発表年:2015年
ez的ジャンル:ポスト・ダブステップ/チルウェイヴ系エレクトリック・ソウル
気分は... :失われた週末・・・
今回はUK新鋭クリエイターの新作Tropics『Rapture』です。
TropicsことChristopher Wardはサウザンプトン出身のマルチ・インストゥルメンタリスト/シンガー。
2010年にデビューEP『Soft Vision』をリリース。その後2011年に1stアルバム『Parodia Flare』をPlanet Muからリリース。Innovative Leisureからリリースされた本作『Rapture』が2ndアルバムとなります。
ポスト・ダブステップ/チルウェイヴの文脈で捉えられるアーティストですね。国内盤ライナーノーツにもチルウェイヴの代表的なアーティストToro Y Moiの名前が引き合いに出されていました。
しかしながら、本作は僕のようなポスト・ダブステップ/チルウェイヴに明るくはない人でも十分楽しめる1枚に仕上がっています。ポスト・ダブステップ/チルウェイヴというジャンルを普段あまり意識していない僕が最初に本作を聴いた印象は、ヴォーカル曲が多いというのもあって"アンビエント感覚のエレクトリック・ソウル"という捉え方でした。
哀愁モードの中に何処か温もりを感じるのがいいですね。また、シンプルなサウンドの中にさりげなくアクセントをつけているあたりに新鋭クリエイターとしての才覚を感じます。同ジャンルのアーティストに比べて(多分)生音比重が高くオーガニックな感じがあるのも僕の嗜好にフィットしているのかもしれません。
冬の寒い時期にピッタリな1枚。
聴き重ねるほどジワジワきます。
全曲紹介しときやす。
「Blame」
James Blakeに通じるような雰囲気のオープニング。ジワジワと進行していくサウンドと憂いを帯びたヴォーカルが織り成す哀愁の美学がたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=56DasW_Ow60
「Hunger」
僕の一番のお気に入り。クロスオーヴァー好きの人も楽しめる"アンビエント感覚のエレクトリック・ソウル"という感じがとても心地好いです。今ジャズ風のリズムもいい感じです。
「Indigo」
じんわりと揺らめくエレクトリック・ソウルですが、ここでも変則的なリズム・パートの作り方がいいアクセントになっているのが好きです。
「Kwiat」
ヒンヤリ感の中に温もりを感じます。静かな雰囲気で始まり、途中で生ドラムが加わり、徐々に動きが出てくる展開がいいですね。
「Rapture」
タイトル曲は美しいメロディのエレクトリック・ソウル。キャッチーながらもTropicsの美学を楽しめます。終盤のドラマチックな展開もいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=rGpkqj2VvqM
「Perfume Kinship」
インタールード的なインスト曲。
「Torrents of Spring」
アンビエントなインスト・チューン。夢の中を彷徨っているような雰囲気です。
「Home & Consonance」
静かな雰囲気が並ぶ中で、リズミックな仕上がりの本曲は結構目立つかもしれません。クロスオーヴァー好きの人も楽しめます。
「Gloria」
Tropicsのヴォーカルが儚く響く感じがたまりません。
「House of Leaves」
殆どインスト曲ですが、サウンド的には面白い1曲。幻想的なムードの中で上手くメリハリをつけているのがいいですね。
「Not Enough」
ラストは間をうまく使った音空間が美しいアンビエントなヴォーカル・チューンで締め括ってくれます。
ご興味がある方は1st『Parodia Flare』(2011年)もチェックを!
『Parodia Flare』(2011年)