発表年:2002年
ez的ジャンル:男性ネオソウル
気分は... :このスケール感は魅力!
今回は男性ネオソウル作品からDonnie『The Colored Section』(2002年)です。
Donnie(Donnie Johnson)は1975年ケンタッキー州レキシントン生まれ、ジョージア州アトランタ育ちの男性R&Bシンガー/ソングライター。
Giant Step Recordsとの契約に成功し、2001年にリリースした「Holiday」、「Do You Know?」、「Excerpts From The Colored Section」といったシングル/EPがクラブ方面で注目を浴びます。その勢いでリリースされたのが1stアルバムとなる本作『The Colored Section』(2002年)です。その内容の充実ぶりに翌年Motownから再リリースされています。
その後しばしのブランクを挟み、2007年に2ndアルバム『The Daily News』をリリースしています。
本作『The Colored Section』(2002年)は、Musiq Soulchild、Frank McComb等に通じる正統派ネオソウルらしいアルバムです。
ソウル、ゴスペル、ブルース、ジャズといった黒人音楽の伝統を意識する一方で、同じアトランタを拠点とするKhari Simmonsあたりに通じるクロスオーヴァー感覚のサウンドや、I.G. CultureやKaidi Tatham(Bugz In The Attic、2000Black等)を招き、西ロンドンを意識したダンス・サウンドを聴かせてくれる点も本作の魅力です。
メイン・プロデューサーはSteve 'The Scotsman' Harvey。彼の巧みな音創りがゴスペル仕込みのDonnieのヴォーカルの魅力を最大限引き出しています。
レコーディングにはBobby Watson(元Rufus & Chaka Khan)(b)、Al McKay(元EW&F)(g)、Hator Pereria(元Simply Red)(g)、Wayne Linsey(元Maze)(p、syn)Billy Preston(org)といった名うてのベテラン・ミュージシャンも参加しています。
アルバムを聴き終わった後に、Stevie Wonderの三部作を聴き終えた時のような余韻に浸れる感動的な1枚です。
時代に関係なく、長く愛聴できる、スケールが大きく、完成度も高いネオソウル作品だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Welcome To The Colored Section」
土着的なリズムをバックに、魂のヴォーカルを聴かせるアルバムのプロローグ。
https://www.youtube.com/watch?v=5Osn43oWZgc
「Beautiful Me」
Mel 'Melodramatic' Johnsonプロデュース。ネオソウルらしいミディアムですが、一ひねりあるサウンドが興味深いです。
https://www.youtube.com/watch?v=MNmuu3YsfqM
「Cloud 9」
Stevie Wonder調の本曲も人気の高い1曲なのでは?Donnieのソウル・フィーリングがよく伝わってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=oNFx2cpihdM
「People Person」
Al McKayのファンキー・ギターが印象的な本曲もStevieからの影響を感じます。実に雰囲気があっていいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=SDWWMHII-tM
「Big Black Buck」
クラリネットやトロンボーンでノスタルジックなジャズ・サウンドを演出した1曲。リラックスした雰囲気がいいです。
https://www.youtube.com/watch?v=zeYUxlZQHuw
「Wildlife」
小粋なヴォーカル・ワークが印象的なブルージー・ジャジー・ソウル。
https://www.youtube.com/watch?v=5y30Jv4jI60
「Do You Know?」
Donnieの名を世に知らしめたジャンルの枠を超えたメロウ・ボッサ・ソウル。Hator PereriaのギターとLouis Van Taylor Jr.のフルートが先導するメロウなボッサ・サウンドにのって、Donnieが爽快ソウル・ヴォーカルで魅了します。
https://www.youtube.com/watch?v=mvu6LD6N-eA
「Turn Around」
Steve Harveyが生み出すサウンドとDonnieの素晴らしいヴォーカル・ワークが見事にハマった感動的な仕上がり。Stevie Wonderの三部作を聴いている時と同じような感動があります。
https://www.youtube.com/watch?v=AMoAxF77nvM
「You Got A Friend」
Carole Kingの名曲「You've Got a Friend」と混同しそうですがオリジナル曲です。Stevieの「My Cherie Amour」あたりと同じ雰囲気を感じるボッサ・ソウルです。
https://www.youtube.com/watch?v=JUrgCpqzMFg
「Heaven Sent」
さり気ないですが、ジワジワと感動で心が充ちてくる素敵なミディアム。Natalie Jacksonの女性バック・コーラスもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=hPRJCYSmru4
「Rocketship」
Justin Ellingtonプロデュース。浮遊感のあるメロウ・サウンドと温もりのあるDonnieのヴォーカルがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=7Y9aXsAUilw
「Masterplan」
I.G. Cultureプロデュース、Kaidi Tatham参加曲。西ロンドン色を前面に打ち出したフューチャー感覚の本曲はアルバムの中でも異色ですが、僕は支持します。何より、こういったサウンドも視野に入れているDonnieのセンスが嬉しいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=2cKdUQY33pU
「Our New National Anthem」
Justin Ellingtonプロデュース。小粋なソウル・フィーリングが心憎いですね。Donnieのヴォーカルの魅力を再確認できる1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=FsLuLYKL-nc
「The Colored Section」
ラストは美しいバラードのタイトル曲で締め括ってくれます。Wayne Linseyの美しいピアノやBilly Prestonのハモンドをバックに、ゴスペル仕込みのヴォーカルで感動的に歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=5Osn43oWZgc
『The Daily News』(2007年)