lionel Louekeは西アフリカ、ベナン共和国出身のギタリスト。

フランスとアメリカで音楽教育を受けた後、Herbie Hancockに見出されてプロとしてデビューします。

有名ジャズ・ミュージシャンのサイドメンを務める一方で、『In A Trance』(2005年)、『Karibu』(2008年)、『Mwaliko』(2010年)、『Heritage』(2012年)、『Virgin Forest』(2014年)といったリーダー作をリリースしています。

また、Massimo Biolcati(b)、Ferenc Nemeth(ds)とのトリオGilfema名義で『Gilfema』(2005年)、『Gilfema +2』(2008年)といったアルバムもリリースしています。

当ブログで紹介した作品でいえば、Gretchen Parlato『In a Dream』(2009年)、Esperanza Spalding『Radio Music Society』(2012年)といったJTNC系の重要アルバムにLionel Louekeが参加しています。

Lionel Louekeの作品の中でJTNCの流れに最も相応しいアルバムとなれば、本作『Heritage』(2012年)でしょう。

本作はRobert Glasperが全面プロデュースし、Lionel Loueke(g、vo)以下、Mark Guiliana(ds)、Derrick Hodge(b)、Robert Glasper(p)、Gretchen Parlato(vo)というJTNC重要ミュージシャンが参加しています。このメンバーだけでJTNCにご興味がある方にはたまらないですよね。特に一昨日に最新作『My Life Starts Now』を紹介したばかりのMark Guilianaに注目です。

アフリカ色の強いリズミックな演奏や、Gretchen Parlatoのスキャットも加わったメロウ&ビューティフルな演奏もいいですが、個人的にはMark Guilianaの"人力テクノ/ドラムンベース"ドラムが堪能できる「African Ship」「Goree」や、Robert Glasper Experiment feat. Lionel Louekeと呼びたくなるような「Bayyinah」あたりに惹かれました。

主役のLionel Louekeのギター&ヴォーカルを中心に聴くべきなのでしょうが、JTNC的にはMark GuilianaのドラムとDerrick Hodgeのベースを中心に聴いていても楽しめる1枚だと思います。

Robert Glasper作の「Bayyinah」以外はLionel Louekeのオリジナルです(共作含む)。

全曲紹介しときやす。

「Ife」
アフリカ色の強いオープニング。コンテンポラリー・ジャズに上手くアフリカン・テイストをいいバランスで取り入れています。主役Lionelのギターにも注目ですが、JTNC的な聴き方をすると、どうしてもMark Guilianaのドラムに耳がいってしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=nw1ylQ2ky5Q

「Ouidah」
序盤はLionelのギター&スキャットによるメロウな演奏を楽しめます。中盤以降はテンションの高い演奏に一変します。GlasperのエレピとLionelのギターのバトル、Markらしい刻んだドラムなど聴きどころも多いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=WYyxCfuGjgk

「Tribal Dance」
Gretchen Parlato参加の1曲目。Gretchen Parlato参加の2曲目。Glasperのメロウ・エレピ&ピアノ、Mark Guilianaのトライバルなビート、Derrick Hodgeの全体を引き締めるベースライン、控えめに寄り添うGretchenのスキャットを従え、Lionelのギター&ヴォーカルがトライバル・ダンスを先導します。
https://www.youtube.com/watch?v=a7QymJfoL1w

「Hope」
LionelとRobert Glasperの共作。Gretchen Parlato参加の2曲目。Pat Metheny的な美しく澄み切った音世界を堪能できます。各プレイヤーが変に目立つのではなく、トータルなサウンド創りに徹底しているのがいいですね。

「Freedom Dance」
アフロ・ジャズ的なファンク・チューン。Derrick Hodge、Mark Guilianaの進化形ジャズらしいリズムをバックに、Lionelが快調なギター・プレイを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=yzIJhIepi_w

「Chardon」
GlasperのピアノとLionelのギターが織り成す美しい演奏を堪能できます。

「Farafina」
Derrick HodgeのベースとMark Guilianaのドラムが叩き出す複雑なリズムが主役のLionelのギターを喰ってしまいそうな勢いです。

「African Ship」
JTNC的にはスピード感溢れる本作がハイライトでしょうね。Mark Guilianaによる"人力テクノ"ドラムが炸裂し、Glasperのピアノが疾走し、Derrick Hodgeのベースがうねり、それらに煽られるようにLionelのギター&スキャットが駆け抜けます。3分に満たないアルバムで一番短い演奏ですが、もっと長尺で聴きたい1曲です。

「Goree」
個人的には「African Ship」と並ぶ本作のハイライト。ただし、ここでの主役はMark Guilianaの"人力テクノ/ドラムンベース"なドラムとDerrick Hodgeのベースであり、Lionelのギターは引き立て役になっています。

「Bayyinah」
Robert Glasper作。ラストはRobert Glasper ExperimentにLionelがゲスト参加したような趣の演奏になっています。やはりMark Guilianaのドラムは凄い!
https://www.youtube.com/watch?v=H5w24SdMILM

Lionel Louekeのソロ作やGilfema名義の作品もチェックを!

『In A Trance』(2005年)
In a Trance

『Karibu』(2008年)
カリブ

『Mwaliko』(2010年)
Mwaliko

Jeff Ballard Trio With Lionel Loueke & Miguel Zenon『Time's Tales』(2014年)
Time's Tales

『Virgin Forest』(2014年)
ヴァージン・フォレスト

Gilfema『Gilfema』(2005年)
GILFEMA

Gilfema『Gilfema +2』(2008年)
Gilfema Gilfema+2 Other Modern Jazz
posted by ez at 02:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする