2014年12月06日

Doctor Ice『The Mic Stalker』

Full Force全面プロデュース。UTFOの中心メンバーによるソロ・アルバム☆Doctor Ice『The Mic Stalker』
doctor ice the mic stalker.jpg発表年:1989年
ez的ジャンル:Full Forceファミリー系Hip-Hop
気分は... :Full Forceいいね!

今日は80年代に活躍したHip-HopグループUTFOのメンバーであったDoctor Iceのソロ・アルバム『The Mic Stalker』(1989年)です。

UTFOは1983年にN.Y.ブルックリンで、結成されたHip-Hopグループ。メンバーはThe Kangol KidDoctor IceEducated RapperMixmaster Iceの4名。

1984年にFull ForceプロデュースによるRoxanneとの共演シングル「The Real Roxanne / Roxanne's Back Side」でデビュー。

その後もFull Forceのプロデュースで『UTFO』(1985年)、『Skeezer Pleezer』(1986年)、『Lethal』(1987年)、『Doin It』(1989年)といったアルバムをリリースしています。

そんな中でグループの中心人物であったDoctor Ice(本名red Reeves)がリリースしたアルバムが本作『The Mic Stalker』(1989年)です。

ちなみにDoctor Iceは、オールドスクールHio-Hopを語る上で欠かせないグループWhodiniのメンバーJalilの弟です。

当時の僕はFull Force『Smoove』(1989年)に相当ハマっており、その流れでFull Forceプロデュースというのみで飛びついたのが本作『The Mic Stalker』でした。UTFOについては、グループ名は知っていたけど、音を聴く機会はなかったですね。今みたいにYouTube等ネットで気軽に音源を聴ける時代ではなかったので・・・

その意味ではFull Forceらしさに溢れたHip-Hop作品である本作は僕にとって大満足なHip-Hop作品でした。Full Force以外にもCheryl Pepsii RileyやLisa Lisa(Lisa Lisa & Cult Jam)がゲスト参加していたことにも惹かれた記憶があります。

改めて聴くと、少し一本調子な部分もあるアルバムですが、Full Forceらしいアッパーなノリのトラックを満喫できることは事実です。

ソウル好きの方は大ネタ使いのトラックも楽しめるはずです。

名盤とは言いませんが、侮れない1枚でもあると思います。

特にFull Force好きの人は要チェックです。

全曲紹介しときやす。

「Bass Up - Bass Down」
本作を印象付けるファンキーでアッパーなオープニング。

「Everybody Git Funky」
タイトルの通り、ファンキーに弾けたFull Forceらしいトラックを楽しめます。Lyn Collins「Mama Feelgood」、「Rock Me Again & Again & Again & Again & Again & Again (6 Times)」、「Think (About It)」をサンプリング。

「Nobody Move」
The J.B.'s「Givin' Up Food for Funk」、Yellowman「Nobody Move, Nobody Get Hurt」、Lyn Collins「Take Me Just as I Am」をサンプリング。ラガ調も交えたDoctor Iceの達者なフロウを満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=sFma3wp04vI

「Love Jones」
Cheryl Pepsii Riley、Full ForceをフィーチャーしたBrighter Side of Darknessのカヴァー。こうしたスウィートなソウル・カヴァーを織り交ぜるあたりもFull Forceらしいですね。Stetsasonic「Float On」あたりと一緒に聴きたいですね。

「Sue Me!」
シングルにもなったダンサブル・チューン。良くも悪くもこの時代らしいアッパー感ですね。Full Force大好きだった僕はこの手のノリも嫌いじゃありません!Lyn Collins「Mama Feelgood」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=sgznqfHTSfU

「Brooklyn To L.A.」
ボトムの効いた疾走感に、この時代らしい格好良さを感じます。昔はこういうトラック好きだったなぁ?
https://www.youtube.com/watch?v=yjj277DNS7o

「Fever」
リラックスしたユルさのあるトラックとフロウがよくマッチしています。Fred Wesley & The J.B.'s「Same Beat」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=RVMOPgI2CuM

「Feelin' Irie」
ここではDoctor IceではなくDread Docとして、ダンスホール・レゲエ調のMCを聴かせてくれます。アルバムの中でいいアクセントになっています。

「The Mic Stalker」
タイトル・チューンもアゲアゲです。Bobby Byrd「Hot Pants - I'm Coming, I'm Coming, I'm Coming」、Fred Wesley「I'm Paying Taxes (What Am I Buyin')?」、Marva Whitney「What Do I Have to Do to Prove My Love to You」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=T7Cu9rgxySc

「Word To The Wise」
本作のハイライトかもしれませんね。Full Forceらしい格好良いファンキー・トラックとDoctor Iceの軽快なフロウがよくマッチしています。James Brown「Say It Loud, I'm Black and I'm Proud」、The J.B.'s 「Givin' Up Food for Funk」、Bootsy's Rubber Band「Bootzilla」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=IxfMCtspQ_Q

「The Chillologist」
Timmy Thomas「Why Can't We Live Together」ネタのモロ使いですが、「Why Can't We Live Together」の少しチープなサウンドが逆によく馴染んでいると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=mk2eMlLgUFQ

「Word Up Doc!」
ここではBetty Wright「Clean Up Woman」ネタの跳ねたトラックが印象的です。

「I Ain't Goin'」
大ネタ・トラックの間に挟まれて少し分が悪いですが、なかなかノリの良いトラックで僕は好きです。

「Just A Little Bit」
ここでも大ネタAretha Franklin「Respect」を用いたトラックと共にDoctor Iceのフロウが弾けます。

「True Confessions」
ラストはBlair Underwood、Lisa Lisa(Lisa Lisa & Cult Jam)をフィーチャー。男女のやりとりが延々と繰り広げられるのもこの時代らしいかもしれませんね。

ご興味がある方はUTFOのアルバムもチェックを!

『UTFO』(1985年)
Utfo

『Skeezer Pleezer』(1986年)
Skeezer Pleezer

『Lethal』(1987年)
Lethal

『Doin It』(1989年)
Doin It

『Bag It & Bone It』(1991年)
Bag It N Bone It
posted by ez at 08:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月05日

Sergio Mendes & Brasil '66『Stillness』

Brasil '66としてのラスト・アルバム☆Sergio Mendes & Brasil '66『Stillness』
スティルネス
発表年:1970年
ez的ジャンル:移行期セルメン
気分は... :ポップになりすぎず・・・

今回はSergio Mendes & Brasil '66のラスト・アルバム『Stillness』です。

当ブログで、これまで紹介してきたSergio Mendes作品は以下の9枚。

 『Brasil '65』
 ※Wanda Sa(Wanda De Sah)Rosinha De Valencaとの共演作
 『Herb Alpert Presents Sergio Mendes & Brasil '66』(1966年)
 『Equinox』(1967年)
 『Look Around』(1968年)
 『Fool On The Hill』(1968年)
 『Sergio Mendes' Favorite Things』(1968年)
 『Crystal Illusions』(1969年)
 『Vintage 74』(1974年)
 『Sergio Mendes & the New Brasil '77』(1977年)

前述のように、本作『Stillness』(1970年)はBrasil '66名義のラスト・アルバムです。次作『Pais Tropical』(1971年)からグループはSergio Mendes & Brasil '77を名乗るようになります。

本作のメンバー構成は少し複雑です。ジャケ、裏ジャケ、インナースリーブに写るメンバーは7名。ただし、ジャケ及び裏ジャケとインナースリーブとでは写っているメンバーが一部異なります。

これは本作の制作中にオリジナル・メンバーとして活躍してきた女性ヴォーカルのLani Hallが脱退し、それに代わりGracinha Leporaceが新メンバーとして加入したためです。

Gracinha LeporaceGrupo ManifestoBossa Rioのメンバーとしても活躍し、プライベートでもSergio Mendesの奥方になった人です。

ジャケ、裏ジャケにはLani Hall、インナーにはGracinha Leporaceが写っています。実際には新加入のGracinhaがヴォーカルをとっているのは「Lost In Paradise」のみなのですが・・・

それ以外のメンバーは、Sergio Mendes(p、vo)、Karen Philipp(vo)、Sebastiao Neto(b)、Claudio Slon(ds)、Rubens Bassini(per)、Laudir Soares de Oliveira(per)という6名です。Claudio Slon、Laudir Soares de Oliveiraが新加入メンバーです。

それ以外にOscar Castro-Neves(g)等のサポート・メンバーが参加しています。

ジャケからも想像できますが、従来のBrasil '66とは異なる雰囲気のアルバムです。Mendes自身が意図的にイージーリスニング/ポップ色の強い音を避けたのでしょう。アルバムにはUS/UKの音楽シーンを反映したラブ&ピースなフォーキー/ロック的なサウンド、それとは対照的にブラジル色を強く打ち出した楽曲、クロスオーヴァー感のある楽曲などが並びます。

音楽シーンの変わり目に直面し、従来からの変化を求めた本作を聴けば、セルメンがBrasil '66に区切りをつけたのも頷けます。

セルメン作品の中では地味な扱いの1枚ですが、ポップさの抑え加減が絶妙であり、今の僕の音楽嗜好にはとてもフィットする1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Stillness」
Paula Stone作。従来のBrasil '66のイメージとは大きく異なる幻想的なフォーキー・チューン。フォーキー・ギターとフルートをバックに、Lani Hallが少し陰のあるヴォーカルを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=ro1ZPAGJOyE

「Righteous Life」
Paula Stone作。「Stillness」同様、当時のUSチャートを反映するかのようなシンガー・ソングライター風の仕上がり。ラブ&ピースな雰囲気が漂います。
https://www.youtube.com/watch?v=kFez0-bULgA

「Chelsea Morning」
Joni Mitchell『Clouds』作。Joniのオリジナルは『Clouds』(1969年)に収録されています。Judy Collinsのカヴァー・シングルでもお馴染みの曲ですね。本作らしいSSW作品のセレクトですが、ラテン・パーカッションを効かせたサウンドは従来のBrasil '66らしさも覗かせます。その意味では、Brasil '66の従来からの魅力と本作らしいエッセンスのバランスが上手くとれた仕上がりだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=2yPKKRzHByI

「Cancao Do Nosso Amor」
Dalton Madeiros/Silveiro Madeiros作。ここではMendes自身がヴォーカルをとるソフトリー&ムーディーな仕上がりです。

「Viramundo」
Gilberto Gil/Capinan作。Gilのオリジナルは『Louvacao』(1967年)に収録されています。軽快なブラジリアン・リズムが心地好い仕上がりです。過度にポップにしすぎず、ブラジル色を強く打ち出したアレンジがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=7Bmub9JFgxk

「Lost In Paradise」
Caetano Veloso作。Caetanoのオリジナルは『Caetano Veloso』(1969年)に収録されています。当ブログではGal CostaAlexia Bomtempoのカヴァーも紹介済みです。新加入のGracinha Leporaceがヴォーカルをとる楽曲です。オーケストレーションを配しつつ、この時期のUS/UKのSSWやロックの空気感を上手く取り入れている好カヴァーに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Rf6x5Brfi_8

「For What It's Worth」
Buffalo Springfieldのカヴァー(Stephen Stills作)。オリジナルは『Buffalo Springfield』(1966年)に収録されています。当ブログではThe Voices Of East HarlemMiriam Makebaのカヴァーも紹介済みです。Buffalo Springfieldの名曲を、フォーク・ロックな雰囲気を残しつつ、パーカッシヴな雰囲気で聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=QONvHhi0jNM

「Sometimes In Winter」
Blood, Sweat & Tearsのカヴァー(Steve Katz作)。オリジナルは『Blood, Sweat & Tears』(1968年)に収録されています。ラブ&ピースな空気に包まれたピースフル・チューンはこの時代らしい仕上りです。クロスオーヴァー感のあるアレンジもセルメン新時代を感じさせます。
https://www.youtube.com/watch?v=43qkEGgzdBc

「Celebration Of The Sunrise」
Oscar Castro-Neves/Tiao Neto作。ダバダバ・スキャット入りのブラジリアン・フォーキー。2分にも満たない曲ですが、なかなか心地好いです。

「Stillness」
「Stillness」のリプライズでBrasil '66の歴史が幕を閉じます。

Sergio Mendes作品の過去記事もご参照下さい。

Wanda de Sah featuring The Sergio Mendes Trio With Rosinha De Valenca『Brasil '65』(1965年)
ブラジル'65

『Herb Alpert Presents Sergio Mendes & Brasil'66』(1966年)
マシュ・ケ・ナーダ

『Equinox』(1967年)
分岐点~コンスタント・レイン

『Look Around』(1968年)
Look Around

『Fool On The Hill』(1968年)
フール・オン・ザ・ヒル

『Sergio Mendes' Favorite Things』(1968年)
Favorite Things

『Crystal Illusions』(1969年)
Crystal Illusions

『Vintage 74』(1974年)
Vintage '74

『Sergio Mendes & the New Brasil '77』(1977年)
Sergio Mendes & the New Brasil '77
posted by ez at 02:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月04日

Shirley Scott With The Latin Soul Quintet『Mucho Mucho』

ファンキー・オルガンとラテン・ジャズ・ユニットの共演!☆Shirley Scott With The Latin Soul Quintet『Mucho Mucho』
ムーチョ・ムーチョ
録音年:1960年
ez的ジャンル:ジャズ・オルガンの女王
気分は... :ムーチョ!ムーチョ!

今回はジャズ・オルガンの女王Shirley Scottがリーダーのコンガ奏者Juan Amalbertを中心としたラテン・ジャズ・ユニットThe Latin Jazz Quintetと共にレコーディングした『Mucho Mucho』(1960年)です。

Shirley Scottの紹介はShirley Scott & The Soul Saxes名義の『Shirley Scott & The Soul Saxes』(1969年)に続き2回目となります。

また、The Latin Jazz Quintetについても『Latin Soul』(1961年)を既に紹介済みです。

Prestigeからリリースされた本作のレコーディング・メンバーはShirley Scott(org)、Juan Amalbert(congs)、Bill Ellington(b)、Gene Casey(p)、Manny Ramos(timbales)、Phil Diaz(vibe)という編成です。

オルガン・ジャズ大好き!ラテン・ジャズ大好きな僕にとっては、ラテン・テイストのオルガン・ジャズである本作はうってつけの1枚です。さらにヴァイヴの音色が目立つあたりも僕好みです。

「I Get A Kick Out Of You」「Walkin'」「The Lady Is A Tramp」のような疾走するラテン・グルーヴと、「Tell Me」「Muy Azul」のような寛げるエキゾチック・ラテンが交互に配されているのがいいですね。

ジャケはイマイチ垢抜けませんが、サウンドは洗練されています!

全曲紹介しときやす。

「Walkin'」
Jon Hendricks作。Phil DiazヴァイヴとJuanのコンガが先導し、それにShirleyのファンキー・オルガンが続きます。ファンキーながらも軽やかな雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=fZexhn0Gjuc

「Tell Me」
Gene Casey作。Cafe Apres-midi好きの人は要チェックのエキゾチック・ラテン。ゆったりと時間が流れていく感じがいいですね。1人でお酒を飲みながら聴きたい1曲ですね。Shirleyの抑えたオルガンと作者Gene Caseyのピアノ、Juanのコンガの絡みが絶妙です。引き算の美学!

「I Get A Kick Out Of You」
Cole Porter作。1934年のミュージカル『Anything Goes』挿入の有名曲。当ブログではAnita O'Dayのカヴァーを紹介済みです。個人的には本作のハイライトと呼びたいメロウに疾走するラテン・グルーヴです。コンガが生み出すラテン・リズム、軽快なヴァイヴ、グルーヴィーなオルガンと僕の好きな要素が詰まったご機嫌な演奏です。今聴いても実に新鮮です。

「Muy Azul」
Gene Casey作。「Tell Me」と同じくエキゾチック・ラテンな仕上がり。肩肘張らないリラックスした雰囲気が和ませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=eYX83kQMseQ

「The Lady Is A Tramp」
Thomas "Fats" Waller作。ラテン・リズムで軽快に疾走します。ジャズ・オルガンの女王とラテン・ジャズ・ユニットの共演らしい、ファンキーなラテン・グルーヴを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=fI6MM6eUAXQ

「Mucho Mucho」
Shirley Scott作。14分強のタイトル曲はラテン色は少し抑え、Gene Caseyのピアノを中心とした小粋なジャズを聴かせてくれます。

Shirley ScottThe Latin Jazz Quintetの他作品もチェックを!

Shirley Scott & Stanley Turrentine『Blue Flames』(1964年)
Blue Flames

Shirley Scott『Latin Shadows』(1965年)
ラテン・シャドゥズ

Shirley Scott & Clark Terry『Soul Duo』(1966年)
Soul Duo

Shirley Scott『Soul Song』(1968年)
ソウル・ソング

Shirley Scott & The Soul Saxes『Shirley Scott & The Soul Saxes』(1969年)
シャーリー・スコット&ザ・ソウル・サックシーズ

Shirley Scott『Something』(1970年)
Something

Shirley Scott『Superstition』(1973年)
Superstition

The Latin Jazz Quintet『Hot Sauce/The Chant』(1960年/1962年) ※2in1CD
ラテン・ラウンジ・グルーヴ

The Latin Jazz Quintet + Eric Dolphy『Caribe』(1960年)
キャリベ

The Latin Jazz Quintet『Latin Soul』(1961年)
ラテン・ソウル
posted by ez at 02:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月03日

Les Nubians『Nu Revolution』

フレンチ・ネオソウルの姉妹ユニットによるAfropean Soul☆Les Nubians『Nu Revolution』
Nu Revolution
発表年:2011年
ez的ジャンル:フレンチ姉妹ネオソウル
気分は... :Afropean Soul!

今回はFaussart姉妹によるフレンチ・ネオソウル・ユニットLes Nubiansの3rdアルバム『Nu Revolution』(2011年)です。

Les Nubiansは、フランス、ボルドー生まれのHelene FaussartCelia Faussartの姉妹から成るネオソウル・ユニット。2人はカメルーン人の母とフランス人の父の間に生まれた姉妹です。

姉妹が中央アフリカのチャドに住んでいた時、ユニットを結成しました。

1998年にデビュー・アルバム『Princesses Nubiennes』をリリース。シングル 「Makeda」のヒットと共にアルバムも好セールスを記録しました。

さらに2ndアルバム『One Step Forward 』(2003年)に収録された「J'Veux D'La Musique (Tout Le Temps...)」はグラミー賞にもノミネートされました。

本作『Nu Revolution』(2011年)はN.Y.に拠点を移してレコーディングを行った3rdアルバムです。

Faussart姉妹に加え、Diviniti、Fabulous Fab、Maurice "Pirahnahead" Herd、Tim Kvasnosky、Andres Levin、Jean-Michel Rotinがプロデュースを務めています。

裏ジャケに"Afropean Soul...a unique mix of nu-soul,hip-hop and world music"と記載されている通り、ネオソウル、Hip-Hop、ワールド・ミュージックのエッセンスをミックスしたアフリカ色の強いフレンチ・ネオソウルに仕上がっています。

その意味では、R&B/Hip-Hop好きに加え、アフロなクロスオーヴァー・サウンド好きの人も気に入る1枚だと思います。

USネオソウルとは一味違うAfropeanなフレンチ・ネオソウルは、なかなか刺激的です。

全曲紹介しときやす。

「Nu Queens Intro」
アフリカ色の強いパーカッシヴなイントロ。

「Liberte」
アコースティック色の強い爽快メロウ・グルーヴ。このユニットの雰囲気にマッチするパーカッシヴなエスニック感が魅力です。
http://www.youtube.com/watch?v=cKMYmeqxfwE

「Nu Revolution」
カリンバ音色と共に始めるタイトル曲。明日への希望に満ちた壮大なスケール感がいいですね。

「Fraicheur Souhaitee」
ネオソウル好きの人であれば気に入るであろうメロウ・チューン。曲のテンポとフレンチの語感がよくマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=-Jl1DMf80Ks

「Nu Soul Makossa」
カメルーン出身のサックス奏者Manu Dibangoをフィーチャー。勿論、タイトルはレジェンド・ミュージシャンである彼のアフロ・ファンク名曲「Soul Makossa」因んだものです。「Soul Makossa」を2011年らしいクラブ/クロスオーヴァー仕様にリメイクしたかのような仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=FNoDkutHx9M

「Les Gens」
ガーナ出身で現在はN.Y.を拠点に活動する男性ラッパーBlitz The Ambassadorをフィーチャー。当ブログで紹介した作品でいえば、Seun Kuti & Egypt 80『A Long Way To The Beginning』にも彼がフィーチャーされていました。美しいハープの音色が印象的なイントロに続き、躍動する生音サウンドをバックに、姉妹が息の合ったヴォーカルワークを披露していくる素晴らしいネオソウル・チューンです。Blitz The Ambassadorのラップ・パートも見事にハマっています。
http://www.youtube.com/watch?v=eipKVla1cBY

「Afrodance」
アルバムからのリード・シングル。タイトルの通り、アフロ・モードのダンサブル・チューンです。このユニットの持つクロスオーヴァー感覚が反映された妖しい魅力がたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=0ldnvTqzjB8

「Deja Vous」
実力派ネオソウル・シンガーEric Robersonをフィーチャー。Adam Deitchの叩き出すファンキー・ドラムが先導するサウンドにのって、ソウルフルなフレンチ・ヴォーカルを披露してくれます。そこに絡むEric Robersoのヴォーカルはさすが存在感が抜群です。
http://www.youtube.com/watch?v=FUoqAkaHl8w

「Veuillez Veiller Sur Vos Reves (J. Period Remix)」
John Banzaiをフィーチャー。フランス人プロデューサーDelaのアルバム『Changes Of Atmosphere』(2008年) に収録されていた楽曲をHip-HopプロデューサーJ. Periodがリミックスしたものです。洗練されたクール・トラックとフレンチ・ヴォーカル&ラップがよくマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=LuJQiBwbDP0

「Vogue Navire」
淡々とした雰囲気ながらも哀愁のメロディがジワジワときます。
http://www.youtube.com/watch?v=sn89ulAsdls

「Femme Polyandre」
サウンドも含めて、姉妹2人で完結させている楽曲。ダウナーでダークな雰囲気が僕好み。

「Je M'en Occupe」
アフリカン・フレイヴァーな小曲。

「Mbengue (A Letter From...) 」
哀愁メロウなネオソウル・チューン。さり気ないアフリカン・テイストがいいですね。

「Africa For The Future」
南アフリカのアフロ・フュージョン・バンドFreshlygroundをフィーチャー。ラストは躍動するアフロ・ファンク/フュージョンで締め括ってくれます。Freshlygroundのキレのある演奏はなかなかのものです。
http://www.youtube.com/watch?v=YaKykXBpGVo

Les Nubiansの他作品もチェックを!

『Princesses Nubiennes』(1998年)
Princesses Nubiennes

『One Step Forward 』(2003年)
One Step Forward
posted by ez at 00:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月02日

The Joneses『Keepin' Up With The Joneses』

人気曲「Sugar Pie Guy」、「I Can't See What You See In Me」収録!☆The Joneses『Keepin' Up With The Joneses』
キーピン・アップ・ウィズ・ジョーンジズ
発表年:1974年
ez的ジャンル:男性ソウル・グループ
気分は... :引けを取らない!

今日は再評価の高いソウル・グループThe Jonesesの1stアルバム『Keepin' Up With The Joneses』(1974年)です。

リーダーのGlenn Dorseyを中心にピッツバーグで結成されたグループThe Jonesesの紹介は、2ndアルバム『The Joneses』(1977年)に続き2回目となります。

1972年にシングル「Pretty, Pretty」でデビューしたThe Jonesesは、1973年にメジャーのMercuryとの契約に成功し、リリースされたのが1stアルバムとなる本作『Keepin' Up With the Joneses』(1974年)です。
本作におけるメンバーはGlenn DorseyHarold TaylorWendell NobleReggie NobleSam Whiteの5名。

Mercuryの契約前にオリジナル・メンバーのCy Brooksが抜け、Harold Taylorが新たにグループに加入しました。

アルバムからは「Hey Babe (Is The Gettin' Still Good?)」(全米R&Bチャート第18位)、「Sugar Pie Guy」(全米R&Bチャート第10位)という2曲のスマッシュ・ヒットが生まれています。

プロデュースはLee Valentine。レコーディングにはRalph MacDonald(per)、Alan Schwartzberg(ds)、Rich Marotta(ds)、Steve Gadd(ds)、Wilbur Bascome(b)、Cornell Dupree(g)、Richard Tee(key)、Paul Griffin(key)等のミュージシャンが参加しています。

前述の「Sugar Pie Guy」「Hey Babe (Is The Gettin' Still Good?)」のシングル曲とフリーソウル人気曲である「I Can't See What You See In Me」あたりがハイライトだと思います。

必ずしもこのタイプの甘茶ソウル作品が得意ではない僕ですが、そんな僕でも楽しめたアルバムです。

Wendell Noble作の「I Promise You」以外はGlenn Dorseyの作品です。

全曲紹介しときやす。

「I Can't See What You See In Me」
爽快スウィートなオープニング。フリーソウルのコンピにも収録されていた人気曲です。甘酸っぱい感じがたまりません。Harold Taylorのバリトン・リードに絡むメロウ・コーラスが実にいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=qedtYzwQBAc

Graphwize「What You See」でサンプリングされています。
Graphwize「What You See」
 http://www.youtube.com/watch?v=82mym7sg3SU

「Fire」
(多分)Sam Whiteがリード・ヴォーカル。サウンドも含めてかなり僕好み。甘く危険なムードがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=tFW3gbL8ow0

「Our Love Song」
7分半という長尺バラード。ジワジワと迫ってきます。
http://www.youtube.com/watch?v=RRHb0mqKgg8

「Hey Babe (Is The Gettin' Still Good?) Part 1」
前述のように全米R&Bチャート第18位となったシングル曲。個人的な好みでいえば、「Sugar Pie Guy」よりもこちらのダンサブル感の方が僕にはフィットします。
http://www.youtube.com/watch?v=_2snxP0N3tQ

「Hey Babe (Is The Gettin' Still Good?) Part 2」
パート2はパート1の余韻を楽しむ2分強のヴァージョンです。

「Sugar Pie Guy (Part 1)」
本作のハイライトとなるダンス・チューン。前述のようにシングルとして全米R&Bチャート第10位のヒットとなりました。ソウル・トレインなダンサブル感がこの時代らしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=QGZnZGQzwEc

「Sugar Pie Guy (Part 2)」
パート2はJB風の掛け声や女性コーラスを加えてアクセントをつけています。ダンサブルなトラックを楽しむにはコチラをどうぞ!

「I Promise You」
密かに好きな素敵なスウィート・バラード。ファルセット・ヴォーカルとHarold Taylorのバリトンの絡みが実にいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=9Al0ghABL_E

「Baby Don't Do It」
アルバム・リリース以前にシングル・リリースされていた楽曲。「Sugar Pie Guy」「Hey Babe」とはリード・ヴォーカルが異なるため、かなり異なった印象を受けます。
http://www.youtube.com/watch?v=fIovcxAdb9o

「Please Let Me Stay」
ラストは各メンバーのヴォーカルを楽しめる内容ですが、逆に曲全体のインパクトは少し弱いかも?

『The Joneses』(1977年)
Joneses: Expanded Edition , from UK]
posted by ez at 02:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする