発表年:1969年
ez的ジャンル:ジャズ・ハープのパイオニア
気分は... :あなたの知らないジャズ・ハープの世界・・・
今回はジャズ・ハープのパイオニアDorothy Ashby『Dorothy's Harp』のレア・グルーヴ人気作Dorothy Ashby『Dorothy's Harp』(1969年)です。
Dorothy Ashby(本名:Dorothy Jeanne Thompson)(1930-1986年)は、ミシガン州デトロイト生まれ。父親がミュージシャンであった影響で幼少期からピアノを弾いていたそうです。高校でハープに出会い、興味を持ったものの、大学ではピアノを専攻していました。大学で学びながらクラブでピアニストとしての活動を開始したDorothyは、20歳の時に念願であった自分のハープを手に入れます。
その後は自身のジャズ・ハープ・トリオを結成し、ジャズ・ハープのパイオニアとして活動していきます。1957年の『The Jazz Harpist』を皮切りに数多くのリーダー作をリリースすると同時に、多くのジャズ作品やソウル作品、ポップ作品にゲスト参加しています。
当ブログで紹介した作品でいえば、何といっても名盤Stevie Wonder『Songs In The Key Of Life』(1976年)の「If It's Magic」が有名ですよね。Dorothyのハープに導かれるStevieのヴォーカルがサイコーでした。
本作『Dorothy's Harp』はレア・グルーヴ方面での再評価も高い1枚です。
プロデュースはRichard Evansが務め、彼のオーケストラがバックを務めています。また、Odell Brown(el-p)、Lennie Druss(fl、oboe)が参加しています。
内容はレア・グルーヴ人気作というのは頷けるものです。どの曲もビートが効いていて躍動感があります。ブラジリアン名曲のカヴァーをはじめ、ブラジリアン・フレイヴァーの演奏があるのも僕好みです。
また、「Canto De Ossanha」、「The Windmills Of Your Mind」、「Cause I Need It」あたりはサンプリングソースとしても人気です。
ハープのイメージを覆し、ジャズ・ハープの魅力を存分に伝えてくれる1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「By The Time I Get To Phoenix」
Glen Campbellのヒット(オリジナルはJohnny Rivers)で知られるJimmy Webb作品。当ブログではGary McFarlandヴァージョンも紹介済みです。グルーヴィーなリズムとハープならではのエレガントな弦の響きの組み合わせがサイコーです。このオープニングを聴けば、本作がレア・グルーヴ人気盤であることが実感できるはず!
https://www.youtube.com/watch?v=00uiKaJLWKQ
当ブログでも紹介したCommon「Start the Show」でサンプリングされています。
Common「Start the Show」
http://www.youtube.com/watch?v=87cLBY3i11A
「Canto De Ossanha」
Vinicius de Moraes/Baden Powell作。当ブログではThe Girls from Bahia、Walter Wanderley等のカヴァーを紹介済みです。アフロ・ブラジリアン名曲ををハープの音色で軽やかに奏でます。
https://www.youtube.com/watch?v=FXo8bkYd2nY
当ブログで紹介したJurassic 5「Canto De Ossanha」をはじめ、Mad Skillz「The Jam」、Phife Dawg「Ben Dova」、Ugly Duckling「Another Samba」、Per Vers「Black Power」のサンプリング・ソースとなっています。
Jurassic 5「Canto De Ossanha」
http://www.youtube.com/watch?v=zn8Et6AbDgY
「Love Is Blue」
Andre Popp/Bryan Blackburn作。フレンチ・ポップ名曲「恋は水色(L'amour est bleu)」をカヴァー。オリジナルはVicky Leandros。Paul Mauriatのイージーリスニング・ヴァージョンでお馴染みですね。当ブログではClaudine Longetのカヴァーも紹介済みです。クラシカルな雰囲気も漂うメロディと、躍動するロック・ビートの組み合わせが面白いですね
https://www.youtube.com/watch?v=BjYuhPKQTRU
「Reza」
Edu Lobo/Ruy Guerra作。Edu Loboのミステリアスなブラジリアン名曲をカヴァー。ブラジリアン・リズムをバックに、ジャズ・ハープの醍醐味を存分に味わえます。
https://www.youtube.com/watch?v=p3b9dWgA7es
本曲について、当ブログではEdu Loboのオリジナルをはじめ、Sergio Mendes & Brasil '66、Wanda de Sah featuring The Sergio Mendes Trio 、Lennie Dale & Sambalanco Trio、Tamba 4、The Carnivalのカヴァーも紹介済みです。
「The Girl's In Love With You」
Hal David/Burt Bacharach作。ポップな中にブルージーな香りも漂うサウンドをバックに、Dorothyの抑えたハープの音色がシブいですね。ハープという楽器の持つ可能性を再認識させてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=W2BZRfOT54w
「Truth Spoken Here」
Richard Evans作。躍動するビートをバックにしたR&Bテイストの演奏が印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=JVOaxbQtxCA
「Toronado」
Richard Evans作。女性スキャットも入ったブラジリアン・フレイヴァーの仕上がり。ハープの音色がよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=FjhZj4FkpHo
「The Windmills Of Your Mind」
Alan Bergman/Marilyn Bergman/Michel Legrand作。Steve McQueen主演の映画『The Thomas Crown Affair(邦題:華麗なる賭け)』(1968年)の主題歌をカヴァー。お馴染みの名曲がハープで奏でられると、新たな魅力が加わっている感じになりますね。
https://www.youtube.com/watch?v=MN1UHUcNhio
本曲はDoudou Masta「C'Est La Compet'」、Rahzel「All I Know」、Da II Deuce「Dost Vas Mam! (I've Had It With You)」、Pacewon「Locked」、FlexE「The Orange Love Domain」、Melat「Fanclub」のサンプリングソースとなっています。
Melat「Fanclub」
http://www.youtube.com/watch?v=7Slo0ZBCuls
「Cause I Need It」
Dorothy Ashby作。疾走感のあるリズムをバックに、DorothyのハープとLennie Drussのオーボエの音色が実に心地好いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=BiR8lGWFKEg
本曲はINI feat. Pete Rock「Fakin' Jax」、Jay Z「A Million and One Questions (Premiere Remix)」、Que. D「Rock Box」、Madlib「Ashby Road」ののサンプリングソースとなっています。
INI feat. Pete Rock「Fakin' Jax」
http://www.youtube.com/watch?v=MlOw9FgdpSc
Madlib「Ashby Road」
http://www.youtube.com/watch?v=x4auFL_7kU8
「Just Had To Tell Somebody」
Dorothy Ashby作。軽快なリズムとハープの音色がマッチしたドリーミーな躍動感がたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=Qkb-gOrUdNc
「Fool On The Hill」
ラストはThe Beatlesの名曲カヴァー(Lennon-McCartney作)。この曲のインスト・カヴァーとして最高峰という気がします。Richard Evansのアレンジ・センスが冴え渡ります。
https://www.youtube.com/watch?v=nIN6utaf0ck
Dorothy Ashbyの他作品もチェックを!
『The Jazz Harpist』(1957年)
『In a Minor Groove』(1958年)
『Afro-Harping』(1968年)
『The Rubaiyat of Dorothy Ashby』(1970年)