2014年10月14日

Candido『Thousand Finger Man』

"千の指を持つ男"によるファンキー&グルーヴィーなソウル・ジャズ作品☆Candido『Thousand Finger Man』
Thousand Finger Man
録音年:1969年
ez的ジャンル:アフロ・キューバン系パーカッション奏者
気分は... :華麗なる手さばき!

今回はアフロ・キューバン史上最高のパーカッション奏者と称されるCandido Cameroが1969年にレコーディングした『Thousand Finger Man』です。

"千の指を持つ男"と呼ばれるキューバ生まれのパーカッション奏者Candido(Candido Camero)の紹介は、『Dancin' & Prancin'』(1979年)に続き2回目となります。

本作はDuke Pearsonがプロデュースしたソウル・ジャズ色が強いファンキー作品です。その意味では、ラテン・ジャズ好きよりもソウル・ジャズ好きの人の方がフィットすると思います。

レコーディング・メンバーはCandido(congas、bongos)、Joe Grimm(sax、fl)、Alan Raph(tb)、Pat Russo(tp)、Chuck Rainey(b)、Gerald Jemmott(b)、Herbie Lovelle(ds)、David Spinozza(g)、Frank Anderson(p、org)。Joe Cainがアレンジを手掛けています。

ファンキー&グルーヴィーなサウンドに、Candidoのパーカッションが加わり、かなり格好良いソウル・ジャズを堪能できます。特にグルーヴィーなオルガンとCandidoのパーカッション乱れ打ちの相性は抜群です。

僕の場合、この時期のソウル・ジャズの中でもパーカッションが加わった演奏を好む傾向があるので、その意味でパーカッションが主役の本作は、正に僕好みの1枚です。

ファンキー&グルーヴィーなソウル・ジャズ・サウンドと"千の指を持つ男"の華麗なる手さばきを楽しみましょう!

全曲紹介しときやす。

「Jump Back」
Rufus Thomas、1964年のシングルをカヴァー。いきなり格好良いパーカッション・ブレイクと共にスタートするファンキー・オルガン・グルーヴ。僕の一番のお気に入り!この時期のソウル・ジャズ作品と比較しても、かなり格好良い出来栄えなのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=CaT55Vnp0zw

「Come On Choo-Choo Train」
K. Montgomery作。この時代らしいサイケな雰囲気も漂うファンキー・グルーヴ。アルバムの中で異彩を放っています。
http://www.youtube.com/watch?v=yarpQeUpGoM

「Soul Limbo」
Booker T & The MG'sのカヴァー(Al Jackson Jr./Booker T. Jones/Donald "Duck" Dunn/Steve Cropper作)。オリジナルは『Soul Limbo』に収録されています。Booker T & The MG'sのオリジナルの開放的なトロピカル感を受け継ぎつつ、Candidoらしいパーカッシヴなテイストを上手く織り交ぜています。終盤の乱れ打ち状態はパーカッション好きにはたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=9Dmab8Akw8U

「Tony's Theme (From The Film Lady In Cement)」
Hugo Montenegro作。映画『Lady In Cement』(1968年)のサントラ収録曲です。キャッチーなオリジナルの魅力を生かしつつ、ベース、ドラム、Candidoのパーカッションが生み出す強力グルーヴでさらにパワー・アップしています。

Hugo Montenegroのオリジナルもかなりオシャレなので要チェックです。
Hugo Montenegro「Tony's Theme」
 http://www.youtube.com/watch?v=66jA5RRr8Tw

「Hallelujah I'm Comin' Home」
K. Montgomery作。何処となくエロさの漂うファンキー・ラテンといった感じがいいですね(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=eVttf6QJJdc

「Thousand Finger Man」
Candido/Joe Cain作。『Dancin' & Prancin'』収録のガラージ・ヴァージョンでもお馴染みの曲。こちらのオリジナル・ヴァージョンはファンキーなオルガン&ホーン隊にCandidoのキレキレのパーカッションが絡むソウル・ジャズな仕上がりです。文句ナシに格好良いですね!
http://www.youtube.com/watch?v=eFbMyBgWMVk

ご興味がある方はCandido Cameroの他作品もチェックを!

『Beautiful』(1970年)
Beautiful

『Brujerias De Candido/Candido's Latin McGuffa's Dust』(1971年)
Brujerias de Candido: Candido's Latin McGuffa's Dust

『Dancin' & Prancin'』(1979年)
DANCIN' AND PRANCIN' + 6

『Candi's Funk』(1980年)
CANDI'S FUNK +2

『Drum Fever』(1973年)もCD化して欲しいなぁ・・・
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2014年10月13日

Elizabeth Shepherd『The Signal』

Elizabethも進化形ジャズへ向かう?☆Elizabeth Shepherd『The Signal』
ザ・シグナル
発表年:2014年
ez的ジャンル:新世代系女性ジャズ・ヴォーカリスト/ピアニスト
気分は... :トナカイ頭が決意の印?

未紹介の新作が溜まってしまい、週1回の新作紹介では足りないので今月も頻度を上げたいと思います。

今回は新世代女性ジャズ・ヴォーカリスト/ピアニストElizabeth Shepherdの最新作『The Signal』です。

カナダ出身の女性ジャズ・ヴォーカリスト/ピアニストElizabeth Shepherdに関して、これまで当ブログで紹介したのは以下の3枚。

 『Start To Move』(2007年)
 『Parkdale』(2008年)
 『Heavy Falls the Night』(2010年)

特に3rdアルバムは、年末恒例の『ezが選ぶ2010年の10枚』にセレクトする程のお気に入り作品でした。クラブジャズ経由のダンサブルなコンテンポラリー・ジャズといった内容が僕の嗜好ど真ん中でした。

その後、全曲カヴァー集の4thアルバム『Rewind』がリリースされましたが、少し大人しい印象を受け、当ブログでも取り上げることはありませんでした。

そんな流れで5thアルバムがどのような展開になるのか興味津々でした。ジャケだけ見るとフューチャリスティックなクロスオーヴァー・サウンド作品をイメージしてしまいそうですが、実際はJazz The New Chapterでした(笑)

JTNCの注目アーティストの一人Lionel Loueke(g、vo)の参加や、エレピを多用したネオソウル風の楽曲が増えたことが、JTNCの流れとリンクした感じです。

個人的には『Jazz The New Chapter』を読んだとき、Elizabethの『Heavy Falls the Night』あたりも進化形ジャズの1枚に入れてもいいんじゃないかなぁ、と思っていました。人力ドラムンベース的な展開は進化形ジャズの1要素ですし、DJ Mitsu The Beatsとの共演はピープルツリー的にはJ Dillaの影響を間接的に受けているし・・・実に進化形ジャズ的じゃん!なんて思ったのですが。やはりクラブジャズの文脈に入りそうなものは、意識的に距離を置いたのでしょうね。

脱線しますが、DJ Mitsu The Beatsの最新ソロ・アルバム『Celebration of Jay』J Dillaに捧げられた作品であり、要チェックですね(当ブログでは基本的に海外アーティストしか扱っていませんが)。

DJ Mitsu The Beats『Celebration of Jay』
Celebration Of Jay [国内盤CD] (JSPCDK1023)

さて『The Signal』に話を戻すと、アコースティック・ピアノの比率が激変し、電子サウンドが目立つようになりました。また、従来以上に歌詞も含めたソングライティングを重視している印象を受けます(全曲Elizabethのオリジナル)。コンポーザーからソングライターへ進化した感じですかね。

レコーディングには、Lionel Loueke以外にも、Elizabeth Shepherd Trio時代からの盟友Scott Kemp(b)、Colin Kingsmore(ds、per)やRoman Tome(ds、per)、Ross MacIntyre(b)、Kevin Turcotte(tp)といった前作、前々作にも参加しているメンバー、さらにはLarnell Lewis(ds、vo)、Joshua Van Tassell(ds)、Mark Mosca(steel pan)、Alex Samaras(vo)、Yvette Tollar(vo)、John Maclean(fl、ngoni)といったミュージシャンが参加しています。特にLarnell Lewisは進化形ジャズ、注目のドラマーのようです。

まぁ、進化形ジャズの文脈を抜きにしても、一歩踏み出そうしているElizabethの姿勢を前向きに評価したいと思います。

ジャケに写るトナカイ頭が決意の表れなのでは?

全曲を紹介しときやす。

「Willow」
Lionel Loueke参加の1曲目。アルバム全体を印象付けるインパクトのあるオープニング。Elizabethのフューチャリスティックな電子ピアノの音色、Roman Tomeが叩く進化形ジャズ的なリズム、Lionel LouekeのギターやJohn Macleanのンゴニ(西アフリカの伝統弦楽器)が奏でるアフリカン・リズムが相俟った神秘的な音世界の虜になります。
http://www.youtube.com/watch?v=vHD7txRZK_g

「What's Happening」
Elizabeth Shepherd Trioのメンバー3名による演奏ですが、従来よりも歌を大切にしている印象を受けます。この3名による演奏を聴くと、やはりElizabeth Shepherd Trioは進化形ジャズだったと実感します。
http://www.youtube.com/watch?v=UiMAhI9OqUo

「B.T. Cotton」
従来からのファンは安堵するかもしれない小粋な演奏を聴くことができます。スティール・パンでアクセントをつけているのも印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=o_WLUlaJbIw

「The Signal」
Alex Samarasの男性ヴォーカルとのデュエットによるバラード。これからの季節にピッタリな寂しげなジャズ・ヴォーカル・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=ui1c5Ba27ss

「Lion's Den」
中盤まで大人しいですが、終盤はトランペット・ソロとコズミックなムーグ・サウンドと共に演奏のテンションが上がります。
http://www.youtube.com/watch?v=2WMnxcnV-9c

「This」
Lionel Loueke参加の2曲目。Lionel Louekeが親交の深いGretchen Parlatoあたりとイメージが重なる1曲です。Lionelがさすがのギター・プレイを披露してくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=IHgiBHETtUo

「On Our Way」
Elizabeth、Scott Kemp、Larnell Lewisによるトリオ演奏です。今回、Elizabethが多数のドラマーを起用した理由を知る意味でLarnell Lewisのプレイに注目です。
http://www.youtube.com/watch?v=rC7M1EWRRGo

「I Gave」
本作で印象的であるミステリアスな作風がここでも登場します。カリンバの音色がその神秘性を増幅させています。
http://www.youtube.com/watch?v=ATKaU2Kkg14

「Another Day」
シンガー・ソングライター的な作風の仕上がり。先に述べたコンポーザーからソングライターへの進化を感じる1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=YXmBw5bONss

「Baby Steps」
ラストはメロウなネオソウル風で締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=3KjDvHtGPVY

Elizabeth Shepherdの他作品もチェックを!

『Start To Move』(2007年)
スタート・トゥ・ムーヴ

『Besides』(2007年) ※未発表B面曲+リミックス集
Besides

『Parkdale』(2008年)
パークデイル

『Heavy Falls the Night』(2010年)
ヘヴィー・フォールズ・ザ・ナイト

『Rewind』(2012年)
リワインド
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2014年10月12日

Grupo Fantasma『Problemas』

ますます自信を深めたUSラテン・ファンク・バンド☆Grupo Fantasma『Problemas』
プロブレマス
発表年:2014年
ez的ジャンル:ハイブリッド系ラテン・ファンク
気分は... :何でもアリの精神!

USを代表するラテン・ファンク・バンドGrupo Fantasmaの最新作『Problemas』です。

テキサス州オースティン出身を拠点に活動するラテン・ファンク・バンドGrupo Fantasmaの紹介は、『El Existential』(2010年)、『Sonidos Gold』(2008年)に続き3回目となります。

グラミーを受賞した前作『El Existential』(2010年)から約5年のインターバルをとってリリースされた最新作が『Problemas』です。

ラテン、サルサ、クンビア、ファンク、ソウル、ジャズ、レゲエ、ロック等を取り入れたハイブリッドなラテン・ファンクが特徴のGrupo Fantasmaですが、本作ではさらにクンビア色が目立った気がします。

本作におけるメンバーは、Gilbert Elorreaga(tp)、Kino Esparza(vo、per)、Jose Galeano(per、timbales、vo)、Mark "Speedy" Gonzales(tb)、Greg Gonzalez(b)、Matthew "Sweet Lou" Holmes(conga)、Josh Levy(bs、fl)、Beto Martinez(g)、Adrian Quesada(g)、John Speice(ds)の10名です。

前作『El Existential』はセルフ・プロデュースですが、本作ではLos LobosSteve Berlinをプロデューサーに迎えています。

また、ゲストとしてMichelle Alany(violin)、Anthony Farrell(el-p、org)、Leo Gauna(tb)、Joel Guzman(accordion)、Brad Hauser(bcla)、George Shalda(tp)、Skerik(ts)、Nick Stephans(ts、as)、Greg Wilson(as)が参加しています。

クンビア色が目立ったといっても、無理矢理そのエッセンスを詰め込もうとしているのではなく、Grupo Fantasmaサウンドに違和感なく溶け込んでいるのがいいですね。

ますます自分たちのハイブリッド・ラテン・ファンクに自信を深めたGrupo Fantasmaに出会うことができる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Nada」
クンビアでアルバムは幕を開けます。クンビアのリズムを聴くと、"昭和下町エレジー"的な情景を思い浮かべるのは僕だけしょうか・・・終盤のホーン・アンサンブルはかなり盛り上がります。
https://www.youtube.com/watch?v=j-OgmyZNcL0 ※ライブ音源(クンビア色が少し弱め)

「Solo un Sueno」
彼ららしいハイブリッド・サウンドを楽しめます。ラテン・サウンドとロッキンなフィ―リングを巧みに融合したジャムバンド風の仕上がりです。

「Porque」
The Beatles「Because」をカヴァー。名盤『Abbey Road』の中でも地味な楽曲ですが、この楽曲がボレロのリズムにこれほどフィットするとは・・・意外です。

「Esa Negra」
Grupo Fantasmaらしいラテン・ファンクと本作らしいクンビアのエッセンスがいいバランスで融合したパーティー・モードのハイブリッド・ラテン・ファンクです。Joel Guzmanのアコーディオンがいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=5mxYborRKoo ※ライブ音源(クンビア色が少し弱め)

「Mulato」
ダイナミックなホーン・アンサンブルが展開されるGrupo Fantasmaらしい豪快ラテン・ファンク。大音量で盛り上がりたい曲ですね。

「Descarga Pura y Dura」
200%Grupo Fantasma印のデスカルガ。Kino Esparzaの哀愁ヴォーカルを乗せてキレキレのラテン・ファンクで突っ走るGrupo Fantasmaサウンド炸裂の1曲です。

「Otono」
クンビア独特の妖しい魅力が支配する1曲。Brad Hauserのバス・クラリネットが効いています。

「Problemas」
タイトル曲は70年代N.Y.サルサ調です。Fania好きの人はグッとくるのでは?

「Cayuco」
ソウルフルなラテン・ファンク。チャチャチャのリズムと共にエモーショナルなヴォーカル&演奏が繰り広げられます。

「Roto El Corazon」
クンビアをGrupo Fantasmaサウンドとして完全にモノにしたことを実感できる1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=XyykG1BXmnE ※ライブ音源

「That Night」
ラストはGrupo Fantasmaらしい開放的で確信犯的なラテン・ファンクで締め括ってくれます。

「Porque Live」
CDボーナス・トラック。「Porque」のライヴ演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=p8Iw916O1D8

興味がある方はGrupo Fantasmaの他作品やサイド・プロジェクトBrownoutの作品もどうぞ!

『Movimiento Popular』(2004年)
Movimiento Popular

『Comes Alive』(2006年)
Comes Alive

『Sonidos Gold』(2008年)
ソニードス・ゴールド

『El Existential』(2010年)
エル・エクシステンシャル

Brownout『Homenaje』(2007年)
Homenaje

Brownout『Aguilas and Cobras』(2009年)
Aguilas and Cobras

Brownout『Oozy』(2012年)
Oozy
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2014年10月11日

Freda Payne『Band Of Gold』

ソウル・シンガーの才能が開花したInvictus第1弾アルバム☆Freda Payne『Band Of Gold』
バンド・オブ・ゴールド
発表年:1970年
ez的ジャンル:Invictus系女性ソウル
気分は... :転機!

さて、今回は女性ソウル・シンガーFreda Payneが1970年にリリースした『Band Of Gold』です。

1942年デトロイト生まれの女性シンガーFreda Payneの紹介は、『Reaching Out』(1973年)に続き2回目となります。

本作はHolland-Dozier-Holland(Brian Holland/Lamont Dozier/Edward Holland, Jr.)が設立したInvictusと契約し、リリースした第一弾アルバムです。また、ジャズ・シンガーとしてキャリアをスタートさせたFredaがソウル・シンガーの道を歩む転機となったアルバムです。

本作からは「Band of Gold」(全米チャート第3位、同R&Bチャート第20位)、「Deeper & Deepe」(全米チャート第24位、同R&Bチャート第9位)といったヒット・シングルが生まれています。

その後、Invictusからは『Contact』(1971年)、『The Best of Freda Payne』(1972年)、『Reaching Out』(1973年)といったアルバムをリリースしています。

本作『Band Of Gold』は、Invictusの歌姫となったFredaのキュートな魅力が上手く引き出された1枚に仕上がっています。「Band of Gold」「Deeper & Deepe」といったシングル曲以外にも、フリーソウル人気曲かつ定番サンプリングソースの「Unhooked Generation」、定番ブレイクでお馴染みの「The Easiest Way to Fall」などが収録されています。

プロデュースは勿論Holland-Dozier-Holland

キュートに弾ける"ソウル・シンガー"Freda Payneの魅力を満喫しましょう。

全曲紹介しときやす。

「Band of Gold」
オススメその1。Ron Dunbar/Edythe Wayne作。タイトル曲は前述のようにシングル・カットされ、全米チャート第3位、同R&Bチャート第20位の大ヒットとなりました。フリーソウル・クラシックとしても人気ですね。ノーザン・ビートに乗り、Fredaのチャーミングなヴォーカルが弾けるキャッチーな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=rIDeK7bVfUk

本曲はMarcia Griffiths、Ronnie Dyson、The Chanter Sisters、The Reels、Sylvester、Charly McClain、Bonnie Tyler、Belinda Carlisle、Kimberley Locke等のアーティストがカヴァーしています。また、Whodini「Whodini NYC」、Jankins Just Laugh等でサンプリングされています。

「I Left Some Dreams Back There」
Norma Toney/Ron Dunbar作。彼女が"InvictusのDiana Ross"と称されたのがよくわかる1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=OTnnl2-vQZY

「Deeper and Deeper」
オススメその2。Norma Toney/Ron Dunbar/Edythe Wayne作。シングル曲として、全米チャート第24位、同R&Bチャート第9位のスマッシュ・ヒットとなりました。ドラマティックなストリングスがソウル・シンガーとして歩み始めたFredaを後押ししています。
https://www.youtube.com/watch?v=4DR_dxDhkMA

「Rock Me in the Cradle」
オススメその3。Ron Dunbar/General Johnson/Greg Perry作。軽快なビートに乗って、Fredaのヴォーカルも実にヴィヴィッドです。
https://www.youtube.com/watch?v=j6884X_T7do

「Unhooked Generation」
オススメその4。Ron Dunbar/Edythe Wayne作。本作の前年(1969年)にシングル・リリースされていた楽曲です。フリーソウル人気曲ですね。印象的なギター・リフと始まるファンキー・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=ne_4EWupm20

印象的なギター・リフは定番サンプリングソースです。J.V.C. F.O.R.C.E.「Strong Island」をはじめ、The Roots「Dat Scat」、Eric B. & Rakim「As the Rhyme Goes on (Pumpin' the Turbo - Chad Jay in Effect)」、Urban Dance Squad「Fast Lane」、SWV「I'm So Into You (Teddy's Extended Mix With Rap)」、小沢健二「痛快ウキウキ通り」 、DJ Shadow & Cut Chemist「Funky」等でサンプリングされています。

J.V.C. F.O.R.C.E.「Strong Island」
 https://www.youtube.com/watch?v=0Iu2LtclxqU
Urban Dance Squad「Fast Lane」
 https://www.youtube.com/watch?v=Q2a4MPP7zRI
SWV「I'm So Into You (Teddy's Extended Mix With Rap)」
 https://www.youtube.com/watch?v=qecyQNVcNkA
小沢健二「痛快ウキウキ通り」
 https://www.youtube.com/watch?v=90dvp-tzoWI

「Love on Borrowed Time」
William Weatherspoon作。少しイナたい感じが逆に味わい深いです。
https://www.youtube.com/watch?v=2DVqj7z8NW0

「Through the Memory of My Mind」
William Weatherspoon作。キュートながらも凛としたFredaのヴォーカルが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=anPXvDFHPHU

「This Girl Is a Woman Now」
Alan Bernstein/Victor Millrose作。Gary Puckett & The Union Gap、1969年のヒット曲をカヴァー。この楽曲自体がキュートなFredaのヴォーカルによくマッチしていますね。

「The World Don't Owe You a Thing」
Brian Holland/Lamont Dozier作。H-D-Hらしいキャッチーな魅力に満ちています。Fredaのヴォーカルも実に伸びやかです。
https://www.youtube.com/watch?v=V-340KGA6Fo

「Now Is the Time to Say Goodbye」
Scherrie Payne作。Fredaの妹Scherrie(後にa href="http://eastzono.seesaa.net/article/127543072.html">The Supremesに加入)によるバラード曲を、しっかりと歌い上げます。

「Happy Heart」
Wayne P. Walker作。Andy Williams、1969年のシングル曲をカヴァー。ドラマティック&ムーディーな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=CH1lXvJi1rQ

「The Easiest Way to Fall」
Ron Dunbar/Edythe Wayne/Sheerie Lavette作。ラストは力強さとメロウネスを併せ持つソウル・チューンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=ammfmwRLdrI

本曲は定番ドラムブレイクでもお馴染みですね。J.V.C. F.O.R.C.E.「Strong Island」、Pizzicato Five「This Year's Girl #1」、De La Soul「Talkin' Bout Hey Love」Big Daddy Kane「Death Sentence」、Beastie Boys「Professor Booty」、Beck「Hotwax」Beastie Boys
DJ Shadow & Cut Chemist「Funky」、Raekwon feat. Jadakiss & Styles P「Broken Safety」等でサンプリングされています。

Freda Payneの他作品もチェックを!

『After the Lights Go Down Low and Much More!!!』(1964年)
After the Lights Go Down Low

『How Do You Say I Don't Love You Anymore』(1966年)
How Do You Say I Don't Love You Anymore

『Contact』(1971年)
コンタクト+8

『Reaching Out』(1973年)
リーチング・アウト

『Payne & Pleasure』(1974年)
ペイン&プレジャー(PAYNE & PLEASURE)(直輸入盤・帯・ライナー付き)

『Stares and Whispers』(1977年)
Stares & Whispers: Expanded Edition
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2014年10月09日

Taylor Eigsti『Daylight at Midnight』

Becca Stevensを大きくフィーチャーした新世代ジャズ・ピアニスト作品☆Taylor Eigsti『Daylight at Midnight』
デイライト・アット・ミッドナイト
発表年:2010年
ez的ジャンル:非ブラック・ミュージック系新世代ジャズ・ピアノ作品
気分は... :美しき進化・・・

今回は新世代ジャズ・ピアニストTaylor Eigsti『Daylight at Midnight』(2010年)です。今月に入って初めてのJazz The New Chapter関連作品です。

Taylor Eigstiは1984年カリフォルニア州メンローパーク生まれのジャズ・ピアニスト。

これまで『Taylor's Dream』(2001年)、『Resonance』(2003年)、『Lucky to Be Me』(2006年)、『Let It Come to You』(2008年)、『Daylight at Midnight』(2010年)といったリーダー作をリリースしています。

また、サイドメンとしてJulian Lage『Sounding Point』(2009年)、Gretchen Parlato『The Lost And Found』(2011年)、Kendrick Scott『Conviction』(2013年)等の作品にも参加しています。

本作『Daylight at Midnight』(2010年)は、『Jazz The New Chapter』"非ブラック・ミュージックとしてのジャズ"を示した作品として紹介され、再注目されているアルバムです。

レコーディング・メンバーはTaylor Eigsti(p、el-p、mellotron)、Eric Harland(ds、per)、Julian Lage(g)、Harish Raghavan(b)、Becca Stevens(vo、charango、ukulele)。

アルバムの聴きどころは2つ。1つ目はアルバムの約半数を占めるロック/シンガー・ソングライター系アーティストのカヴァーです。あえてブラック・ミュージック系のカヴァーをセレクトしていない点が本作の大きな特徴です。

2つ目はJTNC注目の女性アーティストBecca Stevensが5曲でフィーチャーされている点です。無名であった(今でもメジャーではないですが)Becca Stevensという才能にスポットライトを当てたアルバムと呼べるかもしれません。

他の進化形ジャズ作品のように、ドラムが目立つリズミックな楽曲は少ないですが、新世代ジャズ・ピアニストによる美しき進化を感じさせてくれる1枚です。

これからの季節にもフィットする1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Daylight」
オープニングはColdplayのカヴァー(Guy Berryman/Jon Buckland/Will Champion/Chris Martin作)。Coldplayのオリジナルはアルバム『A Rush of Blood to The Head』(2002年)に収録されています。最初はColdplayの曲だとわからないかもしれませんが、しばらくすると「Daylight」らしくなってきます。ジワジワと盛り上がってくる本曲はジャズ向きなのかもしれませんね。Taylorの鍵盤を盛り上げるHarish RaghavanとEric Harlandによるリズム隊の好サポートもいいですね。Coldplayのカヴァーを最初に持ってくるあたりに、本作におけるEigstiのねらいが見えてくるのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=HgjcRWMUkhA

「Magnolia」
Taylor Eigsti/Becca Stevens作。Becca Stevensをフィーチャーした1曲目。ミステリアスな美しさ持つ1曲に仕上がっています。Beccaが静と動のヴォーカルで曲全体の表情を豊かにしてくれます。Julian Lageのギターも気が利いていますね。
https://www.youtube.com/watch?v=3ktfwLMivUw

「The Art Teacher」
90年代後半から活躍する男性SSW、Rufus Wainwrightのカヴァーです。オリジナルは『Want Two』(2004年)に収録されています。僕の場合、デビュー作『Rufus Wainwright』は所有していますが、それ以降はフォローできていないアーティストです。今回初めてオリジナルを聴きましたが、本作の世界観にフィットした曲だと思います。ここでのTaylorはピアノ+フェンダー・ローズで、この美しいメロディを奏でます。

「The Water」
カナダ人女性SSW、Feistをカヴァー。Apple iPodのCMに登場していた女性SSWと説明するとわかりやすいかもしれませんね。オリジナルは『The Reminder』(2004年)に収録されています。Becca Stevensフィーチャーの2曲目。Beccaの参加を意識したセレクトだと思いますが、BeccaのヴォーカルとTaylorのリリカルなピアノ・タッチの絡みがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=vM_r0M2VB4I

「Pink Moon」
UKフォークのカルト・ヒーローNick Drakeのカヴァー。オリジナルは『Pink Moon』(1972年)に収録されています。オリジナルと同じく、ギターと鍵盤による音世界をTaylorとJulian Lageが奏でます。オリジナルをご存知の方はグッとくるカヴァーなのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=LD3N3AmUt5I

「Little Bird」
グラミー受賞もあるUK出身のSSW、Imogen Heapをカヴァー。オリジナルは『Ellipse』(2009年)に収録されています。Becca Stevensフィーチャーの3曲目。TaylorのローズとBeccaのヴォーカルが織り成す音世界は、シンプルながらも両者の魅力が際立ちます。進化形ジャズらしい演奏だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=nsV_TumGUAE

「Secreto」
バルセロナ出身のコンポーザー/ピアニストFederico Mompouの作品をカヴァー。Taylorの美しいピアノ独奏を楽しむ1曲です。

「Chaos」
USオルタナティヴ・ロック・バンドMutemathのカヴァー。オリジナルは『Mutemath』(2006年)に収録されています。Jazz The New Chapter好きの人向けの演奏ですね。Eric Harlandの"人力ドラムンベース"なドラムが炸裂します。

「Between the Bars」
その死後も根強い人気を持つUSシンガー・ソングライターElliott Smithをカヴァー。オリジナルは『Either/Or』(1997年)に収録されています。Becca Stevensフィーチャーの4曲目。このカヴァーはTaylorとBeccaの共演が見事にハマった感じですね。同時にElliott Smithのソングライティングの素晴らしさを再確認できます。進化形ジャズという雰囲気ではありませんが、Becca参加曲ではコレが一番好きかも?『Free Soul〜2010s Urban-Mellow Supreme』でもセレクトされていました。
https://www.youtube.com/watch?v=uU5y9Mocquw

「Speaking Song」
Taylor Eigsti作。アルバムで最も長尺の演奏です。Taylor、Harish、Ericによるトリオ演奏を心行くまで満喫できます。

「Midnight After Noon」
Taylor Eigsti/Becca Stevens作。Becca Stevensフィーチャーの5曲目。Daylightで始まったアルバムの最後はMidnightで締め括ってくれます。Becca Stevens好きの人には、グッとくる1曲であり、Taylorも随所で素敵なピアノタッチを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=QAw6kTAs5Fk

Taylor Eigstiの他作品や彼の参加作品もチェックを!

『Resonance』(2003年)
Resonance

『Lucky to Be Me』(2006年)
Lucky to Be Me

『Let It Come to You』(2008年)
Let It Come to You

Julian Lage『Sounding Point』(2009年)
Sounding Point

Gretchen Parlato『The Lost And Found』(2011年)
Lost & Found

Kendrick Scott『Conviction』(2013年)
コンヴィクション
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