2014年10月30日

Savath & Savalas『Apropa't』

Prefuse 73の別プロジェクト。美しい音像が印象的な1枚☆Savath & Savalas『Apropa't』
Apropa’t
発表年:2004年
ez的ジャンル:音響系フォーキー
気分は... :音の美学・・・

Prefuse 73ことGuillermo Scott HerrenのプロジェクトSavath & Savalasの2ndアルバム『Apropa't』(2004年)です。

Guillermo Scott Herrenはマイアミ生まれ、アトランタ育ちのアメリカ人プロデューサー/クリエイター。

Prefuse 73名義をはじめ、Delarosa & AsoraAhmad SzaboPiano Overlordといった名義での活動や、Savath & SavalasDiamond Watch WristsSons of the Morning等のユニットで活動しています。

こうした様々な顔を持つScott Herrenですが、Savath & Savalasはアコースティック志向のユニットです。エレクトリック、オルタナティヴ・ヒップホップ色の強いPrefuse 73とは対照的なユニットです。

これまでSavath & Savalas名義では『Folk Songs for Trains, Trees and Honey』(2000年)、『Apropa't』(2004年)、『Golden Pollen』(2007年)、『La Llama』(2009年)といったアルバムをリリースしています。

2nd『Apropa't』ではEva Puyuelo Muns、4th『La Llama』(2009年)ではRoberto Carlos Langeをパートナーに迎えています。

本作『Apropa't』(2004年)は、拠点をアトランタから彼の父のルーツであるスペイン、バルセロナに拠点を移して制作されたアルバムです。そして、前述のように本作ではEva Puyuelo Munsをパートナーに迎えています。カタルーニャ人のEvaはバルセロナでのルームメイトであり、本職はグラフィックデザイナーだったようです。

また、本作ではScottとEvaがレコーディングした音源を、シカゴにあるJohn McEntireGastr Del SolThe Sea And Cake、Tortoise)所有のSomaスタジオへ持ち込み、友人のミュージシャンをゲストに迎え、McEntireと共にミックスを行い完成に漕ぎ着けています。

ゲストに迎えられたのはJohn McEntire(b、ds)以下、Town & CountryのJosh Abrams(b)、TortoiseのJohn Herndon(ds)、Poi Dog PonderingのPaul Mertens(bcla、flh、hrca)とDave Max Crawford(tp)という4名。

ScottとEvaのヴォーカルとギターによる音源を素材に、新たにサウンドを加えながらScottとJohn McEntireが拡がりと奥行のある音空間を創り上げた感じです。アコースティック志向のユニットといっても、アコースティック・サウンドが全面に出るというよりは、一音一音の響きを生かした音像のようなものを重視したサウンドが印象的です。

バルセロナでの刺激とシカゴ音響派との合体がSavath & Savalasサウンドを新たなステージへ引き上げています。

「Um Girassol Da Cor De Seu Cabelo」以外はGuillermo Scott HerrenEva Puyuelo Munsのオリジナルです。

美しい音像の数々を満喫しましょう。

全曲紹介しときやす。

「Introduccion」
アルバムのイントロ。

「Te Quiero Pero Por Otro Lado....」
アコースティックの響きと淡々としたEvaとScottのヴォーカルが印象的な美しい序盤から、サウンドが厚みを増し神秘的な音世界が展開されます。
http://www.youtube.com/watch?v=RRrx93Feb9Y

「Colores Sin Nombre」
フォーキー・サウンドとエレクトロニカな質感の融合したクール・サウンドとスパニッシュ・ヴォーカルの語感がよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=Kd1HahuT6hg

「Balcon Sin Flores」
Evaのヴォーカルによるシンプルで美しい前半と郷愁感を誘うサウンドが重なり合う中盤以降のコントラストが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=hlW2QIXg5KY

「A La Nit」
Evaのヴォーカル、ギターとハンドクラップによる前半から徐々にサウンドの厚みと奥行が増していきます。このあたりはJohn McEntireの手腕が光るのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=IcsrumMRBRc

「Zltimo Tren」
淡々としたEvaのヴォーカルはStereolabあたりにも通じるかもしれませんね。上手く表現できませんが、この雰囲気大好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=KwbrsYgqWo0

「Sol De Media Tarde」
ヨーロピアンな香りとコズミック感のあるフォーキー・サウンドによる音の広がりが魅力です。

「Um Girassol Da Cor De Seu Cabelo」
Lo Borges/Maricio Borges作。オリジナルは名盤Milton Nascimento & Lo Borges『Clube Da Esquina』(1972年)に収録されています。オリジナルの雰囲気を受け継ぎつつ、本作らしい奥行のあるサウンドで聴かせてくれます。

「Radio Llocs Espacials」
美しい音像が印象的な小曲。

「Dejame」
美しくも物悲しい雰囲気の音世界に惹かれます。メリハリのある構成で余韻のある終盤もいい感じです。

「?Por Que Ella Vino?」
ミステリアスなフォーキー・チューン。一筋縄ではいかない後半の展開がいいですね。

「Victima Belleza」
美しいヴォーカル・ワークを楽しむ前半と音像の拡がりを楽しむ後半とから構成されます。

「Interludio 44」
近未来的なインタールード。

「Sigue Tu Camino (No Sabes Amar...)」
Azita Youssefiのヴォーカルをフィーチャー。ゆったりと動く音像が印象的です。

国内盤にはボーナス・トラックとして「Cosmetics Pt.1」が追加収録されています。

Savath & Savalasの他作品もチェックを!

『Folk Songs for Trains, Trees and Honey』(2000年)
フォーク・ソングス・フォー・トレインズ、トゥリーズ&ハニー

『Golden Pollen』(2007年)
Golden Pollen [帯解説・ボーナストラック3曲収録 / 国内盤] (BRC180)

『La Llama』(2009年)
La Llama
posted by ez at 11:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする