発表年:1966年
ez的ジャンル:クール・ヴォイス系ボサノヴァ
気分は... :オトナはシンプルに・・・
今回はブラジルものからオトナのボッサ作品Doris Monteiro『Simplesmente』(1966年)です。
Doris Monteiroは1934年リオ・デ・ジャネイロ生まれの女性シンガー/女優。
10代から歌手として活動し、1950年代から90年代までコンスタントに作品をリリースしてきた豊富なキャリアを誇る女性シンガーです。
今日有名なアルバムとしては、『Doris Monteiro』(1964年)、『Doris Monteiro』(1970年)、『Agora』(1976年)あたりですかね。
今日紹介する『Simplesmente』(1966年)は、ボサノヴァ・ブームが終焉を迎え、ポスト・ボサノヴァ世代が台頭してきた時代の作品です。それらを反映した新世代の楽曲も取り上げられています。
バックを務めるのはLyrio PanicaliとMeirellesという新旧ミュージシャンが中心です。そうした好サポートを得て、小粋なボッサ・サウンドとDorisの魅惑のヴォーカルが見事に調和したオトナのボッサ・アルバムに仕上がっています。特に、Dorisのヴォーカルのキャリアに裏打ちされた抜群の安定感が"オトナのアルバム"という印象を与えてくれるのだと思います。
"オトナのアルバム"という形容と矛盾するかもしれませんが、軽快な楽曲が多いせいかDorisのヴォーカルが若々しいのもいいですね。変な表現ですが"オトナな若々しさ"って感じですかね。
特に、「Meu Refrao」、「E Nada Mais」、「Tudo Que Voce Quiser」、「Deixa Como Esta」、「Sempre Segunda-feira」、「Muito a Vontade」の6曲が僕のオススメです。軽快で爽快なこれらの演奏を聴いていると、早くも春モードの気分になります。
オトナはシンプルに生きる・・・
全曲を紹介しときやす。
「Meu Refrao」
オススメその1。Chico Buarque作。ポスト・ボサノヴァ世代によるメロウ・サンバをオープニングにもってくるあたりに本作の色が出ているのでは?さり気なさの中にも存在感を示すDorisのヴォーカルにウットリです。
「Apelo」
Baden Powell/Vinicius de Moraes作のアフロ・サンバ名曲をカヴァー。憂いを帯びたDorisのクール・ヴォーカルとエレガントなボッサ・サウンドがよくマッチしています。気怠いホーン・サウンドがいいアクセントになっています。
「Celestial」
Silveira/Dalton Medeiros作。オーケストレーションをバックに、しっとりと歌い上げます。僕には少し仰々しい気がしますが・・・
「E Nada Mais」
オススメその2。Durval Ferreira/Luis Fernando Freire作。さらりとした中にDorisのシンガーとしての魅力を実感できるオトナなムードの仕上がり。当ブログではMario Castro-Neves & Samba S.A.のヴァージョンも紹介済みです。
「Tudo Que Voce Quiser」
オススメその3。Silvio Cesar作。抜群の安定感のあるDorisのヴォーカルと気の利いたメロウなサンバ・サウンドがオトナのラブリー感を醸し出します。
「Aquarius」
Joao Donato/Joao Mello作。Joao Donatoの名曲をムーディーなオーケストレーションをバックに、よくコントロールされたヴォーカルで歌い上げます。当ブログではWanda de Sah featuring The Sergio Mendes Trioヴァージョンも紹介済みです。
「Joao Gamadao」
Nilton Pereira de Castro作。Dorisの表情豊かなヴォーカルと小粋なサウンドが醸し出すリラックスした雰囲気がいいですね。
「Deixa Como Esta」
オススメその4。Durval Ferreira/Regina Werneck作。僕の一番のお気に入り。小気味良いDorisのヴォーカルと軽快なリズム、メロウ・サウンドが爽やかな微風を届けてくれます。
「Sempre Segunda-feira」
オススメその5。Mario Castro-Neves/Chico Feitosa作。優しいメロディをバックに、Dorisが若々しいヴォーカルで歌い上げます。ポジティヴなヴァイヴスがあって、この曲も大好き!
「Muito a Vontade」
オススメその6。Joao Donato/Joao Mello作のジャズ・サンバ名曲をカヴァー。エレガントで小粋なサウンドをバックに、Dorisが素敵なヴォーカルを聴かせてくれます。当ブログではWanda de Sah featuring The Sergio Mendes Trioヴァージョンも紹介済みです。
「Sem Mais Adeus」
Vinicius de Moraes/Francis Hime作。憂いを帯びたヴォーカルでDorisが気怠く歌うボッサ・チューン。当ブログではWanda Saヴァージョンも紹介済みです。
「Fim de Noite」
Chico Feitosa/ Ronaldo Boscoli作。ラストは別れの歌をしっとりと歌い上げます。
Doris Monteiroの他作品もチェックを!
『Vento Soprando』(1961年)
『Gostoso E Sambar』(1963年)
『Doris Monteiro』(1964年)
『Doris Monteiro』(1970年)
『Doris』(1971年)
『Doris』(1973年)
『Agora』(1976年)
Doris E Lucio『No Projeto Pixinguinha』(1976年)