2014年11月23日

Theophilus London『Vibes』

Kanye West、Leon Ware参加!話題の次世代ラッパーのスタイリッシュでフューチャリスティックな2nd☆Theophilus London『Vibes』
Vibes
発表年:2014年
ez的ジャンル:フューチャリスティック次世代Hip-Hop
気分は... :ジャケはKarl Lagerfeldです!

今回はKanye Westがエグゼクティヴ・プロデューサーを務めたことで話題の次世代ラッパーTheophilus Londonの2ndアルバム『Vibes』です。

Theophilus Londonは1987年トリニダード・トバゴ生まれ、N.Y.ブルックリン育ちのラッパー。

自主制作での作品リリースを続けた後、2011年にデビューEP『Lovers Holiday』と1stアルバム『Timez Are Weird These Days』をリリースしています。GAPのキャンペーンに登場するなど、モデルとしても活動しています。

当ブログで紹介した作品でいえば、次世代Hip-Hopをコンパイルした超強力コンピVarious Artists『LTYS-Listen To Your Soul』(2010年)、先日紹介したばかりのカリスマR&B/SoulシンガーJesse Boykins IIIの2ndアルバムカリスマR&B/Soulシンガー『Love Apparatus』(2014年)にTheophilus Londonが参加しています。

2ndとなる本作『Vibes』ですが、Kanye Westがエグゼクティヴ・プロデューサー、Leon Wareがクリエイティヴ・プロデューサーを務め、2人ともゲスト参加もしています。

Leon Wareについては、Theophilus London本人がLeon Wareの大ファンで、前作『Timez Are Weird These Days』のジャケはLeon Ware『Leon Ware(夜の恋人たち)』へのオマージュです。

ちなみに本作のジャケでは、巨匠ファッション・デザイナーKarl Lagerfeldがアート・ディレクターとフォトグラフィーを務めています。

さて肝心の中身ですが、エレクトリックなエッセンスを取り入れたフューチャリスティックかつスタイリッシュな次世代Hip-Hop作品に仕上がっています。

アルバムにはKanye WestLeon Ware以外に、Jesse Boykins III、フランス人女性シンガーSoko、Lightspeed Champion、Blood Orange名義の活動でも知られるUKの黒人ロック・シンガーDevonte Hynes、80〜90年代に活躍したUSのR&Bヴォーカル・グループForce M.D.'sが参加しています。

また、プロデュースはTheophilus London本人、Leon Ware、カナダのシンセ・ポップ・デュオNew LookのメンバーAdam Pavao、フランスのエレクトリック・ユニットClub Chevalと彼らと関連が深いBrodinski、お馴染みの売れっ子プロデューサー88-Keys、オーストラリア、ウィーン出身の注目プロデューサーCid Rim、ベルリンのHip-Hop/レゲエ系プロデューサーPierre Baigorryという国際色豊かな布陣となっています。

全体的にはフューチャリスティックなエレクトリックHip-Hopですが、80年代ニューウェイヴ/シンセ・ポップやダンスホール・レゲエ、70年代ソウル等のエッセンスが散りばめられているのもいいですね。

振り返ると、今年はあまり新作Hip-Hopをあまり紹介していませんでした。良い作品が無かったというよりも、『Jazz The New Chapter』あたりの影響で僕自身の関心が他ジャンルへ向かってしまい、Hip-Hop新作をあまりチェックできなかったというのが正直なところです。

そんな中で、Jesse Boykins III絡みで気になっていた本作を、CDショップであまり期待せずに試聴したのですが、"これぞ僕の求めていたエレクトリックHip-Hop"と思わず歓喜してしまいました。

個人的には、前述の次世代Hip-Hopコンピ『LTYS-Listen To Your Soul』(2010年)に、Hip-Hopの未来像を見た気がしていたのですが、同作の参加アーティストの一人であったTheophilus Londonが、このような素晴らしい作品を届けてくれたのは実に嬉しいですね。

久々に気に入ったHip-Hopです。

全曲紹介しときやす。

「Water Me」
Leon Ware参加。ミスター・メロウネスとフューチャリスティックなエレクトロ・サウンドの融合が、独自のフューチャリスティック・メロウ・ソウルを創り上げています。Leon Ware/Adam Pavaoプロデュース。僕はこのオープニングかなり気に入りました。
http://www.youtube.com/watch?v=eGvM6uLS6Xg

「Neu Law」
Adam Pavao/Theophilus Londonプロデュース。USの前衛ミュージシャンJohn Mausの「The Law」をカヴァー。こういったアーティストをカヴァーすること自体にTheophilus Londonのアヴァンギャルドなスピリットを感じます。適度にキャッチーなシンセ・ポップ感はAdam Pavaoの手腕ですかね。
http://www.youtube.com/watch?v=hyNFxYIRGDE

「Take And Look」
Adam Pavao/Theophilus Londonプロデュース。フランスのニューウェイヴ・バンドMartin Dupontの「Take And Look」(1984年)がベースになっています。1980年代のニューウェイヴ/シンセ・ポップのエッセンスを現代流に上手くアレンジしているのがいいですね。終盤は同じくフランス人アーティストFeadz「Welcome to Paris」をサンプリングしています。
http://www.youtube.com/watch?v=b8bsgnpFw8o

「Can't Stop」
Kanye Westをフィーチャーした話題曲。Club Cheval/Brodinski/88-Keysプロデュース。Norman Feels「You Can't Stop My Love」ネタを使ったエレクトロ&ソウルフルな仕上がりです。フューチャリスティックなエレクトロ・サウンドとレトロ・ソウルのエッセンスが違和感なく融合した哀愁チューンです。
http://www.youtube.com/watch?v=DxOsrdyepJI

「Get Me Right」
Cid Rim/Adam Pavaoプロデュース。僕の一番のお気に入り。フューチャリスティックでスタイリッシュなダンサブル・チューンは文句ナシに格好良いですね!無機質なフューチャリスティック感がたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=6RtNLXGKhzU

「Heartbreaker」
Adam Pavaoプロデュース。エレクトロ・モードで疾走するシンセ・ポップ調のダンサブル・チューン。妖しげなセクシーさにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=-P1cKzr6U6E

「Do Girls」
Cid Rimプロデュース。フューチャリスティックな雰囲気がいいですね。「Get Me Right」も含めてCid Rimの起用は、アルバムにアヴァンギャルドな雰囲気を加える意味で成功していますね。
http://www.youtube.com/watch?v=j7s4Id59LVs

「Tribe」
Jesse Boykins IIIをフィーチャーした本曲はリード・シングルにもなりました。Jesse Boykins IIIの参加は、彼の最新作『Love Apparatus』にゲスト参加したTheophilus Londonへの返礼といったところでしょうか。アルバムエレクトロなエッセンスを前面に打ち出したフューチャリスティックかつキャッチーなダンサブル・チューンに仕上がっています。Manu Dibango「Soul Makossa」ネタを使ったTheophilusの巧みなフロウが格好良いです。
http://www.youtube.com/watch?v=bsPhot91XpQ

「Smoke (Interlude)」
Adam Pavaoプロデュース。フランス人女性シンガーSokoをフィーチャー。アルバムに落ち着きを与えてくれる1曲です。

「Smoke Dancehall」
Pierre Baigorryプロデュース。Pierre Baigorry起用が頷けるダンスホール・レゲエのエッセンスを採り入れたエレクトリックHip-Hopに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=QnOZIAqVTgI

「Need Somebody」
Leon Ware参加の2曲目。Pierre Baigorryプロデュース。80年代シンセ・ポップへのオマージュを感じるキャッチーなシンセ・ポップという意外な仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=q--uVERWfKM

「Figure It Out」
ボーナス・トラック。Lightspeed Champion、Blood Orange名義の活動でも知られるUKの黒人ロック・シンガーDevonte Hynesと80〜90年代に活躍したUSのR&Bヴォーカル・グループForce M.D.'sをフィーチャー。Leon Wareプロデュースによる哀愁メロウ・ソウル調の仕上がりです。個人的にはForce M.D.'sの美しいコーラスワークを久々に聴けただけで感激です。Mase「What You Want」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=Ai_N-i-Xg04

『Timez Are Weird These Days』(2011年)
Timez Are Weird These Days
posted by ez at 00:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする