2015年01月18日

Clap! Clap!『Tayi Bebba』

トライバル/エキゾチックと融合したベースミュージック☆Clap! Clap!『Tayi Bebba』
タイー・ベッバ 【日本独自CD化】
発表年:2014年
ez的ジャンル:トライバル系フューチャー・ルーツ/フューチャー・リズム
気分は... :音も世界観も凄い!

今回は話題のクラブミュージック新作Clap! Clap!『Tayi Bebba』(2014年)です。昨年9月にアナログ/デジタル配信のみでリリースされたものが遂にCD化されました。CD化されるのは今回の日本盤が初めてです。

Clap! Clap!ことCristiano Crisciはイタリア、フィレンツェ出身のプロデューサー、ミュージシャン、トラックメイカー。

Clap! Clap!名義では、これまで『Gwidingwi Dema』(2013年)、『Tambacounda EP』(2014年)、『Buck/Ichnus』(2014年)といったEP/シングルをリリースしています。

Clap! Clap!名義以外にDigi G'Alessio名義でも活動し、『Oh SP Days!』(2011年)、『Disco Zambra Remixes Vol.2 (Afternoon)』(2012年)、『The Purple Book 2012』(2012年)といったアルバムをデジタル配信しています。

また、LuckyBeardStabberDigi G'Alessioによるベースミュージック/ダブステップ・ユニットL/S/Dとしてもアルバム『UaU』(2013年、デジタル配信)をリリースしています。

Clap! Clap!のベースとなるのが、ダブステップ以降のUKベースミュージックです。本作『Tayi Bebba』もUKのブレイクビーツ/ベースミュージック系レーベルBlack Acreからリリースされています。

Clap! Clap!名義の初アルバムとなった本作『Tayi Bebba』は、ジャケからもイメージできるように仮想の島国Tayi Bebba(タイー・ベッバ)の音楽をテーマにしたトライバル/エキゾチックな作風の1枚です。

Martin DennyLes Baxterの流れを汲むエキゾチックなエッセンスと、UKベースミュージック/ダブステップ/ジュークを融合させた点が本作の魅力・特長だと思います。Clap! Clap!自身は、この独自のサウンドを"フューチャー・ルーツ/フューチャー・リズム"と呼んでいます。

国内盤にはClap! Clap!による各曲の説明が載せられており、島国タイー・ベッバをめぐる壮大なストーリーが理解できるようになっています。この説明により、サウンドをストーリー的かつ映像的に捉えることが容易となり、アルバムをより魅力的に聴くことができます。

僕自身はあまりUKベースミュージックやダブステップ/ジュークに明るくはありませんが、そんな僕でも独自のフューチャリスティックかつトライバルなビートと、緻密なコンセプト設計およびそのサウンドの具現化に惹き込まれます。その音世界や世界観に圧倒されると同時に、想像力をかき立ててくれるのもいいですね。

各方面で絶賛されているのが頷ける1枚です。
ジャンルに囚われず多くの方に聴いて欲しいですね。

全曲紹介しときやす。

「The Holy Cave」
タイー・ベッバの"聖なる洞窟"をテーマにしたオープニング。トライバルでジューク(Juke)調のビートが、島の古文書の予言のような神聖かつミステリアスな雰囲気を高めます。
https://www.youtube.com/watch?v=wB38xWcWwbc

「Ashiko」
Ashikoとはタイー・ベッバを侵略者から守る(架空の)巨大な象のことらしいです。ここではシカゴ・ハウス調の黒いビートがトライバル感と結びつき、不思議な魔力のような雰囲気を醸し出すサウンドを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=E_J1RKQ2uRc

「The Rainstick Fable」
魔術師がハリケーンを操り、島を吹き飛ばしたというタイー・ベッバの寓話がテーマ。トライバルかつトリッキーなジューク調の重低音ビートの上に、カリンバやコラのエキゾチックな音色が乗っかる本作らしい雰囲気を満喫できる1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=05E24dMKdzg

「Kwasi The Scorcerer」
島の魔術師クワシの持つ力がテーマ。クワシの持つ魔力を音にしたかのような得体の知れない重低音ビートが唸りを上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=nX0ysv9BNNo

「Black Smokes, Bad Signs」
悪の兆しを告げる島の黒い雲がテーマ。トライバル感たっぷりのダブステップが風雲急を告げる不気味なムードを演出します。
https://www.youtube.com/watch?v=Kkg4w9QHfyw

「Conqueror (Action/Assault/Conquest)」
ここから3曲は侵略者によるタイー・ベッバ島の侵略をテーマにしたもの。本曲ではタイー・ベッバに対する侵略・征服をアッパーなトライバル・ビートで表現しています。Clap! Clap!が言うところの"フューチャー・ルーツ"といったニュアンスがよく伝わってくる1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=Kkg4w9QHfyw

「Conqueror (Consequences/Memories)」
本曲は侵略がもたらした島全体のマイナス・オーラを表現しています。退廃的なフューチャリスティック・サウンドが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=afZRAIhPg-k

「Conqueror (Remorse/Withdrawn)」
前曲の流れを受け、征服者が改心し、島が平穏を取り戻す様子を表現しています。ピースフルな雰囲気を醸し出すトライバルなハウス・サウンドの合間に重低音ベースミュージックが織り交ざっています。
https://www.youtube.com/watch?v=_x2CI-mXpbc

「Burburka」
タイー・ベッバの人々がリラックスするために吸うハーブ(麻薬?)をテーマにしたもの。覚醒感のあるトライバル・ビートが鳴り響きます。
https://www.youtube.com/watch?v=KpX-VxerCgw

「Sahkii (Xirhuu)」
島の女神サーキがテーマ。トリッキーなトライバル・ビートはまさに"フューチャー・リズム"といった感じです。脳内を覚醒させるビートには中毒性があります。
https://www.youtube.com/watch?v=ydgS7KcW7WU&spfreload=1

「Sahkii's Elevation」
ハリケーン上陸による島のパニック状態をテーマにした本曲ではDj. Khalabをフィーチャー。トライバル・ビートにスペイシーなエッセンスも加味したアフロなアッパー感がたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=p4c3Kbhqfcw

「Kwasi's Storm (Kyanumj) (Tape Dub)」
最強のハリケーンの島への上陸をテーマにしたもの。ダビーな雰囲気も漂う重低音ベースミュージックが腹まで響いてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=V6fVpRyGnFY

「Universal Modulator (Kujhmak)」
ハリケーン直後の島で明かされつつある島の本当の姿をテーマにしたもの。トライバルかつトリッキーなビートににフリージャズ的なエッセンスも加わったアブストラクトなカオス感が実に面白いです。
https://www.youtube.com/watch?v=ZPiFi6QG24U

「Sahkii's Knowledge」
明らかになった女神から島の人々へのお告げをテーマにしたもの。雄大かつトライバルな疾走感は"フューチャー・エキゾチック"と呼びたくなります。
https://www.youtube.com/watch?v=dBF3LD-zqLs

「Universal Modulator (Ujmubuam)」
女神からのお告げに従い、島の人々が銀河の彼方への帰還する様子をテーマにしたもの。物語自体が島から宇宙へと飛躍しますが、それと呼応するようなトライバルなフューチャー・サウンドが展開されます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZPiFi6QG24U

「Sailing In The Seas Of Wood」
島全体が宇宙船として飛び立ち、宇宙航海へ向かう様子を描いたもの。エスニックなエッセンスが強調されています。
https://www.youtube.com/watch?v=xLPLzYCIJeY

「Kuj Yato」
島の人々が航海の末、辿り着いた素晴らしき終着点がテーマ。素晴らしき終着点がトライバルなエッセンスと重低音ビートで描かれ、物語はエンディングを迎えます。
https://www.youtube.com/watch?v=v4sDiCKdZ4M

ここまで練り込まれた物語なので、アルバム全体を映像化してくれないですかね?
posted by ez at 01:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする