2015年03月19日

Mint Condition『Livin' The Luxury Brown』

セルフ・コンテインドR&Bグループとしての成熟を感じる1枚☆Mint Condition『Livin' The Luxury Brown』
Livin the Luxury Brown
発表年:2005年
ez的ジャンル:セルフ・コンテインド男性R&Bグループ
気分は... :今、再評価されるべき1枚

今回は男性R&BグループMint Conditionの5thアルバム『Livin' The Luxury Brown』(2005年)です。

Stokley Williamsを中心としたミネアポリス出身のセルフ・コンテインド男性R&BグループMint Conditionの紹介は、『Definition Of A Band』(1996年)に続き2回目となります。

ここ数年でMint Conditionに対する再評価が高まっているのではないでしょうか。僕もそんな一人です。きっかけは勿論、音楽シーンに大きなインパクトを与えた衝撃作Robert Glasper Experiment『Black Radio』(2012年)です。

『Black Radio』で僕の一番好きな曲がStokley Williamsをフィーチャーした「Why Do We Try」です。この曲のオリジナルはMint Condition『E-Life』(2008年)であり、そこでドラムを叩いていたのが『Black Radio』時のRGEのドラマーChris Daveでした。

新世代ドラマーの代表格であるChris Daveは、『E-Life』(2008年)以前の『Lifes Aquarium』(1999年)、『Livin' the Luxury Brown』(2005年)といったMint Condition作品にも参加しています。

個人的にリアルタイムでのMint Conditionへの興味は、Jam & Lewis(Jimmy Jam & Terry Lewis)のPerspective Recordからリリースされた『Meant To Be Mint』(1991年)、『From The Mint Factory』(1993年)、『Definition Of A Band』(1996年)という最初の3枚で終わっていたのですが、新世代ドラマーChris Daveへの関心から彼が参加したMint Condition作品にも耳を傾けるようになりました。

今回紹介する『Livin' the Luxury Brown』(2005年)は、グループが商業的に最も低迷していた時期の作品でした。前回、『Definition Of A Band』の記事を投稿したのが2007年でいたが、"このままこのグループはフェード・アウトしてしまうのかなぁ"と予感していました。しかしながら、グループは逆境を乗り越え、次作『E-Life』(2008年)で見事に復活し、今日に至っています。

正直、本作『Livin' the Luxury Brown』も5、6年前に某CDショップのクリアランス・セールで購入したまま、開封もせず数年放置していました。でも『Black Radio』を機に放置していたことを思い出し、聴くようになりました。

前述のように低迷期のアルバムですが、内容は充実しています。ミディアム〜スロウ中心の構成のため派手さはありませんが、時代に流されず自分達の信じる音楽を貫いている感じが共感持てます。

本作におけるメンバーはStokley WilliamsRicky KinchenJeffrey AllenLawrence WaddellO'Dellの5名。Keri Lewisが抜け、5人体制となってからは本作が最初のアルバムとなります。

それ以外にChris Dave(ds)、元ATCQAli Shaheed Muhammad等が参加しています。ちなみに前述の「Why Do We Try」のオリジナル・ヴァージョンでもAli Shaheed Muhammadがフィーチャーされていました。

また、1曲でOutkastAndre 3000Big Boi、さらにはDavid Sheatsを加えたプロダクション・トリオEarthtone IIIがプロデュースを手掛けています。

Stokley Williamsを中心にセルフ・コンテインド・グループらしく、各メンバーの多才ぶりを堪能できます。また、アルバム全体の安定感にグループの成熟ぶりを感じます。

今、再評価されるべきアルバムの1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Mintrolude」
Stokleyのギター、パーカッション、ヴォーカルとChris Daveのドラムによるイントロ。

「My Sista」
StokleyとO'Dell主導の曲。スティール・ドラムの音色が印象的なミディアム・グルーヴ。聴き重ねるほどクセになる1曲ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=4Fjh-GdRDig

「Look Whachu Done 2 Me」
この曲はStokleyの独壇場です。前曲に続き、スティール・ドラムを効果的に配したメロウなミディアム・スロウに仕上がっています。ヴォーカリストのみならず、ソングライティング、音創り等Stokleyのトータルな才を実感できます。
https://www.youtube.com/watch?v=TWVydbX7tcU

「Whoaa」
アルバムからの1stシングル。Lawrenceのメロウ・エレピにのって、Stokleyがセクシーなヴォーカルを聴かせてくれるネオソウル調のミディアム・スロウ。
https://www.youtube.com/watch?v=O6ja9Mf4hsk

「I'm Ready」
アルバムからの2ndシングル。メンバー5名とChris Daveが勢揃いした演奏を楽しめます。息の合ったヴォーカル・ワークとロッキン・ギターが印象的なミディアム。じわじわくる感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ImpBO87IQ-w

「Love Your Tears」
Lawrenceの作品。哀愁メロディをStokleyが切々と歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=yWp4LvSryB8

「Mintal (Interlude)」
インタールードですが、セルフ・コンテインド・グループらしい演奏を聴かせてくれます。

「Luxury Brown」
タイトル曲は哀愁モードです。O'Dellのギター・ソロも印象的です。Ali Shaheed Muhammadがスクラッチで参加しています。また、女性R&BシンガーJamecia Bennettがバック・コーラスで参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=3DTKwEMoNwg

「Half An Hour」
Ricky Kinchenの貢献が大きい曲。どこか切なく、愛おしいメロディをStokleyが切々と歌い上げます。Lawrenceのオルガンも効果的です。
https://www.youtube.com/watch?v=FNySjBKIWlw

「It's Hard」
Earthtone IIIプロデュース曲。Chip Fuのラップも登場します。そのせいか他の楽曲とは異なる雰囲気です。正直、アルバムの中で浮いていますが、Outkastとの接点は興味深いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=0xIhOi8eTTs

「Runaway」
Ricky Kinchen主導の曲。ど迫力の哀愁モードといった感じですね。なかなかドラマティックです。
https://www.youtube.com/watch?v=Tl_LRtdQgGY

「Fallin' Apart」
Chris Daveらしいドラミングと共に始まります。本編は切々とした哀愁バラードですが、その静寂を打ち破るかのようなRicky Kinchenのギターが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=OA5aC22DKNA

「What Happened」
この曲もAli Shaheed Muhammadがスクラッチで参加。淡々とした哀愁モードのバラードですが、Stokleyの声質にはこういった楽曲が合っているかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=rSWIKpupxBg

「The Tempest (Interlude)」
セルフ・コンテインド・グループらしいインストによるインタールード。

「Sad Girl」
アコギの響きを活かしたミディアム。さり気ないですが安定感があります。
https://www.youtube.com/watch?v=VH2NMlnhc38

「Doormat」
ここからラスト3曲はメンバー5名の総力が結集した感動曲のオンパレード。本曲は感動ドラマのエンディング・テーマなんかにピッタリな1曲。
https://www.youtube.com/watch?v=LCCpj5orRlQ

「One Wish」
O'Dellのギター・ソロとRicky Kinchenの温かみのあるヴォーカルが印象的なドラマティックで感動的なバラード。
https://www.youtube.com/watch?v=ZR9DrG1TOXY

「We Got Us」
ラストは抑制の効いた哀愁チューンで締め括ってくれます。The Pharcyde「Runnin'」ネタでお馴染みStan Getz & Luiz Bonfa「Saudade Vem Correndo」をイメージさせるような、透明感のあるアコースティック・サウンドが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=kTdZMsDKc2w

Mint Conditionの他作品もチェックを!

『Meant to Be Mint』(1991年)
Meant to Be Mint

『From the Mint Factory』(1993年)
From the Mint Factory

『Definition Of A Band』(1996年)
Definition of a Band

『Life's Aquarium』(1999年)
Life's Aquarium

『E-Life』(2008年)
E-Life

『7』(2011年)
7

『Music at the Speed of Life』(2012年)
Music at the Speed of Life
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2015年03月18日

Trussel『Love Injection』

Fred Wesleyプロデュース。ガラージ・クラシック「Love Injection」収録☆Trussel『Love Injection』
ラヴ・インジェクション
発表年:1980年
ez的ジャンル:B級ディスコ・ファンク・グループ
気分は... :ラブ注入!

今回はバージニア出身のファンク・グループTrussel唯一のアルバム『Love Injection』(1980年)です。

Trusselはヴァージニア州立大学の学生バンドを母体とするファンク・グループ。本作におけるメンバーはRonald Smith(ds)、Michael Gray(g)、Larry Tynes(key、vo)、Bill McGee(tp)、Hannon B. Lane(g、key、sax、tb)、H. Lorenzo Maclin(b、vo)、Lenwood Jones(key、sax、vo)、Michael Spratley(sax、vo)の8名。

1975年にデビュー・シングル「The Bicentennial Boogie」をリリース。その後Evelyn "Champagne" Kingのツアー・バンドを務めたことがきっかけで、Elektraとの契約に成功します。そして、1979年にシングル「Love Injection」をリリースし、1980年に同曲を含むアルバム『Love Injection』をリリースしますが、結果として唯一のアルバムとなってしまいました。

その唯一のアルバム『Love Injection』ですが、プロデュースを手掛けたのはAllen RichardsonFred Wesley

やはり、ガラージ・クラシックとして現在も人気のタイトル曲がハイライトですね。僕もこの1曲欲しさに本作を購入したといっても過言ではありません。

僕の中ではタイトル曲がダントツですが、「Yearning For Your Love」「Gone For The Weekend」あたりもオススメです。ディスコ・ファンク好きの人であれば、「I Love It」も気に入るはず!

最初はタイトル曲のみのアルバムだと思っていましたが、意外に聴き応えがあります。

全曲紹介しときやす。

「Love Injection」
前述のように本作のハイライトと呼べるディスコ・ファンク。シングルとして全米R&Bチャート第23位となりました。Larry Levanがプレイしたガラージ・クラシックとしてもお馴染みです。サルソウル+Chicといった感じのキャッチーがいいですね。ブレイクも含めて約8分の尺がぴったりです。Positive Expressが1982年にカヴァーしています。
https://www.youtube.com/watch?v=MWHxfdPxz24

「I Love It」
本曲もシングルとなり、全米R&Bチャート第61位となったファンク・チューン。「Love Injection」から一転して、男臭いファンク・チューンに仕上がっています。ブレイクも格好良いです。Daniel Wang「Free Lovin' (Housedream)」でサンプリングされています。
https://www.youtube.com/watch?v=xdOBvwDAOPk

「Sweet Love」
フィーリー風の甘茶バラード。悪くはありませんが、僕はこのアルバムにこのタイプの曲は期待していないので聞き流してしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=lry0abZpfJo

「Big City Rocker」
この曲もシングルになりました。タイトルの通り、ロッキン・ディスコな仕上がりです。エネルギッシュですね。
https://www.youtube.com/watch?v=gFczBxtED_Y

「Yearning For Your Love」
「Love Injection」に次ぐお気に入り。このタイトルからはThe Gap Bandのメロウ・クラシックを思い浮かべる人も多いと思いますが同名異曲です。ただし、こちらもアーバンで素敵なモダン・ソウルに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=xbydqzzuiAA

「If You Can't See It」
甘く切ないスロウ。同じスロウでも「Sweet Love」とは異なり、こちらは僕好みです。ジワジワと切ない思いが募る感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ZGX7AWG3d3c

Professor P & DJ Akilles feat. Promoe「Mind Travel」のサンプリングソースとなっています。
Professor P & DJ Akilles feat. Promoe「Mind Travel」
 https://www.youtube.com/watch?v=IhPe_0hrKNM

「Gone For The Weekend」
ラストは哀愁のモダン・ダンサーで締め括ってくれます。ミュンヘン・ディスコ調の雰囲気もあって、なかなか面白いです。
https://www.youtube.com/watch?v=XzP6qVBYgBc

いよいよ年度末モードですね。僕の場合、今週が山ですかね。時間を有効活用せねば。
posted by ez at 01:27| Comment(2) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月16日

Cafe Jacques『Round The Back』

Steely Dan的サウンドを聴かせてくれるUKのポップ・バンド☆Cafe Jacques『Round The Back』
ラウンド・ザ・バック+1
発表年:1977年
ez的ジャンル:職人系UKポップ・バンド
気分は... :思わずニンマリ!

今日はUKのポップ・バンドCafe Jacquesの1stアルバム『Round The Back』(1977年)です。

Cafe Jacquesは、1973年にスコットランド、エジンバラで結成されたスタジオ・ミュージシャン系バンド。メンバーはChris Thomson(g、vo)、Mike Ogletree(ds、per、g、vo)、Peter Veitch(key、accordion)の3名。

グループはRupert Hineのプロデュースの下、『Round The Back』(1977年)、『International』(1979年)という2枚のアルバムをリリースしています。

僕は"UKのSteely Dan"というふれこみにつられて、本作『Round The Back』を購入したのですが、確かにSteely Dan好きの人は気に入るであろうアルバムだと思います。その一方で、よりポップ・ロック的な演奏やプログレ的なエッセンスも散りばめられているところが、このバンドの面白いところなのかもしれません。

メンバー以外にJohn G. Perry(b)、Phil Collins(per)、Geoff Richardson(viola、fl)が参加しています。特にPhil Collinsの参加が興味深いですね。Rupert Hine絡みでの参加だと思います。

個人的にはSteely Dan的なものを求めて購入したので、その意味では「Meaningless」「Farewell My Lovely」「Sandra's A Phonie」あたりがオススメです。「Ain't No Love In The Heart Of The City」「Sands Of Singapore」あたりもAOR好きの人は気に入ると思います。展開がダイナミックな「Lifeline」も楽しめるはず!ファンキーな「None Of Your Business」も僕好み。

スタジオ・ミュージシャン系バンドらしいセンスが光る1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Meaningless」
最もSteely Dan的なこのオープニングが本作のハイライトだと思います。実に都会的でありながら一筋縄ではいかない感じがいいですね。イントロの印象的なリフがQ-Tip feat. Raphael Saadiq「We Fight/We Love」のネタになっている点も僕が気に入っている大きな要因です。
https://www.youtube.com/watch?v=GM7BHOeEDvI

Q-Tip feat. Raphael Saadiq「We Fight/We Love」
 https://www.youtube.com/watch?v=MblPdhLTbE8

「Ain't No Love In The Heart Of The City」
本作唯一のカヴァーはBobby Bland、1974年のシングル曲(Dan Walsh/Michael Price作)というなかなかシブいセレクト。Whitesnakeもカヴァーしていました。本ヴァージョンはブルーアイド・ソウル的なAORチューンに仕上がっています。今の僕の嗜好にフィットした1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=PrO6XiA6Qcc

「Sands Of Singapore」
タイトルからイメージされるようなエキゾチックな雰囲気のAORチューン。プログレ的なエッセンスもあって、ある意味このバンドらしい演奏なのかもしれません。

「Farewell My Lovely」
「Meaningless」と並びSteely Danを感じる曲です。曲調やコーラスの雰囲気がSteely Danしてますね。ただし、そこにプログレ的なスパイスを効かせているのが、このバンドの独自性かもしれませんが。
https://www.youtube.com/watch?v=F7i4r4AoVao

「Eberehtel」
ポップ・ロックAORなミディアム・バラード。少しパンチに欠けますが、メロウな味わいはいい感じです。

「Dark Eyed Johnny」
ギター・サウンドを前面に出したポップ・ロック。メリハリをつけた展開に工夫を感じますが、正直僕の好みではありません。

「Sandra's A Phonie」
この曲もSteely Dan調です。派手さはないですが、聴いていて思わずニンマリしてしまいます。

「None Of Your Business」
シティ・ポップ的なサウンド・センスで楽しませてくれるファンキー・グルーヴ。聴き重ねるほどに好きになります。

「Crime Passionelle」
哀愁バラードですが、イマイチ印象に残らないかも?

「Lifeline」
ラストはダイナミック展開で楽しませてくれます。このバンドの持つポップな側面とプログレな側面を見事に融合させているのが素晴らしいです。
https://www.youtube.com/watch?v=-9IqxXUOChU

CDにはボーナス・トラックとして「Meaningless」のシングル・ヴァージョンが追加収録されています。

『International』(1979年)
INTERNATIONAL
posted by ez at 01:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月15日

Tuxedo『Tuxedo』

Mayer HawthorneとJake Oneのディスコ/ファンク・ユニット☆Tuxedo『Tuxedo』
Tuxedo (タキシード)
発表年:2015年
ez的ジャンル:80年代ディスコ/ファンクへのオマージュ
気分は... :やはりMayerにはStones Throwが良く似合う!

今日は新作アルバムから、白人ソウル・アーティストMayer HawthorneとHip-HopプロデューサーJake Oneによる話題のディスコ/ファンク・ユニットTuxedoのデビュー・アルバム『Tuxedo』です。

2013年にEP『Tuxedo EP』で正体不明のユニットとして登場し、その後Mayer HawthorneとJake Oneによるユニットであることが判明したTuxedo。遂に待望の1stアルバムがStones Throwリリースされました。

Mayer Hawthorneについては、当ブログでも彼の名を一躍有名にした1stアルバム『A Strange Arrangement』(2009年)を紹介済みです。本作と同じStones Throwからリリースされた同作は、B級ながらも音楽愛好家ならではのソウル愛に溢れたレトロ・ソウル作品といった雰囲気が気に入っていました。

しかしながら、その後メジャーからリリースされた2nd『How Do You Do』(2011年)、3rd『Where Does This Door Go』(2013年)では、そういった魅力が薄れてしまった気がします。特に、メジャー感丸出しの『Where Does This Door Go』は、彼が本格派アーティストを目指しているようで、方向性を見失っている気がしました。

その意味では、レトロなディスコ/ファンクに徹した本作は、彼が原点に戻ってきたようで個人的に嬉しい限りです。やはり、Mayer Hawthorneにはメジャー・レーベルよりもStones Throwがよく似合いますね。

昨年からリークしていたPaul McCartneyのカヴァー「Wonderful Christmastime」が未収録なのは少し残念ですが、アルバムには80年代ディスコ/ファンクへの愛情に溢れた楽曲がズラリと並びます。

Tuxedo「Wonderful Christmastime」
 https://www.youtube.com/watch?v=SKTmEVF1Qqc

無理にオリジナリティを打ち出すようなことはせず、"愛して止まないディスコ/ファンクを自分たちなりに再現してみました!"と言わんばかりの素直なディスコ/ファンク・サウンドに好感が持てます。こうした作品に取り組むためには、本ユニットのような匿名性が必要だったのかもしれませんね。

もう一人の主役Jake Oneに触れずじまいになってしまいましたが、正直今まで接点のないアーティストだったので、本作を機に彼の関与した作品もチェックしてみたいと思います。

世代に関わらず、ディスコ/ファンク好きの人に素直に楽しんで欲しい1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Lost Lover」
ストリングスを配した70年代的な雰囲気とエレクトリック・ブギーな80年代的な雰囲気が融合したディスコ・チューンでアルバムは幕を開けます。つかみはOK!

「R U Ready」
腰に響く重心の低いシンセ・サウンドがいい感じのアーバンなファンク・チューン。キュートな女性コーラスもいい感じ!
https://www.youtube.com/watch?v=PwaKU8s8B2A

「Watch the Dance」
タイトルからしてキャッチーなディスコ・ファンク。甘く妖しくキラキラしたダンス・サウンドが80代らしさ満載で大好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=YAWSbyz_rfY

「So Good」
僕の一番のお気に入り。ヴィヴィッドなシンセ・サウンドが心地好いメロウ・ダンサー。かゆい所に手が届く感じが心憎いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=z74j1xgqay8

「Two Wrongs」
哀愁モードのミディアム・スロウ。切なさがたまりません。同じStones Throw所属の注目アーティストDam-Funkがシンセ・ソロを披露してくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=MyneYPCPTR4

「Tuxedo Groove」
ポップなシンセ・サウンドとギターによるインスト・チューン。少しコーヒーブレイクって感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=YsrbKxtbjoY

「I Got U」
「So Good」「The Right Time」と並ぶ僕のお気に入り。シンセを駆使したディスコ・ファンクながらも、曲調はスウェイビートなのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=mlbVgxBRbgY

「The Right Time」
Nile Rodgers調のギターが心地好いディスコ・ブギー。Daft Punk「Get Lucky」と同路線ですが、「Get Lucky」ほどやり過ぎ感がないのが僕好みです。
https://www.youtube.com/watch?v=iOhZ7P45bSQ

「Roll Along」
セクシーなアーバン・ダンサー。Rod Temperton(Heatwave)あたりを意識したような曲調です。

「Get U Home」
Mayer Hawthorneのシンガーとしての成長を感じるセクシーなミディアム・チューン。彼のメジャー進出に必ずしも賛成ではない僕ですが、このあたりはメジャー経験で得たものかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=ImmGiF3x2C4

「Do It」
本作以前にPitbull『Global Warming: Meltdown』(2013年)にPitbull参加ヴァージョンが収録されていました。PVも含めて、どこまで本気で、どこまでお遊びなのかが不明な、このディスコ/ファンク・ユニットらしさキャッチーさを持った1曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=Q-gcfQhR_9c

Pitbull Feat. Mayer Hawthorne「Do It」
 https://www.youtube.com/watch?v=S5w9cQpO72k

「Number One」
ラストはSnoop Dogg「Ain't No Fun」を引用したアーバン・ダンサー。Mayer HawthorneのG-Funk好きを反映した1曲で締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=H45DtfQS0zU

国内盤にはボーナス・トラック「Without Your Love」が追加収録されています。僕はこのボートラが気に入ったので国内盤を購入しました。

Mayer HawthorneJake One

Mayer Hawthorne『A Strange Arrangement』(2009年)
A Strange Arrangement

Mayer Hawthorne『How Do You Do』(2011年)
How Do You Do

Mayer Hawthorne『Where Does This Door Go』(2013年)
Where Does This Door Go-Deluxe Edition (2cd)

Jake One『White Van Music』(2008年)
White Van Music (Dig)

Freeway & Jake One『The Stimulus Package』(2010年)
Stimulus Package
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2015年03月14日

We Five『Make Someone Happy』

シスコ産フォーク・ロック/ソフトロック☆We Five『Make Someone Happy』
メイク・サムワン・ハッピー
発表年:1967年
ez的ジャンル:シスコ産フォーク・ロック/ソフトロック
気分は... :落ち着かない週末・・・

週末ですが、やることだらけで慌しく過ごすことになりそうです。

今回はサンフランシスコのフォーク・ロック/ソフトロック・グループWe Fiveの2ndアルバム『Make Someone Happy』(1967年)です。

We FiveKingston TrioのメンバーJohn Stewartを兄に持つMichael Stewartが組んでいたグループThe Ridgerunnersが前身。

その後、MichaelがKingston TrioのマネジャーFrank Werberをプロデューサーに迎えて結成されたのがWe Fiveです。結成時のメンバーはMichael Stewart(vo、g、banjo)、Beverly Bivens(vo、g)、Jerry Burgan(vo、g)、Pete Fullerton(vo、b)、Bob Jones(vo、g)の5名。

1965年にデビュー・シングル「You Were on My Mind」(Ian & Sylviaのカヴァー)をリリースし、全米チャート第3位の大ヒットとなりました。
We Five「You Were on My Mind」
 https://www.youtube.com/watch?v=RgjvT8myFOA

その勢いにのって、グループは『You Were on My Mind』(1965年)、『Make Someone Happy』(1967年)という2枚のアルバムをリリースしています。

しかしながら、グループの雲行きは怪しくなり、紅一点のリード・シンガーBeverly Bivensが抜け、代わりにDebbie Burgan(Jerry Burganの妻)をリード・シンガーに迎えるなどのメンバー交代を行い、『The Return of the We Five』(1969年)、『Catch the Wind』(1970年)、『Take Each Day As It Comes』(1977年)といったアルバムをリリースしますが、成功を収めることはありませんでした。

A&Mからリリースされた本作strong>『Make Someone Happy』(1967年)は彼らの2ndアルバムとなります。ジャケからはポップなソフトロック作品をイメージするかもしれませんが、実際は紅一点Beverly Bivensのヴォーカルを中心に据えたフォーク・ロック寄りの仕上がりです。そんな中にボッサな曲や、ソフトリーなコーラスを聴かせる曲、ミュージカルの一場面のような曲が挿入も混じっているデコボコ感が面白いアルバムかもしれません。

掴みどころがないのも確かですが、60年代好きの人であれば、いろいろ楽しめる要素が散りばめられた1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Let's Get Together」
Chet Powers(Dino Valenti)作。Youngbloodsの大ヒットで知られる「Get Together」をカヴァー。Youngbloodsヴァージョンは『The Youngbloods』に収録されています。当ブログではYoungbloods『RIde The Wind』のライブ・ヴァージョンやThe Dave Pell Singersのカヴァーを紹介済みです。ここではBeverly Bivensのヴォーカルを中心に据え、メリハリの効いたキャッチーなフォーク・ロックに仕上がっています。

「High Flying Bird」
Billy Edd Wheeler作。Jefferson AirplaneRichie Havens等も取り上げていた楽曲です。サイケ風味のフォーク
https://www.youtube.com/watch?v=NUN80MtQYU0

「Make Someone Happy」
Jule Styne/Betty Comden/Adolph Green作。タイトル曲はミュージカル『Do Re Mi』のテーマ曲。ボッサ調のフォーキー・チューンはモロに僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=-42haQO-3Vk

「Five Will Get You Ten」
Frank May作。演奏はイマイチですが軽快なテンポで弾けます。
https://www.youtube.com/watch?v=WbZEVZ5P-Y8

「Somewhere」
Stephen Sondheim/Leonard Bernstein作。ミュージカル『West Side Story』の名曲をカヴァー。しっとりとしたヴォーカル&コーラスで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Py4uzdMzZA8

「What Do I Do Now?」
Bill Chadwick/Randy Sterling/Michael Stewart作。Beverly Bivensの凛としたヴォーカルが印象的なフォーク・ロック。

「The First Time」
Ewan MacColl作。数多くのアーティストがカヴァーしている名曲。ソフトリーなフォーキー・チューンに癒されます。
https://www.youtube.com/watch?v=M2_Kkf-9Q0c

「Our Day Will Come」
Bob Hilliard/Mort Garson作。Ruby & The Romantics、1963年のヒット曲をカヴァー。当ブログではJimmy Castorのカヴァーも紹介済みです。フォーキー・ソフトロックな感じがいいですね。

「Poet」
John Stewart/Michael Stewart作。Beverly Bivensのヴォーカルの魅力を堪能できるキュートなポップ・チューン。

「What's Goin' On」
Michael Stewart作。Marvin Gayeの名曲とは同名異曲の哀愁フォーキー・ロック。
https://www.youtube.com/watch?v=psM9qNAT_6U

「The Inch Worm」
Frank Loesser作。映画『Hans Christian Andersen』(1952年)でDanny Kayeが歌っていた曲。ミュージカルの一場面のような雰囲気で聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=bxQkES_oBP0

「You Let A Love Burn Out」
Randy Sterling作。ラストはフラワー・ムーヴメントなフォーク・ロックで締め括ってくれます。

『You Were on My Mind』(1965年)
ユー・ワー・オン・マイ・マインド

『Make Someone Happy』(1967年)
リターン・オブ・ウィ・ファイヴ
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