発表年:1978年
ez的ジャンル:Tabu系レディ・ソウル
気分は... :満月の夜には・・
今回はフィラデルフィア出身の女性ソウル・シンガーSharon RidleyがTabu Recordsからリリースした『Full Moon』(1978年)です。
Sharon Ridleyの詳しい経歴は不明ですが、1971年にSussexからVan McCoyらのプロデュースによるアルバム『Stay A While With Me』をリリースしています。Van McCoyとは共同名義によるシングル「I'm In Your Corner」もリリースしています。
また、Four Tops『The Show Must Go On』(1977年)にはキーボード/アレンジで参加しており、シンガーとして以外にも才覚を発揮しています。
2ndアルバムとなる本作『Full Moon』(1978年)は、Ms. Sharon Ridley名義でTabu Recordsからリリースされたものです。Tabuといえば、Jimmy Jam & Terry Lewis(Jam & Lewis)絡みのThe S.O.S. Band、Alexander O'Neal、Cherrelleといったアーティストによる80年代の作品のイメージが強いですが、それ以前のTabuに在籍していたのが、SharonやBrainstorm、Woods Empireでした。
結局、本作『Full Moon』は商業的には成功せず、Sharonもシーンから姿を消すことになってしまいます。それでも『Full Moon』に収録された「Changin'」はLarry Levanがプレイしたガラージ・クラシックとして人気を博しました。
そんなこともあって再評価が高まり、長らくCD化が望まれた作品でしたが、一昨年めでたく初CD化が実現しました。
アルバムのプロデュースはJerry Peters。レコーディングにはScott Edwards(b)、David Shields(b)、James Gadson(ds)、Michael Boddicker(syn)、The WatersのJulia Tillman Waters、Maxine Willard Waters等も参加しています。Sharon自身もヴォーカル以外にキーボード、リズム・アレンジも務めています。
やはりハイライトは「Changin'」ということになりますが、アルバム全体としても楽しめる内容になっています。Sharonの落ち着きのあるヴォーカルがサウンドとよくマッチしていていいですね。
「Changin'」以外ならば、「Just You And Me (Walking Along Together)」、「Ain't That Peculiar」、「Nothing Else Means More To Me Than Our Love」、「Full Moon」あたりが僕のオススメです。
何より僕のお気に入りは美しいジャケ!
ジャケだけでも名盤決定です!
全曲紹介しときやす。
「You Beat Me To The Punch」
Ronald White/Smokey Robinson作。 Mary Wells、1962年のシングル曲をカヴァー。ノスタルジックな雰囲気の漂うメロウ・ダンサー。ラテン・フレイヴァーのアクセントがついています。歓声の効果音が少し邪魔かも?
「Just You And Me (Walking Along Together)」
Sharon Ridley作。余裕たっぷりのSharonのヴォーカルと美しいストリングスがいい感じのメロウ・ミディアム。落ち着いた雰囲気が今の僕の嗜好にフィットします。
「Changin'」
James McClelland/Jerry Peters/Lynn Mack作。本作のハイライトとなるガラージ・クラシック。モダンなメロウなミディアムダンサーは聴く者をグッド・フィーリングにしてくれます。艶やかなSharonのヴォーカルも曲調に実にマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=GOQfbf0uZ58
Esther Phillips、Linda Cliffordがカヴァーしています。シブいEsther Phillipsヴァージョン、ハウス・カヴァーのLinda Cliffordヴァージョンと聴き比べるのも楽しいのでは?また、Xzibit「Back 2 the Way It Was」のサンプリング・ソースになっています。
Esther Phillips「Changin'」
https://www.youtube.com/watch?v=WXUpAzJB2Hw
Linda Clifford「Changin'」
https://www.youtube.com/watch?v=VLRHKx6p7aE
「Forever Yours」
Sharon Ridley作。壮大なソウル・バラードですが、僕には少し仰々しすぎるかな・・・
https://www.youtube.com/watch?v=BFF3x0rN4cE
「Ode To My Daddy」
Sharon Ridley作。清らかなサウンドにのって、Sharonが清らかなヴォーカルを聴かせてくれる美しいミディアム。
https://www.youtube.com/watch?v=BkyfRsO2izY
「Ain't That Peculiar」
Marvin Tarplin/Robert Rogers/Smokey Robinson/Warren Moore作。Marvin Gaye、1965年のシングル曲をカヴァー。なかなか気の利いたファンキー・メロウはかなり僕好み。
「Guess I'm Gonna Have To Say Goodbye」
Sharon Ridley作。フィリー・テイストのメロウなダンサブル感が心地好いです。格好良い終盤の展開もグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=lejzMa2coG8
「Nothing Else Means More To Me Than Our Love」
Sharon Ridley作。しっとりと大人のヴォーカルで落ち着きを与えてくれるミディアム・スロウ。さり気ないですが、こういう曲好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=IbxjoUqffJw
「Full Moon」
Sharon Ridley作。ラストはボッサ・フレイヴァーのタイトル曲でメロウに締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=IaVlJp6D4eI
なお、CDにはボーナス・トラックとして「Changin'」のシングル・ヴァージョンが追加収録されています。
初期Tabu作品にご興味がある方はBrainstorm、Woods Empireあたりもチェックしてみては?
Brainstorm『Journey to the Light』(1978年)
Brainstorm『Funky Entertainment』(1979年)
Woods Empire『Universal Love』(1981年)