Slum Village『Fantastic, Vol. 2』(2000年)
Erimaj『Conflict Of A Man』(2012年)
Becca Stevens Band『Weightless』(2011年)
Kris Bowers『Heroes + Misfits』(2014年)
Flying Lotus『Cosmogramma』(2010年)
Jose James『Blackmagic』(2010年)
Mos Def『Black On Both Sides』(1999年)
Gretchen Parlato『In a Dream』(2009年)
Bilal『Airtight's Revenge』(2010年)
Ben Williams『State Of Art』(2011年)
Mark Guiliana『My Life Starts Now』(2014年)
Lionel Loueke『Heritage』(2012年)
改めて整理すると、『Jazz The New Chapter』および続編の『Jazz The New Chapter 2』は、Robert Glasper以降の"進化するジャズ"について整理したムック本です。
コンテンポラリー・ジャズの熱心なリスナーでもない僕がJTNCに興味を持ったのは、"進化するジャズ"をHip-Hop、R&B/ソウル、ビートミュージック、クラブミュージック、インディー・ロック、フォーク/カントリー、ワールド・ミュージックといった他ジャンルとの接点から捉え、その接点に当ブログでも紹介したアーティストが多数存在したためです。
JTNCを読み、最近の自分の音楽嗜好が整理できたようなスッキリ感がありましたね。
今日で強化月間は終了させますが、強化月間以前にエントリーした作品も含めて、JTNCで述べられた進化形ジャズを整理しておきたいと思います。紹介しているアルバムはすべて過去記事にありますので、ご興味がある方はご参照ください。
●Robert Glasper Experiment『Black Radio』の衝撃
JTNCの中心となるミュージシャンがRobert Glasperであり、JTNCを象徴する作品がRobert Glasper Experiment『Black Radio』(2012年)です。
『Black Radio』、『Black Radio 2』は勿論のこと、『Double Booked』(2009年)、『Black Radio Recovered: The Remix EP』(2012年)も含めた4枚はJTNCの必須科目といえるでしょう。
上段左:Robert Glasper『Double Booked』(2009年)
上段右:Robert Glasper Experiment『Black Radio』(2012年)
下段左:Robert Glasper Experiment『Black Radio Recovered: The Remix EP』(2012年)
下段右:Robert Glasper Experiment『Black Radio 2』
Robert Glasper Experiment「Butterfly」
(From 『Double Booked』)
https://www.youtube.com/watch?v=PIDOeJa2nYY
Robert Glasper Experiment Feat. Stokley Williams「Why Do We Try」
(From 『Black Radio』)
https://www.youtube.com/watch?v=GekMtAxxYjI
●J Dillaを聴かずに『Black Radio』は語れない
『Black Radio』や続編の『Black Radio 2』の場合、R&B/Hip-Hop系ゲスト陣の豪華さに目を奪われがちな作品ですが、これら2枚の肝はChris Dave、Mark Colenburgという進化形ジャズ・ドラマーの叩き出すJ Dilla系ビートですね。その意味でJ Dillaビートの擦り込みもJTNCの必須科目といえるでしょう。
上段左:The Pharcyde『Labcabincalifornia』(1995年)
上段右:Common『Like Water For Chocolate』(2000年)
下段左:Slum Village『Fantastic, Vol. 2』(2000年)
下段右:J Dilla『The Shining』(2006年)
Common Feat. Femi Kuti & Vinia Mojica「Time Travelin' (A Tribute To Fela)」
(From 『Like Water For Chocolate』)
https://www.youtube.com/watch?v=huSmc2V0_rk
J Dilla Feat. D'Angelo & Common「So Far To Go」
(From 『The Shining』)
https://www.youtube.com/watch?v=AdZK0HeYkwM
●時代の一歩先を行っていたQ-Tip
J Dillaと並びJTNCの重要Hip-Hopアーティストが元A Tribe Called Quest(ATCQ)のQ-Tipです。J Dillaの才能を見出したと同時に、2000年代初めには新進ジャズ・ミュージシャンでバックを固めた全編生音プロダクションの『Kamaal The Abstract』をレコーディングしていました。2009年までお蔵入りになっていた『Kamaal The Abstract』が予定通り2002年にリリースされていたならば、『Black Radio』級の衝撃だったでしょう。
上段左:A Tribe Called Quest『Beats Rhymes & Life』(1996年)
上段右:Q-Tip『Amplified』(1999年)
下段左:Q-Tip『The Renaissance』(2008年)
下段右:Q-Tip『Kamaal The Abstract』(2009年)
Q-Tip Feat. Norah Jones「Life Is Better」
(From 『The Renaissance』)
https://www.youtube.com/watch?v=nMIs3WYLZbY
Q-Tip Feat. Kenny Garrett「Abstractionisms」
(From Q-Tip『Kamaal The Abstract』)
https://www.youtube.com/watch?v=IzpcdpwecdA
●The Soulquariansの影響力は今も大きい
J DillaやQ-Tipもメンバーであったアーティスト・コレクティブThe Soulquarians。その2人以外にもRobert Glasperとはニュースクール大学時代からの親交が続くBilal、Robert Glasper Experiment結成のきっかけをつくったMos Defなど殆どのメンバーがJTNCに関連しています。また、その作品の影響力も大きく、例えば進化形ジャズ・ヴォーカリストの代表格Jose Jamesは、D'Angelo『Voodoo』(2000年)を意識し、同作に参加していたThe SoulquariansメンバーPino Palladinoをプロデューサーに迎えた『No Beginning No End』を制作しています。
上段左:Bilal『Airtight's Revenge』(2010年)
上段右:Mos Def『Black On Both Sides』(1999年)
下段左:D'Angelo『Voodoo』(2000年)
下段右:Jose James『No Beginning No End』(2013年)
Mos Def「Umi Says」
(From 『Black On Both Sides』)
https://www.youtube.com/watch?v=CsihHoyqwWY
Jose James「It's All Over Your Body」
(From 『No Beginning No End』)
https://www.youtube.com/watch?v=K3lOMyo1uqk
●LAビート・ミュージックと進化形ジャズ
JTNCではLAビート・ミュージックと進化形ジャズの接点について多くのページを割いています。ちょうど、僕自身がここ1、2年Flying LotusをはじめとするBrainfeeder作品やLAジャズ・コミュニティ関連の作品を聴くようになっていたため、面白く誌面を読むことができました。
上段左:Flying Lotus『Cosmogramma』(2010年)
上段右:Flying Lotus『Until The Quiet Comes』(2012年)
下段左:Thundercat『Apocalypse』(2013年)
下段右:Taylor McFerrin『Early Riser』(2014年)
Flying Lotus「Dance Of The Pseudo Nymph」
(From 『Cosmogramma』)
https://www.youtube.com/watch?v=dr_zDCjphF0
Taylor McFerrin Feat. Robert Glasper & Thundercat「Already There」
(From 『Early Riser』)
http://www.youtube.com/watch?v=vY-MZ0bL1Gc
●進化形ジャズを彩る女性アーティストたち
僕が進化形ジャズに興味を持つきっかけを作ってくれたのは、グラミー受賞の才女ジャズ・べーシスト/ヴォーカリストEsperanza Spaldingや進化形ジャズを代表する歌姫Gretchen Parlatoでした。JTNCイチオシの女性アーティストBecca Stevensも含めて、これら女性アーティストたちの動向に注目したいです。
上段左:Esperanza Spalding『Esperanza』(2008年)
上段右:Esperanza Spalding『Radio Music Society』(2012年)
下段左:Gretchen Parlato『The Lost And Found』(2011年)
下段右:Becca Stevens Band『Weightless』(2011年)
Esperanza Spalding「Crowned & Kissed」
(From 『Radio Music Society』)
http://www.youtube.com/watch?v=-IMh9bJmoU0
Gretchen Parlato「All That I Can Say」
(From 『The Lost And Found』)
http://www.youtube.com/watch?v=4l_WLAPeh10
●進化形ジャズの肝はドラムにあり!
JTNCでも示されていた通り、進化形ジャズの肝となるのがドラムです。新世代ドラマーの叩き出すビートこそが進化形ジャズの"進化"を、わかりやすく実感できるのではないでしょうか。Chris Dave、Mark Colenburg、Jamire Williams、Kendrick Scott、Mark Guiliana、Marcus Gilmore、Richard Spavenらの進化形ドラマーの参加作品は要チェックです。
上段左:Erimaj『Conflict Of A Man』(2012年)
上段右:Mark Guiliana『My Life Starts Now』(2014年)
下段左:Seravince『Hear To See』(2012年)
下段右:Richard Spaven『Whole Other』(2014年)
Erimaj「Nothing Like This」
(From 『Conflict Of A Man』)
https://www.youtube.com/watch?v=Iw3iSZusuCs
Seravince Feat.Sharlene Hector 「Sy」
(From 『Hear To See』)
https://www.youtube.com/watch?v=gbonGXKZdqA
●進化形ジャズ、オススメ4枚
これまで挙げてきた作品以外に、進化形ジャズを楽しめる作品として、Robert Glasper ExperimentのベーシストDerrick Hodge、世界が注目する"ザ・リアル・ヴォイス"Gregory Porter、2人の進化形ジャズ・ピアニストKris Bowers、Gideon Van Gelderといったアーティストの作品をオススメします。
上段左:Derrick Hodge『Live Today』(2013年)
上段右:Gregory Porter『Liquid Spirit』(2013年)
下段左:Kris Bowers『Heroes + Misfits』(2014年)
下段右:Gideon Van Gelder『Lighthouse』(2014年)
Derrick Hodge「Boro March」
(From 『Live Today』)
https://www.youtube.com/watch?v=2An95GbUYEk
Gideon Van Gelder「Victory Joy Dance」
(From 『Lighthouse』)
https://www.youtube.com/watch?v=sVFAFMZMBIU
ここで述べた以外にも、ワールド・ミュージックと進化形ジャズ、クラブミュージックと進化形ジャズといった切り口も興味深く、作品も紹介したいのですが限がないので、このあたりで止めておきます。
Jazz The New Chapter強化月間は今日で終了ですが、まだまだ紹介できていない関連作品が沢山あるので、来月以降も随時紹介したいと思います。
とりあえず来月からは通常のエントリー・パターンに戻したいと思います。