2015年05月13日

Charles Earland『Black Talk!』

強力メンバーによるオルガン・ソウル・ジャズ☆Charles Earland『Black Talk!』
ブラック・トーク!
録音年:1969年
ez的ジャンル:オルガン・ソウル・ジャズ
気分は... :格好良すぎ!

今回は60年代ソウル・ジャズ作品からCharles Earland『Black Talk!』(1969年)です。レア・グルーヴ人気盤としても知られる1枚ですね。

Charles Earlandは1941年フィラデルフィア生まれ。高校時代にサックスを吹き始め、17歳の時にはJimmy McGriffのグループに参加します。Jimmy McGriffのオルガンに魅了されたEarlandは、その後オルガン奏者へ転向し、Lou Donaldsonのグループに参加します。当ブログでも紹介したDonaldsonのリーダー作『Hot Dog』(1969年)等でEarlandのオルガンを聴くことができます。

60年代終わりから自身のリーダー作をレコーディングし、80年代前半までに数多くのアルバムをリリースしています。1999年に逝去。

70年代前半、名門Prestigeに数多くのリーダー作を残したCharles Earlandですが、本作『Black Talk!』(1969年)はPrestigeでの第一弾アルバムとなります。

レコーディング・メンバーはCharles Earland(org)、Virgil Jones(tp)、Houston Person(ts)、Melvin Sparks(g)、Idris Muhammad(ds)、Buddy Caldwell(congas)という6名。

この強力メンバーによる極上ソウル・ジャズを存分に楽しめます。これだけ格好良い演奏ばかりなら、レア・グルーヴ人気作になるはずですね。

モッズ・ジャズ人気曲「The Mighty Burner」、Nujabesのサンプリング・ソースにもなった「Aquarius」、各人の演奏がキマりすぎのタイトル曲「Black Talk」など全5曲かなり充実しています。

ソウル・ジャズの魅力がぎっしり詰まった1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Black Talk」
Charles Earland作。タイトル曲は格好良すぎるソウル・ジャズ。主役Earlandのオルガン、演奏全体を先導するIdris Muhammadのドラム、Melvin Sparksのファンキー・ギターなど聴き所満載です。
https://www.youtube.com/watch?v=fc6jxj-V0Rw

「The Mighty Burner」
Charles Earland作。モッド・ジャズ人気曲としてお馴染みですね。僕もコレが一番好き!EarlandのグルーヴィーなオルガンとBuddy Caldwellのコンガが効いています。
https://www.youtube.com/watch?v=KXR8qQgbxMo

「Here Comes Charlie」
Charles Earland作。オルガン・ソウル・ジャズらしいEarlandのプレイを存分に楽しめます。Houston Person、Melvin Sparks、Virgil Jonesのソロもエキサイティング!
https://www.youtube.com/watch?v=SnZuVDVVWgQ

「Aquarius」
Galt MacDermot/Gerome Ragni/James Rado作。ミュージカル『Hair』の名曲をカヴァー。アフロ・キューバン調の疾走感が実に格好良いですね。Idris Muhammadのドラム・ソロをはじめ各人のソロもキマっています。
https://www.youtube.com/watch?v=APT9xJtlirs

Nujabes feat. Uyama Hiroto「Modal Soul」のサンプリング・ソースにもなっています。
Nujabes feat. Uyama Hiroto「Modal Soul」
 https://www.youtube.com/watch?v=G2M4AgF4Xbc

「More Today Than Yesterday」
Patrick Upton作。Spiral Starecaseのカヴァー。Buddy Caldwellのコンガも加わり、リラックスした雰囲気のオルガン・グルーヴを楽しめます。早熟の天才Melvin Sparksのギターを堪能したい方にもオススメです。
https://www.youtube.com/watch?v=9PjYQndM-JM

Charles Earlandの他作品もチェックを!

『Black Drops』(1970年)
Black Drops

『Intensity』(1972年)
Intensity

『The Dynamite Brothers』(1974年)
ザ・ダイナマイト・ブラザース

『Leaving This Planet』(1974年)
リーヴィング・ディス・プラネット

『The Great Pyramid』(1976年)
The Great Pyramid

『Earland's Jam』(1982年)
Earland's Jam

『Earland's Street Themes』(1983年)
Earland's Street Themes
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2015年05月12日

F.B.I.『F.B.I.』

フリーソウル/レア・グルーヴ人気作。UKの混成ファンク・バンド唯一のアルバム☆F.B.I.『F.B.I.』
F.B.I. : Expanded Edition
発表年:1976年
ez的ジャンル:UK混成ファンク・バンド
気分は... :嫌な予感的中・・・

今回はUKの混成ファンク・バンドF.B.I.、唯一のアルバム『F.B.I.』(1976年)です。

F.B.I.Root Jackson(vo、per)、Bonnie Wilkinson(vo、tamb)、Jaime Black(g、fl、vo)、Raffi Pereira(g)、Lennox Meade(b)、Alan Fealdman(key、marimba)、Lloyd Smith(sax)、Herscel Holder(tp)、Stephen Dixon(ds)という白人黒人混成のファンク・グループです。メンバーのうち、ヴォーカルのRoot JacksonはRoot & Jenny Jackson名義のシングルを何枚かリリースしています。

F.B.I.というバンド名はFunky Band Inc.の略。

そんなF.B.I.唯一のアルバムが本作『F.B.I.』(1976年)です。フリーソウル/レア・グルーヴの人気作品としてもお馴染みですね。

開放的なファンキー・サウンドと男女ツイン・ヴォーカル、さらにはメロウな味わいを上手く調和させたファンク作品に仕上がっています。

ハイライトはメロウな「Love, Love, Love」ですが、バンドのテーマ曲「F.B.I.」、メリハリの効いたジャズ・ファンク「Talking About Love」、リラックスしたファンキー・グルーヴ「Free Prison」、トロピカル・テイストの「The Time Is Right To Leave The City」、リズム隊が牽引する「Bad Deal」など聴き所満載の1枚です。

プロデュースはChris Kimsey

フリーソウル/レア・グルーヴ好きの人はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「F.B.I.」
F.B.I./Root Jackson作。格好良いブレイクと共にスタートするバンドのテーマ曲でアルバムは幕を開けます。ファンキーながらもメロディアスなのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=GSbQ11XF4WA

「Talking About Love」
F.B.I./Herschel Holder/Bonnie Wilkinson作。Bonnie Wilkinsonのソウルフル・ヴォーカルとHerscel Holderのトランペット・ソロが印象的なジャズ・ファンク。終盤のアンサンブルはかなりエキサイティングです。
https://www.youtube.com/watch?v=VRBrvxDu0MQ

Tosca「In My Brain Prinz Eugen (Richard Dorfmeister vs Madrid)」のサンプリング・ソースとなっています。
Tosca「In My Brain Prinz Eugen (Richard Dorfmeister vs Madrid)」
 https://www.youtube.com/watch?v=k_z97G5Go2w

「Love, Love, Love」
J.R. Bailey/Ken Williams作。Donny Hathawayヴァージョンでお馴染みの名曲をカヴァー。男女ヴォーカルの対比がいい感じのメロウ・カヴァーに仕上がっています。フリーソウル好きにはたまらないピースフル感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=jFqU0u8DhXQ

「Free Prison」
F.B.I./Jaime Black作。リラックスした雰囲気が心地好いファンキー・グルーヴ。ための効いたグルーヴがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=ruxlzyoG6aQ

Blackalicious「Changes」のサンプリング・ソースとなっています。
Blackalicious「Changes」
 https://www.youtube.com/watch?v=8XuSdjBhXEM

「The Time Is Right To Leave The City」
F.B.I./Herschel Holder/Bonnie Wilkinson作。トロピカル・テイストで開放的な気分にさせてくれるファンキー・メロウ。
https://www.youtube.com/watch?v=AHQx2D4kB_s

「Bad Deal」
F.B.I./Root Jackson作。変幻自在なリズム隊が牽引するミディアム・ファンク。ここでもカリビアンなテイストが効いています。
https://www.youtube.com/watch?v=BlcP3ix6l6E

「Let Me Love You」
F.B.I./Bonnie Wilkinson作。Bonnie Wilkinsonのヴォーカルを前面に出したメロウ・バラード。これもなかなか良い出来です。

「Keep On Running」
Stevie Wonder作品をカヴァー。オリジナルは『Music of My Mind』(1972年)に収録されています。ここではミステリアス/スピリチュアルな雰囲気の序盤から一転、ファンキーな本編へ突入し、一気に駆け抜けます。
https://www.youtube.com/watch?v=yg6Pg-xwT7I

「Get That Ball」
ラストは軽快なファンク・チューンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=oDXlDbLesD8

最近、渋谷の某大手CDショップのフロア構成が変わりましたが、前よりも(当ブログで取り上げるようなジャンルの)売場がパワーダウンしたと感じるのは僕だけでしょうか・・・
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2015年05月11日

II Close『More To A Man』

Tabuからリリースされた男性R&BグループのNJS作品☆II Close『More To A Man』
モア・トゥ・ア・マン+3
発表年:1993年
ez的ジャンル:NJS系男性R&Bグループ
気分は... :日曜の夜の憂鬱・・・

今回は90年代NJS作品からII Close『More To A Man』(1993年)です。

II Closeはアトランタで結成された男性R&Bグループ。メンバーはWilliam "Apek" BibbsCharles "Chae" StephensMarcus "Danz" Jones の3名。

そんな彼らの唯一のアルバムがTabu Recordsからリリースされた『More To A Man』です。昨年のTabu作品の再発シリーズの1つとして、本作も再発されました。これには少し驚きました。まさかII Close『More To A Man』が再発されるとは・・・日本人で良かったですな。

アルバム全体は遅れてきたNJS作品といった感じですね。1曲毎にインタールード的な小曲が入っているのが、あの時代らしいというか、少しうっとおしいですが、曲自体はなかなか充実しています。特にアッパーなダンス・チューンは聴き所多いです。

ハイライトはデビュー・シングル「So What!」と2ndシングル「Call Me Up」の2曲。個人的には「Don't Tie My Hands」「Love Games」あたりもお気に入りです。

プロデュースはJimmy & Kirk

とりあえず「Call Me Up」だけでも聴いてみてください!

全曲紹介しときやす。

「II The Rescue」
アルバムのイントロ。

「Call Me Up」
オススメその1。「So What!」と並ぶ本作のハイライト。シングルにもなりました。僕も本曲が一番のお気に入り。このグループの魅力が凝縮されたダンサブル&メロディアスなNJSチューンです。この1曲だけでも本作をゲットする価値があると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=E6CRie7dOj8

「The Start Of Something Big」
インタールード的な小曲。

「Don't Tie My Hands」
オススメその2。M|A|R|R|S「Pump Up The Volume」ネタと共に始まるNJS。少しダークなアッパー感がいいですね。なかなか推進力のある1曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=beN7HFupgSs

「Big Bass」
インタールード的な小曲。

「More To A Man」
タイトル曲は哀愁モードのNJS。ラップパート等も織り交ぜた展開でメリハリをつけています。
https://www.youtube.com/watch?v=Ad8Jg01iAm4

「Don't Cry Prelude」
インタールード的な小曲ながらも素敵なインスト。

「My Conscience Says No」
シングルにもなったスロウ。サックスも入り、ムーディーな雰囲気で聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Po7E0gj5dOw

「Do You Like Sex?」
インタールード的な小曲。タイトル通りのエロ・モード?

「Love Games」
オススメその3。甘く危険な香りのするアッパーなNJS。この時代によくあった曲調ですが、格好良いものは格好良いですな。
https://www.youtube.com/watch?v=_AGAJrCKuaY

「Time II Get Busy!」
インタールード的な小曲。Hip-Hop調でいい感じです。

「So What!」
オススメその4。アルバムに先駆けて1992年にリリースされたデビュー・シングル。Michael Jackson「In the Closet」、「Bad」、James Brown「Funky Drummer」「Can I Get Some Help」、Mantronix「King of the Beats」ネタを織り交ぜたアッパーなNJSです。NJSらしいハネハネ感で一気に駆け抜けるキャッチーな仕上りです。ハネハネ系がお好きな人は気に入るはず。
https://www.youtube.com/watch?v=DYP8s3TYI9g

「Ghetto Rock」
インタールード的な小曲。セクシー・モードです。

「Faithful」
メロディアスなダンサブル感が魅力の1曲。でも他の曲ほどのインパクトはないかも?
https://www.youtube.com/watch?v=rTUgWA4N3y4

「A Boy II A Man」
某人気男性R&Bグループを思い出しそうなタイトルですね。Hip-Hop調の小曲です。

「When The Hurt Is Over」
オーセンティックなバラードでじっくり聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=eb110_mF76M

「I Like Sex」
いろいろな意味で若者らしいダンサブル・チューンですね(笑)。この曲にもM|A|R|R|S「Pump Up The Volume」ネタが挿入されています。
https://www.youtube.com/watch?v=WPrDhZcxFPA

「Don't Cry For Me」
素敵なラブ・バラード。スロウ系ではこれが一番好き。切々とした雰囲気が僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=ihsCM-mGkRk

「Once Again It's On」
アウトロ的なアッパー・チューン。

今晩は少し憂鬱な気分・・・
いろいろ厄介なことに巻き込まれそうな予感がする1週間です。
posted by ez at 00:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月10日

Dom La Nena『Soyo』

瑞々しいウィスパー・ヴォイス!注目の女性チェロ奏者/SSWの2nd☆Dom La Nena『Soyo』
ソヨ
発表年:2015年
ez的ジャンル:コスモポリタン系女性チェロ奏者/SSW
気分は... :無垢な心・・・

今回はワールド新作からDom La Nena『Soyo』です。

本作の主人公Dom La Nenaは1989年、ブラジル、ポルト・アレグレ出身の女性チェロ奏者/シンガー・ソングライター。

幼少期に家族とパリに移住し、5歳でピアノを習い、8歳からはチェロを始めます。さらには高名なチェロ奏者に師事し、13歳のときから5年間アルゼンチン、ブエノスアイレスでチェロを学びます。パリに帰国後はJane BirkinJeanne Moreau等のバックを務め、キャリアを積み重ねていきます。

2013年にはUK出身フランス在住の男性SSWのPiers Facciniとの共同プロデュースでデビュー・アルバム『Ela(邦題:彼女)』をリリースし、ブラジル、クラシック、ジャズのエッセンスを取り入れた繊細なアコースティック・サウンドと哀愁ウィスパー・ヴォイスで音楽ファンを魅了しました。

2ndアルバムとなる本作『Soyo』では、リオの人気ロックバンドLos HermanosのメンバーであったMarcelo Cameloを共同プロデューサーに迎え、殆どの演奏を彼女とCameloの2人で手掛けています。

また、レコーディングはパリ、リスボン、メキシコ・シティで行われ、ミキシングはサンパウロ、マスタリングはマイアミというように世界を股に掛けたアルバム制作となっています。

実際に音を聴いてみると、予想以上にブラジル色が強く、クラシック、ジャズの素養を持つウィスパー・ヴォイス系ブラジル人女性SSW作品と思って聴けば、間違いないと思います。このあたりはMarcelo Cameloの影響もかなり大きいのだと思います。

何より、Dom La Nenaの無垢なウィスパー・ヴォイスに癒されまね。
温かみのある声、澄み切った声、寂しげな声・・・すべてにグッときます。
彼女の歌声を聴いていると、自分だけの大切な時間を過ごしている気分になれるのがいいですね。

派手さのある作品ではありませんが、音楽で大切なものは何かを再確認させてくれる1枚です。

全曲Dom La Nenaのオリジナルです。

全曲紹介しときやす。

「La Nena Soy Yo」
オススメその1。このオープニングを聴いて、僕は本作の購入を決めました。瑞々しく透明感のあるウィスパー・ヴォイスと温かみのあるアコースティック・サウンドにすっかり魅了されてしまいました。

「Vivo Na Mare」
哀愁のメロディと寂しげなサンバのリズムがグッとくる1曲。この儚い感じがたまりません!
https://www.youtube.com/watch?v=lln-DcHwmAw

「Menino」
オススメその2。キュートなウィスパー・ヴォイスと少しマッタリしたメロウ・サウンドにグッとくる1曲。次第にリズムが鮮明になってくる感じがいいですね。

「Juste Une Chanson」
ブラジル音楽にクラシカルなチェロのピチカートとフレンチ・テイストが加わる彼女らしい1曲。聴いていると童心に戻っていきます。

「Golondrina」
哀愁モードの1曲。クラシカルなエッセンスと南米SSWらしい雰囲気が上手く融合しています。

「Lisboa」
素朴な味わい深さが魅力の1曲。どこかノスタルジックな感じもいいですね。

「Llegare」
オススメその3。ピアノとチェロによるクラシカルなサウンドがベースながらも、カラフルでポップなサウンドに仕上げている素敵なドリーミー・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=Ao2H-C9CIkA

「Volto Ja」
オススメその4。キュートなウィスパー・ヴォイスの魅力が引き立つメロウ・サンバ。「Menino」と同じく少しマッタリしたメロウネスにハマります。

「Era Una Vez」
哀愁ワルツ。こういった憂いを帯びたウィスパー・ヴォイスも南米SSWらしいのでは?

「Carnaval」
哀愁サンバ。寂しげなリズムとウィスパー・ヴォイスが織り成すセピア色の音世界が何とも味わい深いです。

「El Silencio」
"静かなる音楽"好きの人はグッとくるであろうエンディング。美しい音世界に包まれ、心清らかな気分で締め括ってくれます。

『Ela』(2013年)
彼女
posted by ez at 02:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月09日

Terry Reid『River』

再評価の高いUKフォーキー作品☆Terry Reid『River』
リヴァー
発表年:1973年
ez的ジャンル:UKフォーキー/カントリー/ブルース
気分は... :スーパー・スターよりも我が道を選ぶ・・・

今回はUKの男性シンガー/ギタリストTerry Reidの3rdアルバム『River』(1973年)です。

Terry Reidは1949年ケンブリッジシャー州ハンティンドン出身の男性シンガー/ギタリスト。

60年代半ばにPeter Jay & The Jaywalkersに加入し、、The Rolling StonesIke & Tina Turnerとのパッケージ・ツアーに参加しています。

Jaywalkers解散後に自身のトリオを組んだReidは1968年にソロ名義で1stアルバム『Bang, Bang You're Terry Reid』(1968年)をリリースしています。その直後にJimmy PageからヴォーカリストとしてLed Zeppelinへの参加を誘われたものの、断りを入れると同時に、自分の代わりにRobert Plantを推挙した話は有名ですね。

さらに2ndアルバム『Terry Reid』(1969年)のリリース直前にはDeep Purpleからもヴォーカリストの誘いを受けますが、こちらも断りを入れ、結果的にPurpleにはIan Gillanが加入することになりました。また、The Hollies時代からGraham Nashと親交があった関係で、CS&Nのリハーサルにも参加しています。

このように、英米のロック史に大きな影響を与えることになる諸グループの成り立ちに、少なからず関わってきたReidですが、結果的に彼自身はこれらスーパー・グループに参加することなく、我が道を歩むことになります。その後の彼は『River』(1973年)、『Seed of Memory』(1976年)、『Rogue Waves 』(1979年)、『The Hand Don't Fit The Glove』(1985年)等のアルバムをリリースしています。

今日紹介する3rdアルバム『River』(1973年)は、再評価の高い1枚であり、今日最も良く知られている作品かもしれませんね。

1971年にL.A.に移住したReidは、カントリー/ブルース/スワンプ色を強めた音楽を志向するようになりますが、そうした音楽性が反映されたフォーキー作品が本作『River』です。

L.A.で行われたレコーディングでは名プロデューサーTom Dowdと組み、David Lindley(g)、Lee Miles(b)、Conrad Isidore (ds)といったミュージシャンが参加しています。Jackson Browneのバンド・メンバーとしてお馴染みのDavid Lindleyですが、以前はReidのバンド・メンバーであり、共に1970年にワイト島フェスティバルにも参加していました。また、Reidとお馴染みのラテン・パーカッション奏者Willie Boboのみのセッションも1曲収録されています。

本作には上記のレコーディング以外に、LA移住前にロンドンでレコーディングした音源も含まれており、そちらはEddie Offordがプロデュースを手掛けています。

前半4曲を占めるLAレコーディングは、カントリー/ブルース/スワンプ色を強めた彼の方向性を存分に味わうことができます。少しクセのあるReidのヴォーカルに、存在感抜群のDavid Lindleyのギター、黒人リズム・セクションによる一体感のある演奏は実に芳醇です。

また、Willie Boboと共演したタイトル曲は、フリーソウル的なフォーキー・チューンに仕上がっています。

ラスト2曲のロンドン音源は、Reidの繊細な側面を垣間見ることができるシンプルなフォーキー・チューンに仕上がっています。

スーパー・グループへの加入を拒み、我が道を歩み続けた男・・・思わず好きにならずにいられません。

楽曲はすべてTerry Reidのオリジナルです。

全曲紹介しときやす。

「Dean」
スワンピーな芳醇さがいい感じのオープニング。レイドバック気分を存分に味わうことができます。少しクセのあるReidのヴォーカルとサウンドがマッチしていますね。
https://www.youtube.com/watch?v=-ccV6xsFPmY

「Avenue」
オープニングのLindleyのギターの音色を聴くと、思わずJackson Browneを思い出してしまいますね(笑)。本編はブルージーな味わいがシブい1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=aDgLYlRGWH4

「Things To Try」
本作の方向性が良く示された1曲。レイドバックな雰囲気を、黒人リズム隊のタイトなリズムが引き締めてくれる感じが好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=XU3E86cIBos

「Live Life」
コンガも加わり、よりファンキー&グルーヴィーとなっているのが僕好み。前半のLAレコーディングではコレが一番好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=i6WlmkHO-ME

「River」
タイトル曲はReidとWillie Boboのみの演奏です。味のあるReidのヴォーカル&ギターと、彼を好サポートするBoboのコンガが心地好いフォーキー名曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=JpFYalVFFuQ

ここから2曲はロンドン録音の音源です。

「Dream」
美しいメロディとReidの繊細なヴォーカルにグッとくる感動的なビューティフル・フォーキー。
https://www.youtube.com/watch?v=tC_U7TJUzLw

「Milestones」
口笛と共に始まる哀愁フォーキー。シンプルが故に切々と迫ってくるものがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=RvrRHvvVAMY

『Bang, Bang You're Terry Reid』(1968年)
テリー・リード/バン・バン~これがテリー・リード+7(紙ジャケット リマスター <SHM-CD>)

『Terry Reid』(1968年)
テリー・リード+11(紙ジャケット リマスター <SHM-CD>)

『Seed of Memory』(1976年)
Seed Of Memory

『Rogue Waves』(1978年)
Rogue Waves
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