2015年01月06日

Bossa Nostra『Solaria』

Irma産ボッサ・ジャズ。ソウル・シンガーVicki Anderson参加☆Bossa Nostra『Solaria』
Solaria
発表年:1995年
ez的ジャンル:Irma系ボッサ・ジャズ/アシッド・ジャズ
気分は... :刺激はないけど・・・

今回はイタリアのボッサ・ジャズ・バンドBossa Nostraの1stアルバム『Solaria』(1995年)です。

Bossa Nostraはイタリアで結成されたボッサ・ジャズ・バンド。メンバーはEmanuele Bigi(p、el-p)、Luigi Storchi(ts、as)、Massimo Mussini(g)、Stefano Carrara(b)、 Adriano Molinari(ds)の5名です。

イタリアの人気レーベルIrmaから『Solaria』(1995年)、『Kharmalion』(1998年)、『Voyage To Brazilia』(2000年)という3枚のアルバムをリリースしています。

今日紹介する1st『Solaria』は1995年という時期のせいか、アシッド・ジャズ的なフィーリングが反映された1枚に仕上がっています。

本作ではIrmaレーベルを代表するDJ/プロデューサーLTJ(LTJ X-Perience)ことLuca Trevisiがプロデュースを手掛けています。

2nd『Kharmalion』、3rd『Voyage To Brazilia』では女性シンガーBruna Loppezをフィーチャーしていましたが、本作『Solaria』ではJames Brownのバック・シンガーとして知られるVicki Andersonが数曲でフィーチャーされています。Vicki AndersonはBobby Byrdの妻、Carleen Andersonの母です。

Vicki Andersonがフィーチャーされた「The Message From A Soul Sisters」「Home Is Where The Hatred Is」以外はすべてインストです。

今聴くと、目新しさがあるアルバムではありません。しかしながら、改めてアルバムを聴き通すと、ボッサ・ジャズ、アシッド・ジャズ、クラブジャズが1枚の中に同居している様が面白い気がします。

刺激はありませんが、その分リラックスして聴ける1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Faces」
Stefano Carrara作。バンドの方向性が明快に示された小粋な生音ボッサ・ジャズと共にアルバムはスタートします。
https://www.youtube.com/watch?v=LWmUiOrTOH0

「The Message From A Soul Sisters」
James Brown作。Vicki Anderson自身がMyra Barnes名義で1970年にシングル・リリースした楽曲のカヴァーです。ここではアシッド・ジャズ調の洗練されたサウンドをバックに、Vickiが衰えを感じさせないダイナマイト・ソウル・ヴォーカルを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=ealOfp7RqD0

「The Crickets Sing For Anamaria」
Marcos Valle「Os Grilos」をカヴァー。当ブログではMarcos Valle自身やWalter WanderleyThe Dee Felice Trioのヴァージョンも紹介済みです。ここでは端正な佇まいの生音ボッサ・ジャズを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=GprozOq6x_g

「Scream」
Stefano Carrara作。ムーディーなボッサ・ジャズ。夜ジャズなジャジー感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=qaJg7uamzlU

「Solaria」
Emanuele Bigi作。この曲はブラジリアン・フュージョン調の仕上がり。ブラジル系クラブジャズがお好きな人は気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=qDOaQY3grNE

「Kontaminazione II」
Emanuele Bigi作。アシッド・ジャズ調のジャズ・ファンク。小気味よさがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=GjfV1Zx4KrY

「Blooming」
Emanuele Bigi作。フルートが先導するジャジー・メロウ。ギターの響きが心地好いです。
https://www.youtube.com/watch?v=CcQeTHyRHQw

「Home Is Where The Hatred Is」
Gil Scott-Heron作。当ブログでは『Pieces of a Man』および『It's Your World』収録のGil自身のヴァージョンを紹介済みです。この時代らしいアシッド・ジャズ・サウンドをバックに、Vickiが雰囲気たっぷりのヴォーカルで歌い上げます。なかなかの好カヴァーだと思います。フルートの音色が演奏にアクセントをつけてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=z5vk9fyWY9I

「Groupin'」
Luigi Storchi作。ベースラインがいい感じのスムース・ジャズ調のミディアム・チューン。落ち着いた雰囲気です。

「South Train」
Massimo Mussini作。クラブジャズ調のボッサ・グルーヴ。クラブジャズ黎明期って雰囲気でしょうか。
https://www.youtube.com/watch?v=W8Oiu7po0kY

「Home Is Where The Hatred Is (Progetto Tribale Soul Mix)」
「Home Is Where The Hatred Is」のProgetto Tribaleによるリミックス。UKクラブミュージック風です。
https://www.youtube.com/watch?v=z5vk9fyWY9I

「The Message From A Soul Sisters (The LTJ Xperience Mix)」
「The Message From A Soul SistersのLTJ Xperienceによるリミックス。哀愁モードになっています。

ご興味がある方は2nd『Kharmalion』、3rd『Voyage To Brazilia』もチェックを!

Bossa Nostra featuring Bruna Loppez『Kharmalion』(1998年)
Kharmalion

『Voyage To Brazilia』(2000年)
Voyage to Brazilia
posted by ez at 05:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月05日

Con Funk Shun『Loveshine』

人気ファンク・バンドのメロウな魅力を堪能できる1枚☆Con Funk Shun『Loveshine』
ラヴ・シャイン
発表年:1978年
ez的ジャンル:カリフォルニア産メロウ・ファンク
気分は... :愛社員?

今回はカリフォルニア出身の人気ファンク・バンドCon Funk Shunが1978年にリリースした『Loveshine』です。

これまで当ブログで紹介したCon Funk Shun作品は以下の3枚。

 『Secrets』(1977年)
 『Spirit Of Love』(1980年)
 『7』(1981年)

本作『Loveshine』は、『Con Funk Shun』(1976年)、『Secrets』(1977年)に次ぐMercury第3弾アルバムです。

本作におけるメンバーは、Michael Cooper(vo、g、el-sitar、per)、Felton Pilate II(vo、g、p、tb)、Karl Fuller(tp、flh、vo)、Paul Harrell(sax、fl、vo)、Danny Thomas(key、vo)、Cedric Martin(b、vo)、Louis McCall(ds、vo)というお馴染みのラインナップです。

さらにSheila Escovedo(Sheila E.)(bongos、congas、shekere)がゲスト参加しています。プロデュースは前作『Secrets』(1977年)に続きSkip Scarborough

とにかく楽曲が粒揃いです。ダンサブル系もバラード系も実にキャッチーかつメロウなのがいいですね。最初オススメ曲を記しながら記事を書いていましたが、結局全曲オススメ印が付いてしまい、止めました(笑)

「Shake And Dance With Me」「So Easy」といったシングル曲や、「Loveshine」「Magic Woman」「When The Feeling's Right」あたりに注目が集まりますが、それ以外の楽曲も侮れません。個人的には「Wanna Be There」もかなりオススメです。

夕陽にハートマークが重なるロマンティックなジャケのイメージそのままのサウンドが楽しめる1枚です。ジャケに惹かれた方はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「So Easy」
シングル・カットもされたオープニング(全米R&Bチャート第28位)。キャッチーながらも粘り腰のミディアム・ファンクです。開放的なホーン・セクションに加え、フルート・ソロが盛り上げてくれます。
Michael Cooper/Ffun Int'l.作。
https://www.youtube.com/watch?v=5mA6sp37CVg

「Magic Woman」
Michael Cooper/D.Cooper/Ffun Int'l.作。Con Funk Shunらしい素敵なメロウ・バラード。サンセット・モードにぴったりです。メロウ・エレピ、エレクトリック・シタール、ストリングスがロマンティックなムードを盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=LuAFfb-0orU

本曲は当ブログで紹介したStrange Fruit Project「Luv Is」MadlibプロデュースのM.E.D.「Mystical Magic」のサンプリング・ソースにもなっています。
Strange Fruit Project「Luv Is」
 https://www.youtube.com/watch?v=WsHzWA2qKqQ
M.E.D.「Mystical Magic」
 https://www.youtube.com/watch?v=j3xmgK_mXWA

「Shake And Dance With Me」
シングル・カットされ、全米R&Bチャート第5位となったヒット曲。ブギー・ファンクなディスコ・チューンです。ポップ・チャート(全米チャート第60位)でもっと上位を狙えたのでは?と思わせるポップでキャッチーな仕上がり!Michael Cooper/Ffun Int'l.作。
https://www.youtube.com/watch?v=iIadthmKPzE

「Make It Last」
Felton Pilate II作。アルバムの中では地味な存在かもしれませんが、なかなか素敵なメロウ・バラードです。メロウ・エレピに加え、ファルセット・ヴォーカルとストリングスが盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=FushyI9GNz0

「Loveshine」
Felton Pilate II作。Ramsey Lewis「Sun Goddess」調のカッティング・ギターが印象的なアーバン・メロウ・グルーヴ。個人的には一番のお気に入り曲です。絶妙なアレンジも含めて、正にラブシャインな雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=22PWEE3iDjI

「When The Feeling's Right」
Michael Cooper/Ffun Int'l.作。軽快なカッティング・ギターをはじめリズム・アレンジが絶妙なディスコ・ファンク。ホーン隊も絶好調です!後半はラテン・フレイヴァーも織り交ぜてアクセントをつけています。この曲結構人気があるのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=RtWPBvoVmBI

Alliance Ethnik feat. Vinia Mojica「5 Heures Du Mat'」のサンプリング・ソースにもなっています。
Alliance Ethnik feat. Vinia Mojica「5 Heures Du Mat'」
 http://www.dailymotion.com/video/xe596k_alliance-ethnik-5-heures-du-mat_music

「I Think I Found The Answer」
Danny Thomas/Louis McCall作。タイトルからして素敵なラブ・バラード。ここでも絶品アレンジでロマンティック・ムードを素敵に演出してくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Srkh8Q8ZUQg

「Wanna Be There」
Felton Pilate II作。フリーソウル系の音がお好きな人であれば、絶対に気に入るであろう爽快メロウ・グルーヴ。本作における隠し玉的な名曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=dR1C6vNTrwU

「Can't Go Away」
Art Wilson/Skip Scarborough作。ラストはアーバンなメロウ・バラードで締め括ってくれます。実に落ち着いた雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=lcDUm4rETXA

Con Funk Shunの他作品もチェックを!

『Con Funk Shun/Secrets』(1976/1977年) ※2in1CD
Con Funk Shun / Secrets (2 on 1) [from UK]

『Secrets』(1977年)
シークレッツ

『Candy』(1979年)
キャンディ

『Spirit Of Love』(1980年)
Spirit of Love

『Touch』(1980年)
タッチ

『7』(1981年)
7

『Touch/7/To The Max』(1980/1980/1981年) ※3in1CD
Touch / Seven / To The Max

『Fever』(1983年)
Fever

『Electric Lady』(1985年)
Electric Lady
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2015年01月04日

Michael Carreon『Michael Carreon』

シンプルながらもメロウネスたっぷりのSSW作品☆Michael Carreon『Michael Carreon』
マイケル・キャレオン
発表年:2014年
ez的ジャンル:フィリピン系アメリカ人SSW
気分は... :大袈裟な謳い文句にご注意を!

今回は昨年末にリリースされたR&B新譜からMichael Carreon『Michael Carreon』です。

Michael Carreonはカリフォルニア州サンフランシスコ出身のフィリピン系アメリカ人のシンガー・ソングライター。

本作『Michael Carreon』は、デジタル配信されていた『Carry On』(2011年)、『Love Adolescent』(2014年)からセレクトした(多分)日本独自の編集盤です。

フィリピン系アメリカ人ということで、同じくフィリピン系アメリカ人アーティストのJeff BernatJeremy Passionが引き合いに出されています。

昨年リリースされたJeremy Passion『For More Than A Feeling』はCDショップでもかなりプッシュされていましたね。僕もショップで試聴して悪くないと思いましたが、『Michael Carreon』でもライナーノーツを書いていたR&BディレクターN氏の"20年に1人の逸材"という大袈裟な謳い文句に、ドン引きして購買意欲が減退してしまいました。きっと、こういうこと書く人って月1で10年に1人の逸材が出てくる(笑)

ここ数年、R&B関連で埋もれている海外アーティストの日本独自の盤のリリースが目立ちますね。デジタル配信のみの埋もれている良質な作品をCD化し、広く紹介しようとする姿勢・取り組みは支持しますが、商魂見え見えの大袈裟な謳い文句は勘弁して欲しいですね。あとは本作もそうですが、(多分、意図的に)作品がオリジナルなのか編集盤or(既発盤の)新装盤なのかを曖昧にしているケースが多い点も不満ですね。

話を本作『Michael Carreon』に戻すと、シンプルながらも優しいヴォーカル&メロディ、メロウ・サウンドが素敵なアルバムだと思います。

僕は本作をショップのR&B売場で購入しましたが、あまりR&Bを意識せずに、ジャンルに囚われないシンガー・ソングライターの作品として聴いた方が楽しめると思います。

特に「I Like It」「The Simple Things」あたりの優しい雰囲気には相当グッときます。また、ラップ入りの曲あたりはSam Ockあたりに通じるものがあります。

楽曲はすべてMichael Carreonのオリジナル。プロデュースはJbirdEstaJesse Barreraが手掛けています。JbirdはJeff Bernat『The Gentlemen Approach』もプロデュースしていた人です。

胸に締め付けるようなメロディ&サウンドをバックに、甘く切ない恋心のラブソングが歌われます。その意味では若者向けの歌世界ですが・・・

確かに日本独自盤をリリースしたくなるのが頷ける、日本人の琴線に触れやすい1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「I Like It」
個人的には本作のハイライト。このメロウでソフトリーなオープニングにMichael Carreonというアーティストの魅力が凝縮されていると思います。イントロのメロウ・サウンドとMichaelの第一声を聴いた瞬間に思わず歓喜してしまいました。Joyce Wriceの女性ヴォーカルをフィーチャーしています。
https://www.youtube.com/watch?v=yitAiur50hk

「Addicted」
ラップ入りのメロウ・チューン。Sam Ockが好きな人であれば気に入るはず!トランペットのジャジー感もいいですね。

「The Simple Things」
メロウなアコギの音色に合わせて、Michaelの優しいヴォーカルとラップが包み込んでくれる素敵な1曲。「I Like It」と並ぶハイライトだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=W5qI-RyVR-o

「Thoughts」
切ない恋心を甘く切ないメロディで歌います。この胸を締め付けるような雰囲気が絶妙です。
https://www.youtube.com/watch?v=sgITsHj3asY

「Hey Love」
アイランド・レゲエ調です。元旦の記事でも紹介したJay.Keyzのようなハワイアン・レゲエと一緒に聴いてもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=PQLAlNnpFhY

「You And I」
アコギ&ピアノをバックに切々と歌います。。最愛の恋人であった女性と再会した心の機微がメロディ&サウンドからも伝わってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=v8Pze_ZrdEc

「Maybe」
この曲も大好き!甘く切ない恋心を歌うメロウ・チューン。エレピのメロウな音色と切ない歌声はサンセット・モードにぴったりです。

「Pretty (Crushed)」
メロウ・サウンドにのって素敵な女性に出会った時の心のトキメキと葛藤を歌います。

「Can We」
AOR調のムーディーなサックスが入ったラブ・バラード。二人の愛の深さを確認しようとするラブソングです。
https://www.youtube.com/watch?v=PSFmEzckBZU

「Mistakes」
メロウなラブ・バラードですが、よく聴くと歌詞はかなりエロいです(笑)

「Wonder」
運命の人との出会いを夢見るバラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=yYcLypFLgx0

ご興味がある方はJeff BernatJeremy PassionSam Ockあたりもチェックしてみては?

Jeff Bernat『The Gentlemen Approach』(2012年)
ザ・ジェントルマン・アプローチ

Jeff Bernat『Modern Renaissance』(2013年)
Modern Renaissance

Jeremy Passion『For More Than A Feeling』(2014年)
フォー・モア・ザン・ア・フィーリング

Sam Ock『Simple Steps』(2011年)
Simple Steps

Sam Ock『Stages』(2014年)
Stages
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2015年01月03日

The RH Factor『Hard Groove』

D'Angelo、Q-Tip、Common、Erykah Badu等参加!ジャズとR&B/Hip-Hopの同居☆The RH Factor『Hard Groove』
ハード・グルーヴ
発表年:2003年
ez的ジャンル:Soulquarians系ジャズ+R&B/Hip-Hop
気分は... :2015年、最初の1枚は・・・

今日から通常のエントリーに戻ります。

毎年、年明け最初に紹介する1枚を何にするか、結構悩んでセレクトしています。

今年も結構悩みました。実家で過ごしたこともあり、元旦、2日は殆ど音楽を聴かずに過ごしました。そんな中で唯一聴いたのが年末に当ブログでも紹介したD'Angelo & The Vanguard『Black Messiah』でした。

そんな流れで2015年最初の1枚は、『Black Messiah』にも参加していた人気ジャズ・トランペット奏者Roy HargroveによるプロジェクトThe RH Factorの第1弾アルバム『Hard Groove』(2003年)にしてみました。

Roy Hargroveは1969年テキサス州生まれのジャズ・トランペット奏者。

初リーダー作『Diamond in the Rough』(1990年)を皮切りに、今日までコンスタントにリーダー作を発表し続けている人気サックス奏者であり、サイドメンとしても多くの大物ジャズ・ミュージシャンの作品に参加しています。

ジャズ・ミュージシャンとしては、アフロ・キューバン・バンドを率いたRoy Hargrove's Crisol名義の『Habana』(1998年)Herbie HancockMichael Breckerと共演した『Directions in Musi』(2002年)で2度のグラミーを受賞しています。

また、1990年代後半から2000年代初めにかけて、R&B/Hip-Hopシーンで大きな影響力を持ったミュージシャン・コレクティブThe Soulquariansのメンバーとして、D'Angelo、故Jay Dee(J Dilla)Erykah BaduQ-TipCommon、、?uestloveThe Roots)等と共に名を連ね、R&B/Hip-Hop作品でも活躍しています。

例えば、D'Angelo『Voodoo』(2000年)、Common『Like Water For Chocolate』(2000年)、Erykah Badu『Mama's Gun』(2000年)というSoulquariansを代表する3枚にHargroveは参加しています。

当ブログで紹介した作品でいえば、上記の3枚に加え、Erykah Badu『Worldwide Underground』(2003年)、Buckshot LeFonque『Buckshot LeFonque』(1994年)にもHargroveが参加しています。

そんなHargroveがジャズとR&B/Hip-Hopの接点拡大を図ったプロジェクトがThe RH Factorです。The RH Factor名義で『Hard Groove』(2004年)、『Distractions』(2006年)という2枚のアルバムをリリースしています。

特に第1弾となる本作には、D'AngeloErykah BaduQ-TipCommonPino Palladino(b)、James Poyser(key)というSoulquariansメンバーが大挙して参加しており、Soulquarians系ジャズ作品として一聴の価値があると思います。

上記メンバー以外にもAnthony Hamilton(vo)、Renee Neufville(元Zhane)(vo)、Shelby Johnson(vo)、Stephanie McKay(vo)といったR&B系ミュージシャンも参加しています。

また、ジャズ・サイドからもMeshell Ndegeocello(b)、Bernard Wright(key)、Cornell Dupree(g)、Steve Coleman(as)、Keith Anderson(ts)、Jacques Schwarz-Bart(ss、fl、g)、Jason Thomas(ds)、Willie Jones III(ds)、Reggie Washington(b)、Chalmers 'Spanky' Alford(g)等が参加しています。

Soulquarians絡みでいえば、Anthony HamiltonShelby JohnsonJacques Schwarz-Bart、故Chalmers 'Spanky' Alfordの4名は、D'Angeloのツアー・バンドとして結成されたスーパーグループThe Soultronicsの一員でした。Hargrove、?uestlove(The Roots)、Pino Palladino、James PoyserもThe Soultronicsのメンバーでしたね。

ジャズ・ミュージシャンとR&B/Hip-Hopアーティストの交流という点では、Guru『Jazzmatazz』(1993年)、Greg Osby「3-D Lifestyles」(1993年)、そしてHargroveも参加したBuckshot LeFonque『Buckshot LeFonque』(1994年)あたりが先駆けだったと思います。

Hargroveは『Buckshot LeFonque』への参加経験から、Soulquariansメンバーを巻き込んでジャズとR&B/Hip-Hopの融合を図る着想を持ったのかもしれませんね。

ただし、ジャズとR&B/Hip-Hopのサウンド的な融合を前面に押し出すというよりも、1枚のアルバムの中にジャズ、ジャズ・ファンク、R&B/Hip-Hopの楽曲を同居させることに重きを置いたアルバムという印象を受けます。

その意味では、ジャズとR&B/Hip-Hopのサウンド的融合を見事に示したRobert Glasper Experimentによる『Black Radio』(2012年)、『Black Radio 2』(2013年)のようなインパクトはありません。

しかしながら、ジャズ作品にSoulquarians勢をはじめとするR&B/Hip-Hopアーティストを巻き込んだという点で、再評価されて然るべきアルバムではないかと思います。

こういう作品を年明け1発目に紹介するということは、今年もJazz The New Chapterに影響される1年になるのかなぁ(笑)

まぁ、今ジャズの話題作もできる限りチェックしたいと思いますが、あくまで年代、ジャンルに囚われないのが当ブログのスタンスですから、今年もバラエティを重視して作品をセレクトしていきたいと思います。

全曲紹介しときやす。

「Hardgroove」
Bernard Wright作。タイトルのつけ方がお見事ですね(笑)。少しミステリアスな雰囲気のジャズ・ファンクでアルバムは幕を開けます。
https://www.youtube.com/watch?v=5c5nShH2W80

「Common Free Style」
Commonをフィーチャー。
Roy Hargrove/James Poyser/Common作。抜けのいいジャズ・ファンク・サウンドをバックに、Commonがフリースタイルのラップで盛り上げてくれます。Hargroveの快調なトランペットもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=u3a1DTFVKoQ

「I'll Stay」
D'Angeloをフィーチャーした本曲は、Funkadelicのカヴァー(George Clinton/Eddie Hazel)。Funkadelicのオリジナルは『Standing On The Verge Of Getting It On』(1975年)に収録されています。本曲はジャズという雰囲気ではありませんが、D'AngeloのP-Funkカヴァーという試みは、『Black Messiah』を聴いた後に聴くと実にしっくりきます。このダークな雰囲気とジャズ・フィーリングの取り込みは『Black Messiah』を楽しむ意味でも、興味深いカヴァーなのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=nyLu4LmWYf8

「Interlude」
ジャズ・ファンクなインタールード。

「Pastor "T"」
Keith Anderson作。軽快なジャズ・ファンク。Hargroveのトランペット、作者Keith Andersonのサックス、Bernard Wrightのシンセと快調なソロが続きます。
https://www.youtube.com/watch?v=0sYy7lLGqlQ

「Poetry」
Q-TipErykah Baduをフィーチャーした話題曲。また、Meshell Ndegeocelloがベースを弾いています。柔らかいジャズ・サウンドをバックにQちゃんのラップとErykah姐さんのヴォーカルを楽しめます。特に新進ジャズ・ミュージシャンでバックを固めた全編生音プロダクションのQ-Tip『Kamaal The Abstract』との共通点を見出しながら聴くと興味深いですね。Q-Tip/Erykah Badu/Roy Hargrove作。
https://www.youtube.com/watch?v=IMTvT2a_BwU

「The Joint」
Roy Hargrove作。間の取り方が絶妙ですね。この演奏を聴いてRickie Lee Jones「Chuck E.'s In Love」を思い浮かべるのは僕だけでしょうか(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=lSFzly0A1x0

「Forget Regret」
Jacques Schwarz-Bart作。Stephanie McKayの女性ヴォーカルをフィーチャーした哀愁ジャジー・ソウル。ジャズ・ミュージシャンならではのジャジー・ソウルって感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=HMJGUMPiW1M

「Out Of Town」
Roy Hargrove作。Steve Coleman参加曲。Steve Coleman参加らしい鋭いジャズ・グルーヴを堪能できます。エレクトリック・マイルス的な刺激があります。
https://www.youtube.com/watch?v=lXOFs1lHwSo

「Liquid Streets」
Roy Hargrove作。アルバムの中でも最も美しい演奏を堪能できるバラード。Cornell Dupreeがギターで参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=wcNdMxlJhOE

「Kwah/Home」
Roy Hargrove作。Anthony Hamiltonをフィーチャー。Anthony Hamiltonの名を一躍有名にした2ndアルバム『Comin' from Where I'm From』(2003年)のリリース後ということで、グッド・タイミングでの彼の起用ですね。Hamiltonの味わい深いソウル・ヴォーカルとHargrove、Jacques Schwarz-Bartのホーン・アンサンブルがよく馴染んだジャズとR&B/Hip-Hopの融合を実感できる1曲です。ベースはMeshell Ndegeocello。ドラムはWillie Jones III、Gene Lakeですが、Soulquarians的なものを求めている僕は?uestloveが叩いているのではないかと妄想してしまいます(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=W7KgjjE_Nd8

「How I Know」
Shelby Johnson/Chalmers 'Spanky' Alford/Pino Palladino/Roy Hargrove作。前述のThe Soultronics以外にPrince殿下のThe New Power Generationのメンバーとしても活躍したShelby Johnsonがリード・ヴォーカルをとるソウルフルな仕上がり。ハモンド・オルガンの音色とHargroveのフリューゲル・ホーンがShelbyのヴォーカルを盛り上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=fwShaap4B0o

「Juicy」
Renee Neufville(元Zhane)をフィーチャー。ネオソウル/Hip-Hopを通過してきたジャズ・ファンク/コンテンポラリー・ジャズといった趣です。Reneeのヴォーカルがサウンドと一体化しているのがいいですね。Steve Mandel/Roy Hargrove作。
https://www.youtube.com/watch?v=KJyWi8AQSXQ

「The Stroke」
Roy Hargrove作。ラストはミディアム・テンポのコンテンポラリー・ジャズ然とした演奏で締め括ってくれます
https://www.youtube.com/watch?v=PYBfQ7cZBiA

CDにはボーナス・トラックとして「Interlude 2」「Poetry (Edit) 」が追加収録されています。

2ndアルバム『Distractions』(2006年)にもD'Angeloが参加しています。

『Distractions』(2006年)
Distractions
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2015年01月01日

新年特別企画『2014年の音楽ライフを振り返る』

Happy New Year!
今年もよろしくお願い致します。

大晦日(昨日)は 『ezが選ぶ2014年の10枚』として新作の中からマイベスト10をセレクトしましたが、今日は昨年のエントリーのなかから新譜以外のお気に入りアルバムを12枚選んでみました。

60年代、70年代、80年代、90年代、2000年代、2010年代(新譜除く)の各カテゴリーから2枚ずつセレクトしています。
※全て当ブログで紹介した作品です。作品の詳細は各エントリーをご参照下さい。

Enoch Light『Spaced Out』(1969年)
enoch light spaced out.jpg
「Bond Street」
 http://www.youtube.com/watch?v=678FQgbi2Po

Dorothy Ashby『Dorothy's Harp』(1969年)
ドロシーズ・ハープ
「By The Time I Get To Phoenix」
 https://www.youtube.com/watch?v=00uiKaJLWKQ

Gato Barbieri『Chapter One: Latin America』(1973年)
Chapter One: Latin America (Dig)
「Encuentros」
 http://www.youtube.com/watch?v=jDQkAQed3Xw

Keith Barrow『Physical Attraction』(1978年)
Physical Attraction
「You Know You Want To Be Loved」
 http://www.youtube.com/watch?v=5evZzbz4210

Black Uhuru『Chill Out』(1982年)
Chill Out
「Chill Out」
 https://www.youtube.com/watch?v=9X65IYbYPgs

Garry Glenn『Feels Good To Feel Good』(1987年)
garry glenn feels good to feel Ggood.jpg
「Feels Good To Feel Good」
 https://www.youtube.com/watch?v=MXEmI1_biok

Lo-Key?『Back 2 Da Howse』(1994年)
lo-key back 2 da howse.jpg
「Been A Long Time, Love」
 http://www.youtube.com/watch?v=ziBm8m1AJ9c

Mestizo L.A.『Mixing It Up』(1998年)
mestizo la mixing it up.jpg
「What Am I Going To Do?」
 https://www.youtube.com/watch?v=65wJZYV4KtE

Slum Village『Fantastic, Vol. 2』(2000年)
Fantastic vol.2
「Get Dis Money」
 https://www.youtube.com/watch?v=F-oLqMwzvBY

Build An Ark『Peace With Every Step』(2004年)
ピース・ウィズ・エヴリー・ステップ
「Always There」
 http://www.youtube.com/watch?v=mk73Z0EtY7k

Jay.Keyz『Lover's Race』(2011年)
Lover's Race
「I Just Want to Hang Around You」
 http://www.youtube.com/watch?v=lqf044Q97bs

Becca Stevens Band『Weightless』(2011年)
Weightless
「Weightless」
 https://www.youtube.com/watch?v=qk_qfA9YIxg

明日は休んで3日から
通常エントリーに戻りたいと思います。
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