2014年12月11日

4Hero『Play with the Changes』

これが4Heroサウンドの完成形なのか?☆4Hero『Play with the Changes』
Play With the Changes (Dig)
発表年:2007年
ez的ジャンル:UKフューチャー・ソウル/ジャズ
気分は... :これが聴き納めなのか?

今回はDegoMarc Macの2人による人気ユニット4Heroが2007年にリリースした5thアルバム『Play with the Changes』(2007年)です。

当ブログで紹介した4HeroおよびDegoMarc Mac関連の作品は以下の3枚です。

 『Parallel Universe』(1994年)
 Tek 9『Simply』(1999年)
 『Creating Patterns』(2001年)
 2000Black『A Next Set A Rockers』(2008年)
 Dego『A Wha' Him Deh Pon?』(2011年)
 Visioneers『Hipology』(2012年)

前作『Creating Patterns』(2001年)から6年ぶりにリリースされた新作が本作『Play with the Changes』(2007年)でした。

2007年作品ということで、リアルタイムで当ブログにエントリーしていてもおかしくないアルバムなのですが、当時の僕は4Heroをはじめとする西ロンドン界隈のダンス・ミュージックには疎く、恥ずかしながら本作もスルーしていました。僕の中で4Heroはドラムンベース全盛の90年代で区切りをつけていた感があったもので・・・

僕が再び4HeroやDegoの動きに注目するようになったのは、2000Black『A Next Set A Rockers』(2008年)だったので、1年遅かったですね(泣)

21世紀スタイルのソウル&ジャズを聴かせてくれた前作『Creating Patterns』をさらに発展させた本作には、前作同様に多彩なヴォーカリストがフィーチャーされています。

Bembe SegueLady AlmaFaceUrsula Ruckerといった前作にも参加していたアーティストに加え、 Jack DaveyPhonteThe Foreign Exchange)、Darien BrockingtonLarry MizellTalita LongTerry DevosJody Watley(元Shalamar)といったヴォーカリストが参加しています。

また、Degoとのユニット2000BlackBugz In The Atticでの活動でお馴染みのKaidi Tatham、同じくBugz In The AtticのメンバーであるMatt Lord、今が旬の進化形ドラマーRichard SpavenMarc Macも属するHillside Barbershop TrioBrad Munn(Somatik)Luke Parkhouse、近年The Invisibleのメンバーとしても活躍するギタリストDave Okumu等もレコーディングに参加しています。

アルバムの実態としては、Dego制作曲、Marc Mac制作曲を合わせて4Hero名義でリリースしたという感が強く、ユニットとしての体は成していないかもしれません。

Kaidi Tathamと共に制作したものが多いDego主導の曲は、ほぼ2000Blackですし、Marc Mac主導の曲ははBrad Munn(Somatik)Luke Parkhouseを従えたHillside Barbershop Trio中心の制作が目立ちます。

そんなパッチワーク的なアルバムでありながら、改めて聴くと、その完成度に驚かされる作品に仕上がっているのが、このユニットの凄さですね。

現在の状況であれば、本作が4Heroとしてのラスト・アルバムになってしまうのですかね?

そう考えると、4Heroサウンドの完成形、到達点として重要な意味を持つアルバムだと思います。

全曲紹介しときやす。

「Morning Child」
Carina Anderssonをフィーチャー。前作『Creating Patterns』の人気曲「Les Fleur」Minnie Ripertonの名曲カヴァー)でフィーチャーされていたCarina Anderssonがオープニングを飾ります。流麗なストリングスをバックに、Carina Anderssonがキュートなヴォーカルを披露する様は、Charles StepneyのアレンジでMinnie Ripertonがリード・ヴォーカルをとっているかのようです。
https://www.youtube.com/watch?v=z4xY7WoZyP4

「Take My Time」
Brook D'LeauとのデュオJ*Daveyで知られる女性シンガーJack Daveyをフィーチャー。哀愁モードのエレクトリック・ソウル。あえて抑えたトーンの仕上がりが本作らしいかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=mBJ4qEcGv08

「Look Inside」
UKの女性シンガーFaceをフィーチャー。Marc Macがプロデュースし、Marc以外のバック・ミュージシャンはBrad MunnとLuke ParkhouseのみというHillside Barbershop Trioメンバーで制作された楽曲。ハイパーな疾走感が心地好いフューチャー・ソウルはかなりのお気に入りです。
https://www.youtube.com/watch?v=09KCn-H9lFk

「Sink Or Swim (No Choice For Me)」
多方面で活躍するUS女性シンガーLady Almaをフィーチャー。DegoとKaidi Tathamの2人主導で制作された本曲は2000Blackの雰囲気に近いですね。Degoらしいフューチャリスティックなグルーヴをバックに、Lady Almaがディーヴァらしい艶やかなヴォーカルを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=jbdh8kD5Y1c

「Give In」
PhonteとDarien BrockingtonというThe Foreign Exchangeファミリーの男性ヴォーカル2人をフィーチャー。4Hero meets The Foreign Exchange的な面白さがある1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=L5WtY7vvteQ

本曲はMadlib「Dill Withers Theme」のサンプリング・ソースとなっています。

「Play With The Changes」
タイトル曲では、なんとMizell兄弟として数多くの名作を世に送り出してきたLarry Mizellのヴォーカルをフィーチャー。女性シンガーTalita Longとデュエットしています。Sky High Production作品のようなストリングスは入っていませんが、Mizell Brothersへのリスペクトを感じる爽快メロウ・グルーヴに仕上がっています。Kaidi Tathamの涼しげなフルートもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=iV6_l6P7LjY

「Something In The Way」
西ロンドンの歌姫Bembe Segueをフィーチャー。DegoとKaidi Tathamの2人主導で制作された本曲も4Heroというより、2000Black名義でもいいようなブロークン・ビーツに仕上がっています。個性的な声質を持つBembe Segueですが、ここでは前に出過ぎずフューチャリスティックなダンス・サウンドに上手く溶け込んでいます。個人的にはかなり好きな1曲です。

「Stoke Up The Fire」
再びFaceをフィーチャー。Bembe Segueがバック・コーラスを務めています。Dave Okumuのロッキン・ギターでアクセントをつけています。

「The Awakening」
Ursula Ruckerのスポークン・ワードフィーチャー。インディアン・ハープを配し、スピリチュアル・ジャズのエッセンスも加わった演奏を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=78aWMdEcv7M

「Sophia」
ストリングスを巧みに配した雄大な疾走感が心地好いインスト。
https://www.youtube.com/watch?v=oY36IOXRqRo

「Superwoman (Where Were You When I Needed You?)」
Terry DevosをフィーチャーしたStevie Wonderのカヴァー。Stevieのオリジナルは『Music of My Mind』(1972年)に収録されています。オリジナルの雰囲気・展開を受け継ぎ、前半、中盤、後半とメリハリをつけた流れになっています。Terry Devosのヴォーカルも実にStevie Wonder風です。
https://www.youtube.com/watch?v=ZPoLZpwSDSo

「Why Don't You Talk?」
ロンドンを拠点に活躍するサックス奏者がホーン・アレンジを手掛けたインスト・チューン。進化形ドラマーRichard Spavenが叩き出すビートをバックに、素晴らしいホーン・アンサンブルが繰り広げられます。こういう演奏も今年流行の進化形ジャズとして面白いのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=WCDtJ-6fa-I

「Bed Of Roses」
かつて一世を風靡した女性ヴォーカリストJody Watley(元Shalamar)をフィーチャー。駆け抜けるスピードという点では、本作で一番疾走しています。アコースティックな疾走感が実に心地好いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=G2gzzvrxcy0

「Gonna Give It Up (Wanna Quit)」
Lady Almaを再びフィーチャー。Degoらしいエレクトリック・ソウル・サウンドとLady Almaがソウルフル・ヴォーカルの相性は抜群です。
https://www.youtube.com/watch?v=WexdmBE4QBQ

「Dedication To The Horse」
ラストはDegoによるロッキンなインストで締め括ってくれます。Dave Okumuのギター、Matt Lordのベース、Richard Spavenのドラムが激しく絡みます。

他の4Hero作品もチェックを!

『In Rough Territory』(1991年)
In Rough Territory 4 Hero

『Parallel Universe』(1994年)
Parallel Universe

『Two Pages』(1998年)
トゥ・ペイジズ

『Creating Patterns』(2001年)
Creating Patterns

DegoMarc Mac関連の過去記事もご参照下さい。

Tek 9『Simply』(1999年)
Simply (+ Bonus Tracks)

2000Black『A Next Set A Rockers』(2008年)
ア・ネクスト・セット・ア・ロッカーズ

Visioneers『Hipology』(2012年)
HIPOLOGY
posted by ez at 01:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする