発表年:1991年
ez的ジャンル:悲運の男女R&Bデュオ
気分は... : ブラック・マンバ
今回は90年代R&B作品からDamian Dame『Damian Dame』(1991年)です。
DamianとDeah Dameの男女R&Bデュオ。
Deah DameことDebra Hurdは1958年テキサス州ヒューストン生まれ。1983年にソロ・アルバム『Debra Hurd』をリリースし、シングル「Hug Me, Squeeze Me」をヒットさせました。
その後、Babyfaceの1stソロ・アルバム『Lovers』収録曲「Faithful」でフィーチャリングされたことがきっかけで、後の人気プロデュース・チームL.A. Reid & Babyfaceの関連作品へ参加するようになります。
具体的には、L.A. ReidとBabyfaceが在籍していたThe Deeleの『Eyes Of A Stranger』(1987年)、Shalamar『Circumstantial Evidence』(1987年)、Karyn White『Karyn White』(1988年)といったアルバムに参加しています。
そんな中、Debraのヴォーカルを気に入ったDamian(本名:Bruce Edward Broadus、1966年ミシガン州マーシャル生まれ)が彼女に声を掛けて結成されたのがDamian Dameです。
彼らは幸運にもL.A. ReidとBabyfaceが設立したLaFace Recordsの第1号アーティストとして契約することに成功します。そして制作されたアルバムが本作『Damian Dame』(1991年)です。
アルバムからは全米R&Bチャート第1位となった「Exclusivity」、同チャート第2位となった「Right Down To It」という2曲のヒット・シングルが生まれ、上々の船出となりました。
1992年にはL.A. Reid & Babyfaceがプロデュースし、LaFaceからリリースされたEddie Murphy主演の映画『Boomerang』のサントラに参加し、「Reversal of a Dog」でHighland Place Mobsters、TLC、Toni Braxtonと共演しています。
ちなみにTLCのChilliはかつてDamian Dameのバックダンサーを務めていました。
このように順調に見えた2人ですが、突然悲劇が襲います。2ndアルバムのリリースも予定されていた1994年6月にDebraが交通事故で他界してしまいます。享年35歳。
取り残されたDamianは失意の中、1996年にソロ・アルバム『199SEX 』をリリースしますが、その直後にガンのため逝去しました。運命のいたずらか、DebraとDamianの命日は共に6月27日でした。
悲運のデュオDamian Dame唯一のアルバムが本作『Damian Dame』(1991年)です。
L.A. Reid & Babyfaceをはじめ、Daryl Simmons、Kayo(Kevin Roberson)といったLaFaceファミリーがプロデュースを務め、Babyfaceの兄Kevon EdmondsやTLCのLeft Eye、T-Boz等がレコーディングに参加しています。
アルバム全体の印象としては、Debraの哀愁ヴォーカルが印象的なアップ・チューン、DamianのラップによるHip-Hopチューン、メロディアスなミディアム〜スロウがバランス良く配されています。このあたりがL.A. Reid & Babyfaceのセンスかもしれませんね。
色使いがケバいジャケも含め、良くも悪くも90年代初頭の雰囲気を満喫できる1枚です。
勿論、僕はこの雰囲気が大好きです。
全曲紹介しときやす。
「Intro」
イントロ。
「Exclusivity」
アルバムからの1stシングルであり、前述のようには全米R&Bチャート第1位となったヒット曲。哀愁のメロディが印象的なNJSです。この時代らしくラップパートを織り交ぜています。
https://www.youtube.com/watch?v=1w7FqIQ3q60
「Gotta Learn My Rhythm」
アルバムからの3rdシングル。Debraの哀愁ヴォーカルが印象的なダンス・チューン。妖しげなサウンドが90年代初めのR&Bらしくていいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=w_IRVmc3WMM
「Believer」
シングル向きのキャッチーなアップ・チューン。Damianのラップ・パートもキマっています。バッキング・ヴォーカルはKayo共にプロデュースを手掛けたDaryl Simmons(DeRock名義)。
https://www.youtube.com/watch?v=rN9HYv-PWr8
「Right Down To It」
アルバムからの2ndシングル。「Exclusivity」に続き、全米R&Bチャート第2位のヒットとなりました。メロディアスなミディアム・チューンです。Damianのヴォーカルの節回しはLaFaceサウンドにマッチしますね。後にKenny Lattimoreがカヴァーしています。
https://www.youtube.com/watch?v=0PBcyxDD5Js
「Virgin Island」
Debraがキュートながらも大人のヴォーカルでしっとりと聴かせるバラード。イントロは和風です(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=4Ij_jyLt9lc
「Whack It On Me」
ラップを前面に打ち出したHip-Hopチューン。DamianのみならずDebraもラップを聴かせてくれます。90年代初めのダンサブルなHip-Hopチューンって結構好きでした。
https://www.youtube.com/watch?v=t9hbRsrwjH0
「Don't Remind Me」
ヒップ・ハウス的なエッセンスを取り入れたダンス・チューン。こういうのもこの時代ならではの音ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=kl7WQmh5lsI
「Love Come Near Me」
美メロのミディアム・スロウ。ミディアム〜スロウ系ではこれが一番好き。Damianのソングライティングの才を感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=A-OB_JfM0sE
「Trumpet Man (Tribute To Miles Davis)」
本作がリリースされた1991年に逝去したジャズ界の帝王Miles Davisに捧げれた曲。タイトルの割にはトランペットが入っていませんが(笑)。その代わりにシンセでミュート・トランペットっぽいフレーズを奏でています。Milesの遺作となった『Doo-Bop』あたりを意識した雰囲気の仕上がりです。女性R&BグループBlackgirlのメンバーTye-V(Nycolia Turman)がバック・コーラスで参加しています。
「When I'm Crying」
Debraのヴォーカルの魅力を際立たせた哀愁バラード。バック・ヴォーカルでKevon Edmondsが参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=cwLmRNgCvQI
「Sixty Seconds (The Conclusion)」
Left Eye(Q.T.名義)とT-Boz(Boz名義)というTLCメンバーがラップで参加した短いHip-Hopチューン。アルバムのアウトロ的な感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=cw6DqdNesII
「Exclusivity Remix」
「Exclusivity」のリミックス。
Original Soundtrack『Boomerang』(1992年)