発表年:2005年
ez的ジャンル:N.Y.メトロポリタン感覚ブラジル音楽
気分は... :生みの苦しみ・・・
ここ数日四苦八苦していたことがもうすぐ決着・・・
最後の生みの苦しみ・・・
こんな時にはブラジル音楽で心を落ち着かせたい気分です。
ブラジルのベテラン男性シンガー/ギタリスト/ドラマーVinicius Cantuariaの『Silva』(2005年)です。
N.Y.在住のブラジル人アーティストVinicius Cantuariaについて、当ブログで紹介したのは以下の3枚。
『Vinicius』(2001年)
『Samba Carioca』(2010年)
『Indio De Apartamento』(2012年)
2005年にリリースされた『Silva』は、ViniciusらしいN.Y.感覚の現代的なサウンド・センスとブラジル人ならではの郷愁感が融合した独特の内省的なブラジル音楽を楽しめます。
プロデュースはVinicius Cantuaria本人とStewart Lerman。レコーディングはN.Yとブラジルで行われましたが、Jun Miyake(三宅純)(flh、el-p)、Michael Leonhart(tp)とストリングス、パーカッション以外は殆どの楽器をVinicius一人で演奏しています。また、Arto Lindsayと共作の英詞曲が3曲収録されていることも特徴です。
シンプルながらも独自の音世界を構築する彼のサウンド・クリエイターとしての才能を楽しめます。典型的なボサノヴァ大好きな人のためのブラジル音楽ではなく、N.Y.在住アーティストらしく、世界基準のブラジル音楽を創造しようとしている感じがVinicius Cantuariaというアーティストの魅力ですね。
彼のアルバムってジャケがイマイチなのが多いのですが、本作はジャケも大好き!
Vinicius Cantuariaというアーティストの美学が細部まで行き届いた1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「A Dor (Pain)」
Vinicius Cantuaria作。邦題「苦しみ」。美しいストリングスとブラジリアン・リズムがViniciusの内省的な歌を相俟って、気品のあるN.Y.感覚のブラジリアン・メロウに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=4Ziif2tgszw
「Reentry」
Arto Lindsay/Vinicius Cantuaria作。英詞曲の1曲目。シンプルな演奏がViniciusの内省的な雰囲気とよくマッチした味わい深い仕上がり。Arto Lindsayも自身のヴァージョンをリリースしているので聴き比べてみるのも楽しいのでは?
「The Bridge」
Jun Miyake作。日本人ミュージシャン三宅純の作品。三宅純は演奏にも参加しています。「ブラジル音楽=ボサノヴァ」なリスナーを皮肉った1曲。三宅純とViniciusのコラボの色合いが強いN.Y.感覚のコンテンポラリーなサウンド・センスに脱帽です。
「Pena de Mim (Pity on Me)」
Arto Lindsay/Vinicius Cantuaria作。英詞曲の2曲目。哀愁のメロディと美しいストリグスとViniciusの枯れた雰囲気のヴォーカルのバランスが絶妙です。
「Saudades de Voce (Longing for You)」
Vinicius Cantuaria作。アルバムの中では最も開放的な雰囲気です。Celso Fonsecaあたりがお好きな方が気に入りそうですね。
「Evening Rain」
Arto Lindsay/Vinicius Cantuaria作。英詞曲の3曲目。現代的な感覚を織り交ぜたボッサ・サウンドにViniciusならではの感覚を堪能できます。
https://www.youtube.com/watch?v=OLiWV25fYFQ
「Paraguai (Paraguay)」
Vinicius Cantuaria作。ノスタルジックな哀愁チューンですが、Viniciusらしいコンテンポラリーな隠し味を効かせているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=893qBIZxUGw
「A Felicidade」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Morais作の名曲をカヴァー。クールな洗練はCelso Fonsecaに通じるものがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=qGe8bP_qv1U
「Alegria (Happiness)」
Beatriz Azevedo/Vinicius Cantuaria作。パーカッシヴなアクセントをつけた哀愁チューン。Viniciusならではのメランコリー感覚を楽しめます。
「Nunca Mais (Never Again)」
Vinicius Cantuaria作。Viniciusらしい美学が貫かれたエレガントかつアーティスティックな小曲。
「India」
Vinicius Cantuaria作。ラストは美しい哀愁メロウで締め括ってくれます。場末の酒場で昼間からビールを飲みながら聴きたい気分の1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=TrJt-2xs7qs
他のVinicius Cantuaria作品もチェックしてみて下さい。
『Sol Na Cara』(1996年)
『Tucuma』(1999年)
『Vinicius』(2001年)
『Horse and Fish』(2004年)
『Cymbals 』(2007年)
『Samba Carioca』(2010年)
『Indio De Apartamento』(2012年)