2014年11月23日

Theophilus London『Vibes』

Kanye West、Leon Ware参加!話題の次世代ラッパーのスタイリッシュでフューチャリスティックな2nd☆Theophilus London『Vibes』
Vibes
発表年:2014年
ez的ジャンル:フューチャリスティック次世代Hip-Hop
気分は... :ジャケはKarl Lagerfeldです!

今回はKanye Westがエグゼクティヴ・プロデューサーを務めたことで話題の次世代ラッパーTheophilus Londonの2ndアルバム『Vibes』です。

Theophilus Londonは1987年トリニダード・トバゴ生まれ、N.Y.ブルックリン育ちのラッパー。

自主制作での作品リリースを続けた後、2011年にデビューEP『Lovers Holiday』と1stアルバム『Timez Are Weird These Days』をリリースしています。GAPのキャンペーンに登場するなど、モデルとしても活動しています。

当ブログで紹介した作品でいえば、次世代Hip-Hopをコンパイルした超強力コンピVarious Artists『LTYS-Listen To Your Soul』(2010年)、先日紹介したばかりのカリスマR&B/SoulシンガーJesse Boykins IIIの2ndアルバムカリスマR&B/Soulシンガー『Love Apparatus』(2014年)にTheophilus Londonが参加しています。

2ndとなる本作『Vibes』ですが、Kanye Westがエグゼクティヴ・プロデューサー、Leon Wareがクリエイティヴ・プロデューサーを務め、2人ともゲスト参加もしています。

Leon Wareについては、Theophilus London本人がLeon Wareの大ファンで、前作『Timez Are Weird These Days』のジャケはLeon Ware『Leon Ware(夜の恋人たち)』へのオマージュです。

ちなみに本作のジャケでは、巨匠ファッション・デザイナーKarl Lagerfeldがアート・ディレクターとフォトグラフィーを務めています。

さて肝心の中身ですが、エレクトリックなエッセンスを取り入れたフューチャリスティックかつスタイリッシュな次世代Hip-Hop作品に仕上がっています。

アルバムにはKanye WestLeon Ware以外に、Jesse Boykins III、フランス人女性シンガーSoko、Lightspeed Champion、Blood Orange名義の活動でも知られるUKの黒人ロック・シンガーDevonte Hynes、80〜90年代に活躍したUSのR&Bヴォーカル・グループForce M.D.'sが参加しています。

また、プロデュースはTheophilus London本人、Leon Ware、カナダのシンセ・ポップ・デュオNew LookのメンバーAdam Pavao、フランスのエレクトリック・ユニットClub Chevalと彼らと関連が深いBrodinski、お馴染みの売れっ子プロデューサー88-Keys、オーストラリア、ウィーン出身の注目プロデューサーCid Rim、ベルリンのHip-Hop/レゲエ系プロデューサーPierre Baigorryという国際色豊かな布陣となっています。

全体的にはフューチャリスティックなエレクトリックHip-Hopですが、80年代ニューウェイヴ/シンセ・ポップやダンスホール・レゲエ、70年代ソウル等のエッセンスが散りばめられているのもいいですね。

振り返ると、今年はあまり新作Hip-Hopをあまり紹介していませんでした。良い作品が無かったというよりも、『Jazz The New Chapter』あたりの影響で僕自身の関心が他ジャンルへ向かってしまい、Hip-Hop新作をあまりチェックできなかったというのが正直なところです。

そんな中で、Jesse Boykins III絡みで気になっていた本作を、CDショップであまり期待せずに試聴したのですが、"これぞ僕の求めていたエレクトリックHip-Hop"と思わず歓喜してしまいました。

個人的には、前述の次世代Hip-Hopコンピ『LTYS-Listen To Your Soul』(2010年)に、Hip-Hopの未来像を見た気がしていたのですが、同作の参加アーティストの一人であったTheophilus Londonが、このような素晴らしい作品を届けてくれたのは実に嬉しいですね。

久々に気に入ったHip-Hopです。

全曲紹介しときやす。

「Water Me」
Leon Ware参加。ミスター・メロウネスとフューチャリスティックなエレクトロ・サウンドの融合が、独自のフューチャリスティック・メロウ・ソウルを創り上げています。Leon Ware/Adam Pavaoプロデュース。僕はこのオープニングかなり気に入りました。
http://www.youtube.com/watch?v=eGvM6uLS6Xg

「Neu Law」
Adam Pavao/Theophilus Londonプロデュース。USの前衛ミュージシャンJohn Mausの「The Law」をカヴァー。こういったアーティストをカヴァーすること自体にTheophilus Londonのアヴァンギャルドなスピリットを感じます。適度にキャッチーなシンセ・ポップ感はAdam Pavaoの手腕ですかね。
http://www.youtube.com/watch?v=hyNFxYIRGDE

「Take And Look」
Adam Pavao/Theophilus Londonプロデュース。フランスのニューウェイヴ・バンドMartin Dupontの「Take And Look」(1984年)がベースになっています。1980年代のニューウェイヴ/シンセ・ポップのエッセンスを現代流に上手くアレンジしているのがいいですね。終盤は同じくフランス人アーティストFeadz「Welcome to Paris」をサンプリングしています。
http://www.youtube.com/watch?v=b8bsgnpFw8o

「Can't Stop」
Kanye Westをフィーチャーした話題曲。Club Cheval/Brodinski/88-Keysプロデュース。Norman Feels「You Can't Stop My Love」ネタを使ったエレクトロ&ソウルフルな仕上がりです。フューチャリスティックなエレクトロ・サウンドとレトロ・ソウルのエッセンスが違和感なく融合した哀愁チューンです。
http://www.youtube.com/watch?v=DxOsrdyepJI

「Get Me Right」
Cid Rim/Adam Pavaoプロデュース。僕の一番のお気に入り。フューチャリスティックでスタイリッシュなダンサブル・チューンは文句ナシに格好良いですね!無機質なフューチャリスティック感がたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=6RtNLXGKhzU

「Heartbreaker」
Adam Pavaoプロデュース。エレクトロ・モードで疾走するシンセ・ポップ調のダンサブル・チューン。妖しげなセクシーさにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=-P1cKzr6U6E

「Do Girls」
Cid Rimプロデュース。フューチャリスティックな雰囲気がいいですね。「Get Me Right」も含めてCid Rimの起用は、アルバムにアヴァンギャルドな雰囲気を加える意味で成功していますね。
http://www.youtube.com/watch?v=j7s4Id59LVs

「Tribe」
Jesse Boykins IIIをフィーチャーした本曲はリード・シングルにもなりました。Jesse Boykins IIIの参加は、彼の最新作『Love Apparatus』にゲスト参加したTheophilus Londonへの返礼といったところでしょうか。アルバムエレクトロなエッセンスを前面に打ち出したフューチャリスティックかつキャッチーなダンサブル・チューンに仕上がっています。Manu Dibango「Soul Makossa」ネタを使ったTheophilusの巧みなフロウが格好良いです。
http://www.youtube.com/watch?v=bsPhot91XpQ

「Smoke (Interlude)」
Adam Pavaoプロデュース。フランス人女性シンガーSokoをフィーチャー。アルバムに落ち着きを与えてくれる1曲です。

「Smoke Dancehall」
Pierre Baigorryプロデュース。Pierre Baigorry起用が頷けるダンスホール・レゲエのエッセンスを採り入れたエレクトリックHip-Hopに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=QnOZIAqVTgI

「Need Somebody」
Leon Ware参加の2曲目。Pierre Baigorryプロデュース。80年代シンセ・ポップへのオマージュを感じるキャッチーなシンセ・ポップという意外な仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=q--uVERWfKM

「Figure It Out」
ボーナス・トラック。Lightspeed Champion、Blood Orange名義の活動でも知られるUKの黒人ロック・シンガーDevonte Hynesと80〜90年代に活躍したUSのR&Bヴォーカル・グループForce M.D.'sをフィーチャー。Leon Wareプロデュースによる哀愁メロウ・ソウル調の仕上がりです。個人的にはForce M.D.'sの美しいコーラスワークを久々に聴けただけで感激です。Mase「What You Want」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=Ai_N-i-Xg04

『Timez Are Weird These Days』(2011年)
Timez Are Weird These Days
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2014年11月22日

Jay.Keyz『Lover's Race』

スウィートなハワイアン・レゲエ作品☆Jay.Keyz『Lover's Race』
Lover's Race
発表年:2011年
ez的ジャンル:ラヴァーズ系ハワイアン・レゲエ
気分は... :マスクを外せ!

今回はスウィートなハワイアン・レゲエ作品Jay.Keyz『Lover's Race』(2011年)です。

今年は例年になくレゲエを聴くことが多いですね。Maxi Priestの新作を紹介したくらいですからね。CDショップのレゲエ・コーナーをチェックする頻度も多いし、僕のカラダが生理的にレゲエのリズムを欲しているのでしょう。

Jay.Keyzはハワイ、オアフ島の出身の男性シンガー・ソングライター/プロデューサー。レゲエ・バンドHot Rainのキーボード奏者でもあります。

そんなJay.Keyzのソロ・アルバム『Lover's Race』。発売から数年が経過していますが、僕は遅まきながら最近本作の存在を知り、愛聴している次第です。

ハワイらしいアイランド・モードのメロウ・サウンドと、スウィートかつR&Bテイストも備えたJay.Keyzのヴォーカルがレゲエ・リズムと相俟って、極上のハワイアン・レゲエを聴かせてくれます。

「I Just Want to Hang Around You」George Benson)、「Nothing But Love」(Peter Tosh)、「Heaven Must Be Like This」Ohio Players
)、「God is Love」Marvin Gaye)の4曲以外はJay.Keyzのオリジナルです。

ラヴァーズ好きの方はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「I Just Want to Hang Around You」
オススメその1。オープニングはGeorge Bensonのカヴァー(Michael Sembello/Danny Sembello/John Sembello/Cruz Ba Sembello作)。オリジナルはアルバム『20/20』(1985年)に収録されています。オリジナルを知らない人でもグッとくるメロウネスを持った極上ラヴァーズに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=xNtupM1Dq_M

「Show Me」
オススメその2。ハワイアンAORあたりと一緒に聴いてもフィットするアイランド・レゲエです。サンセット・モードになりたい方にオススメです。
http://www.youtube.com/watch?v=qViQmmWTlYE

「Still In Love」
オススメその3。メロウ・ソウル的な味わいの仕上がり。Jay.Keyzのスウィートな歌声が実にいいですね。コーラスワークもいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=LOUUSVohMHQ

「Come & Get Some Lovin'」
オススメその4。以前に紹介したThe Oldiansのようなジャマイカン・ジャズ的なエッセンスも感じれる小気味良い仕上がり。ただし、ギター・ソロの味わいあたりはハワイらしいかもしれませんね。ラストはR&B調で締め括ってくれる柔軟さもいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=rVYFJmeqa2Q

「Nothing But Love」
オススメその5。Jah-PrincessをフィーチャーしたPeter Toshのカヴァー(Freddie Harris/Ella Mitchell作)。『Wanted Dread And Alive』(1981年)に収録されているPeter ToshのオリジナルはGwen Guthrieとのデュエットでした。オリジナルの雰囲気を受け継ぎつつ、よりスウィートに仕上げています。
http://www.youtube.com/watch?v=bd-h8Uvhdn8

オリジナルも名曲だと思うのでチェックしてみてください。
Peter Tosh & Gwen Guthrie「Nothing But Love」
 https://www.youtube.com/watch?v=uidl2Qlflgw

「She Used to Love Me」
甘く切ない歌声が胸を締め付けます。過ぎ去った夏の思い出を懐かしむ・・・といった気分の曲ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=tCqUqyW6USY

「Lover's Race」
タイトル曲はR&Bテイストの哀愁のメロディとレゲエ・リズムが融合したJay.Keyzらしい1曲に仕上がっているのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=o0JClGXBb3g

「Heaven Must Be Like This」
Ohio Playersのカヴァー(James "Diamond" Williams/Clarence Satchell/Leroy "Sugarfoot" Bonner作)。オリジナルは『Skin Tight』(1974年)に収録されています。ソウルフルな仕上がりです。オリジナルと聴き比べるのも楽しいのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=3GxM0voXm4s

「Polynesian Queen」
オススメその6。素敵なア・カペラ・コーラスと共に始まる極上ラヴァーズ。AOR好きの人あたりが聴いてもグッときそうな大人のアーバン・メロウ感があります。
http://www.youtube.com/watch?v=r-UOMP6aEuI

「Don't Let the Sun Go Down」
オススメその7。Kristie Chingをフィーチャー。素敵なラヴァーズ・デュエット。二人だけのサンセット・モード気分の方はぜひ!
http://www.youtube.com/watch?v=zBw-5PcK1bg

「God is Love」
Marvin Gaye/Anna Gordy Gaye/James Nyx/Elgie Stover作。名作『What's Going On』(1971年)に収録のアノ曲を見事にレゲエ・カヴァーしています。これはこれでなかなか新鮮な印象を受けます。
http://www.youtube.com/watch?v=8OpqVaYF6ok

「Lover's Race」
タイトル曲の別ヴァージョン。ハワイで最も勢いのある若手レゲエ・シンガーJ Boogをフィーチャー。噂のシンガーJ Boogの歌声を堪能しましょう。
http://www.youtube.com/watch?v=42XM7ZkqqD0

ご興味がある方はJ. Boogあたりもチェックしてみては?

J. Boog『Back Yard Boogie』(2011年)
Back Yard Boogie
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2014年11月21日

Grupo Manifesto『Grupo Manifesto No.2』

ブラジル独自のアコースティック・サウンド回帰を目指して集まった音楽集団☆Grupo Manifesto『Grupo Manifesto No.2』
NO.2 ヌメロ・ドイス
発表年:1968年
ez的ジャンル:アコースティック回帰系ボサノヴァ/ジャズ・サンバ
気分は... :ジャケ買い大正解!

今回は60年代ブラジル作品からGrupo Manifesto『Grupo Manifesto No.2』(1968年)です。

Grupo Manifestoは、ボサノヴァなどのアコースティックなスタイルの演奏が衰退しはじめた1960年代後半に、ブラジル独自のアコースティック・サウンドへの回帰を目指して集まった音楽集団。

メンバーはFernando LeporaceAmaury TristaoGutemberg GuarabyraMariozinho RochaGuto Graca Meloというコンポーザー陣と、Gracinha LeporaceAugusto Cesar PinheiroJose Renato FilhoLucelenaJunaldoといったヴォーカル陣から成ります。

メンバーのうち、Gracinha Leporaceは、後にBossa Rioのメンバーとなり、さらにはa href="http://eastzono.seesaa.net/article/233458310.html">Sergio Mendes & Brasil '66、Sergio Mendes & Brasil '77にも参加しています。また、プライベートでもSergio Mendesと結婚することになります。

それ以外のメンバーでいえば、Lucelenaはフォーク・デュオLuli & LucinhaのLucinhaとして活動することになります。

Grupo Manifestoに話を戻すと、グループは『Manifesto Musical』(1967年)、『Grupo Manifesto No.2』(1968年)といったアルバムをリリースしています。

2ndアルバムとなる本作『Grupo Manifesto No.2』(1968年)では、Oscar Castro-Nevesがアレンジを手掛け、Durval Ferreiraがプロデュースしています。

アコースティック・サウンド回帰ということで古臭いイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、今聴いても新鮮な印象を受ける普遍的な魅力を持った1枚だと思います。Oscar Castro-Nevesによるアレンジが冴えているのと、曲によってリード・ヴォーカルが代わるので、アルバム全体のメリハリが効いている点が気に入っています。

僕の場合、音も聴かずにジャケが気に入って、ジャケ買いしたアルバムだったのですが大正解でした!

ボサノヴァやジャズ・サンバ好きの人はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Maria Redentora」
Mariozinho Rocha作。LucelenaとJunaldoがリード・ヴォーカルをとるオープニング。軽妙かつノスタルジックな雰囲気でリラックスさせてくれます。

「Diferenca」
オススメその1。Amaury Tristao/Mariozinho Rocha作。Gracinhaと作者Amauryがリード・ヴォーカル。アフロ・サンバとボサノヴァのリズムを交互に配した素敵なアコースティック・メロウに仕上がっています。

「Pra Que Brigar」
Wolmar Carneiro/Mariozinho Rocha作。Junaldoがリード・ヴォーカルをとるサンバ・グルーヴ。肩ひじ張らないサンバ・チューンといった感じがいいですね。

「Hoje E Domingo」
Fernando Leporace/Mariozinho Rocha作。透明感のあるアコースティック・サウンドとコーラスワークが印象的です。

「Quem Vem La」
オススメその2。Amaury Tristao/Joao Medeiros Filho作。パーカッシヴなボッサ・リズムとサウダージ感覚たっぷりのコーラスワークが実にいいですね。

「Bloco da Vida」
オススメその3。Guarabyra/Capinan作。Lucelenaがリード・ヴォーカルをとるノルデスチ調の仕上がり。ミステリアスな魅力があります。
http://www.youtube.com/watch?v=61HCdJJyoOo

「So」
Amaury Tristao/Mario Telles作。美しいストリングスとピアノを配したボッサ・サウンドをバックに、Lucelenaが哀愁ヴォーカルでしっとりと歌い上げます。

「Garoto Paissandu」
Mariozinho Rocha作。後にDoris Monteiroも取り上げた楽曲。ここではJunaldoが溌剌としたヴォーカルを聴かせてくてます。

「Sem Dor」
オススメその4。Fernando Leporace作。Lucelenaがリード・ヴォーカルをとる爽快ジャズ・サンバ。男性コーラスもいい感じです。

「Minha Decisao」
オススメその5。Amaury Tristao/Joao Medeiros Filho作。Junaldoがリード・ヴォーカルをとる軽快なジャズ・サンバ。ヴォーカルものジャズ・サンバがお好きな人であれば間違いない1曲。

「Marianinha」
Fernando Leporace作。ラストは美しいアコースティック・バラードをGracinhaがしっとりと歌い上げます。

1st『Manifesto Musical』(1967年)もご一緒にチェックを!

『Manifesto Musical』(1967年)
MANIFESTO MUSICAL マニフェスト・ムジカル
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2014年11月19日

The Wild Magnolias With The New Orleans Project『The Wild Magnolias』

Bo Dollis率いるマルディグラ・インディアンによるファンク作品☆The Wild Magnolias『The Wild Magnolias』
ワイルド・マグノリアス・ファースト
発表年:1974年
ez的ジャンル:マルディグラ・インディアン系ニューオーリンズ・ファンク
気分は... :素敵な選択肢?

ニューオーリンズのマルディグラ・インディアンのバンドThe Wild Magnoliasの1stアルバム『The Wild Magnolias』(1974年)です。

The Wild Magnoliasは、ニューオーリンズのマルディグラ・インディアンの部族であるWild Magnoliasのビッグ・チーフ(酋長)であったTheodore "Bo" Dollisと彼の幼馴染みでThe Golden Eaglesのビッグ・チーフであったMonk Boudreauxを中心に結成されたファンク・グループ。

グループは『The Wild Magnolias 』(1974年)、『They Call Us Wild』(1975年)、『I'm Back...at Carnival Time』(1988年)、『1313 Hoodoo St.』(1996年)、『Life is a Carnival』(1999年)、『30 Years and Still Wild』(2002年)といったアルバムをリリースしています。

マルディグラ・インディアンの伝統的な演奏とファンクを融合させたサウンドで注目されたグループであり、本作『The Wild Magnolias 』(1974年)と『They Call Us Wild』(1975年)は、レア・グループの人気作品です。

本作におけるメンバーは、Theodore "Bo" DollisMonk BoudreauxJune Johnson, Jr.Crip AdamsGate JohnsonBubba ScottJames Smothers。また、スペシャル・ゲストとしてNorwood Johnson(bass drum)の名がクレジットされています。

さらに、The New Orleans Projectとして、アレンジを手掛けたWilly Tee(key、per、back vo)をはじめ、、Earl Turbinton, Jr.(alto clarinet)、Julius Farmer(b)、Snooks Eaglin(g)、Larry Panna(ds)、Alfred Roberts(conga)がバックを務めています。

リード・ヴォーカルBo Dollisとバック・ヴォーカル陣の掛け合い、Willy Teeを中心とした重くうねるファンキー・サウンドが一体となって独自のニューオーリンズ・ファンクを聴かせてくれます。個人的にはベースラインの格好良さにシビれてしまいます。

一度聴いたら病みつきになるファンキー・グルーヴを堪能しましょう。

全曲紹介しときやす。

「Handa Wanda」
パーカッシヴ・リズムにファンキーなワウワウギター、印象的なベースラインが絡むグルーヴィーなオープニング。ニューオリンズ・ファンクらしい悶絶グルーヴを存分に堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=jv1Xi8KscXc

「Smoke My Peace Pipe (Smoke It Right)」
クラヴィネット、トークボックス、サックスを効果的に配したファンキー・グルーヴ。シングルにもなりました。馬力のありそうなグルーヴがたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=oPKmBRoDGfM

「Two Way Pak E Way」
Bo Dollisらの呪術的なヴォーカルと繰り返されるベースラインにヤラれるファンキー・チューン。ファンキーなギターが絡む終盤のテンションはかなり高いです。
http://www.youtube.com/watch?v=7LjVugC8TU4

「Corey Died On The Battlefield」
僕の一番のお気に入り。印象的なベースラインが牽引する重く引きずるグルーヴには中毒的な魅力があります。トークボックス使いも僕好み。
http://www.youtube.com/watch?v=m5d4XjqOvU8

印象的なベースラインは、3rd Bass「3 Strikes 5000」、Geto Boys「Gota Let Your Nuts Hang」、Double XX Posse「Put Ya Boots On」、Top Quality「Check the Credentials」といった楽曲のサンプリング・ソースとなっています。

「(Somebody Got) Soul, Soul, Soul」
『Ultimate Breaks & Beats』シリーズにも収録されたレア・グルーヴ人気曲。ドラム・ブレイク、Bo Dollisとバック・コーラスの掛け合い、ファンキーでアッパーなグルーヴ感、どこを取っても格好良い魅力に溢れています。
http://www.youtube.com/watch?v=DMmf9UQ6WPg

本曲はSchoolly D「Saturday Night」、Coldcut「Beats & Pieces」、J.J. Fad「Let's Get Hyped」Boogie Down Productions「The Homeless」、DJ Q-Bert「Track 10」等のサンプリング・ソースとなっています。

「Saints」
ディキシーランド・ジャズ・スタンダード「When The Saints Go Marching In(聖者の行進)」のファンキー・リメイク。お馴染みのこの曲がこんなにファンキーに生まれ変わるなんて感動的です。
http://www.youtube.com/watch?v=7ohUDhIFndg

以下の5曲はCDのボーナス・トラック。

「Meet The Boys On The Battlefront」
The Wild Tchoupitoulasもレコーディングしていたトラディショナルのカヴァー。リラックスした雰囲気がいいですね。

「Ho Na Nae」
ボーナス・トラックの中ではコレが一番格好良いですね。重くうねるベースラインを中心とした推進力のあるファンキー・グルーヴで突っ走ります。
http://www.youtube.com/watch?v=Qlp6sy4lFRs

「Golden Crown」
マルディグラ・インディアンの伝統色が強いトラディショナル。彼らのルーツを確認できます。
http://www.youtube.com/watch?v=jbrpWh7_Wg8

「Shoo Fly」
この曲ではMonk Boudreauxがリード・ヴォーカルをとっています。アーシーなファンキー・グルーヴで盛り上げてくれます。

「Iko Iko」
お馴染みのニューオーリンズ・トラディショナル。リラックスしたファンキー・カヴァーに仕上がっています。

The Wild Magnoliasの他作品もチェックを!

『They Call Us Wild』(1975年)
ゼイ・コール・アス・ワイルド

『Life is a Carnival』(1999年)
Life Is a Carnival

同じくニューオーリンズのマルディグラ・インディアンのバンドThe Wild Tchoupitoulasのアルバム『The Wild Tchoupitoulas』(1976年)もチェックしてみては?The Meters、Neville Brothersのメンバーが参加しています。

The Wild Tchoupitoulas『The Wild Tchoupitoulas』(1976年)
Wild Tchoupitoulas
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2014年11月17日

Mary Davis『Separate Ways』

元The S.O.S. Bandの歌姫によるソロ・アルバム☆Mary Davis『Separate Ways』
セパレート・ウェイズ+4
発表年:1990年
ez的ジャンル:Tabu Records系女性R&B
気分は... :スープは適切な温度で!

今回は元The S.O.S. Bandの女性ヴォーカリストMary Davisのソロ・アルバム『Separate Ways』(1990年)です。

昨年、再発CDが発売され、入手しやすくなった1枚です。

当ブログでは彼女の在籍時代のThe S.O.S. Band作品として以下の4枚を紹介済みです。

 『Too』(1981年)
 『On the Rise』(1983年)
 『Just the Way You Like It』(1984年)
 『Sands of Time』(1986年)

上記4枚のうち、Jimmy Jam & Terry Lewis(Jam & Lewis)が大きく関与した『On the Rise』『Just the Way You Like It』『Sands of Time』という3枚のアルバムは、僕がブラック・ミュージックへ傾倒するきっかけを作ってくれたアルバムであり、個人的な思い入れが強い作品群です。

それらの作品で魅力的なヴォーカルを聴かせてくれていたのがMary Davisであり、僕の中では特別な存在の女性ヴォーカリストでした。そのため、MaryはがThe S.O.S. Bandから脱退したことを知ったときは、かなりショックでしたね。

実際、Mary脱退後のThe S.O.S. Bandのアルバム『Diamonds in the Raw』(1989年)を聴き、寂しい思いをした記憶があります。まぁ、Maryの不在以上にJam & Lewisの不在が大きい部分もありましたが・・・

そんな状況であったため、その翌年に輸入CDショップでMary Davisのソロ・アルバム『Separate Ways』を見つけた時には歓喜しましたね。

制作にJam & Lewisが関わっていたわけではありませんでしたが、Tabu Recordsからのリリースであり、The S.O.S. Band時代を彷彿させる楽曲もあり、思わずニンマリしながら本作を聴いていました。当時はそれほど話題にもならず、密かなお気に入り作品としてリアルタイムで愛聴していました。

プロデュースを務めたのはL.A. Ried & BabyfaceDe'rock(Daryl Simmons)/KayoBernard Terryなどです。KayoことKevin RobersonはL.A. Ried & Babyfaceも在籍していたグループThe Deeleのメンバーです。

アルバムにはPebblesAfter 7Babyfaceの兄Kevon Edmondsらが在籍)、先に挙げたDe'rock(Daryl Simmons)/Kayoも含めてL.A. Ried & Babyface関連のアーティスト/プロデューサーの参加が目立ちます。

S.O.S. BandJam & Lewisの幻想を求めすぎるのは、Mary Davis自身の本意ではないと思いますが、どうしてもそういった音を求めてしまうし、そこに本作の魅力があるのも確かだと思います。

今、冷静に聴けばB級な作品かもしれませんが、個人的には思い入れの強い1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Don't Wear It Out」
オススメその1。L.A. Ried & Babyface、Pebblesプロデュース。アルバムからのリード・シングル。BabyfaceとPebblesがバック・コーラスも務めています。この時代らしいハネハネの音ですが、S.O.S. BandがMary在籍のままJam & Lewisプロデュースでこの時期に作品をリリースしていたら、こんな感じだったのだろうなぁ、とイメージしてしまうオープニングです。
http://www.youtube.com/watch?v=3snuIgeMR6Y

「Baby, Baby (You Ain't Treatin' Me Right)」
オススメその2。Bernard Terryプロデュース。この曲もハネてます。なかなかキャッチーな仕上がりで、この時代の音が好きな人であれば、硬質なダンサブル・サウンドを気に入るはず!
http://www.youtube.com/watch?v=wmizUX-jDkU

「Separate Ways」
オススメその3。Bernard Terryプロデュース。本作のハイライトといえば、この素敵なスロウでしょうね。個人的にも青春の1ページを綴った思い出の1曲です。う〜ん、この切ないメロディとMaryのヴォーカルを聴くと、涙腺がウルウルしてきます。Jam & Lewisプロデュース時代のS.O.S. Bandを彷彿させるイントロを聴いただけで胸キュンです(笑)。
http://www.youtube.com/watch?v=Smqe09uJD2w

「I'm Gonna Love You Better」
Howie Rice/Bernard Terryプロデュース。本作以前の1987年にリリースされていたシングル「Steppin' Out」のB面曲。曲調自体はS.O.S. Bandの『Sands of Time』あたりの雰囲気に近いですね。

「I Get Nervous」
De'rock(Daryl Simmons)/Kayoプロデュース。Babyfaceの兄Kevon Edmondsらが在籍していた男性R&BグループAfter 7がバック・コーラスを務めています。また、人気キーボード奏者Jeff Lorberも参加しています。いかにも90年代なサウンドはいささか陳腐ですが、それでも90年代好きには捨て難い魅力があるのも確かです。
http://www.youtube.com/watch?v=zRkrCz8nqC4

「I Wanna Be Sure」
オススメその4。Royal Bayyan/Bernard Terryプロデュース。このロマンティックなスロウも大好きです。Mary Davisのヴォーカルも実にキュートです。
http://www.youtube.com/watch?v=wEr7EDU6jC0

「Some Kind Of Lover」
オススメその5。John Lee/Bernard Terryプロデュース。この曲もハネハネしています。今聴くと本作のハネ系楽曲は好き/嫌いがはっきり分かれますが、本曲は好きなタイプです。
http://www.youtube.com/watch?v=RzRznFjrjik

「Have You Been Loved?」
オススメその6。De'rock(Daryl Simmons)/Kayoプロデュース。クールなダンサブル・サウンドはJam & Lewisプロデュース時代のS.O.S. Bandを彷彿させます。
http://www.youtube.com/watch?v=f9FsfiDiO6o

「Sweet Obsession」
John Lee/Bernard Terry/John Johnsonプロデュース。ラストはハネまくって締め括ってくれます。バック・コーラスでCashflowのSimuel Overallが参加しています。

ちなみに1994年にMaryはThe S.O.S. Bandに復帰しています。

The S.O.S. Band時代の過去記事もご参照下さい。

『Too』(1981年)
Too

『On the Rise』(1983年)
On the Rise

『Just the Way You Like It』(1984年)
ジャスト・ザ・ウェイ・ユー・ライク・イット+4

『Sands of Time』(1986年)
サンズ・オブ・タイム+4
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