2014年11月04日

Elis Regina『Falso Brilhante』

ブラジルの国民的シンガーが新境地を示した1枚☆Elis Regina『Falso Brilhante』
Falso Brilhante
発表年:1976年
ez的ジャンル:国民的歌手系MPB
気分は... :人生よありがとう!

今回はブラジルの国民的歌手Elis Reginaの作品から『Falso Brilhante』(1976年)です。

これまで当ブログで紹介してきたブラジルの国民的歌手Elis Reginaの作品は以下の11枚。

 『Elis Especial』(1968年)
 『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』(1969年)
 『Aquarela Do Brasil』(1969年) ※Toots Thielemansとの共演
 『Elis Regina in London』(1969年)
 『Em Pleno Verao』(1970年)
 『Ela』(1971年)
 『Elis (1972)』(1972年)
 『Elis (1973)』(1973年)
 『Elis (1974)』(1974年)
 『Elis (1977)』(1977年)
 『Essa Mulher』(1978年)

こうして眺めると、Elis作品も結構紹介してきましたね。未だに『Elis & Tom』(1974年)を取り上げていないのが僕らしいかも(笑)

本作『Falso Brilhante』は1975年に上演され、大ヒットとなったElisのミュージカル仕立てのショー『Falso Brilhante(偽りのダイヤモンド)』の演目の一部をスタジオ・レコーディングしたアルバムです。

派手さのあるアルバムではありませんが、Elisの新境地を楽しめるアルバムです。特にアルゼンチンの偉大なフォルクローレ・ミュージシャンAtahualpa Yupanquiの作品や、チリ人の女性SSW、Violeta Parraによる反体制のシンボル曲「Gracias a la Vida(人生よありがとう)」を取り上げている点に注目です。ブラジルの国民的シンガーから南米を代表するシンガーへスケールアップした印象を受けます。

また、既にショーで歌い込まれた楽曲のため、Elisの表現の豊かさも際立つ1枚に仕上がっています。ただただ感動的な「Tatuagem」や、いつもとは異なるヴォーカル・スタイルの「Velha Roupa Colorida」あたりがオススメです。

公私のパートナーCesar Camargo Marianoがアレンジを担当し、Elisをバックアップしています。サウンド面での彼の貢献を忘れてはいけませんね。特に「Jardins de Infancia」のサウンドはいいですね。

Elisのアルバムの中では入門編というより、中級編の位置づけのアルバムだと思いますが、聴き込むほどに味わいが増すと思います。

全曲紹介しときやす。

「Como Nossos Pais」
Antonio Carlos Belchior作。オープニング、2曲目とノルデスチのシンガー・ソングライターBelchiorの作品が続きます。力強いサウンドと伸びやかなElisの歌声がよくマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=pdPUeG_rFXY

「Velha Roupa Colorida」
Antonio Carlos Belchior作。軽快かつブルージーなサウンドをバックに、Elisがいつも少し違うスタイルのヴォーカルを聴かせてくれるのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=UA10_o18LMI

「Los Hermanos」
Atahualpa Yupanqui作。Atahualpa Yupanquiはアルゼンチンの偉大なフォルクローレ・ギタリスト/シンガーです。少しノスタルジックなフォルクローレ・サウンドをバックに、情感たっぷりのスパニッシュ・ヴォーカルを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=0Gue812Dm4k

「Um Por Todos」
Joao Bosco/Aldir Blanc作。Cesar Camargo Marianoによる都会的なアレンジが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=0JZ_0VDpawc

「Fascinacao (Fascination)」
Fermo Dante Marchetti/Maurice de Feraudy作。Gary Cooper、Audrey Hepburn主演の映画『Love in the Afternoon(昼下がりの情事)』(1957年)の主題歌にもなったポピュラー・スタンダードをポルトガル語でカヴァー。鍵盤をバックにElisが素晴らしい表現力でしっとりと歌い上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=WdhNmDYucp0

「Jardins de Infancia」
Joao Bosco/Aldir Blanc作。少しミステリアスなクロスオーヴァー・サウンドがElisの歌を盛り上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=_hbVwfFvkik

「Quero」
Thomas Roth作。牧歌的なフォーキー・サウンドにシンセを効かせて感動的な音空間を演出します。
http://www.youtube.com/watch?v=OLwC3b2Z6Ic

「Gracias a la Vida」
邦題「人生よありがとう」。チリ人の女性SSW、Violeta Parraの作品をスペイン語で歌っています。本曲はチリの軍事政権に抗議する反体制のシンボル曲として民衆から支持された楽曲です。チリに限らず、ブラジルやアルゼンチンも当時は軍事政権でしたが、反体制のシンボルである本曲を取り上げること自体にElisの強い意志を感じます。力強いElisの歌声はブラジルやチリの民衆を勇気づけたのでしょうね。ちなみに本曲が収録されているために、アルゼンチンでは本作の発売が禁止されたそうです。
http://www.youtube.com/watch?v=QhZYeWATfhg

「O Cavaleiro e os Moinhos」
Joao Bosco/Aldir Blanc作。劇中歌のようなElisの歌いっぷりとCesar Camargo Marianoによるメリハリの効いたアレンジが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=UvDYZgpyydU

「Tatuagem」
Chico Buarque/Ruy Guerra作。ラストはChico Buarqueによる名曲をElisらしい素晴らしい表現力で歌い上げます。この1曲のみでも感動で胸一杯になるはずです。
http://www.youtube.com/watch?v=h8p-Cx-NhEg

Elis Regina作品の過去記事もご参照下さい。

『Elis Especial』(1968年)
エリス・エスペシアル

『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』(1969年)
コモ・イ・ポルケ+4

『Aquarela Do Brasil』(1969年)
ブラジルの水彩画

『Elis Regina in London』(1969年)
イン・ロンドン

『Em Pleno Verao』(1970年)
エン・プレノ・ヴァラオン

『Ela』(1971年)
エラ 1971

『Elis (1972)』(1972年)
Elis

『Elis (1973)』(1973年)
Elis 1973

『Elis (1974)』(1974年)
人生のバトゥカーダ

『Elis (1977)』(1977年)
Elis 1977

『Essa Mulher』(1978年)
或る女(紙ジャケット仕様)
posted by ez at 02:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする