2014年10月19日

Flying Lotus『You're Dead!』

ジャズ・ネクスト・レベルの超問題作、遂にリリース☆Flying Lotus『You're Dead!』
You're Dead! [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 初回盤のみ特殊パッケージ仕様 / 国内盤] 特典マグネット付 (BRC438)
発表年:2014年
ez的ジャンル:LAビート・ミュージック系ネクスト・レベル・ジャズ
気分は... :聴いた瞬間に死んでしまう?

今回はLAビート・ミュージックの中心人物、Flying Lotusの最新作『You're Dead!』です。

『Jazz The New Chapter 2』"ジャズ・ネクスト・レベルの超問題作"と紹介され、注目度の高かった作品です。

LAビート・ミュージック・シーンを牽引し、自身のレーベルBrainfeederから才能あるアーティストの作品を発信し続けるFlying Lotus(本名:Steven Ellison)の紹介は、『Until The Quiet Comes』(2012年)、『Cosmogramma』(2010年)に続き3回目となります。

『Jazz The New Chapter 2』でも詳説されていたように、Flying Lotusがネクスト・レベルのジャズに取り組んだ意欲作です。ビート・ミュージックを進化させ、Flying Lotusが一つの高みに達した感のある衝撃作というのが僕の感想です。

アルバム・タイトルやアートワークも衝撃的ですよね。

『You're Dead!』というタイトルには、死んだ瞬間からストーリーが始まるというコンセプトが込められているようですし、聴いた瞬間に死んでしまうような衝撃作という意味合いもあるようです。また、死後の世界が描かれたアートワークは日本人の奇想漫画家、駕籠真太郎氏によるものです。

アルバムには、進化形ジャズに多大な影響を与えているジャズ・ミュージシャンHerbie Hancockや、Kendrick LamarSnoop Doggという新旧の人気ラッパーがゲスト参加しています。特にKendrick Lamar参加の「Never Catch Me」は素晴らしいですね。また、Flying Lotus自身もCaptain Murphyの名でヴォーカルを披露してくれます。

加えて、Thundercat(b、vo)、Kamasi Washington(sax、key)といったBrainfeeder軍団、Miguel Atwood-Ferguson(strings)Andres Renteria(per)といったBuild An Ark系ミュージシャン、元The Mars VoltaのDeantoni ParksThundercatの兄、Ronald BrunerGene CoyeJustin Brownという4名のドラマー、Flying Lotus作品の常連Niki Randa、Dirty Projectorsの活動でも知られるAngel DeradoorianArlene DeradoorianKimbra Johnsonといった女性シンガー陣の名がクレジットされています。

それ以外にもBrandon Coleman(key)、Taylor Greaves(key)、Brendon Small(g)、LAのロック・バンドWires On FireのJeff Lynn(g)、Laura Darlington(fl)、Taylor Cannizzaro(strings)といったミュージシャンが参加しています。

Flying Lotus作品やビート・ミュージック作品の場合、2分にも満たない曲も多く、未完成のサウンド素材集のような側面があります。その意味で必ずしも万人受けしないリスナーを選ぶ音楽と言えるでしょう。

本作でもそういった側面があるのも否めませんが、それでもサウンドの完成度はかなり高まっていると思います。また、尺の短い曲も前後の曲とセットで聴くと、まるで1曲のように聴こえるので、その部分は以前の作品ほどは気になりませんでした。

何より、そのサウンド、音世界に圧倒されてしまいます。特にジャズへのアプローチを強化した分、超絶ベーシストThundercatの存在感が従来以上に増しています。

進化形ジャズを聴く場合、まずはドラムの音に耳がいくのですが、本作はどうしてもThundercatのベースに耳を奪われてしまいます。Jaco Pastorius参加作品でJacoのベースばかり追いかけるのと同じ感覚ですね。

見方を変えれば、Thundercatという天才ベーシストの右腕がいたからこそ、Flying Lotusはネクスト・レベルのジャズへ挑んだのではないかと思えてきます。

その一方で、本作はミュージシャンが一堂に会して演奏することはなく、個別の演奏をFlying Lotusが1つにまとめ上げたものです。その意味では、Flying Lotusのプロデュース能力やサウンド・クリエイターとしてのセンスにも感心させられます。

タイトル、ジャケのインパクトに負けないネクスト・レベルのジャズを聴かずに死ねるか!

全曲紹介しときやす。

「Theme」
アルバムのプロローグ。ビート・ミュージックとジャズの融合が生む衝撃を予感させます。

「Tesla」
Herbie Hancock参加曲。Hancockのキーボード、Thundercatのベース、Gene Coyeのドラムによるスリリングな演奏に背中がぞくっとします。

「Cold Dead」
ThundercatとRonald Brunerによる兄弟リズム隊に、Kamasi Washingtonのサックスが絡む進化形フリージャズの断片を聴くことができます。

「Fkn Dead」
わずか40秒の演奏ですが、なかなか聴き応えがあります。前曲「Cold Dead」と合わせて1曲のような印象を受けます。

「Never Catch Me」
Kendrick Lamar参加曲。話題という面でも、完成度という面でも、キャッチーさという面でもアルバムのハイライトかもしれません。Thundercatのベース、Deantoni Parksのドラム、Kendrick Lamarのラップが一気に駆け抜けていきます。Kendrick Lamarのラップがしっかりジャズしている点に驚かされます。また、バック・コーラスも含めて全体をキャッチーにまとめ上げたFlying Lotusの手腕も素晴らしいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=2lXD0vv-ds8

「Dead Man's Tetris」
Snoop Dogg参加曲。Flying LotusもCaptain Murphyの名でSnoopと共に歌っています。ビート・ミュージックのHip-Hop的なルーツを再確認できます。Flying Lotus作品はCDショップのHip-Hopコーナーに置かれていますからね。

「Turkey Dog Coma」
Thundercatのベースを中心としたネクスト・レベルのコズミック・ジャズといった趣ですね。Miguel Atwood Fergusonのストリングスも効果的です。Kamasi Washingtonのサックスも加わり、現在のBrainfeederの音って感じですね。

「Stirring」
Jeff Lynnのギターをフィーチャーした小曲。

「Coronus, The Terminator」
Niki Randaのヴォーカルをフィーチャーしたダウンテンポな仕上がり。

「Siren Song」
Angel Deradoorianがソングライティング&ヴォーカルで活躍する幻想的な音世界です。

「Turtles」
Ennio Morricone「Piume Di Cristallo」をサンプリングしたドリーミーなサウンドが印象的です。

「Ready Err Not」
Flying LotusとThundercatによるミニマル・ワールド。

「Eyes Above」
ThundercatのベースとDeantoni Parksのドラムによるサウンド素材的な仕上がり。

「Moment Of Hesitation」
Herbie Hancock参加曲。サックスのKamasi Washingtonをフィーチャーした本作らしいネクスト・レベルのジャズを堪能できます。

「Descent Into Madness」
Thundercatがヴォーカルをとる不気味な仕上がり。Laura Darlingtonのフルート、Miguel Atwood Fergusonのストリングスが不穏な空気を演出します。

「The Boys Who Died In Their Sleep」
Captain Murphy名義でFlying Lotusがヴォーカルをとります。本作のテーマである死後の世界をイメージさせるダークな仕上がり。

「Obligatory Cadence」
見たこともない異空間をさまようかのような音世界が展開されます。

「Your Potential//The Beyond」
Niki Randaがソングライティング&ヴォーカルで活躍します。。前曲からの流れを受け継ぐ幻想的な音世界です。

「The Protest」
本作の世界観と進化形ジャズがシンクロした美しい音空間に浸りながらアルバムはエンディングを迎えます。

国内盤にはボーナス・トラックとして「Protector」が追加収録されています。

他のFlying Lotus作品やThundercatのアルバムもチェックを!

『1983』(2006年)
1983 (Rmx) (Dig)

『Los Angeles』(2008年)
Los Angeles (WARPCD165)

『Until The Quiet Comes』(2012年)
Until the Quiet Comes [解説付 / ボーナストラック収録 / 国内盤] (BRC350)

Thundercat『The Golden Age of Apocalypse』(2011年)
The Golden Age of Apocalypse [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC302)

Thundercat『Apocalypse』(2013年)
Apocalypse [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC383)

本作の背景やBrainfeederの動向について知りたい方は『Jazz The New Chapter 2』に詳説されています。

『Jazz The New Chapter 2』
Jazz The New Chapter 2 (シンコー・ミュージックMOOK)
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2014年10月18日

Hyleen Gil『U & I』

『Black Radio』サウンドを色濃く反映したフレンチ・ネオソウル☆Hyleen Gil『U & I』
U & I
発表年:2014年
ez的ジャンル:Black Radio系フレンチ女性ネオソウル
気分は... :行き着くところはJTNC・・・

今回は新作の中から、フランスのキュートな新星Hyleen Gilのデビュー・アルバム『U & I』です。

Hyleen Gilは現在(多分)21歳のフランス人女性シンガー/ギタリスト/コンポーザー。

フランス人プロデューサーGOTTAPhilippe Arcostanzo)に見出され、彼のプロデュースで2012年にデビューEP『Welcome』をリリースします。さらにはHyleen Gil & GOTTA名義のEP『Elusive』をリリースし、特にDaft Punkによる2013年の大ヒット・アンセム「Get Lucky」のカヴァーが話題となりました。

Hyleen Gil版「Get Lucky」は、フリーソウルのコンピ『Free Soul〜2010s Urban-Mellow』にも収録され、日本でも話題になりました。

そして、彼女の注目度が高まる中でタイミング良くリリースされたのが、デビュー・アルバムとなる本作『U & I』です。

過去の2枚のEPと比較すると、サウンドが格段に進化しています。

まず注目すべきは、USソウル/ジャズ、UKソウルの影響下のフレンチ・ネオソウル作品であるという点です。アルバムには、UKソウルの重鎮Omar、実力派ネオソウル・シンガーFrank McCombといった当ブログでもお馴染みのR&Bシンガーや、ファンク界を代表するサックス奏者Maceo Parkerの甥(Melvin Parkerの息子)であるMarcus Parker(本来はドラマーですが本作ではラップで参加)がゲスト参加しています。

そしてゲスト陣以上に興味深いのが、Robert Glasperの衝撃作、『Black Radio』(2012年)との繋がりです。ボーナス・トラック以外の全曲にRobert Glasper Experimentの元メンバーであり、進化形ジャズを象徴するドラマーであるChris Daveが参加し、『Black Radio』的なドラムを叩き出しています。

さらには『Black Radio』のミックスを担当したQmillion、マスタリングを担当したChris Athensが、ミックス、マスタリングを手掛けています。ここまで来ると、『Black Radio』を意識していない訳はないですよね。

そうなると、本作も行き着くところはJazz The New Chapterなのでしょうか(笑)。悔しいけど、そうなりますよね。改めて、Jazz The New Chapterの視座・視点・視野に感心してしまいますね。

国内盤全13曲のうち、過去2枚のEPからのボーナス・トラック3曲、リード・シングル「Can You Love Me」のリミックス3曲、インタールード的な小曲2曲という構成で、ミニ・アルバムを無理矢理アルバムの体裁にした感も否めませんが、その分を割り引いてもかなり楽しめる1枚です。

OmarFrank McCombあたりは、仮に『Black Radio 3』があるとすれば、客演して欲しいアーティストですよね。そんな『Black Radio 3』を妄想しながら聴くのも楽しいですよ!

Hyleen Gil『U & I』 (Teaser)
http://www.youtube.com/watch?v=E1smSzOn1uU

前述の「Get Lucky」Totoのカヴァー「Georgy Porgy」以外はHyleen Gil/GOTTAのオリジナルです。全曲英語なので、"フレンチ"の部分を全く意識せずに聴くことができます。

Chris Daveの名前で反応する人や、Jazz The New Chapterへの関心が高い方は、ぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Can You Love Me」
Omarをフィーチャー。本作を象徴するネオソウル・チューンでアルバムは幕を開けます。Omarの雰囲気とよくマッチした曲調・サウンドですね。UKソウルの重鎮Omarを前に、堂々とヴォーカル&ラップを聴かせるHyleenの大物ぶりに惚れてしまいます。PVのRadio Editではカットされていますが、終盤のGOTTAのピアノとChris Daveのドラムなどは実に『Black Radio』的な雰囲気です。
http://www.youtube.com/watch?v=GPzundU-r78 ※Radio Edit

「Disgression I」
モロに『Black Radio』的な演奏がコレ。GOTTAのフェンダー・ローズはGlasperを意識したものですし、Chris Daveもそれに合わせてJ Dilla的ビートを叩き出します。ベースもDerrick Hodgeっぽいですし、Robert Glasper Experimentサウンドがココにあります。RGE好きの人が一番ハマるのはコレかも!

「Wake up Your Mind」
Frank McCombをフィーチャー。軽快なメロウネスが心地好い前半と幻想的な後半のコントラストが印象的です。キュートなHyleenの歌声に寄り添う、McCombのジェントル・ヴォーカルが実にいい感じです。

「Disgression II」
「Disgression」のパート2ですが、2分の強のインタールード的な仕上がりです。

「Music by Intravenous」
Marcus Parkerのラップをフィーチャー。ジャジー&メロウHip-Hop好きの人は気に入るであろう格好良い生音Hip-Hopです。ここでもChris Daveが進化形ドラマーらしいビートを聴かせてくれます。

「Disgression III」
前曲「Music by Intravenous」のリフレインといった感じです。

「I'm Your Trouble」
この曲のHyleenのヴォーカルは、まるでErykah Baduのように聴こえます。ドラムがChris Daveとくれば尚更ですね。

「Can You Love Me (Radio Edit)」
「Can You Love Me (Acoustic Mix)」
「Can You Love Me (Throwback GOTTA Remix)」
「Can You Love Me」のリミックス3曲。正直、オリジナル・ミックス以上の面白さはありませんでした。まぁ、ご愛嬌ということで。

「Get Lucky」
CDのボーナス・トラック。前述のように話題となったDaft Punkの大ヒット・アンセムのカヴァーです。元々はEP『Elusive』収録曲です。アルバム本編のような『Black Radio』的な雰囲気はありませんが、Hyleen Gilというアーティストのプリミティヴな魅力に触れることができます。
http://www.youtube.com/watch?v=N8g-vR1MOuU

ここから2曲は国内盤ボーナス・トラック。

「Just a Smile」
デビューEP『Welcome』収録曲。こちらはDavid Fingers Haynes(R&B好きの方はご存知なのでは)がドラムを叩いています。『Black Radio』的なエッセンス抜きにしても、Hyleen Gilがフレンチ・ネオソウルの新星であることを実感できる素晴らしい出来栄えです。
http://www.youtube.com/watch?v=JP2aBfZPiLM

「Georgy Porgy」
ラストはTotoの名曲カヴァー。『Elusive』収録曲です。シンプルなトラックをバックに、Hyleenが切々と歌います。本作の『Black Radio』的な展開を予感させる部分もあり、その前段階的な演奏が面白いですね。

サッカーU-19日本代表は、北朝鮮にPK戦で敗れて、4大会連続でU-20W杯の出場権を逃しましたね。アジア杯のU-21日本代表、先日のブラジル戦での代表初選出メンバーを見ても、国際舞台での経験値の違いは大きなハンデとなりますよね。大丈夫なのか日本サッカー?2022年W杯予選あたりがヤバいですね。
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2014年10月17日

McCoy Tyner『Asante』

アフリカ回帰色をさらに強めたスピリチュアル・ジャズ作品☆McCoy Tyner『Asante』
Asante
録音年:1970年
ez的ジャンル:アフロ・スピリチュアル・ジャズ
気分は... :持ってる男!

今はスピリチュアルなジャズ作品が聴きたい気分!
そこでセレクトしたのはジャズ・ピアニストMcCoy Tynerが1970年にレコーディングした『Asante』です。

John Coltraneのグループでも活躍したジャズ・ピアニストMcCoy Tynerについて、これまで当ブログで紹介したのは以下の3枚。

 『The Real McCoy』(1967年)
 『Tender Moments』(1967年)
 『Extensions』(1970年)

本作は『Extensions』は1970年にレコーディングされ、1974年にリリースされたアルバムです。『The Real McCoy』(1967年)から始まったBlue Note時代のラスト・レコーディング作品です。この後、Milestoneへ移籍しています。

前作『Extensions』で示したアフリカ回帰のスピリチュアル・ジャズ路線をさらに推し進めた内容になっています。

レコーディング・メンバーはMcCoy Tyner(p、wooden fl)、Andrew White(as)、Ted Dunbar(g)、Buster Williams(b)、Billy Hart(ds、african per)、James Mtume(congas、per)、Songai Sandra Smith(vo)です。

『Extensions』と比べると、メンバーは小粒かもしれませんが、ギター、ヴォーカル、コンガ、パーカッションもも加わり、よりアフリカ回帰色の強い演奏を楽しめます。

特に「Malika」「Goin' Home」が僕のオススメです。

プロデュースはDuke Pearson

全曲McCoy Tynerによるオリジナルです。

全曲紹介しときやす。

「Malika」
本作のハイライトであろうアフロ・スピリチュアル・ジャズ。冒頭の竹笛とパーカッションがアフリカの大地へ誘ってくれます。Buster Williams、Billy Hart、James Mtumeのリズム隊が繰り出すアフロ・グルーヴをバックに、Andrew Whiteのサックスが炸裂します。Songaiの女性ヴォーカルも効果的です。主役のTynerは控えめですが、終盤に聴かせてくれます。スピリチュアル・ジャズ好きにはたまらない1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=0D8ZfGdLp6w

「Asante」
Ted Dunbarの哀愁のギターと共に始まる深遠なスピリチュアル・ジャズ。Songaiの女性ヴォーカルが前面にフィーチャーされています。感謝や祈りが伝わってくるようなスピリチュアル・ジャズに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=5AFtnJv5Tac

「Goin' Home」
Buster Williamsのベースが格好良すぎる大地のグルーヴを感じる1曲。Ted Dunbarのギターがアフリカン・ムードを高めてくれます。クラブジャズ好きの人が聴いてもグッときそうな演奏なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=IcuCxkpqMm4

「Fulfillment」
Billy Hartのドラム・ソロと共に始まります。他の3曲とは趣の異なる演奏ですが、各メンバーのハイテンションでエキサイティングな演奏を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=DgLaRO7db4E

McCoy Tynerの過去記事もご参照下さい。

『The Real McCoy』(1967年)
The Real McCoy

『Tender Moments』(1967年)
テンダー・モーメンツ

『Extensions』(1970年)
エクステンションズ
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2014年10月16日

Carlinhos Brown『A Gente Ainda Nao Sonhou』

天才リズムメイカーによる美しいメロディが光る1枚☆Carlinhos Brown『A Gente Ainda Nao Sonhou』
Gente Ainda Nao Sonhou (Dig)
発表年:2007年
ez的ジャンル:進化形バイーア・サウンド
気分は... :バイーアの大地の香り・・・

今日はかなり更新が遅くなってしまいました・・・

ブラジルが誇る天才パーカッション奏者Carlinhos Brown『A Gente Ainda Nao Sonhou』(2007年)です。

1962年バイーア生まれのCarlinhos Brownのソロ作の紹介は、『Bahia Do Mundo, Mito E Verdade』(2001年)に続き2回目となります。

多彩なリズムを用いたパーカッシヴなサウンドの印象が強いCarlinhos Brownですが、本作は美しいメロディの楽曲が印象に残る1枚に仕上がっています。勿論、Carlinhosらしい躍動するバイーアの大地のリズムやエレクトロなエッセンスも上手く織り交ぜられています。

当ブログでも『Tribalistas』(2002年)を紹介したスーパー・トリオTribalistas(2002年)の盟友Marisa MonteArnaldo Antunesとの共作が3曲あります。

円熟味を増したCarlinhos Brownを楽しめる1枚です。

バイーアの大地のような雄大な歌とサウンドとリズムを楽しみましょう。

スペイン盤とブラジル盤で曲構成、曲順が異なるようです(ブラジル盤の方が曲数がかなり少ない)。今日紹介するのはスペイン盤の曲構成です。

全曲紹介しときやす。

「O Aroma de Vida」
Carlinhos Brown作。サンプリング、エレクトロニカなサウンドと牧歌的なメロディの組み合わせが進化形バイーア・サウンドらしいオープニング。Jaques Morelenbaumのオーケストレーションも効果的です。
https://www.youtube.com/watch?v=gNVLbslQdd0

「Mande um Email pra Mim」
Carlinhos Brown/Marisa Monte/Arnaldo Antunes作。語りかけるようなCarlinhosのジェントルな歌声とピュアなサウンドに癒される1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=gQy6YnSZgxY

「Everybodygente」
Carlinhos Brown/Marisa Monte/Arnaldo Antunes/Seu Jorge作。Tribalistasの3名にSeu Jorgeが加わったソングライティング。美しいメロディにCarlinhos Brownらしいエスプリが効いたドリーミーな仕上がり。華やかな女性コーラスもいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=YpFBYuKZmWY

「Aos Teus Olhos」
Carlinhos Brown作。波の音と共に始まる美しいアコースティック・バラード。Jaques Morelenbaumのオーケストレーションも実に素晴らしい。
https://www.youtube.com/watch?v=jfllWTlL2yg

「Loved You Right Away」
Versao de Crendice/Carlinhos Brown/BeBe Winans作。『Bahia Do Mundo, Mito E Verdade』収録のアフロ・ブラジリアン・チューン「Credince」の英語ヴァージョン。英詞を担当しているのはBeBe Winans。オリジナル以上にエレクトロ色が強くなっています。

「Goodbye Hello」
Carlinhos Brown/Juninho Costa作。ストレンジ・モードの哀愁チューン。うっすらとしたエレクトロ感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=SQQ3zmN05rs

「Marina Dos Mares」
Carlinhos Brown作。軽快なリズムとロッキン・サウンドで疾走します。躍動感があっていいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=COdM0Na5M3g

「Pedindo pra Voltar」
Carlinhos Brown/Alain Tavares作。スパニッシュ・ギターが印象的な哀愁チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=7sxHhkrAECM

「A Gente Ainda Nao Sonhou」
Carlinhos Brown作。タイトル曲は本作らしい美しいソングライティングを満喫できます。ゆったりとしたスケール感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ZryfvIp1WjQ

「Garoa」
Carlinhos Brown作。レゲエ・フレイヴァーの効いた力強い1曲。Carlinhosらしいミクスチャー・サウンドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=S4TxHjR0Tyk

「Guarana Cafe」
Carlinhos Brown/Ivete Sangalo作。ブラジル人女性SSW、Ivete Sangaloとの共作。リズミックなアコースティック・メロウに仕上がっています。パーカッシヴなメリハリがあるのもCarlinhosらしくていいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=11lvueMe2yY

「Dia de Voce」
Carlinhos Brown/Michael Sullivan作。ただただ美しい1曲。目を閉じて聴いていたいですね。

「Pagina Futuro」
Arnaldo Antunes/Carlinhos Brown/Marisa Monte作。Tribalistasトリオによる3曲目は、ブラジル音楽ファン以外も広く楽しめるグルーヴィー&メロウな仕上がりです。明るく華やかなのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=PzpU952Bdes

「Te Amo Familia」
Carlinhos Brown/Michael Sullivan作。ラストは軽快なリズムと優しさに包まれたブラジリアン・メロウで締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=vTrq5qGKbXk

Carlinhos Brownの他作品もチェックを!

『Alfagamabetizado』(1996年)
Alfagamabetizado

『Omelete Man』(1998年)
Omelete Man

『Bahia Do Mundo, Mito E Verdade』(2001年)
Bahia Do Mundo-Mito E Verdade

『Carlinhos Brown Es Carlito Marron』(2003年)
Carlito Marron

『Candyall Beat』(2004年)
Candyall Beat

『Adobro』(2010年)
ADOBRO

『Diminuto』(2010年)
DIMINUTO

『Mixturada Brasileira』(2012年)
Mixturada Brasileira

Timbalada『Timbalada』(1993年)
ストリート・パワーの逆襲

Timbalada『Cada Cabeca E Um Mundoa』(1994年)
Cada Cabeca E Um Mundo

Tribalistas『Tribalistas』(2002年)
Tribalistas
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2014年10月15日

10db『Steppin' Out』

某ディスク・ガイド本にも掲載されていた男女R&Bデュオ作品☆10db『Steppin' Out』
steppin' out
発表年:1989年
ez的ジャンル:NJS系男女R&Bデュオ
気分は... :スポーツはモヤモヤ、音楽でスッキリ!

サッカーの「日本対ブラジル」はTV観戦していてもどかしい内容でしたね。
アジア杯に向けた選手の見極めといっても、前半のメンバー構成は"日本代表って、こんなに人材不足だった?"と思わざるをえませんでしたよね。

NFLでは一昨日、我がドルフィンズがパッカーズに終了間際の逆転負け。詰めが甘かったですな・・・生放送を観ながら応援していただけにガックリきました。

という感じでスポーツ観戦はモヤモヤ続きです(泣)

それならば音楽でスッキリしなくちゃね!
今回は80年代後半の男女R&Bデュオ作品10db『Steppin' Out』(1989年)です。

10dbStanley "Gerard" ThermondAudrey "Paris" Hollisの男女デュオ。

80年代後半に、「I Burn For You」「I Second That Emotion」「Steppin' Out Tonight」といったシングルと、アルバム『Steppin' Out』(1989年)をリリースしています。

本作『Steppin' Out』は、マイナーなR&B作品ですが、某ディスク・ガイド本にも掲載されていることでご存知の方も多いと思います。

ジャケのイメージからすると、落ち着いた大人のR&Bという雰囲気ですが、意外にもハネハネしたNJSやGo-Goが目立つアルバムにもなっています。

その一方で、「Midsummer Slow Cut」「I Burn For You」「You Could've Been My Lady」といったスロウ〜ミディアムも充実しています。ブラコン好きにはたまらない雰囲気です。

プロデュースはMarquis Dair

80年代後半R&Bのエッセンスを上手く詰め込んだ1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「I Second That Emotion」
オススメその1。オープニングはSmokey Robinson & The Miraclesのヒット曲をカヴァー(Smokey Robinson/Al Cleveland作)。前述のようにシングルにもなりました。このソウル・クラシックをハネハネの爽快R&Bで聴かせてくれます。Gerardがリード・ヴォーカルをとっていますが、男女R&Bデュオというより若手の男性R&Bグループの楽曲といった雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=afg55jcdHbA

「Steppin' Out Tonight」
タイトル曲もシングル曲。電話のコール音から始まるというのが時代を感じさせますが(笑)。Parisがリード・ヴォーカルをとるNJSですが、ParisがNJSサウンドについていこうとする必死さが伝わってきます。

「You Could've Been My Lady」
オススメその2。ようやく大人のR&Bデュオらしいアーバンなミディアム・スロウ。ブラコン好きの人は気に入るはず!
http://www.youtube.com/watch?v=N2bYaEQshRU

「Go Go World」
タイトルの通り、Go-Goサウンド全開です。Parisがラップ調のヴォーカルを披露してくれます。

「Take Our Time」
オススメその3。僕の一番のお気に入り。Gerardがリード・ヴォーカルを爽快NJS。当時の僕はこのタイプのR&Bチューンを好んで聴いていました。
http://www.youtube.com/watch?v=YKsVaedFXcE

「Midsummer Slow Cut」
オススメその4。本作のハイライトとして本曲を挙げる人は多いのでは?大人のR&Bデュオらしい素敵なスロウ・ジャムです。
http://www.youtube.com/watch?v=-zAvJQjJ6FY

「Inside Your Love」
アッパーなダンス・チューンですが、正直アルバムで一番チープな感じで僕はスルーです。

「I Burn For You」
オススメその5。「Take Our Time」と並ぶ僕のお気に入り。アルバムに先駆けてシングル・リリースされていました。Jam & Lewis/ブラコン好きの人にオススメのミディアム・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=S4bwK5dZDhc

「I Second That Emotion (Hype House)」
ラストは「I Second That Emotion」のリミックス。

ドルフィンズの逆転負けのショックからか、ここ数日はパワーダウン気味・・・
何かスタミナつくものでも食べようっと。
posted by ez at 01:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする