2014年11月05日

Parov Stelar『Seven and Storm』

大人のラウンジ感覚のエレクトロ・スウィング作品☆Parov Stelar『Seven and Storm』
Seven&Storm
発表年:2005年
ez的ジャンル:大人のラウンジ系エレクトロ・スウィング
気分は... :何も考えない・・・

今回は大人のラウンジ感覚のエレクトロ・スウィング作品Parov Stelar『Seven and Storm』(2005年)です。

Parov Stelar(本名Marcus Fureder)は1974年オーストリア、リンツ生まれのプロデューサー/DJ/ミュージシャン。

2000年代に入ってから自身のレーベルEtage Noir Recordingsを設立し、本格的に活動を開始します。
Parov Stelar名義で『Rough Cuts』(2004年)、『Seven and Storm』(2005年)、『Shine』(2007年)、『Coco』(2009年)、『The Princess』(2012年)、Peter Kreuzer & Parov Stelar『Klangwolke』(2013年)、Parov Stelar Trio『The Invisible Girl』(2013年)といったアルバムをリリースしています。

また、本名のMarcus Fureder名義やCash CandyNola GreyPlasma.といった名義でも作品をリリースしています。

「Kisskiss」「A Night In Torino」等ラウンジ系コンピレーションで人気のアーティストですね。

「Kisskiss」
 http://www.youtube.com/watch?v=yVVfbpYn8Ic
「A Night In Torino」
 http://www.youtube.com/watch?v=D4pqJGMOoKM

エレクトロ・スウィングですが、ピアノ、クラリネット、トランペットなどのアコースティックな響きを重視したサウンドが印象的なアーティストです。

本作『Seven and Storm』(2005年)はParov Stelar名義の2ndアルバムですが、前述のコンピ人気曲あたりと比較すると、ダウンテンポのトラックが多く、ぐっと落ち着いた印象のアルバムに仕上がっています。ジャケと同じくセピア色が良く似合う大人のラウンジ・サウンドが魅力です。半数近くの曲が女性ヴォーカル入りです。

じっくり聴き込むような作品ではありませんが、この淡々したサウンドは意外に重宝します。

当ブログでのセレクトにも反映されていますが、ここ数ヵ月、小難しく音楽を聴いている自分がいます。そういう音の聴き方も好きなのですが、一方で自分を窮屈にしている側面もあります。そんな時には、何も考えずに聴くことができる音を聴いてリセットしたくなります。

本作はそんな僕のニーズに応えてくれる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Seven」
ウッドベースの響きが印象的なダウナー・チューンでアルバムは幕を開けます。今の季節にマッチするサウンドですね。
http://www.youtube.com/watch?v=0k0IbJOdZBw

「My Inner Me」
Phoebe Hallのヴォーカルをフィーチャー。淡々としたパーカッションのリズムとPhoebe Hallの哀愁ヴォーカルとサックスが絡みます。
http://www.youtube.com/watch?v=ztgE442nOgo

「If I Had You」
ヴァイヴの音色を巧みに使ったジャジー・サウンドにグッときます。ジャジーHip-Hop好きの人が聴いても気に入ると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=NbJTohL1Bqc

「Nowhere」
Billy Kernのヴォーカルをフィーチャー。落ち着いたジャジー&メロウ感が実に心地好いです。ヨーロピアンなヴァイヴスもいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=--kgXEbP8Tg

「Faith」
Odette Di Maioのヴォーカルをフィーチャー。Odette Di Maioのヴォーカルは実にコケティッシュなのに、サウンドに合わせてクールな雰囲気を貫いているのが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=ZKdMyJBn0Dk

「Autumn Song」
ミュート・トランペットとピアノの音色が印象的なインスト。今の季節にフィットする落ち着きがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=3NO2eMM_It8

「The One」
Miss Anita Rieglerのヴォーカルをフィーチャー。哀愁漂うジャジー・メロウ・サウンドが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=k8-__aEodG8

「Powder」
哀愁ピアノに女性スキャットが絡む寂しげな仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=g0SicAEukI8

「Dark Jazz」
レトロ感覚のフューチャー・ジャズ。派手さはありませんが僕好みの音です。
http://www.youtube.com/watch?v=mz4uDncAqu4

「Between The Machine」
ピアノやベースのアコースティックな響きを巧みに生かした落ち着きが魅力です。
http://www.youtube.com/watch?v=B2izPRdpnFw

「Warm Inside」
Leena Conquestのヴォーカルをフィーチャー。純粋に女性ヴォーカル曲として聴くと、哀愁モードのジャジー・メロウ感が漂うこの曲が一番好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=MtJxuUA4vYg

「Storm」
心理サスペンス映画のエンディングにでも流れそうなダークな美しさを持つインストで本編は幕を閉じます。
http://www.youtube.com/watch?v=v4ksxDhqjYw

「Spygame」
ボーナス・トラック。John Barry & Monty Norman「James Bond Theme」をサンプリングしたタイトルに相応しいスパイモードの仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=VDjPwkPazAI

Parov Stelarの他作品もチェックを!

『Rough Cuts』(2004年)
Rough Cuts

『Shine』(2007年)
Shine

『Coco』(2009年)
Coco

『The Princess』(2012年)
Princess

Peter Kreuzer & Parov Stelar『Klangwolke』(2013年)
Klangwolke 2013

Parov Stelar Trio『The Invisible Girl』(2013年)
Invisible Girl
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2014年11月04日

Elis Regina『Falso Brilhante』

ブラジルの国民的シンガーが新境地を示した1枚☆Elis Regina『Falso Brilhante』
Falso Brilhante
発表年:1976年
ez的ジャンル:国民的歌手系MPB
気分は... :人生よありがとう!

今回はブラジルの国民的歌手Elis Reginaの作品から『Falso Brilhante』(1976年)です。

これまで当ブログで紹介してきたブラジルの国民的歌手Elis Reginaの作品は以下の11枚。

 『Elis Especial』(1968年)
 『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』(1969年)
 『Aquarela Do Brasil』(1969年) ※Toots Thielemansとの共演
 『Elis Regina in London』(1969年)
 『Em Pleno Verao』(1970年)
 『Ela』(1971年)
 『Elis (1972)』(1972年)
 『Elis (1973)』(1973年)
 『Elis (1974)』(1974年)
 『Elis (1977)』(1977年)
 『Essa Mulher』(1978年)

こうして眺めると、Elis作品も結構紹介してきましたね。未だに『Elis & Tom』(1974年)を取り上げていないのが僕らしいかも(笑)

本作『Falso Brilhante』は1975年に上演され、大ヒットとなったElisのミュージカル仕立てのショー『Falso Brilhante(偽りのダイヤモンド)』の演目の一部をスタジオ・レコーディングしたアルバムです。

派手さのあるアルバムではありませんが、Elisの新境地を楽しめるアルバムです。特にアルゼンチンの偉大なフォルクローレ・ミュージシャンAtahualpa Yupanquiの作品や、チリ人の女性SSW、Violeta Parraによる反体制のシンボル曲「Gracias a la Vida(人生よありがとう)」を取り上げている点に注目です。ブラジルの国民的シンガーから南米を代表するシンガーへスケールアップした印象を受けます。

また、既にショーで歌い込まれた楽曲のため、Elisの表現の豊かさも際立つ1枚に仕上がっています。ただただ感動的な「Tatuagem」や、いつもとは異なるヴォーカル・スタイルの「Velha Roupa Colorida」あたりがオススメです。

公私のパートナーCesar Camargo Marianoがアレンジを担当し、Elisをバックアップしています。サウンド面での彼の貢献を忘れてはいけませんね。特に「Jardins de Infancia」のサウンドはいいですね。

Elisのアルバムの中では入門編というより、中級編の位置づけのアルバムだと思いますが、聴き込むほどに味わいが増すと思います。

全曲紹介しときやす。

「Como Nossos Pais」
Antonio Carlos Belchior作。オープニング、2曲目とノルデスチのシンガー・ソングライターBelchiorの作品が続きます。力強いサウンドと伸びやかなElisの歌声がよくマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=pdPUeG_rFXY

「Velha Roupa Colorida」
Antonio Carlos Belchior作。軽快かつブルージーなサウンドをバックに、Elisがいつも少し違うスタイルのヴォーカルを聴かせてくれるのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=UA10_o18LMI

「Los Hermanos」
Atahualpa Yupanqui作。Atahualpa Yupanquiはアルゼンチンの偉大なフォルクローレ・ギタリスト/シンガーです。少しノスタルジックなフォルクローレ・サウンドをバックに、情感たっぷりのスパニッシュ・ヴォーカルを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=0Gue812Dm4k

「Um Por Todos」
Joao Bosco/Aldir Blanc作。Cesar Camargo Marianoによる都会的なアレンジが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=0JZ_0VDpawc

「Fascinacao (Fascination)」
Fermo Dante Marchetti/Maurice de Feraudy作。Gary Cooper、Audrey Hepburn主演の映画『Love in the Afternoon(昼下がりの情事)』(1957年)の主題歌にもなったポピュラー・スタンダードをポルトガル語でカヴァー。鍵盤をバックにElisが素晴らしい表現力でしっとりと歌い上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=WdhNmDYucp0

「Jardins de Infancia」
Joao Bosco/Aldir Blanc作。少しミステリアスなクロスオーヴァー・サウンドがElisの歌を盛り上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=_hbVwfFvkik

「Quero」
Thomas Roth作。牧歌的なフォーキー・サウンドにシンセを効かせて感動的な音空間を演出します。
http://www.youtube.com/watch?v=OLwC3b2Z6Ic

「Gracias a la Vida」
邦題「人生よありがとう」。チリ人の女性SSW、Violeta Parraの作品をスペイン語で歌っています。本曲はチリの軍事政権に抗議する反体制のシンボル曲として民衆から支持された楽曲です。チリに限らず、ブラジルやアルゼンチンも当時は軍事政権でしたが、反体制のシンボルである本曲を取り上げること自体にElisの強い意志を感じます。力強いElisの歌声はブラジルやチリの民衆を勇気づけたのでしょうね。ちなみに本曲が収録されているために、アルゼンチンでは本作の発売が禁止されたそうです。
http://www.youtube.com/watch?v=QhZYeWATfhg

「O Cavaleiro e os Moinhos」
Joao Bosco/Aldir Blanc作。劇中歌のようなElisの歌いっぷりとCesar Camargo Marianoによるメリハリの効いたアレンジが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=UvDYZgpyydU

「Tatuagem」
Chico Buarque/Ruy Guerra作。ラストはChico Buarqueによる名曲をElisらしい素晴らしい表現力で歌い上げます。この1曲のみでも感動で胸一杯になるはずです。
http://www.youtube.com/watch?v=h8p-Cx-NhEg

Elis Regina作品の過去記事もご参照下さい。

『Elis Especial』(1968年)
エリス・エスペシアル

『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』(1969年)
コモ・イ・ポルケ+4

『Aquarela Do Brasil』(1969年)
ブラジルの水彩画

『Elis Regina in London』(1969年)
イン・ロンドン

『Em Pleno Verao』(1970年)
エン・プレノ・ヴァラオン

『Ela』(1971年)
エラ 1971

『Elis (1972)』(1972年)
Elis

『Elis (1973)』(1973年)
Elis 1973

『Elis (1974)』(1974年)
人生のバトゥカーダ

『Elis (1977)』(1977年)
Elis 1977

『Essa Mulher』(1978年)
或る女(紙ジャケット仕様)
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2014年11月03日

Daniel Crawford『The Awakening』

Robert Glasperフォロワー的な進化形ジャズ☆Daniel Crawford『The Awakening』
ジ・アウェイクニング
発表年:2014年
ez的ジャンル:Glasperフォロワー系進化形ジャズ
気分は... :コメント辛口ですが気に入っています!

今回は新作ジャズ作品からL.A.出身のピアニストDaniel Crawfordの進化形ジャズを感じさせる2ndアルバム『The Awakening』です。

L.A.出身のDaniel Crawfordは、Raphael SaadiqMary J. BligeRahsaan Patterson等の大物R&Bアーティストのツアー・メンバーを務めた経験があるようです。また、プロデューサーとして数多くのミックステープもリリースしている模様です。

2012年に全編インストの1stアルバム『Red Pill』をリリースしており、本作『The Awakening』は2ndアルバムにあたります。

Robert Glasper Experiment『Black Radio』の影響を受けた"進化形ジャズ"作品であり、そのエッセンスを取り入れたサウンドを随所で聴くことができます。また、クロスオーヴァー・ソウル/ジャズ的なダンサブル・サウンドを取り入れた楽曲もあります。

また、3曲収録されているカヴァー曲のセレクトが、Led ZeppelinPrinceFela Kutiというのも進化形ジャズらしいですね。

ゲストとして、デトロイトのネオソウル・シンガーAmp Fiddler、当ブログでも紹介したネオソウルからクラブミュージックまで幅広い音楽性で知られるフィラデルフィア出身のシンガー・ソングライター/プロデューサー/DJVikter Duplaix、R&B/ゴスペル・シーンで活動する男性シンガー・ソングライターCleveland P. Jonesが参加しています。Amp Fiddlerの参加は彼のEP『Basementality 2』収録曲「Hold On 」のリミックスをDanielが担当しており、その流れでの参加のようです。

このように進化形ジャズの流れに乗って、そのエッセンスを上手く詰め込んだアルバムに仕上がっています。

ただし、器用に進化形ジャズやクロスオーヴァー・サウンドのエッセンスを吸収しているものの、まだまだDaniel Crawfordというアーティストの独自スタイルにまでは昇華していない印象も受けます。その意味では試行錯誤の感も否めませんが、進化形ジャズの拡がりを実感できます。

個人的には本作を聴くことで、自分が進化形ジャズの何に魅力を感じているのかを再認識できました。曲によっては辛口コメントもありますが、あくまで僕自身の嗜好を整理するためのものとご理解下さい。

進化形ジャズの盛り上がりを象徴する1枚として、十分楽しめる作品です。

全曲紹介しときやす。

「The Awakening Intruth」
Robert Glasper的なアルバムを予感させるアルバムのイントロダクション。

「Kashmir」
Led Zeppelinのカヴァー(Jimmy Page/Robert Plant/John Bonham作)。Zepのオリジナルは『Physical Graffiti』(1975年)に収録されています。オリジナルのダイナミックな雰囲気を受け継いだ、意外と素直なカヴァーに仕上がっています。もう少しヒネりを加えても楽しかったのでは?とも思いますが、Zepを知らない世代の人が聴く分には、これ位分かりやすい感じがいいのかもしれませんね。

「Your Guess Is As Good As Mine」
先入観なしで聴くと、70年代クロスオーヴァー/フュージョンの雰囲気もありますね。

「The One」
Vikter Duplaixをフィーチャー。このあたりはVikter Duplaixの諸作に通じるクロスオーヴァーなダンサブル・チューンに仕上がっています。

「Under The Cherry Moon」
Prince殿下のカヴァー。オリジナルはアルバム『Parade』(1986年)に収録されています。どうせ殿下をカヴァーするのであれば、もっとジャズのイメージとかけ離れた楽曲をセレクトした方が面白かった気がします。演奏自体は悪くありませんが、もう少し進化形ジャズっぽいドラミングがあれば・・・とも思ってしまいます。

「Duke」
僕好みのクロスオーヴァー・ジャズ/フュージョン。ただし、進化形ジャズとして聴くのであれば、当ブログで紹介したRuth Koleva『Ruth』(ドラムはRichard Spaven)のような雰囲気にした方が面白かった気がします。

「Home (Africa)」
Cleveland P. Jonesをフィーチャー。アフリカン・テイストのネオソウルのエッセンスを取り入れた本曲が僕の一番のお気に入りです。この演奏についてはRGE『Black Radio』からの影響を自分の果実にしている印象を受けます。

「Strictly For My Negus」
高揚感のあるインスト。この演奏も『Black Radio』のエッセンスを上手く吸収しています。

「The Change」
この曲はボーナス・トラック扱い。クロスオーヴァー・ジャズ的な仕上がりです。

「Trouble」
Amp FiddlerのヴォーカルとMonetのフルートをフィーチャー。Monetのフルートが先導する小気味良いジャジー・ソウルに仕上がっています。

「Water No Get Enemy」
Fela Kutiのカヴァー。オリジナルはアルバム『Expensive Shit』(1975年)に収録されています。カヴァー3曲の中ではダントツでこの演奏が好きです。アフロビートとジャズが違和感なく融合しているのがいいですね。

「Sun Of God」
実にドラマティックな演奏で聴く者を飽きさせません。

「The Awakening」
RGE的な演奏を楽しめるタイトル曲は実にエキサイティングです。「Home (Africa)」と並ぶ僕のお気に入り。

本作を聴いて改めて思ったのは、やはり進化形ジャズの肝はドラムにあるという点です。CDに記載されていないので、レコーディング・メンバーは不明ですが、本作に強力な新世代ジャズ・ドラマーが参加していれば、作品のインパクトがさらに増していた気がします。
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2014年11月02日

Electric Wire Hustle『Love Can Prevail』

NZ産フューチャー・ソウル・ユニットの最新作☆Electric Wire Hustle『Love Can Prevail』
LOVE CAN PREVAIL (ラブ・キャン・プリベイル)
発表年:2014年
ez的ジャンル:NZ産フューチャー・ソウル
気分は... :音響感がヤバいフューチャリスティック・サウンド!

今回はニュージーランドのフューチャー・ソウル・ユニットElectric Wire Hustleの最新作『Love Can Prevail』です。

Electric Wire Hustleは、2009年にデビューしたニュージーランドのフューチャー・ソウル・ユニット。結成時のメンバーはMara TKMyele ManzanzaTaay Ninhの3名。2009年にデビュー・アルバム『Electric Wire Hustle』をリリースしています。

2ndアルバムとなる本作『Love Can Prevail』では、Myele Manzanzaが抜け、Mara TKTaay Ninhのデュオとなっています。ちなみにMyele Manzanzaは昨年ソロ・アルバム『One』をリリースしています。

また、当ブログで紹介した作品でいえば、同じNZ出身のアーティスLord Echoの注目作『Curiosities』(2013年)にメンバーのMara TKが参加しています。

さて、『Love Can Prevail』の内容ですが、音響感のあるフューチャリスティック・サウンドに惹かれる1枚です。ソウルフルなヴォーカルや覚醒的なギターの音色が絡んだ、ハイパーになりすぎない立体的な音空間は中毒になりそうです。この中毒感はLord Echoあたりと通じるものがありますね。

とりあえず「By & Bye」「Bottom Line」「The Spirit」「Look In The Sky」の音源を聴けば、本作の魅力を実感できると思います。

聴けば聴くほどハマっていく1枚です。

全曲紹介しときやす。

「If These Are The Last Days」
ボトムの効いた哀愁モードのエレクトリック・ソウルでアルバムは幕を開けます。なかなか迫力のあるサウンド、ミックスに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=0aiARbHvgIs

「Loveless」
哀愁のメロディがジワジワくるミディアム・チューン。哀愁ヴォーカルに絡むギターの音色も印象的です。

「By & Bye」
リズミックなフューチャリスティック・サウンドで駆け抜けるクロスオーヴァー・ソウル。土着的なアフリカン・リズムとエレクトリック・サウンドの組み合わせがいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=-ea5Z1_2X1M

「Bottom Line」
美しくも切ないヴォーカルにフューチャリスティックなリズムが絡みます。クールな美しさで貫かれたダウナー感覚に惹かれます。
http://www.youtube.com/watch?v=9GCJbCc_6Cs

「The Spirit」
クロスオーヴァー・サウンド好きの人であれば気に入るであろうダンサブルなフューチャー・ソウル。
http://www.youtube.com/watch?v=asx4s4VV4dc

「Look In The Sky」
僕の一番のお気に入り。立体的なフューチャリスティック・サウンドに魅了される1曲。ソウルフルなヴォーカルも含めてフューチャー・ソウルの名に相応しい仕上がりだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=Qhrad61ABwA

「Light Goes A Long Way」
霧の向こうの覚醒的なフューチャリスティック・サウンドって感じがいいですね。

「To See You Again」
本作らしい音響感を満喫できる1曲。というか、アルバムを最初から聴き進めてくると、この曲のあたりは完全で彼らのサウンドの中毒になってしまいます。

「Blackwater」
前曲に続き、哀愁のメロディと覚醒的なギター・サウンドの虜になります。

「Numbers and Steel」
ラストは壮大なスケール感のあるエレクトリック・ソウルで締め括ってくれます。

ご興味がある方は1stアルバム『Electric Wire Hustle』(2009年)もチェックを!

『Electric Wire Hustle』(2009年)
ELECTRIC WIRE HUSTLE
posted by ez at 00:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月01日

Rupert Holmes『Pursuit of Happiness』

フリーソウル人気曲「So Beautiful It Hurts」収録の男性SSW作品☆Rupert Holmes『Pursuit of Happiness』
浪漫
発表年:1978年
ez的ジャンル:ストーリーテラー系男性SSW
気分は... :浪漫!

今週は飲み会が重なり、そのせいでブログの更新もサボり気味でした(泣)

今回はAORファンに人気の男性シンガー・ソングライターRupert Holmes『Pursuit of Happiness(邦題:浪漫)』(1978年)です。

英国生まれ、N.Y.育ちのシンガー・ソングライターRupert Holmesの紹介は、5thアルバム『Partners in Crime』(1979年)に続き2回目となります。

Rupert Holmesの代表作といえば、「Escape(The Pina Colada Song)」 (全米チャート第1位)、「Him」(全米チャート第6位)という大ヒット・シングル2曲が収録された『Partners in Crime』(1979年)ということになると思いますが、その1つ前の作品に当たる本作『Pursuit of Happiness(邦題:浪漫)』(1978年)も商業的な成功にまでは至りませんでしたが、内容的にはかなり充実した1枚に仕上がっています。

Rupert自身がプロデュースを手掛け、レコーディングにはRupert(vo、key)以下、Elliott Randall(g)、Steve Khan(g)、Joe Mack(b)、Wilbur Bascomb(b)、Will Lee(b)、Alan Schwartzberg(ds)、Jimmie Young(ds)、Carter Cathcart(key)、Pat Rebillot(key)、Jimmy Maelen(per)、Randy Brecker(tp、flh)、Michael Brecker(ts)、Hilda Harris(back vo)、Lani Groves(back vo)、Maeretha Stewart(back vo)、Vivian Cherry(back vo)等のミュージシャンが参加しています。

当時のシングル曲「Let's Get Crazy Tonight」、今日ではフリーソウル人気曲となった「So Beautiful It Hurts」、美しいラブソング「Speechless」あたりがハイライトだと思います。

それ以外に開放的な「Show Me Where It Says」、感動的な「Bedside Companions」「The Long Way Home」あたりもオススメです。

アルバム全編を通して、曲、歌、サウンドが三位一体となったRupert Holmesのストーリーテラー的な歌世界の素晴らしさに惹き込まれます。聴いている自分が知らぬ間に歌の主人公へ感情移入してしまう曲も多いですね。

浪漫のあるこの1枚をぜひ!

全曲紹介しときやす。

「Less Is More」
哀愁のメロウ・バラードでアルバムは幕を開けます。矛盾だらけの男心を切々とRupertが歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=6y1_oejfO38

「Show Me Where It Says」
開放的なホーン・セクションが活躍するN.Y.らしい都会的なセンスが光る1曲に仕上がっています。Rupertと女性コーラス隊との絡みもグッド!

「Speechless」
愛しい人への一途な思いを歌う美しいラブソング。Rupertのピュアな歌声にジワジワと感動が湧き出してきます。Kreva「瞬間 Speechless」のサンプリングソースになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=xzQH31ml99U

「Cradle Me」
アコースティックな響きが印象的です。ただし、アルバムの中では少し浮いている気も・・・

「So Beautiful It Hurts」
前述のようにフリーソウル人気曲。ブルーアイド・ソウル的な魅力もあるパーカッシヴなメロウ・グルーヴは実にセクシーです。Brecker兄弟がフリューゲルホーンとテナー・サックスのソロで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=SchIu_zFFOM

「Let's Get Crazy Tonight」
シングルにもなった本曲も本作のハイライトの1つ。スウェイビート調のダンサブル・チューンです。ラテン・フレイヴァーが効いているのも僕好み!
https://www.youtube.com/watch?v=s9YWOGMePAE

「Bedside Companions」
この曲もシングル曲。さり気ないですが、RupertのSSWとしての実力を実感できる素敵なバラードです。AOR好きの人はグッとくるはず!

「Guitars」
タイトルのようにギターが主役の哀愁バラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=U2mOHOrMPr4

「The Long Way Home」
美しいメロディをRupertの歌が優しく包み込む素敵なバラードです。感動的なドラマのエンディングのように胸一杯な気持ちになります。
https://www.youtube.com/watch?v=WKej89AsSTQ

「Town Square」
ストーリーテラーらしいRupertの歌世界に触れることができます。

「The Old School」
ラストは郷愁感の漂うバラードで締め括ってくれます。

Rupert Holmesの他作品もチェックを!

『Widescreen』(1974年)
ワイドスクリーン(紙ジャケット仕様)

『Rupert Holmes』(1975年)
ルパート・ホルムズ(紙ジャケット仕様)

『Singles』(1976年)
シングルス(紙ジャケット仕様)

『Partners in Crime』(1979年)
パートナーズ・イン・クライム

『Full Circle』(1981年)
フル・サークル(SHM-CD紙ジャケット仕様)

『Scenario』(1994年)
シナリオ
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