2015年03月19日

Mint Condition『Livin' The Luxury Brown』

セルフ・コンテインドR&Bグループとしての成熟を感じる1枚☆Mint Condition『Livin' The Luxury Brown』
Livin the Luxury Brown
発表年:2005年
ez的ジャンル:セルフ・コンテインド男性R&Bグループ
気分は... :今、再評価されるべき1枚

今回は男性R&BグループMint Conditionの5thアルバム『Livin' The Luxury Brown』(2005年)です。

Stokley Williamsを中心としたミネアポリス出身のセルフ・コンテインド男性R&BグループMint Conditionの紹介は、『Definition Of A Band』(1996年)に続き2回目となります。

ここ数年でMint Conditionに対する再評価が高まっているのではないでしょうか。僕もそんな一人です。きっかけは勿論、音楽シーンに大きなインパクトを与えた衝撃作Robert Glasper Experiment『Black Radio』(2012年)です。

『Black Radio』で僕の一番好きな曲がStokley Williamsをフィーチャーした「Why Do We Try」です。この曲のオリジナルはMint Condition『E-Life』(2008年)であり、そこでドラムを叩いていたのが『Black Radio』時のRGEのドラマーChris Daveでした。

新世代ドラマーの代表格であるChris Daveは、『E-Life』(2008年)以前の『Lifes Aquarium』(1999年)、『Livin' the Luxury Brown』(2005年)といったMint Condition作品にも参加しています。

個人的にリアルタイムでのMint Conditionへの興味は、Jam & Lewis(Jimmy Jam & Terry Lewis)のPerspective Recordからリリースされた『Meant To Be Mint』(1991年)、『From The Mint Factory』(1993年)、『Definition Of A Band』(1996年)という最初の3枚で終わっていたのですが、新世代ドラマーChris Daveへの関心から彼が参加したMint Condition作品にも耳を傾けるようになりました。

今回紹介する『Livin' the Luxury Brown』(2005年)は、グループが商業的に最も低迷していた時期の作品でした。前回、『Definition Of A Band』の記事を投稿したのが2007年でいたが、"このままこのグループはフェード・アウトしてしまうのかなぁ"と予感していました。しかしながら、グループは逆境を乗り越え、次作『E-Life』(2008年)で見事に復活し、今日に至っています。

正直、本作『Livin' the Luxury Brown』も5、6年前に某CDショップのクリアランス・セールで購入したまま、開封もせず数年放置していました。でも『Black Radio』を機に放置していたことを思い出し、聴くようになりました。

前述のように低迷期のアルバムですが、内容は充実しています。ミディアム〜スロウ中心の構成のため派手さはありませんが、時代に流されず自分達の信じる音楽を貫いている感じが共感持てます。

本作におけるメンバーはStokley WilliamsRicky KinchenJeffrey AllenLawrence WaddellO'Dellの5名。Keri Lewisが抜け、5人体制となってからは本作が最初のアルバムとなります。

それ以外にChris Dave(ds)、元ATCQAli Shaheed Muhammad等が参加しています。ちなみに前述の「Why Do We Try」のオリジナル・ヴァージョンでもAli Shaheed Muhammadがフィーチャーされていました。

また、1曲でOutkastAndre 3000Big Boi、さらにはDavid Sheatsを加えたプロダクション・トリオEarthtone IIIがプロデュースを手掛けています。

Stokley Williamsを中心にセルフ・コンテインド・グループらしく、各メンバーの多才ぶりを堪能できます。また、アルバム全体の安定感にグループの成熟ぶりを感じます。

今、再評価されるべきアルバムの1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Mintrolude」
Stokleyのギター、パーカッション、ヴォーカルとChris Daveのドラムによるイントロ。

「My Sista」
StokleyとO'Dell主導の曲。スティール・ドラムの音色が印象的なミディアム・グルーヴ。聴き重ねるほどクセになる1曲ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=4Fjh-GdRDig

「Look Whachu Done 2 Me」
この曲はStokleyの独壇場です。前曲に続き、スティール・ドラムを効果的に配したメロウなミディアム・スロウに仕上がっています。ヴォーカリストのみならず、ソングライティング、音創り等Stokleyのトータルな才を実感できます。
https://www.youtube.com/watch?v=TWVydbX7tcU

「Whoaa」
アルバムからの1stシングル。Lawrenceのメロウ・エレピにのって、Stokleyがセクシーなヴォーカルを聴かせてくれるネオソウル調のミディアム・スロウ。
https://www.youtube.com/watch?v=O6ja9Mf4hsk

「I'm Ready」
アルバムからの2ndシングル。メンバー5名とChris Daveが勢揃いした演奏を楽しめます。息の合ったヴォーカル・ワークとロッキン・ギターが印象的なミディアム。じわじわくる感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ImpBO87IQ-w

「Love Your Tears」
Lawrenceの作品。哀愁メロディをStokleyが切々と歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=yWp4LvSryB8

「Mintal (Interlude)」
インタールードですが、セルフ・コンテインド・グループらしい演奏を聴かせてくれます。

「Luxury Brown」
タイトル曲は哀愁モードです。O'Dellのギター・ソロも印象的です。Ali Shaheed Muhammadがスクラッチで参加しています。また、女性R&BシンガーJamecia Bennettがバック・コーラスで参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=3DTKwEMoNwg

「Half An Hour」
Ricky Kinchenの貢献が大きい曲。どこか切なく、愛おしいメロディをStokleyが切々と歌い上げます。Lawrenceのオルガンも効果的です。
https://www.youtube.com/watch?v=FNySjBKIWlw

「It's Hard」
Earthtone IIIプロデュース曲。Chip Fuのラップも登場します。そのせいか他の楽曲とは異なる雰囲気です。正直、アルバムの中で浮いていますが、Outkastとの接点は興味深いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=0xIhOi8eTTs

「Runaway」
Ricky Kinchen主導の曲。ど迫力の哀愁モードといった感じですね。なかなかドラマティックです。
https://www.youtube.com/watch?v=Tl_LRtdQgGY

「Fallin' Apart」
Chris Daveらしいドラミングと共に始まります。本編は切々とした哀愁バラードですが、その静寂を打ち破るかのようなRicky Kinchenのギターが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=OA5aC22DKNA

「What Happened」
この曲もAli Shaheed Muhammadがスクラッチで参加。淡々とした哀愁モードのバラードですが、Stokleyの声質にはこういった楽曲が合っているかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=rSWIKpupxBg

「The Tempest (Interlude)」
セルフ・コンテインド・グループらしいインストによるインタールード。

「Sad Girl」
アコギの響きを活かしたミディアム。さり気ないですが安定感があります。
https://www.youtube.com/watch?v=VH2NMlnhc38

「Doormat」
ここからラスト3曲はメンバー5名の総力が結集した感動曲のオンパレード。本曲は感動ドラマのエンディング・テーマなんかにピッタリな1曲。
https://www.youtube.com/watch?v=LCCpj5orRlQ

「One Wish」
O'Dellのギター・ソロとRicky Kinchenの温かみのあるヴォーカルが印象的なドラマティックで感動的なバラード。
https://www.youtube.com/watch?v=ZR9DrG1TOXY

「We Got Us」
ラストは抑制の効いた哀愁チューンで締め括ってくれます。The Pharcyde「Runnin'」ネタでお馴染みStan Getz & Luiz Bonfa「Saudade Vem Correndo」をイメージさせるような、透明感のあるアコースティック・サウンドが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=kTdZMsDKc2w

Mint Conditionの他作品もチェックを!

『Meant to Be Mint』(1991年)
Meant to Be Mint

『From the Mint Factory』(1993年)
From the Mint Factory

『Definition Of A Band』(1996年)
Definition of a Band

『Life's Aquarium』(1999年)
Life's Aquarium

『E-Life』(2008年)
E-Life

『7』(2011年)
7

『Music at the Speed of Life』(2012年)
Music at the Speed of Life
posted by ez at 02:49| Comment(2) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする