発表年:1978年
ez的ジャンル:英国AOR/フォーキー
気分は... :あの頃は若かった・・・
UKの男性シンガー・ソングライターIain Matthewsの人気作『Stealin' Home』(1978年)です。
Iain Matthews(Ian Matthews)は1946年イギリス、リンカンシャー州出身。
ブリティッシュ・フォークの名グループFairport Conventionのメンバーとして、1stアルバム『Fairport Convention』(1968年)、2ndアルバム『What We Did on Our Holidays』(1968年)に参加します。
Fairport Convention脱退後は、自らのグループMatthews Southern Comfortを結成し、3枚のアルバムをリリースしています。さらに新たに結成したPlainsongでの活動と並行して、初ソロ『If You Saw Thro' My Eyes』(1972年)をリリースしています。
その後拠点をL.A.に移し、ソロ名義のアルバムをコンスタントにリリースすると同時に、Hi-Fi等の名義でも作品をリリースしています。
今回紹介する『Stealin' Home』(1978年)は、彼の最大のヒット曲「Shake It」が収録されている1枚です。
プロデュースはIan Matthews本人とSandy Roberton。レコーディングには Bryn Haworth (g、mandolin)、Phil Palmer(g)、Rick Kemp(b)、Jim Russell (ds)、Pete Wingfield (key)、Mel Collins(sax)、Duffy Power(blues harp)、Simon Morton(per)、Robert Kirbyといったミュージシャンが参加しています。
当時中学生の僕が洋楽を聴き始めた頃に好きだったヒット曲の1つが「Shake It」でした。晴れた日がよく似合う爽快AORって雰囲気が大好きでしたね。ただし、当時はレコードを買うお金が限られていたのでエア・チェックで済ませていました。その後社会人になり、晴れて本作のCDをゲットしました。
CD購入から20年以上が経ちますが、いつも「Shake It」他数曲ばかりを聴いており、アルバムをきちんと聴く機会があまり無かったので、今回アルバム通しでしっかり聴いてみることにしました。
ポップでAORテイストの本作は、本来のIan Matthewsの姿ではないのかもしれません。特にAORテイストを印象づけてくれる楽曲の殆どがカヴァー曲であるのが象徴的だと思います。逆に、Matthewsのオリジナル曲はフォーキーな印象が強いです。
「Shake It」を聴く度に、洋楽を聴き始めたあの頃を思い出してしまいます・・・
あの頃は若かった・・・
全曲紹介しときやす。
「Gimme An Inch Girl」
「Shake It」に続くシングル曲はRobert Palmer作品のカヴァー。Robert Palmerのオリジナルは当ブログでも紹介『Pressure Drop』(1975年)に収録されています。オリジナルの雰囲気を受け継ぐ哀愁モードのAORチューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Ev3SCdGFGGI
「Don't Hang Up Your Dancing Shoes」
Terence Boylan作。「Shake It」と同じく作者Terence Boylanのヴァージョンは『Terence Boylan』(1977年)に収録されています。甘酸っぱい青春の香りのするメロウ・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=AUMqZ9pN4Nc
「King Of The Night」
Jeffrey Comanor作。しみじみと歌い上げるバラード。ストリングスも配していますが、あまり仰々しくなりすぎないのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=l_Vs_t_M5iI
「Man In The Station」
UKのフォーク・シンガー/ギタリストJohn Martynの作品。Duffy Powerのブルースハープやリズム隊が印象的な演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=Lk2hnHjweBU
「Let There Be Blues」
Ian Matthews作。本人のオリジナルになると一気にフォーク度が増してしまうところが面白いですね。Mel Collinsがサックスでサポートしています。
「Carefully Tough」
Ian Matthews作。1分強のア・カペラです。
「Stealin' Home」
Ian Matthews作。タイトル曲はSSWらしい温もりのあるフォーキー・チューンです。聴いていてホッとします。
https://www.youtube.com/watch?v=iOiLK2XLwqo
「Shake It」
Terence Boylan作。前述のように全米チャート第13位となったキャリア最大のヒット曲。当時FMラジオから流れてくるこの曲を聴いていると、涼しげな微風を浴びているような気分になりましたね。名手Mel Collinsのサックスが盛り上げてくれます。かつてJohn Boylanとの兄弟ユニットThe Appletree Theatreを組んでいた作者Terence Boylanのヴァージョンは『Terence Boylan』(1977年)に収録されています。
https://www.youtube.com/watch?v=pwj8dj9W2HE
「Yank And Mary/Smile」
Geoffrey Parsons/John Turner/Richard Stekol/Charlie Chaplin作。「Yank And Mary」とChaplinの名曲「Smile」のメドレー。
https://www.youtube.com/watch?v=b_v1oryScGI
「Slip Away」
Bill Lamb/Ian Matthews作。ポップ・ロック調の仕上がり。何処かユルい感じがいいですね。
「Sail My Soul」
Bill Lamb/Ian Matthews作。ラストは素敵なメロウ・バラードで締め括ってくれます。
Iain Matthews(Ian Matthews)関連の他作品もチェックを!
Fairport Convention『Fairport Convention』(1968年)
Fairport Convention『What We Did on Our Holidays』(1968年)
Matthews Southern Comfort『Matthews Southern Comfort/Second Spring』(1968年) ※2in1CD
Matthews' Southern Comfort『Later That Same Year』(1970年)
『If You Saw Thro' My Eyes』(1972年)
Plainsong『In Search of Amelia Earhart』(1972年)
『Valley Hi/Some Days You Eat the Bear and Some Days the Bear Eats You』(1973/1974年) ※2in1CD
『Journeys from Gospel Oak』(1974年)
『Go For Broke/Hit And Run』(1976/1977年) ※2in1CD
『Siamese Friends』(1979年)
『Spot Of Interference』(1980年)
『Walking a Changing Line』(1988年)