2015年04月18日

Groove Collective『Groove Collective』

Gary Katzプロデュース!N.Y.アシッド・ジャズを感じる1枚☆Groove Collective『Groove Collective』
The Groove Collective
発表年:1994年
ez的ジャンル:N.Y.産アシッド・ジャズ
気分は... :ジャズ・フィーリング・・・

今回はN.Y.アシッド・ジャズ作品からGroove Collective『Groove Collective』(1994年)です。

Groove CollectiveはN.Y.で結成されたジャズ・ファンク・グループ。グループは『Groove Collective』(1994年)、『We the People』(1996年)、『Dance of the Drunken Master』(1998年)、『Declassified』(1999年)、『It's All in Your Mind』(2001年)、『People People Music Music』(2006年)等のアルバムをリリースしています。

デビュー作となる本作『Groove Collective』(1994年)におけるメンバーは、Gordon "Nappy G" Clay(per、timbales、bongos、rap)、Jonathan Maron(b、key)、Fabio Morgera(tp、fl)、Jay Rodriguez(ts、ss、bs、bcla、bonsuri)、Josh Roseman(tb、toy sax)、Itaal Shure(el-p、p、key)、Genji Siraisi(ds)、Chris Theberge(congas、per)、Bill Ware(vibe、per)、Richard Worth(fl、alt fl、picollo、bonsuri、kalimba、pvc pipe)の10名。

Gordon "Nappy G" ClayJonathan MaronGenji Siraisiの3名は、同じくN.Y.のジャズ・ファンク・グループRepercussionsのメンバーとしても活動していました。

本作『Groove Collective』(1994年)は、Repercussionsの1stアルバム『Earth And Heaven』(1995年)と同じく、Steely Dan作品でお馴染みのGary Katzがプロデュースしています。

The Brand New HeaviesIncognitoに代表される"UKアシッド・ジャズに対するN.Y.からの回答"という文脈で語られることも多いグループですが、UKアシッド・ジャズとは少し違うフィーリングがあるグループです。

メンバー以外にToi Marcel(vo)、Diosa Gary(vo)、Lamont(rap)、Lokey(rap)、Deflon(Hed Rush)(rap)、DJ Jazzy Nice(scratches)、DJ Wayne(scratches)といったミュージシャンがゲストとしてクレジットされています。

Hip-Hopを通過してきた生音ジャズ/ジャズ・ファンクながらも、変にキャッチーになりすぎず、ジャズの根っ子をしっかり感じられるのがいいですね。また、ラテン・フレイヴァーやカリンバ、ヴァイヴ等でサウンドにアクセントがあるのも僕好みです。

派手さはありませんが、今聴いてもグッとくるジャズ・フィーリングです。

全曲紹介しときやす。

「Rentstrike」
シングルにもなったオープニング。スクラッチを適度に織り交ぜ、Hip-Hopを通過してきた生音ジャズを上手く体現しています。変にポップになりすぎず、しっかりジャズしているところがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=DP1Z6IXS1dQ

「Balimka」
ゆったりとした出だしから一気に加速します。ラテン・フレイヴァーを織り交ぜながら、爽快に駆け抜けて行く感じがいいですね。カリンバの音色が効いています。
https://www.youtube.com/watch?v=SH3kSaNSokM

「Nerd」
シングル曲。LamontのラップとDiosa Garyのヴォーカルをフィーチャー。Hip-Hopバンドによる生音Hip-Hopといった仕上がり。Guru『Jazzmatazz』がお好きな人であれば、気に入るはず!バス・クラリネットの音色がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=HfEvzmsu2Rk

「Rahsaanasong」
素晴らしいバンド・アンサンブルを聴かせてくれるスパイ・ジャズ風の格好良い仕上がり。躍動する中にもクールネスがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=4GfA4sVQVxw

「Ms. Grier」
落ち着いた雰囲気ながらも、Hip-Hop/Acid Jazz以降の新世代ジャズを感じる演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=9GG8ATYVdx8

「Whatchugot」
シングル曲。Toi Marcelのヴォーカルをフィーチャー。UKアシッド・ジャズ的なキャッチーな疾走感のある演奏です。ヴァイヴの音色やパーカッシヴなラテン・リズムでアクセントをつけているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=a0a0oSO1vc4

「El' Golpe Avisa」
Jonathan Maronの格好良いベースが牽引します。そんなリズム隊をバックに、各プレイヤーがコンパクトにソロをキメてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=CbhpPX5f-pM

「Genji Monogatari」
タイトルからして、ドラムのGenji Siraisiに注目すべき演奏なのでしょうね。彼の躍動するドラミングがバンドを先導します。
https://www.youtube.com/watch?v=vPgyQsILWSE

「Buddha Head」
Lokey & Deflonのラップをフィーチャー。「Nerd」と同じく、Hip-Hopバンドによる生音Hip-Hopといった仕上がり。バンドの持つHip-Hopフィーリングを実感できます。
https://www.youtube.com/watch?v=5UJZiO_5gog

「Saturday Afternoon」
ラストはミステリアスながらもHip-Hop/Acid Jazz以降のジャズ・フィーリングを楽しめる演奏で締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=FL5XnIcWFtY

ご興味がある方はGroove Collectiveの他作品もチェックを!

『We the People』(1996年)
We The People

『Dance of the Drunken Master』(1998年)
DANCE OF THE DRUNKEN MASTER [Import]

『Declassified』(1999年)
DECLASSIFIED

『It's All in Your Mind』(2001年)
It's All in Your Mind

『People People Music Music』(2006年)
People People Music Music (Dig)
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2015年04月17日

Ben Sidran『Don't Let Go』

フリーソウル人気曲「Hey Hey Baby」収録☆Ben Sidran『Don't Let Go』
ドント・レット・ゴー
発表年:1974年
ez的ジャンル:ジャズ×ソウル/ファンク×AOR
気分は... :ブルドック!

今回は"Dr.Jazz"Ben Sidranの人気作『Don't Let Go』(1974年)です。

これまで当ブログで紹介したBen Sidran作品は以下の3枚。

 『Feel Your Groove』(1971年)
 『A Little Kiss In The Night』(1978年)
 『The Cat And The Hat』(1980年)

本作は『I Lead a Life』(1972年)、『Puttin' in Time on Planet Earth』(1973年)と続いたBlue Thumbでのラスト作となるアルバムであり、ジャズとソウル/ファンク、さらにはAOR的なエッセンスを取り込んだドクター・ジャズらしいクロスオーヴァーなサウンドを楽しめる1枚です。

フリーソウル人気曲「Hey Hey Baby」が収録されていることで再評価の高いアルバムですね。僕も「Hey Hey Baby」の虜になった一人です。もっとも僕の場合、当ブログでも紹介したMC Solaar「Victime De La Mode」(1991年)にリアルタイムでハマり、そこからサンプリングソースの「Hey Hey Baby」もお気に入りになったパターンです。

AORライクな「Hey Hey Baby」の話題が先行するアルバムですが、全体としてセカンドラインを意識したニューオリンズ調のファンキー・グルーヴが目立つのも本作の特徴です。もちろん、ドクター・ジャズらしい小粋なジャズ・チューンもきちんと収録されています。

レコーディングにはBen Sidran(p、vo)以下、Phil Upchurch(g、b、per、ds)、James P. Cooke(g)、Kip Merklein(b)、Randy Fullerton(b)、Tom Piazza(ds)、Clyde Stubblefield(ds、per)、George Brown(ds、per)、Jim Peterman(org)、Jerry Alexander(harmonica)、Sonny Seals(ts)、Bunky Green(as)といったミュージシャンが参加しています。

Ben Sidranの持つ多様な音楽性がバランス良く詰め込まれた1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Fat Jam」
James P. Cooke作。ファンキーな疾走感が格好良すぎるインスト。「Hey Hey Baby」と並ぶ本作のハイライトだと思います。聴いているだけで、相当テンション上がってきます。絶妙なホーン・アンサンブルもいいですね。レア・グルーヴ好きの人であれば気に入るはず!
https://www.youtube.com/watch?v=aX0ak65Ewyc

「House Of Blue Lites」
Don Rae/Freddie Slak作。ドクター・ジャズの小粋なジャズ感覚を満喫できます。彼らしいヴォーカル・スタイルがサウンドとよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=aUJDXk1jDUs

「Ben Sidran's Midnite Tango」
Ben Sidran作。かつてSteve Miller Bandのために書いた「Steve Miller's Midnight Tango」のセルフカヴァー。タンゴ調の哀愁チューンです。

「The Chicken Glide」
Ben Sidran/James P. Cooke作。アーシーで妖しげなファンキー・チューン。タイトルも含めて、Little Feat『Dixie Chicken』あたりを意識した部分もあるのかも?
https://www.youtube.com/watch?v=KQlQLlR-LVo

「She's Funny That Way」
Richard Morat/Richard A. Whiting作。ジャズ・スタンダードをカヴァー。Sidranの下手ウマ・ヴォーカルが逆にいい雰囲気を醸し出します。

「Monopoly」
Bud Powell作。ジャズ・ピアニストBen Sidranのプレイを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=jflGnQONvjI

「Don't Let Go」
Ben Sidran作。タイトル曲はオーケストレーションを配したムーディー&ミステリアスなインスト。映画音楽のような雰囲気です。

「Hey Hey Baby」
James P. Cooke作。前述のように本作のハイライト曲。AOR的なメロウ・グルーヴです。このポップでグルーヴィーな雰囲気は一度聴くとクセになります。Sidranの線の細いヴォーカルもサウンドにフィットしていますね。Sidranの鍵盤と作者James P. Cookeのギターが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=aUJDXk1jDUs

本曲をサンプリングしたMC Solaar「Victime De La Mode」も僕のお気に入り。
MC Solaar「Victime De La Mode」
 https://www.youtube.com/watch?v=UPOD5uUYXro

「The Foolkiller」
Mose Allison作。このあたりのカヴァー・センスはドクター・ジャズならではですね。本作らしいニューオリンズ・テイストのファンキー・グルーヴに仕上がっています。James P. Cookeのスライド・ギター、Jerry Alexanderのハーモニカが大いに盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=OfM2jxAlElQ

「The Funky Elephant」
Ben Sidran/Clyde Stubblefield/James P. Cooke/Kip Mercklein作。この曲もニューオリンズ調のファンキー・チューンです。セカンド・ラインらしいコクのあるグルーヴ感がたまりません。ホーン・アンサンブルも含めて、サウンドのメリハリが絶妙です。
https://www.youtube.com/watch?v=SwE9h0SciJ4

「Snatch」
Ben Sidran作。格好良い疾走感が魅力のインスト。Bunky Greenのアルト・ソロもSidranのエレピもキマりすぎです!

「Down To The Bone」
Ben Sidran作。ラストはピアノ弾き語りで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=ObSG-pM6WYI

Ben Sidranの他作品もチェックを!

『Feel Your Groove』(1971年)
夢の世界(紙ジャケット仕様)

『I Lead a Life』(1972年)
アイ・リード・ア・ライフ(紙ジャケット仕様)

『Puttin' in Time on Planet Earth』(1973年)
プッティン・イン・タイム・オン・プラネット・アース(紙ジャケット仕様)

『Don't Let Go』(1974年)
ドント・レット・ゴー(紙ジャケット仕様)

『Free in America』(1976年)
フリー・イン・アメリカ(紙ジャケット仕様)

『The Doctor Is In』(1977年)
ドクター・イズ・イン(紙ジャケット仕様)

『A Little Kiss In The Night』(1978年)
ア・リトル・キッス・イン・ザ・ナイト(紙ジャケット仕様)

『The Cat And The Hat』(1980年)
ザ・キャット・アンド・ザ・ハット(紙ジャケット仕様)

『On The Cool Side』(1987年)
Ben Sidran - On The Cool Side

『Cool Paradise』(1990年)
Cool Paradise

Ben Sidran & Clementine『Spread Your Wings and Fly Now!!』(1988年)
スプレッド・ユア・ウィングス
posted by ez at 03:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月15日

Tortured Soul『Introducing』

ソウルフル"ハウス・バンド"。メロウ・エレピ好きの人にも!☆Tortured Soul『Introducing』
tortured soul introducing.jpg
発表年:2004年
ez的ジャンル:オーガニック&ソウルフル生音ハウス
気分は... :気分転換が必要・・・

昨日、処理すべき事柄がまとまって発生し、頭の中が混乱気味・・・
こういう時は慌てず、一度気持ちをリセットしてから、段取りを考えようっと!

そんな気分でセレクトしたのは、オーガニック&ソウルフルな"ハウス・バンド"Tortured Soulの1stアルバム『Introducing』(2004年)です。

John-Christian Urich(ds、vo)、Ethan White(key)、JKrivJason Kriveloff)(b)から成るN.Y.のトリオバンドTortured Soulの紹介は、2ndアルバム『Did You Miss Me』(2008年)に続き2回目となります。

元々はChristianのスタジオ・プロジェクトとしてスタートしましたが、2001年に現在のトリオ編成になっています。Christianは僕の大好きな女性R&BアーティストAngela Johnson等とのユニットCooly's Hot-Boxでも知られていますね。。

"No DJ's"、"No Loops"、"No Sequence"というコンセプトに基づき、R&B/ソウル、ジャズ/クロスオーヴァーなどのエッセンスも取り入れたオーガニック&ソウルフルな生音ハウスを聴かせてくれるのが彼らの魅力ですね。

本作は1stアルバムですが、以前にシングル・リリースされていた楽曲も多く、普段ハウスを聴かない人でもスンナリ入れる聴きやすいるバムです。特にメロウ・エレピの入った歌モノがお好きな人は結構ハマるかも?

とりあえず「You Foud A Way」「Fall In Love」「Don't Hold Me Down」あたりを聴けば、このバンドの魅力が実感できると思います。

気軽に聴ける感じも含めて、意外に重宝する1枚です。

全曲紹介しときやす。

「I Might Do Something Wrong」
Osunladeがリミックスを手掛けています。その分、Tortured Soulのバンド感はありませんが、歌ものハウスとして十分満足できる仕上りです。
https://www.youtube.com/watch?v=79eFWdCCHTc

「How's Your Life ?」
Alix Alvarezがリミックスを手掛けています。この曲もバンド感はありませんが、都会的なディープ・ハウスとして楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=cWWhxsImMLo

「Why」
オススメその1。ここからバンドのオーガニック&ソウルフルな生音ハウスの魅力を堪能できます。音の余白を残した適度なスカスカ感が逆にいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=PDsowyOkGp4

「Fall In Love」
オススメその2。DJ Spinnaが共同プロデュースで関与しています。Ethanのメロウ・エレピと共に始まるソウルフル・ハウス。どこか切ないヴォーカルがグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=WOxgOPRlVME

「You Foud A Way」
オススメその3。都会的なジャジー感が心地好いクロスオーヴァー・ソウル。クラブジャズ/クロスオーヴァー好きの人は気に入るであろう1曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=xFrRwvFT-Yc

「Epic」
このバンドの演奏力を楽しむインスト。緩急つけながら、このバンドの持つ多彩な音楽エッセンスを1曲の中で聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=v_JnCzIADhM

「Enjoy It Now」
オススメその4。コンガも加わり、覚醒的なパーカッシヴ感なエッセンスが加わったソウルフル・ハウス。妖しげなアーバン・ナイトって雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=CRICJz3r_qA

「Don't Hold Me Down」
オススメその5。ジャジー&メロウなオーガニック感が心地好い1曲。ハウス好き以外の人も楽しめるはずです。Monetの女性ヴォーカルで鮮やかな彩りを加えています。
https://www.youtube.com/watch?v=8bvYJMVX258

「Love Everlasting」
オススメその6。メロウなジャジー・サウンドと少し脱力したChristianのハイ・トーン・ヴォーカルがよくマッチした都会的なクロスオーヴァー・ジャズ。メロウ・エレピ好きの人は気に入るはず!
https://www.youtube.com/watch?v=RJCg1zr-uyc

「If You Want To Feel Alright」
本編ラストはジャジー・ソウル調の落ち着いた雰囲気で締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=NieyqHQstHE

「Shush Birdy」
日本盤ボーナストラック。JKrivのベースが先導するインスト。
https://www.youtube.com/watch?v=7jXQnllbMuk

『Did You Miss Me』(2008年)
DID YOU MISS ME

Cooly's Hot-Box『Don't Be Afraid-Get On』(2004年)もセットでチェックを!

Cooly's Hot-Box『Don't Be Afraid-Get On』(2004年)
Don't Be Afraid: Get On
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2015年04月14日

Cherrelle『Fragile』

Tabuの歌姫のデビュー作!Jam & Lewisプロデュース☆Cherrelle『Fragile』
フラジャイル+5
発表年:1984年
ez的ジャンル:Jam & Lewis系ブラコン
気分は... :初期Jam & Lewisの魅力!

今回は80年代ブラコン作品からTabuの歌姫Cherrelleのデビュー作『Fragile』(1984年)です。

人気プロデュース・チームJam & Lewis(Jimmy Jam & Terry Lewis)が手掛けた代表的アーティストの一人、Cherrelleの紹介は、『High Priority』(1985年)、『Affair』(1988年)に続き3回目となります。

Cherrelleの場合、やはりAlexander O'Nealとデュエットした名曲「Saturday Love」のイメージが強いですね。その昔、MZA有明で"Tabu Night"という2人のライブを観たのが懐かしいです。

それ故、ついつい「Saturday Love」収録の『High Priority』を聴くことが多くなってしまうのですが、その前作でデビュー作となる『Fragile』にも捨て難い魅力があります。

Jam & Lewis好きの人にとっては、彼らの初期プロデュース作という点でも楽しめる1枚だと思います。人気プロデュース・チームとなって大ヒットを連発した絶頂期のJam & Lewisプロデュース作品も勿論大好きですが、個人的にはCherrelleAlexander O'NealThe S.O.S. Band等を手掛けていた初期のプロデュース作品に思い入れが強いので、その意味では本作は初期Jam & Lewisサウンドを満喫できます。

デビュー・ヒットなった「I Didn't Mean to Turn You On」、タイトル曲「Fragile...Handle With Care」あたりに初期Jam & Lewisサウンドの魅力が凝縮されています。個人的には「When You Look In My Eyes」も大好きです。

実際には全8曲中、Jam & Lewisが5曲、Michael Everitt Dunlap/Isaac Suthersが3曲プロデュースしています。Jam & Lewis以外のプロデュースが数曲入ることで、逆にJam & Lewisサウンドの個性・魅力をより実感できると思います。誤解を招かないように補足すると、Michael Everitt Dunlap/Isaac Suthersプロデュース曲も悪くない出来です。

Michael Everitt Dunlap/Isaac Suthersプロデュース曲では、Maxi AndersonBill Champlin等もバック・コーラスで参加しています。

Jam & Lewisのことばかり書いてしまいましたが、主役のCherrelleのキュートな歌声も本作の大きな魅力です。

80年代ブラコンの魅力を再確認できる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Fragile...Handle With Care」
Jam & Lewisプロデュース。タイトル曲はアルバムからの2ndシングルにもありました。後にKaryn WhiteJanet Jackson等の女性シンガーをプロデュースし、大ヒットさせるJam & Lewisですが、その原点のようなものを感じるキャッチーなダンサブル・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=cu8uv4QLYAk

「I Didn't Mean to Turn You On」
Jam & Lewisプロデュース。デビュー・シングルとして全米R&Bチャート第8位のヒットとなりました。さすがJam & Lewis!と思わせる洗練されたダンサブル・サウンドは今聴いても歓喜してしまいます。華やかながらもクールなところが心憎いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=zJE_lbjx87U

本曲といえば、大ヒットしたRobert Palmerのカヴァー(1986年、全米チャート第2位)でもお馴染みですね。それ以外にMariah Carey、Frankie Paul、Colette、Cass & Mangan、Dinoがカヴァーしています。

また、Queen Latifah「Turn You On」、Snoop Dogg「Wasn't Your Fault」等のサンプリングソースにもなっています。
Robert Palmer「I Didn't Mean to Turn You On」
 https://www.youtube.com/watch?v=2YO0WyOGHjU
Queen Latifah「Turn You On」
 https://www.youtube.com/watch?v=7Kj-SYu05vM

「Like I Will」
Jam & Lewisプロデュース。硬質なクール・サウンドの中に、オリエンタルなエッセンスを入れる遊び心も楽しい曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=S2oza3Fegdo

「I Will Wait For You」
Michael Everitt Dunlap/Isaac Suthersプロデュース。正統派のビューティフル・バラード。Jam & Lewisプロデュース曲だと、どうしても耳がサウンドの方に引き寄せられてしまうので、Cherrelleのヴォーカルを満喫するという意味では、しっとりと歌い上げるバラードもいいかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=zBBV5N5ivXY

「Who's It Gonna Be」
Jam & Lewisプロデュース。この曲もビューティフル・バラードですが、前曲との対比でJam & Lewisサウンドの個性を実感しやすいかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=d9NEucaDpy0

「Stay With Me」
Michael Everitt Dunlap/Isaac Suthersプロデュース曲では、コレが一番好きです。Cherrelleのキュートなヴォーカルの魅力を上手く引き出したラブ・バラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=ludslaIFadY

Daniel Swain「I'm Not Ready」、Black C feat. Hermanata「Stay With Me」のサンプリングソースになっています。
Black C feat. Hermanata「Stay With Me」
 https://www.youtube.com/watch?v=tMb_Qe7-1Lw

「When You Look In My Eyes」
Jam & Lewisプロデュース。何気ない曲ですが、僕の本作における一番のお気に入りはコレ。僕の場合、Jam & Lewisが手掛けたアーティストで一番好きなのがThe S.O.S. Bandなのですが、本曲は正にThe S.O.S. Bandのアルバムに入っていそうな曲ですよね。
https://www.youtube.com/watch?v=qz761XiotcI

IamSu「All I Rep」のサンプリングソースになっています。
IamSu「All I Rep」
 https://www.youtube.com/watch?v=VDSYF-4sjPA

「I Need You Now」
Michael Everitt Dunlap/Isaac Suthersプロデュース。ラストはCherrelleがキュートに熱唱するスロウで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=RpuKemC0Dd0

『High Priority』(1985年)、『Affair』(1988年)もセットでどうぞ!

『High Priority』(1985年)
ハイ・プライオリティ+4

『Affair』(1988年)
アフェア+4
posted by ez at 02:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月13日

Hot Chocolate『Hot Chocolate』

Lou Ragland率いるファンク・バンド唯一のアルバム☆Hot Chocolate『Hot Chocolate』
ホット・チョコレート[紙ジャケット仕様/完全限定生産]
発表年:1971年
ez的ジャンル:クリーブランド産インディ・ファンク
気分は... :インスト・ファンク時々歌ものソウル・・・

今回はクリーブランドのファンク・バンドHot Chocolate唯一のアルバムであり、レア・グルーヴ人気作の『Hot Chocolate』(1971年)です。

Hot ChocolateLou Ragland(vo、g)、George Pickett(b)、Tony Roberson(ds)の3名から成るクリーブランドのファンク・バンド。ややこしいのは、このバンド名を聞いて「Emma」、「You Sexy Thing」、「So You Win Again」、「No Doubt About It」等のヒットで知られるHot Chocolateを思い浮かべる方がいるかもしれませんが、そちらは同じバンド名のUKのソウル/ディスコ・バンドであり、今日紹介するHot Chocolateとは異なります。

こちらのHot Chocolateのアルバムは本作『Hot Chocolate』のみですが、リーダーのLou Raglandは、その後もソロ作品をリリースしています。特に『Understand Each Other』(1977年)は、ソウル名盤として再評価の高い1枚ですね。

今日もファンクな『Hot Chocolate』とソウルな『Understand Each Other』のどちらを紹介するか迷いましたが、ファンク・サウンドを優先し、本作をセレクトしました。

Lou Raglandのヴォーカルをフィーチャーした歌もの3曲とインスト・ファンクが4曲という構成です。

トリオ編成の特長を活かしたインスト・ファンクでは「So Dam Funky」「What You Want To Do」の2曲がオススメです。歌モノではパワフルなファンキー・ソウル「Ain't That A Groove」、素敵なソウル・バラード「We Had True Love」の2曲がサイコーです。

Lou Raglandのソロに通じるソウル・アルバム的なものを期待しすぎると肩透かしを食うかもしれません。インスト・ファンク時々歌ものソウルくらいの感覚で聴くとフィットすると思います。

ファンキーなジャケに惹かれた方は音もぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Ain't That A Groove」
Lou Raglandのヴォーカルとサウンドが一体化したパワフルなファンキー・ソウル。トリオという少人数編成の良さを生かしたグルーヴ感はサイコーに格好良いですね。

「So Dam Funky」
トリオ編成ならではの音空間の余白を活かしたインスト・ファンク。覚醒感のあるグルーヴの虜になります。もっと長尺で聴きたい気分です。
https://www.youtube.com/watch?v=uK6ig_w-4Hs

「Sexy Moods Of Your Mind」
味わい深いミディアム。メロウな味わいは一人でまったり過ごしたい気分にフィットしそうです。
http://www.youtube.com/watch?v=i-GbhcwAh_I

「Messin' With Sly」
タイトルの通り、Sly Stoneに捧げたインスト。3人の息の合ったグルーヴの生み出す一体感に惹かれます。

「We Had True Love」
引きの美学で貫かれた素敵なソウル・バラード。Lou Raglandのヴォーカルの魅力を満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=EDo8Ejp6cOA

「What You Want To Do」
躍動するインスト・ファンク。格好良さではアルバム随一かも?適度にパーカッシヴなのも僕好み!

「What Should I Do」
ラストはLou Raglandのヴォーカルを味わうメロウなソウル・チューンで締め括ってくれます。

ご興味がある方はLou Raglandのアルバムもチェックを!

Lou Ragland『Understand Each Other』(1977年)
アンダースタンド・イーチ・アザー[紙ジャケット仕様/完全限定生産]

Lou Ragland & The Great Lakes Orchestra『Lou Ragland & The Great Lakes Orchestra』(1983年)
Lou Ragland & The Great Lakes Orchestra
posted by ez at 00:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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