2014年12月25日

The Black Seeds『Into The Dojo』

NZ産のクール&ダビーなレゲエ作品☆The Black Seeds『Into The Dojo』
Into the Dojo
発表年:2006年
ez的ジャンル:NZレゲエ/ダブ
気分は... :メリー・クリスマス?

今回はニュージーランドのレゲエ/ダブ・バンドThe Black Seedsの3rdアルバム『Into the Dojo』(2006年)です。

まったくクリスマスらしからぬセレクトですね(笑)

The Black Seedsはニュージーランドのウェリントンで結成されたレゲエ/ダブ・バンド。

これまで『Keep on Pushing』(2001年)、『On the Sun』(2004年)、『Into the Dojo』(2006年)、『Solid Ground』(2008年)、『Dust & Dirt』(2012年)といったアルバムをリリースしています。

僕がThe Black Seedsに興味を持ったのが、メンバーのギタリストMike Fabulous(Michael August)によるソロ・プロジェクトLord Echoがきっかけです。

今年、当ブログでLord Echo『Melodies』(2010年)、『Curiosities』(2013年)という2枚のアルバムを紹介しましたが、レゲエを基調にしたクロスオーヴァー・サウンドは僕の嗜好に見事にフィットしました。

その流れでLord Echoの本籍であるThe Black Seedsの作品も聴いてみたいと思いました。

3rdアルバムとなる本作『Into the Dojo』(2006年)におけるメンバーは、Barnaby Weir(vo、g、key)、Daniel Weetman(vo、per)、Mike Fabulous(g、per、key、org)、Bret McKenzie(vo、key)、Jarney T Murphy(ds)、Tim Jaray(b)、Lee Prebble(knobs、faders)の7名。

さらにレコーディングには、同じNZ出身のレゲエ・バンドFat Freddy's Dropのメンバーなどがゲスト参加しています。

本場ジャマイカやUKレゲエとも異なるクールでダビーなレゲエ・サウンドがクセになります。ダビーといっても難解ではなく、実にキャッチーに仕上がっているのが魅力だと思います。ソウルな味わいやレイジーな雰囲気も僕好みです。

Lord Echoを気に入った方はぜひ一度チェックを!

全曲紹介しときやす。

「The Answer」
少しレイジーなヴォーカルとクールなレゲエ・サウンドは"真夜中のレゲエ"といった趣です。
https://www.youtube.com/watch?v=Lr7nJCjUj0k

「Cool Me Down」
男の色気溢れるヴォーカルとソウルフルな味わいはR&Bチューンと組み合わせて聴いてもマッチするのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=xVMzHK9iHbg

「Way The World」
ルーツ・レゲエ調ですが、このグループらしいスパイスを効かせることも忘れていません。ユルめのホーン隊がいい味出しています。
https://www.youtube.com/watch?v=U5wzzyCr8uY

「Got A Girl」
このグループらしいクール&ダビーな味わいが貫かれています。骨太なリズム・セクションが演奏全体を牽引します。
https://www.youtube.com/watch?v=1qtcip4MBIE

「Love For Property」
ドープなダビー・ワールドへ誘ってくれます。コズミックな味わいも加味されて、このグループならではの音世界に触れることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=XvX-RAYxHKc

「Good People (Get Together) 」
スカ調の軽快なリズムなレイジー・ヴォーカルの組み合わせが意外にマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=PDvzsuKVeow

「Heavy Mono E」
ダビーな覚醒感が支配します。このグループのダビーな魅力を楽しみたい方にオススメです。
https://www.youtube.com/watch?v=oP2oDer5mmk

「The Prince」
ロッキンなエッセンスが加わったダビー・チューン。「Heavy Mono E」同様、ダビー好きの方はぜひ!
https://www.youtube.com/watch?v=d1-Xc2Z5mAU

「Sometimes Enough」
適度にユルいグルーヴが心地良いソウルフル・レゲエ。僕の一番のお気に入り。
https://www.youtube.com/watch?v=Zb5lHyaqK7A

「One By One」
リラックスした雰囲気が心地好いアイランド・モードのレゲエ・チューン。この味わい大好き!
https://www.youtube.com/watch?v=xWfO7xENqMM

「Sometimes Dub」
「Sometimes Enough」のダブ・ヴァージョン。
https://www.youtube.com/watch?v=SlhkWrnv97E

「Cool Me Dub」
「Cool Me Down」のダブ・ヴァージョン。
https://www.youtube.com/watch?v=ndvEbg0fcqk

「Tuk Tuk」
CDボーナス・トラック。ダビーな格好良さを堪能できるインスト・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=F-lCS2YJCkE

The Black Seedsの他作品やLord EchoMike Fabulous)のソロ作品もチェックを!

『Keep on Pushing』(2001年)
Keep on Pushing

『On the Sun』(2004年)
On the Sun

『Solid Ground』(2008年)
Solid Ground

『Dust & Dirt』(2012年)
Dust & Dirt

Lord Echo『Melodies』(2010年)
MELODIES

Lord Echo『Curiosities』(2013年)
CURIOSITIES
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2014年12月23日

Ladae『The Moment』

若手男性R&Bグループによる充実のデビュー作☆Ladae『The Moment』
Moment
発表年:1994年
ez的ジャンル:若手男性R&Bグループ
気分は... :一気に疲れが・・・

大きな仕事のヤマを乗り切り、その反動で疲れが一気に来ました。
今日あたり何もせずにゆっくり過ごしたいですが、そうも行かずクリスマスイヴはヘロヘロ状態になりそう(泣)

今回は90年代男性R&BグループからLadae『The Moment』(1994年)です。

Ladaeは、Tone Wilson(Levar A. Wilson)Darren BenbowBrian PalmerQuent Boogie(LaQuentis Saxton)という4人組男性R&Bグループ。

1994年にデビュー・アルバム『The Moment』をPolydorからリリースします。その後 Motownへ移籍し、1996年にAl B. Sure!プロデュースによるシングル「Party 2 Nite」をリリース。さらには2ndアルバム『Ladae』をリリースしますが、権利問題が発生し、発売直後に回収され、そのまま幻のアルバムに・・・そしてグループも存続できなくなりました。

「Party 2 Nite」
 https://www.youtube.com/watch?v=690Fhq0upqg

正直、リアルタイムでは聴き逃してしまい、後追いで聴いたグループです。幼さの残る表情のメンバーが写るジャケからは少し頼りなさも感じますが、中身はなかなかです。

アルバムは前半3曲がはダンサブル、中盤以降はミディアム〜スロウで構成されています。ミディアム〜スロウ・パートが少し弱い気もしますが、前半3曲の出来栄えは格別です。

リード・ヴォーカルは主にTone Wilsonが務めていますが、曲によって他メンバーもリードをとっています。

JoJo BrimKevin "Big Kev" McDanielsRocHeadによるプロデュース・チームHitMakersをはじめ、Kevin DeaneTerence DudleyRandy FullerTone WilsonXavier Davisがプロデュースを手掛けています。

とりあえず冒頭の3曲とラストの「Bye Bye」を聴いてみて下さい!

全曲紹介しときやす。

「Deep Down」
オススメその1。シングル・カットもされたオープニング。90年代前半らしいR&Bグルーヴ。Tone WilsonとQuent Boogieのリード・ヴォーカルやバックのコーラス・ワークを聴けば、侮れない若手グループであることを実感できると思います。ど定番ドラム・ネタMelvin Bliss「Synthetic Substitution」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=LS-UGpCtMp0

「My Lady」
オススメその2。Eric B & Rakim「My Melody」をサンプリングしたトラックで軽く跳ねつつ、美しいメロディをToneが切々と歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=j_rxCQSirrs

「Be My Luv」
オススメその3。僕の一番のお気に入り。Audio Two「Top Billin'」ネタのHip-Hopグルーヴが心地好いミッド・ダンサー。
https://www.youtube.com/watch?v=mia7np59WDQ

「I Miss Your Lovin'」
切ない恋心をToneが歌い上げる甘酸っぱいミッド・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=vCS5hGUDOJc

「Fallin' Back」
この曲ではBrian Palmerがリード・ヴォーカル。淡々としていますが、グループのコーラス・ワークを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=rWkAbqdnaoY

「Moments」
タイトル曲はインタールード的なインストです。

「So Far Away」
Jodeciあたりがお好きな人は気に入るであろうミディアム・スロウ。

「Without The Rain」
ピアノ伴奏のみのバラード。面白みはありませんが、コーラス・グループとしての彼らを堪能できます。
https://www.youtube.com/watch?v=1O2-Wdl3_gc

「My Mind」
この頃のR&Bグループらしいメロディ、コーラス・ワークで盛り上げてくれるミディアム・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=No0KIgtfokg

「Come On Over」
男女の会話と共に始まるミディアム・バラード。少しユルい感じがいいですね。

「Bye Bye」
オススメその4。ラストはシングルにもなった至極のラブ・バラードで締め括ってくれます。美しくも切ないメロディを胸を締め付けるヴォーカル&コーラスで歌い上げます。語り継がれるべきR&B名曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=aSzfURY5Evg

NFLは我がドルフィンズはプレイオフの道が断たれましたが、最終週は熾烈なプレイオフ争いが展開されそうですね。

プレイオフを予想するのも楽しみですね。今年はNFCのチームが勢いありそうですね。気の早い話ですが、カウボーイズ、シーホークス、ライオンズ、パッカーズのいずれかが、AFC王者(ブロンコスもしくはペイトリオッツあたりかな?)を下してスーパーボウルを制覇する予感がします。

ただし、こんな予想をいくら書いても当たらないのがNFLの面白いところですが(笑)
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2014年12月22日

Ivan Lins『Nos Dias De Hoje』

EMI4部作の第2弾、サウンドに磨きがかかっています!☆Ivan Lins『Nos Dias De Hoje』
ノス・ヂアス・ヂ・オージェ
発表年:1978年
ez的ジャンル:稀代のメロディ・メイカー系MPB
気分は... :ドルフィンズ散る・・・

アメフトのNFLでは我がマイアミ・ドルフィンズが逆転勝利したものの、最終週を待たずプレイオフ消滅が確定してしまいました。勝ち越しているだけに残念ですね。

スケジュールを眺めると、敗れたのは今シーズン好調のチームばかりで対戦相手が厳しいシーズンであった点も否めないですが、プレイオフ進出にはチーム全体の安定感が欠けていたことも事実だと思います。あともう一歩ですね。来シーズンに期待します!

今回はMPBの稀代のメロディ・メイカーIvan LinsによるEMI4部作の1枚、『Nos Dias De Hoje』(1978年)です。

MPBを代表する男性シンガー・ソングライターIvan Linsについて、これまで当ブログで紹介したのは以下の3枚。

 『Modo Livre』(1974年)
 『Somos Todos Iguais Nesta Noite』(1977年)
 『Novo Tempo』(1980年)

本作『Nos Dias De Hoje』(1978年)は、『Somos Todos Iguais Nesta Noite』(1977年)、『A Noite』(1979年)、『Novo Tempo』(1980年)と並ぶEMI4部作の1枚であり、その第2弾作品となります。

言うまでもなく、EMI4部作はどれもIvan Linsのキャリアを代表する作品群であり、どのアルバムも惚れ惚れする出来栄えですね。

本作『Nos Dias De Hoje』について、Ivanが警察に逮捕された犯人に扮したジャケからは社会メッセージ性が強調されてしまうかもしれませんが、それ以上に本作で印象的なのはサウンドの巧みさです。

他の4部作と同様、Ivan Lins本人、作詞家Vitor Martins、キーボード奏者Gilson Peranzzettaの3人による強力トライアングルの素晴らしい仕事ぶりを満喫できます。

また、本作ではGilson Peranzzetta(key)を中心に、Fredera(g)、Freddy Barbosa(b)、Joao Cortez(ds)によるバック・バンドModo Livreの存在が強調されています。。

稀代のメロディ・メイカーが素晴らしいバック・バンドを従え、さらにその音世界を昇華させた印象を受ける1枚です。

歌、メロディ、サウンドを三位一体で楽しみたい1枚ですね。その意味では対訳付きの国内盤で入手できるようになったのは有難いですね。

全曲紹介しときやす。

「Cantoria」
Ivan Lins/Vitor Martins作。邦題「歌声」。抑圧への抵抗を高らかに歌い上げるメッセージ・ソングでアルバムは幕を開けます。Stevie Wonder調のクラヴィネットの響きとピースフルなコーラスも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=m5xbGPDpN_M

「Guarde Nos Olhos」
Ivan Lins/Vitor Martins作。邦題「瞳に隠して」。優しさの中に秘めた決意のようなものを感じるヴォーカルと美しいメロディが実にいいですね。さらにMauricio Einhornのハーモニカが味わい深さを増してくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=aSXgALIktWQ

「Bandeira Do Divino」
Ivan Lins/Vitor Martins作。邦題「神の旗」。神の旗の下での自由、平等を歌います。サウンドは美しく穏やかですが、コーラス・パートが民衆の声のように聴こえ、ジワジワと高揚してきます。
https://www.youtube.com/watch?v=Cj2I8_Cqpz0

「Forro Do Largo」
Ivan Lins/Vitor Martins作。街角の雰囲気を醸し出すGilson Peranzzettaのアコーディオンの音色が印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=FOUD3esfqDw

「Cartomante」
Ivan Lins/Vitor Martins作。邦題「カード占い師」。Elis Reginaが当ブログでも紹介した『Elis (1977)』で取り上げたことでも知られる楽曲です。これぞIvan Lins!といった美しいメロディと堪能できる名曲ですね。終盤の鍵盤の響きが本作らしいかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=ReCkMiUsL2s

「Quaresma」
Ivan Lins/Vitor Martins作。邦題「四旬節」。コンテンポラリーなアレンジがいい感じです。邦題にある四旬節について理解が深まるとさらに味わい深く聴けるのでしょうね。
https://www.youtube.com/watch?v=joMzj5aYE34

「A Visita」
Ivan Lins/Vitor Martins作。邦題「訪れ」。メロウなエレピの音色と少し憂いを帯びたIvanのヴォーカルが印象的です。こういう哀愁メロディのIvanも味わい深いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ssf1vp0ZLQo

「Temporal」
Ivan Lins/Vitor Martins/Gilson Peranzzetta作。邦題「嵐」。個人的には一番のお気に入り。メロウかつドラマティックなアレンジは、大好きな「Quadras de Roda 」『Somos Todos Iguais Nesta Noite』収録)あたりと一緒に聴きたくなります。
https://www.youtube.com/watch?v=DGtJEFXSalE

「Esses Garotos」
Ivan Lins/Vitor Martins作。邦題「少年たち」。Gilson Peranzzettaの雰囲気たっぷりのアコーディオンが活躍します。この曲(「少年たち」)と次曲(「息子たちへ」)をラスト2曲に配しているところに、Ivanの思いが込められている気がします。
https://www.youtube.com/watch?v=oAlLJ18CZQI

「Aos Nossos Filhos」
Ivan Lins/Vitor Martins作。邦題「息子たちへ」。ラストは子供たちに向けたメッセージで締め括ってくれます。美しいメロディと共に、Ivanの思いの丈を歌い上げます。歌詞、メロディ、サウンドが一体化した感動的な曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=Lp__DsVTZPs

Ivan Linsの過去記事やEMI4部作の他作品もチェックを!

『Modo Livre』(1974年)
Modo Livre

『Somos Todos Iguais Nesta Noite』(1977年)
今宵楽しく

『A Noite』(1979年)
ある夜

『Novo Tempo』(1980年)
ノーヴォ・テンポ
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2014年12月21日

Fred Hersch Trio『Floating』

ピアノの詩人による深遠な世界・・・☆Fred Hersch Trio『Floating』
フローティング
発表年:2014年
ez的ジャンル:"ピアノの詩人"系コンテンポラリー・ジャズ
気分は... :誰かに思いを寄せて・・・

今回はコンテンポラリー・ジャズの新作からFred Hersch Trio『Floating』です。新作といっても、リリースから半年ほど経過していますが・・・

Fred Herschは1955年、オハイオ州シンシナティ生まれのジャズ・ピアニスト。

幼少期からピアノを習い、ボストンのニューイングランド音楽大学で学んだ後、N.Y.へ移住し、さまざまなセッション、ギグに参加します。1984年、初リーダー作『Horizons』をレコーディングします。その後コンスタントに作品をリリースしますが、2008年にHIVウィルスに起因する発作で昏睡状態に陥り、生死の境を彷徨いますが、奇跡的に回復し、2010年にカムバックを果たしています。

現代ジャズ・シーンに多大な影響力をピアニストであり、コンテンポラリー・ジャズを代表するピアニストBrad MehldauJason MoranもFred Herschに師事した一人です。

こんな事を書きながら、僕自身はFred Herschというアーティストとまったく接点を持たぬまま、音楽ライフを過ごしてきました。それだけ僕がコンテンポラリー・ジャズに背を向けてきた証拠かもしれません。

しかしながら、今年話題の音楽ムック本『Jazz The New Chapter』を読んだことを契機に、Fred Herschに興味を持ち、最新作『Floating』を試聴し、大変気に入り購入した次第です。

レコーディング・メンバーは、Fred Hersch(p)、John Hebert(b)、Eric McPherson(ds、per)の3名。

聴く前はリリカルなピアノ・トリオ演奏をイメージしていました。実際にピアノ詩人らしい繊細で美しい演奏に魅了されるのは事実ですが、それだけに止まらない、ワールド・ジャズ的な演奏、伝統的ジャズのエッセンスを取り入れた演奏などでアルバムにメリハリをつけている点が気に入りました。

「You and The Night and The Music」「If Ever I Would Leave You」「Let's Cool One」の3曲以外の7曲はFred Herschのオリジナルですが、そのうち6曲が誰かに捧げられているという点も特徴です。

ピアノ詩人のさまざまな思いが込められた芸術的な1枚を堪能しましょう。
こういう作品を聴き逃さなくて良かった!
接点をくれた『Jazz The New Chapter』に感謝!

全曲紹介しときやす。

「You and The Night and The Music」
Arthur Schwartz/Howard Dietz作のスタンダードがオープニングを飾ります。『Night & The Music』(2007年)でも取り上げた楽曲の再演。Herschの華麗な手さばきと、そこにベースとドラムが絡む表情豊かなアンサンブルは、最初聴いたとき、南米の"静かなる音楽"と同じような印象を受けました。素晴らしい!このオープニングを聴き、"これは僕向きのコンテンポラリー・ジャズ作品に違いない!"と確信しました。
https://www.youtube.com/watch?v=t2v2_TiBijE

「Floating」
Herschの繊細なプレイを堪能できるリリシズムに溢れた美しい演奏です。一音一音に深遠な思いが込められている感じがいいですね。

「West Virginia Rose (for Florette & Roslyn)」
母親と祖母に捧げられたピアノ・ソロ。感動的なメロディを奏でるHerschの優しいタッチを堪能しましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=VFBTWGVeqwY

「Home Fries (for John Hebert)」
バンド・メンバーJohn Hebertに捧げられた曲。John Hebertがニューオリンズ出身ということで、セカンド・ラインによるハッピー・リズムが印象的です。

「Far Away (for Shimrit)」
2012年に29歳の若さで逝去したイスラエル人女流ピアニストの故Shimrit Shoshanに捧げられた曲。生死の淵から甦ったHerschから若くして逝ったShimritへのレクイエムといった趣です。聴く者も思わず感傷的な気持ちになってしまいますね。

「Arcata (for Esperanza)」
現代ジャズを代表する女流ベーシストEsperanza Spaldingに捧げられた曲。Esperanzaのイメージにマッチしたブラジリアン・フィーリングの演奏が実にいいですね。白熱した三人の演奏にグイグイ引き込まれます。

「A Speech to the Sea (for Maaria)」
フィンランド出身の芸術家Maaria Wirkkalaに捧げられた曲。Shimritのピアノ詩人ぶりを存分に堪能できる美しい演奏です。John Hebertのベース・ソロもいい感じです。

「Autumn Haze (for Kevin Hays)」
タイトルの通り、ジャズ・ピアニストKevin Haysに捧げられた曲。ジワジワと高揚する小粋なモーダル感にグッときます。

「If Ever I Would Leave You」
Frederick Loewe /Alan Jay Lerner作のスタンダード。ミュージカル『Camelot』挿入歌です。センチメンタルな演奏に思わずグッときてしまいます。

「Let's Cool One」
Thelonious Monk作。『Thelonious: Fred Hersch Plays Monk』(1998年)でも演奏していた楽曲の再演です。軽快なアレンジでMonk作品を楽しく聴かせてくれます。

これを機にFred Herschの他作品も聴きたいですね!

Fred Hersch Trio『Horizons』(1985年)
Horizons

Fred Hersch With Charlie Haden & Joey Baron『Sarabande』(1987年)
Sarabande

Fred Hersch, Steve La Spina,Jeff Hirshfield『ETC』(1988年)
Etc

Fred Hersch『Evanessence: A Tribute To Bill Evans』(1990年)
Evanessence: A Tribute To Bill Evans

The Fred Hersch Group『Forward Motion』(1991年)
Forward Motion

Fred Hersch Trio『Dancing in the Dark』(1992年)
Dancing in the Dark

Fred Hersch『Live at Maybeck Recital Hall, Vol. 31』(1993年)
Fred Hersch at Maybeck , Maybeck Recital Hall Series, Vol. 31

Fred Hersch『Red Square Blue: Jazz Impressions of Russian Composers』(1993年)
Red Square Blue / Jazz Impressions of Russian Composers

Fred Hersch Trio『Plays...』(1994年)
Plays Coleman Coltrane Davis E

Fred Hersch『Point in Time』(1995年)
ポイント・イン・タイム

Janis Siegel & Fred Hersch『Slow Hot Wind』(1995年)
Slow Hot Wind

Fred Hersch『Passion Flower』(1996年)
Passion Flower

Fred Hersch『Plays Rodgers & Hammerstein』(1996年)
Plays Rodgers & Hammerstein

Fred Hersch『Thelonious: Fred Hersch Plays Monk』(1998年)
Thelonious: Fred Hersch Plays Monk

Fred Hersch & Bill Frisell『Songs We Know』(1998年)
Songs We Know

Fred Hersch『Fred Hersch At Jordan Hall: Let Yourself Go』(1999年)
Let Yourself Go: Fred Hersch at Jordan Hall

Fred Hersch『Songs Without Words』(2001年)
Songs Without Words

Fred Hersch Trio『Live at the Village Vanguard』(2003年)
Live at the Village Vanguard

Fred Hersch & Norma Winstone『Songs & Lullabies』(2003年)
Fred Hersch / Norma Winstone: Songs & Lullabies

Fred Hersch Trio + 2『Fred Hersch Trio + 2』(2004年)
Fred Hersch Trio + 2

Fred Hersch『Leaves of Grass』(2005年)
Leaves of Grass

Fred Hersch『Personal Favorites』(2006年)
Personal Favorites

Fred Hersch『In Amsterdam: Live at the Bimhuis』(2006年)
In Amsterdam: Live at the Bimhuis

Fred Hersch Trio『Night & The Music』(2007年)
Night & The Music

Fred Hersch『Fred Hersch Plays Jobim』(2009年)
Fred Hersch Plays Jobim

Fred Hersch『Live at Jazz Standard』(2009年)
Live at Jazz Standard

Fred Hersch Trio『Whirl』(2010年)
Whirl

Fred Hersch『Alone at the Vanguard』(2011年)
Alone at the Vanguard

Fred Hersch Trio『Everybody's Song But My Own』(2011年)
エブリバディーズ・ソング・バット・マイ・オウン

Fred Hersch Trio『Alive at the Vanguard』(2012年)
Alive at the Vanguard (2CD) [輸入盤]

Fred Hersch & Julian Lage『Free Flying』(2013年)
Free Flying [輸入盤]

Ralph Alessi & Fred Hersch『Only Many』(2013年)
Only Many

Benoit Delbecq & Fred Hersch『Fun House』(2013年)
Fun House
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2014年12月20日

Pino Daniele『Nero A Meta'』

ナポリ産AORは武骨さと優しさが同居!☆Pino Daniele『Nero A Meta'』
Nero a Meta
発表年:1980年
ez的ジャンル:ナポリ系カンタウトーレ/AOR
気分は... :武骨さと優しさと・・・

今回はイタリア人男性SSW、Pino Daniele『Nero A Meta'』(1980年)です。

Pino Danieleは1955年イタリア、ナポリ生まれの男性シンガー・ソングライター/ギタリスト。1970年代後半から今日までナポリのカンタウトーレとしてコンスタントに作品をリリースし続けるアーティストです。

今回紹介する『Nero A Meta'』はPinoの3rdアルバムであり、再評価が高まった1枚です。

再評価を高めたのは、ブラジリアン・フュージョン調の「Sotto 'O Sole」が収録されているのが大きいですが、このタイプの曲はコレのみです。

それ以外はロック、ポップ、ブルース調の楽曲とメロウAORの楽曲が分け合っています。そんな楽曲に合わせてPinoのヴォーカルも武骨モードとジェントル・モードを使い分けています。

やはりメロウ/AOR調の楽曲に惹かれますね。その意味では「Quanno Chiove」「E So' Cuntento 'E Sta'」「A Testa In Giu」あたりがオススメです。また、ダンサブルなメロウ・グルーヴ「A Me Me Piace 'O Blues」は「Sotto 'O Sole」と並ぶ本作のハイライトかもしれませんね。

楽曲はすべてPino Danieleのオリジナルです。

ナポリ男の武骨さと優しさを堪能しましょう。

全曲紹介しときやす。

「I Say I'Sto Cca」
武骨なヴォーカルとポップなサウンドの組み合わせによるポップAOR調のオープニング。ビター・スウィートな感じでいいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=8BACbfcm-jo

「Musica Musica」
オススメその1。ファンキーなポップ・サウンドと少し忙しないPinoのヴォーカルが聴き重ねるうつにクセになります。
https://www.youtube.com/watch?v=ouyMNo8PdOg

「Quanno Chiove」
オススメその2。SSWらしいフォーキー・メロウな仕上がり。アコギの弦の響きとエレピの鍵盤の音色が至極のメロウ・ワールドを演出してくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=jXwazE2GLIE

「Puozze Passa 'Nu Guaio」
ロッキン・ブルース調の仕上がり。個人的にはあまりこういう音を求めていませんが、Pino Danieleというアーティストを知るうえでは、こういったサウンドも欠かせないのでしょうね。
https://www.youtube.com/watch?v=K7VHE6lk8TY

「Voglio Di Piu」
哀愁のメロディを歌い上げるバラード。
https://www.youtube.com/watch?v=l4P03NPha-Q

「Appocundria」
1分半強の小曲ですが、ノスタリジックなメロディをギターで奏でる、なかなかいい感じのインストです。
https://www.youtube.com/watch?v=g_87dpRcllw

「A Me Me Piace 'O Blues」
オススメその3。この疾走するダンサブルなメロウ・グルーヴは「Sotto 'O Sole」と並ぶ人気曲かもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=Uq569LIQUTA

「E So' Cuntento 'E Sta'」
オススメその4。メロウ・サウンドをバックに歌い上げるバラードは実にAORらしい仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=gp6cRAJfNfw

「Nun Me Scoccia'」
ブルージー・バラードを少し抑えたトーンで歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=ILdVRWgBNOg

「Alleria」
オススメその5。美しいメロディのバラード。ここでは武骨さは影を潜め、ジェントルな雰囲気でしっとりと歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=lZoBGCrSV5Y

「A Testa In Giu」
オススメその6。さり気ないですが、小粋なジャジー・メロウ感にグッときます。こういう曲大好き!
https://www.youtube.com/watch?v=zRtzV02HSIQ

「Sotto 'O Sole」
オススメその7。本作のハイライト。多くの方が本曲狙いで本作を購入しているのでは?エレピとスキャットが織り成すナポリ産メロウ・ブラジリアン・フュージョンは実に心地好いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=iNF--BBp0Ww

Pino Danieleの初期作品もチェックを!

『Terra Mia』(1977年)
Terra Mia

『Pino Daniele』(1979年)
Pino Daniele

『Vai Mo』(1981年)
Vai Mo

『Bella 'Mbriana』(1982年)
Bella'Mbriana

『Musicante』(1984年)
Musicante
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