発表年:2014年
ez的ジャンル:Black Radio系フレンチ女性ネオソウル
気分は... :行き着くところはJTNC・・・
今回は新作の中から、フランスのキュートな新星Hyleen Gilのデビュー・アルバム『U & I』です。
Hyleen Gilは現在(多分)21歳のフランス人女性シンガー/ギタリスト/コンポーザー。
フランス人プロデューサーGOTTA(Philippe Arcostanzo)に見出され、彼のプロデュースで2012年にデビューEP『Welcome』をリリースします。さらにはHyleen Gil & GOTTA名義のEP『Elusive』をリリースし、特にDaft Punkによる2013年の大ヒット・アンセム「Get Lucky」のカヴァーが話題となりました。
Hyleen Gil版「Get Lucky」は、フリーソウルのコンピ『Free Soul〜2010s Urban-Mellow』にも収録され、日本でも話題になりました。
そして、彼女の注目度が高まる中でタイミング良くリリースされたのが、デビュー・アルバムとなる本作『U & I』です。
過去の2枚のEPと比較すると、サウンドが格段に進化しています。
まず注目すべきは、USソウル/ジャズ、UKソウルの影響下のフレンチ・ネオソウル作品であるという点です。アルバムには、UKソウルの重鎮Omar、実力派ネオソウル・シンガーFrank McCombといった当ブログでもお馴染みのR&Bシンガーや、ファンク界を代表するサックス奏者Maceo Parkerの甥(Melvin Parkerの息子)であるMarcus Parker(本来はドラマーですが本作ではラップで参加)がゲスト参加しています。
そしてゲスト陣以上に興味深いのが、Robert Glasperの衝撃作、『Black Radio』(2012年)との繋がりです。ボーナス・トラック以外の全曲にRobert Glasper Experimentの元メンバーであり、進化形ジャズを象徴するドラマーであるChris Daveが参加し、『Black Radio』的なドラムを叩き出しています。
さらには『Black Radio』のミックスを担当したQmillion、マスタリングを担当したChris Athensが、ミックス、マスタリングを手掛けています。ここまで来ると、『Black Radio』を意識していない訳はないですよね。
そうなると、本作も行き着くところはJazz The New Chapterなのでしょうか(笑)。悔しいけど、そうなりますよね。改めて、Jazz The New Chapterの視座・視点・視野に感心してしまいますね。
国内盤全13曲のうち、過去2枚のEPからのボーナス・トラック3曲、リード・シングル「Can You Love Me」のリミックス3曲、インタールード的な小曲2曲という構成で、ミニ・アルバムを無理矢理アルバムの体裁にした感も否めませんが、その分を割り引いてもかなり楽しめる1枚です。
Omar、Frank McCombあたりは、仮に『Black Radio 3』があるとすれば、客演して欲しいアーティストですよね。そんな『Black Radio 3』を妄想しながら聴くのも楽しいですよ!
Hyleen Gil『U & I』 (Teaser)
http://www.youtube.com/watch?v=E1smSzOn1uU
前述の「Get Lucky」とTotoのカヴァー「Georgy Porgy」以外はHyleen Gil/GOTTAのオリジナルです。全曲英語なので、"フレンチ"の部分を全く意識せずに聴くことができます。
Chris Daveの名前で反応する人や、Jazz The New Chapterへの関心が高い方は、ぜひチェックを!
全曲紹介しときやす。
「Can You Love Me」
Omarをフィーチャー。本作を象徴するネオソウル・チューンでアルバムは幕を開けます。Omarの雰囲気とよくマッチした曲調・サウンドですね。UKソウルの重鎮Omarを前に、堂々とヴォーカル&ラップを聴かせるHyleenの大物ぶりに惚れてしまいます。PVのRadio Editではカットされていますが、終盤のGOTTAのピアノとChris Daveのドラムなどは実に『Black Radio』的な雰囲気です。
http://www.youtube.com/watch?v=GPzundU-r78 ※Radio Edit
「Disgression I」
モロに『Black Radio』的な演奏がコレ。GOTTAのフェンダー・ローズはGlasperを意識したものですし、Chris Daveもそれに合わせてJ Dilla的ビートを叩き出します。ベースもDerrick Hodgeっぽいですし、Robert Glasper Experimentサウンドがココにあります。RGE好きの人が一番ハマるのはコレかも!
「Wake up Your Mind」
Frank McCombをフィーチャー。軽快なメロウネスが心地好い前半と幻想的な後半のコントラストが印象的です。キュートなHyleenの歌声に寄り添う、McCombのジェントル・ヴォーカルが実にいい感じです。
「Disgression II」
「Disgression」のパート2ですが、2分の強のインタールード的な仕上がりです。
「Music by Intravenous」
Marcus Parkerのラップをフィーチャー。ジャジー&メロウHip-Hop好きの人は気に入るであろう格好良い生音Hip-Hopです。ここでもChris Daveが進化形ドラマーらしいビートを聴かせてくれます。
「Disgression III」
前曲「Music by Intravenous」のリフレインといった感じです。
「I'm Your Trouble」
この曲のHyleenのヴォーカルは、まるでErykah Baduのように聴こえます。ドラムがChris Daveとくれば尚更ですね。
「Can You Love Me (Radio Edit)」
「Can You Love Me (Acoustic Mix)」
「Can You Love Me (Throwback GOTTA Remix)」
「Can You Love Me」のリミックス3曲。正直、オリジナル・ミックス以上の面白さはありませんでした。まぁ、ご愛嬌ということで。
「Get Lucky」
CDのボーナス・トラック。前述のように話題となったDaft Punkの大ヒット・アンセムのカヴァーです。元々はEP『Elusive』収録曲です。アルバム本編のような『Black Radio』的な雰囲気はありませんが、Hyleen Gilというアーティストのプリミティヴな魅力に触れることができます。
http://www.youtube.com/watch?v=N8g-vR1MOuU
ここから2曲は国内盤ボーナス・トラック。
「Just a Smile」
デビューEP『Welcome』収録曲。こちらはDavid Fingers Haynes(R&B好きの方はご存知なのでは)がドラムを叩いています。『Black Radio』的なエッセンス抜きにしても、Hyleen Gilがフレンチ・ネオソウルの新星であることを実感できる素晴らしい出来栄えです。
http://www.youtube.com/watch?v=JP2aBfZPiLM
「Georgy Porgy」
ラストはTotoの名曲カヴァー。『Elusive』収録曲です。シンプルなトラックをバックに、Hyleenが切々と歌います。本作の『Black Radio』的な展開を予感させる部分もあり、その前段階的な演奏が面白いですね。
サッカーU-19日本代表は、北朝鮮にPK戦で敗れて、4大会連続でU-20W杯の出場権を逃しましたね。アジア杯のU-21日本代表、先日のブラジル戦での代表初選出メンバーを見ても、国際舞台での経験値の違いは大きなハンデとなりますよね。大丈夫なのか日本サッカー?2022年W杯予選あたりがヤバいですね。