2014年11月16日

GoGo Penguin『V2.0』

マンチェスターから世界に発信する新世代ジャズ・ピアノ・トリオ☆GoGo Penguin『V2.0』
V2.0
発表年:2014年
ez的ジャンル:新世代UKジャズ・ピアノ・トリオ
気分は... :冬ジャズ!

今回は新作ジャズ作品から話題の新世代ジャズ・トリオGoGo Penguinの2ndアルバム『V2.0』です。

本当は9月のJazz The New Chapter(JTNC)強化月間に紹介したかったのですが、その枠から漏れて紹介するタイミングを逸していた作品です。

音的には夏のジャズというよりは、冬のジャズといった趣なので、その意味ではこの季節に紹介するのが良いのも?

GoGo Penguinはイギリス、マンチェスターで結成されたジャズ・トリオ。メンバーはChris Illingworth(p)、Nick Blacka(b)、Rob Turner(ds)の3名。

2012年にデビュー・アルバム『Fanfares』をリリース。、RadioheadSquarepusherMassive Attack等を聴いて育ってきた新世代による独自のジャズ・サウンドは、Gilles Petersonからも大絶賛され、その名をシーンに轟かせました。

また、革新的なジャズ・ピアノ・トリオという観点では、2008年のEsbjorn Svenssonの死により、その歴史に幕を閉じたE.S.T.Esbjorn Svensson Trio)の後継的なポジションのグループとしても注目されています。

最新作『V2.0』は、『Jazz The New Chapter 2』でも紹介されていた作品ですね。

USのエリート・ジャズ・ミュージシャンはやらない、UKの若手ならではのジャズ・サウンドといった感じですね。先にも書いたように、夏ではなく冬のジャズといった雰囲気がUKらしいと思います。

すべて3人のみのトリオ演奏でオール・インストです。
楽曲もすべて彼らのオリジナルです。

こういったSquarepusher経由のサウンドは、普段あまりジャズを聴かないクラブミュージック好きの人あたりには受けがいいと思います。その一方で、コンテンポラリー・ジャズのコアなリスナーの方は、どのように受け止めるのですかね。

プロデュースはBrendan WilliamsJoseph Reiser

『Jazz The New Chapter』によれば、J Dillaは進化形ジャズを理解する必須科目ですが、本作を聴くとSquarepusherあたりもそうなんじゃないかなと思えてきます。

UK新世代によるジャズ・サウンドは美しくもあり、刺激的でもあります!

全曲紹介しときやす。

「Murmuration」
この美しくも何処か儚い雰囲気のヒンヤリ感はRadioheadを聴いて育ってきたUK発の若手ジャズ・トリオって感じですね。
http://www.youtube.com/watch?v=GFoJli7qRdc

「Garden Dog Barbecue」
本曲をアルバムのハイライトに挙げる人は多いのでは?Squarepusherを通過してきた進化形ドラミングを堪能できる新世代ジャズらしい演奏です。終盤の盛り上げもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=6YE20EV1W-g

「Kamaloka」
人力ドラムンベースなドラムと美しいピアノ響きが織り成す、スノー・モードな躍動感がたまりません。寒い季節が似合う演奏だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=REwNxxd1qgI

「Fort」
鍵盤の美しい響きと、それを下支えする小刻みなドラミングとベースのサウンドのミキシング・バランスが絶妙ですね。このユニットのユニークさを堪能できる演奏です。
http://www.youtube.com/watch?v=RPnQXLq8w_Q

「One Percent」
トリオの息の合った美しい疾走感が実に心地好いですね。UKの若い世代だからこそのサウンドですね。

「Home」
さり気ない演奏ですが大好きです。冬のピアノ・ジャズって感じがたまりません。Nick Blackaのベースの存在感がいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=bYxVjy6R9KQ

「The Letter」
Chris Illingworthのピアノを中心とした厳粛な演奏です。

「To Drown In You」
進化形ジャズの肝はドラムに有り!と再確認させてくれる演奏です。そんなRob Turnerのドラムが先導する音空間を、ピアノとベースが埋めていきますが、余白をうまく使っている感じがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=IgOyFzAAYNA

「Shock And Awe」
ピアノを中心としたダークなアンビエント・ミュージック。
http://www.youtube.com/watch?v=ZVTyOp2GTv8

「Hopopono」
ラストは美しくも若々しい新世代ユニットらしい演奏で締め括ってくれます。ビューティフル!
http://www.youtube.com/watch?v=-UtAV_azaBc

1stアルバム『Fanfares』(2012年)もチェックを!

『Fanfares』(2012年)
FANFARES
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2014年11月15日

Curtis Harding『Soul Power』

注目の男性黒人ソウル・シンガー/ギタリストのデビュー作☆Curtis Harding『Soul Power』
Soul Power
発表年:2014年
ez的ジャンル:ヴィンテージ系ガレージ・ソウル
気分は... :さぁ、カタチにしよう!

今回は新作アルバムから注目の黒人シンガーソングライター/ギタリストのデビュー・アルバム『Soul Power』です。発売から半年が経ちますが、今でもCDショップでバイヤーイチオシ印がついている作品ですね。

夏前には購入していたアルバムでしたが、何故か購入するタイミングを逸していました。遅まきながら取り上げたいと思います。

Curtis Hardingは1979年デトロイト生まれの黒人シンガーソングライター/ギタリスト。

拠点をアトランタへと移し、Cee Lo Greenのバックも務めたことがあるようです。また、Black LipsNight Beatsといったロック・バンドのメンバーと結成したユニットNight Sunのヴォーカルも務めています。

その後、イヴ・サンローランのクリエイティブ・ディレクターHedi Slimaneに気に入られ、かつてDaft PunkBeck HansenMarilyn Mansonも選出されたSaint Laurent Music Projectにフィーチャーされ、デビュー曲「Next Time」の映像をHedi Slimane自身が手掛けました。

そんな流れで本作のジャケ写真もHedi Slimaneが撮ったものです。

肝心のサウンドですが、60年代ソウル・サウンドとガレージ・ロックが融合したブルージーなロック/ソウル作品です。決して目新しいサウンドではありませんが、ジャケ写真同様に底知れぬエナジーを感じます。

最近、ロックをあまり聴かなくなった僕にとっては、ロック・フィーリング溢れるアルバムとして重宝しています。

全曲Curtis Hardingのオリジナルです(共作含む)。

全曲紹介しときやす。

「Next Time」
前述のようにSaint Laurent Music Projectでフィーチャーされたデビュー曲。ブルージーな雰囲気に包まれたR&Bチューンです。Curtisの哀愁モードのヴォーカルとヴィンテージ感のあるサウンドがよくマッチしています。Hedi Slimaneが手掛けたPVには新進モデルのGrace Hartzelが出演し、Curtis自身もサンローランのジャケットとジーンズに身を包み、演奏しています。
http://www.youtube.com/watch?v=nGHfvjmUkfI

「Castaway」
Curtisのルーツにゴスペルがあることを強く感じる、ブルージー・フォーキー・ゴスペルといった趣の仕上がり。シブいですな。
http://www.youtube.com/watch?v=bE1Zld6ba1k

「Keep On Shining」
シングルにもなったヴィンテージ感のあるダンサブル・チューン。躍動するR&Bサウンドと共に疾走します。
http://www.youtube.com/watch?v=Qi6HgHgISws

「Freedom」
哀愁モードのブルージー・サウンドにグッときます。セピア色が良く似合う仕上り。

「Surf」
僕の一番のお気に入り。Night Sunの仲間であるThe Black LipsのCole Alexanderをフィーチャーしたガレージ感覚溢れるロッキン・チューン。ロッキン・ギターと共に Curtisのヴォーカルも躍動します。
http://www.youtube.com/watch?v=Auzf2UzWdKk

「I Don't Wanna Go Home」
The Black Lipsへの提供曲をリメイク。The Black Lipsヴァージョンはアルバム『Underneath The Rainbow』に収録されています。そのThe Black LipsのメンバーJared Swilleyをフィーチャーしています。フォーキーなフィーリングのガレージ・サウンドで疾走します。
http://www.youtube.com/watch?v=KXQ3H1UPckY

「Beautiful People」
味わい深いブルージー・ミディアム。このモノトーン感がいいですね。

「The Drive」
疾走するロッキン・ドラムとCurtisの哀愁ヴォーカル&ギター、物悲しげなトランペットのコントラストが印象的です。

「Heaven's On The Other Side」
Chicと60年代ソウルを融合させたようなディスコ調のダンサブルな仕上がり。アルバムの中では異色ですが僕好み。
http://www.youtube.com/watch?v=oLFjPETAexk

「Drive My Car」
タイトルからしてThe Beatlesの名曲カヴァーと思いきや同名異曲のオリジナルでした。The Beatlesというよりも、The Rolling Stonesタイプのブルージーなロック・チューンです。この曲もかなり僕好み!
http://www.youtube.com/watch?v=biDzZOZIUIc

「I Need A Friend」
ヴィンテージ感のある哀愁チューン。Curtisのソウル魂とロック・フィーリングがよく出た1曲に仕上がっています。

「Cruel World」
ラストはユルさと緊張感の同居するブルージー・ロックで締め括ってくれます。

たまにはロックも聴かないとね。
本作のようにブルージーなフィーリングのものが今の僕にはフィットするかなぁ・・・
とりあえずCD棚からThe Rolling Stonesを数枚手にしています。
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2014年11月14日

Chocolateclay『Chocolateclay』

マイアミ・ソウルの裏方デュオ☆Chocolateclay『Chocolateclay』
チョコレイトクレイ
発表年:1977年
ez的ジャンル:裏方デュオ系マイアミ・ソウル
気分は... :これで音質が良ければ・・・

今回はGeorge "Chocolate" PerryClay CropperのデュオChocolateclay唯一のアルバム『Chocolateclay』(1977年)です。レア・グルーヴ人気作ですね。

Chocolateclayは共にマイアミ・ソウル・シーンの裏方として活躍していた黒人ベース奏者George "Chocolate" Perry、白人キーボード奏者Clay Cropperのデュオ。

George "Chocolate" PerryはLittle BeaverTimmy ThomasGwen McCraeBetty Wright ‎‎、Milton WrightLatimore等マイアミ・ソウルの主要アーティストのレコーディングに数多く参加しています。

また、Raw Soul Express『Raw Soul Express』(1976年)、Bobby Caldwell『What You Won't Do For Love』(1978年)ではプロデュースでも関与しています。

一方のClay Cropperもキーボード奏者、ソングライターとして活躍すると同時に、Reid Inc.『Reid Inc.』(1977年)、George McCrae『George McCrae』(1978年)のプロデュースを手掛けています。

このようにマイアミ・ソウルを裏方で支えてきた2人が自ら主役となってリリースしたアルバムが本作『Chocolateclay』(1977年)です。

T.K. Records傘下のCatからリリースされた本作では、George "Chocolate" Perry(b)、Clay Cropper(g、key)以外に、Harold Seay(ds)、Joe "Smokey" Miller(sax)がレコーディングに参加しています。プロデュースはメンバー2人が務めています。

内容は小気味良いファンキー・チューンと爽快メロウが魅力の1枚に仕上がっています。前者の代表が「My Uncle Funky」「I Ain't Mad At You」「Sweet Mary」、後者の代表が「Free (I'll Always Be) 」「The Cream Is Rising To The Top」といったところです。

本作を聴いた殆どの方が「これで音質が良ければ・・・」と思うでしょうが、まぁそこは我慢して聴きましょう。

全曲紹介しときやす。

「My Uncle Funky」
タイトルの通りのファンキー・チューンでアルバムは幕を開けます。実にキャッチーで聴く者のハートを一発で掴みます。職人らしいツボを押さえた音づくりは流石です。
http://www.youtube.com/watch?v=NTNYVP6V-m8

「I Ain't Got Nuthin' To Say」
ファンキー・グルーヴで畳み掛けます。キレがあって小気味良い演奏がいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=BhnimYo1VRU

「I Ain't Mad At You」
George "Chocolate" Perryの格好良いベースが先導する重心の低いファンキー・チューン。キレのあるホーン・サウンドも含めて、彼らの音作りの巧みさに惹き込まれます。
http://www.youtube.com/watch?v=9ybHqypcDhc

「Free (I'll Always Be) 」
AOR〜フリーソウル好きもグッとくるであろう爽快メロウ・ソウル。マイアミ・ソウルらしい開放感が実に心地好いですね。フルートやサックスも盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=O8NrreQuxGw

「Two Different Worlds」
ファルセット・コーラス入りのメロウ・チューン。夏のBGMって感じですね。

「Sweet Mary」
カラっとしたファンキー・チューン。ここでもGeorge "Chocolate" Perryのベースがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=4ufsY3lqHjI

「The Cream Is Rising To The Top」
ヴォーカル・チューンという点では、この曲が一番キャッチーかも?美しいメロディと爽快ヴォーカルがよくマッチしています。

「Please Say You'll Come Again」
ラストはバラード。悪くはないけど、今本作を聴く人のニーズにはマッチしていないかも?

マイアミといえば、今日はNFL「ドルフィンズ対ビルズ」戦です。イルカ軍団は同地区で勝敗も並ぶビルズに勝利して、首位ペイトリオッツに差をつけられないようにして欲しいですね。
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2014年11月13日

Build An Ark『Peace With Every Step』

Carlos Ninoを中心としたL.A.スピリチュアル・ジャズ・プロジェクト☆Build An Ark『Peace With Every Step』
ピース・ウィズ・エヴリー・ステップ
発表年:2004年
ez的ジャンル:L.A.スピリチュアル・ジャズ・プロジェクト
気分は... :どこを切り取っても素晴らしい!

今回はL.A.のスピリチュアル・ジャズ・プロジェクトBuild An Arkの1stアルバム『Peace With Every Step』(2004年)です。

クラブジャズ/クロスオーヴァー方面から評価が高く、『Jazz The New Chapter』でも紹介されていた作品です。

Build An Arkは、US西海岸の奇才ミュージシャン/プロデューサーCarlos NinoやヴォーカリストのDwight Tribleを中心としたスピリチュアル・ジャズ・プロジェクト。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロがプロジェクト結成のきっかけとなったようです。

これまで『Peace With Every Step』(2004年)、『Dawn』(2007年)、『Love Part 1』(2009年)、『Love Part 2』(2010年)、『The Stars Are Singing Too』(2011年)といったアルバムをリリースしています。

1stアルバムとなる『Peace With Every Step』(2004年)には、Carlos Nino(prod)、Dwight Trible(vo)のほかに、70年代にTribeレコードを創設したトロンボーン奏者Phil Ranelin、70年代から活躍するキーボード奏者Nate Morgan、シカゴのジャズ・ファンク・バンドThe Pharaohsのオリジナル・メンバーDerf Reklaw(ds、per)、それ以外にDamon Aaron(g)、B+(photo)、Aran Lightner(ds、per)、Lesa Terry(violin)、Joshua Spiegelman(bamboo fl、fl)、Peter Harris(poetry)、Baba Alade(vo、g、b)、Andres Renteria(vo)、Trancey Hart(vo)、Gaby Hernandez(vo)、Bob Wisdom(vo)、Mark & Miles Maxwell(vo)、Debra PillJames Richards(prod)、Adam Rudolph(ds、per)という総勢20名のメンバーが参加しています。

アルバムにはPharoah Sandersのカヴァー2曲、Stanley Cowellのカヴァー、ヴァイオリン奏者Michael Whiteのカヴァーといったようにスピリチュアル・ジャズ好きには興味深いカヴァー演奏が収録されています。

それ以外にもジャズ/ジャズ・ファンクにインスパイアされた楽曲などもあり、興味が尽きない1枚に仕上がっています。

スピリチュアル・ジャズといっても、ソウルフルなヴォーカルやメロウなエレピの効いたキャッチーな演奏が多く、リズムもアフリカ、ラテン、ブラジルと多彩で、フォーキーな楽曲なども織り交ぜられており、1枚の中にかなりバラエティに富んだ音が詰まっていると思います。

国内盤ボーナス・トラックも含めて全20曲という大作なので、紹介するのを何度も躊躇してきたアルバムですが、3,000回を達成して気が緩まぬよう、気合いを入れて今回取り上げました。

聴き重ねるほど発見が多く、きっと10年後も名盤としてさらに評価が高まっているアルバムだと思います。

全曲紹介しときやす。

「You've Gotta Have Freedom」
オススメその1。クラブジャズ人気曲でもあるPharoah Sanders「You've Got To Have Freedom」のカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Journey To The One』(1980年)に収録されている。オリジナルとは一味違った疾走感が心地好いカヴァーです。Nate Morganのローズの音色がグッド!Joshua Spiegelmanのバス・クラリネットが効いています。
http://www.youtube.com/watch?v=IA190_qVcmQ

「Vibes From The Tribe」
オススメその2。Phil Ranelin作。Phil Ranelinが自身の楽曲を取り上げています。オリジナルは『Vibes From The Tribe』(1976年)に収録されています。トライバルでミステリアスでメロウ・・・僕の好きなエッセンスが詰まった演奏はサイコーです!Phil Ranelin自身のトロンボーンにも注目しましょう。

「Conversations」
Adam Rudolph作。浮遊するスピリチュアル感に支配されていきます。ハンド・ドラムとバンブー・フルートの神秘的なサウンドが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=HVLu20_8vRg

「Precious, Priceless」
Horace Silver「Que Pasa」にインスパイアされた楽曲にDwight Tribleが詞をつけています。僕の場合、「Que Pasa」のフレーズを聴くとどうしてもSteely Dan「Rikki Don't Lose That Number(リキの電話番号)」のイントロを思いだしてしまいますが(笑)。Dwight Tribleの哀愁ヴォーカルがジワジワと響いてくるスピリチュアル・ジャズです。
http://www.youtube.com/watch?v=ZXlysqUAQmA

「Love Is Our Nationality」
オススメその3。Funk Inc.「Let's Make Peace And Stop The War」にインスパイアされた楽曲。 Damon Aaronのギターが印象的なフォーキー・サウンドにのってFunk Inc.「Let's Make Peace And Stop The War」のあのフレーズがリフレインされます。それに続きPeter Harrisのポエトリーが歌われます。僕自身Funk Inc.「Let's Make Peace And Stop The War」が大好きなので、本曲もお気に入りです。
http://www.youtube.com/watch?v=3LbC3UP-6Wo

「Pure Imagination/Tortoise And The Hare」
Anthony Newley/Leslie Briousse作「Pure Imagination」(1971年)とBaba Alade作「Tortoise And The Hare」のメドレー。Baba Aladeのヴォーカル&ギターをフィーチャーしたフォーキー・ジャズといった趣です。
http://www.youtube.com/watch?v=8108YI8E_ug

「Drumprovise (Interlude)」
Build An Ark作。トライバル・リズムのインタールード。

「Japan (Interlude)」
再びPharoah Sandersのカヴァー。オリジナルは『Tauhid』(1967年)に収録されています。Nate Morganのローズ・ソロによる短い演奏ですが、いいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=AcVWJNGTg5w

「Peace With Every Step」
「Equipoise」
「Collective」
オススメその4。これら3曲はStanley Cowellのカヴァー。当ブログでも紹介した名盤『Musa・Ancestral Streams』(1973年)に収録されているスピリチュアル・ジャズ名曲「Equipoise」を組曲風にリメイクしています。Nate Morganのローズをバックに、Dwight Tribleが素晴らしいヴォーカルを聴かせてくれるスピリチュアル・ジャズ好きにはたまらない感動的な仕上がりです。Lesa TerryのヴァイオリンやJoshua Spiegelmanのフルートも美しく盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=O2tno7-pP4Q

「Peace And Love」
オススメその5。歌詞はGary Bartz NTU Troop「Peace And Love」にインスパイアされたもの。ソウルフルな仕上がりのヴォーカル・チューンは2分半足らずですが、もっと長尺で聴きたいピースフル・ソングですね。
http://www.youtube.com/watch?v=czFS4daX1bc

「The Stars Are Singing Too (Interlude)」
Build An Ark作。ブラジリアン・フレイヴァーのインタールード。

「Nu Baya Roots」
Derf Reklaw作。ハンド・ドラムの応酬によるトライバルなリズム・シャワーがいい感じです。

「Village Soft」
Joshua Spiegelman作。前曲「Nu Baya Roots」の流れを受け継いだトライバルな仕上がり。バンブー・フルートの音色とトライバルなリズムはアフリカの大地にいる気分ですね。

「The Blessing Song」
オススメその6。Michael Whiteのカヴァー。オリジナルは『Pneuma』(1972年)に収録されています。ラテン・リズムとローズのメロウな音色とLesa Terryのヴァイオリンの組み合わせが抜群です。一味違ったスピリチュアル・ジャズといった趣です。
http://www.youtube.com/watch?v=P4PSpgjlRNk

「Guidance」
「The Blessing Song」をレゲエ調やブラジリアン・リズム調にアレンジした応用編といった仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=OidrM3bLu5c

「Always There」
オススメその7。Ronnie Lawsのカヴァー。オリジナルは『Pressure Sensitive』(1975年)に収録されています。Side EffectWillie Boboもカヴァーしている楽曲です。ピースフルなヴァイヴスに包まれた心地好い演奏は思わず一緒にハンドクラップしてしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=mk73Z0EtY7k

国内盤CDには「Mother」「You've Gotta Have Freedom (Two Banks Of Four Remix)」の2曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。

Build An Arkの他作品もチェックを!

『Dawn』(2007年)
ドーン

『Love Part 1』(2009年)
ラヴ

『Love Part 2』(2010年)
ラヴ・パート2 [限定盤]

『The Stars Are Singing Too』(2011年)
THE STARS ARE SINGING TOO ~10 YEARS ANNIVERSARY SPECIAL 2001-2011~
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2014年11月12日

Azymuth『Spectrum』

「What's Going On」の好きカヴァーを含むブラジリアン・フュージョン☆Azymuth『Spectrum』
spectrum
発表年:1985年
ez的ジャンル:ブラジリアン・フュージョン
気分は... :ヴォコーダー好きです・・・

今日はブラジリアン・フュージョンを代表するグループAzymuthが1985年にリリースした『Spectrum』です。

Jose Roberto Bertrami(key)、Alex Malheiros(b)、Ivan Conti(ds)によるスーパーグループAzymuthの紹介はデビュー・アルバム『Azimuth』(1975年)に続き2回目となります。

惜しくもJose Roberto Bertramiが一昨年に逝去したため、この3名による演奏、新作を聴くことができなくなったのは大変残念ですが、彼らが残した多くの作品群をこれからも大事に聴き続けたいですね。僕自身、まだまだ未聴のAzymuth作品が山ほどあるので・・・

80年代半ばにリリースされた本作『Spectrum』は、Bertramiのヴォコーダー使いとメロウなキーボード、強力なブラジリアン・リズムが印象的な1枚です。この時代らしいブラジリアン・フュージョン作品ともいえますが、今聴いても実に興味深い1枚です。

今回、『Spectrum』を取り上げたのは、オープニングを飾る「What's Going On」Marvin Gayeのカヴァー)を紹介したかったからです。

元々僕はヴォコーダー入りの楽曲が好きなのですが、ここ数年はRobert Glasper Experimentのヴォコーダー入りジャズを頻繁に聴くようになりました。そんなヴォコーダー入りジャズに慣れた耳で聴くと、本作のヴォコーダー使いの「What's Going On」は実にハマります。

また、「Candomble」「All That Carnival」「Turma Do Samba」といったブラジリアン・リズム全開の演奏は、クロスオーヴァー/ブラジリアン・グルーヴ好きにはたまらないと思います。

それ以外にもメロウでキャッチーなブラジリアン・フュージョン・サウンドの楽曲が並びます。

Jose Roberto Bertramiがプロデューサー、Alex MalheirosIvan Contiが共同プロデューサーとしてクレジットされています。

メンバー3人がそれぞれ存在感を示してくれる、スーパーグループらしい演奏を楽しめる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「What's Going On」
オススメその1。Al Cleveland/Renaldo Benson/Marvin Gaye作。名曲「What's Going On」をヴォコーダー・カヴァー。前述のようにヴォコーダー好きにはたまりません。メロウなキーボード、うねるベース、キレのあるドラムが織り成すアンサンブルもサイコーです。
http://www.youtube.com/watch?v=MC3wZkqTJfk

「Song Of The Jet (Samba Do Aviao)」
オススメその2。Antonio Carlos Jobim作。当ブログではAgustin Pereyra Lucenaのカヴァーも紹介済みです。ブラジリアン・フュージョンらしいメロウネスを満喫できる心地好い1曲。

「Universal Prisoner」
Helen Lewis/Kay Lewis作。The Lewis Sistersとして活動していた姉妹の作品。Les McCann & Eddie Harrisが『Second Movement』(1971年)で演奏していた楽曲です。Paulinho Oliveraのフリューゲルホーンをフィーチャーした黄昏モードのメロウ・チューン。

「Candomble」
オススメその3。Alex Malheiros/Ivan Conti/Jose Roberto Bertrami作。Alex Malheirosのベースが先導するジャズ・ファンク。馬力のある疾走感と絶妙なヴォコーダー使いがたまりません。。
http://www.youtube.com/watch?v=leStX5wrKow

「All That Carnival」
オススメその4。Alex Malheiros/Jose Roberto Bertrami作。この曲もファンク色の強い演奏です。ブラジリアン・リズムとファンク・グルーヴの融合といった感じがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=aIYPkVle9GA

「The Island (Comecar De Novo)」
Alan Bergman/Marilyn Bergman/Vitor Martins/Ivan Lins作。Paulinho Oliveraのフリューゲルホーンをフィーチャーした哀愁メロウ。

「Areias」
オススメその5。Alex Malheiros/Thereza Malheiros作。Alexのスキャット・ヴォーカル入りのキャッチーなブラジリアン・グルーヴ。メリハリも効いていてかなり格好良い演奏だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=ZSWdYVcFo7o

「Turma Do Samba」
オススメその6。Ivan Conti作。ラストはバトゥカーダで盛り上げてくれます。ブラジリアン・リズムの洪水が実に心地好いですね!
http://www.youtube.com/watch?v=Qm4uFHNBAsw

Azymuthの他作品もチェックを!

『Azimuth』(1975年)
Azimuth

『Aguia Nao Come Mosca』(1977年)
Aguia Nao Come Mosca

『Light As A Feather』(1979年)
ライト・アズ・ア・フェザー

『Outubro』(1980年)
オウトゥブロ

『Cascades』(1982年)
キャスケイズ

『Telecommunication』(1982年)
Telecommunication

『Flame』(1984年)
Flame / Spectrum

『Tightrope Walker』(1986年)
Tightrope Walker

『Crazy Rhythm』(1987年)
Crazy Rhythm

『Carioca』(1989年)
Carioca

『Tudo Bem』(1989年)
Tudo Bem

『Curumim』(1990年)
Curumim

『Volta a Turma』(1995年)
Volta a Turma

『Carnival』(1996年)
Carnival

『Woodland Warrior』(1998年)
Woodland Warrior

『Pieces of Ipanema』(1999年)
Pieces of Ipanema

『Before We Forget』(2000年)
Before We Forget

『Partido Novo』(2002年)
Partido Novo

『Brazilian Soul』(2004年)
Brazilian Soul

『Butterfly』(2008年)
Butterfly

『Aurora"』(2011年)
Aurora
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