2015年05月03日

Monkey House『Headquarters』

Steely Danフォロワーの決定打的な1枚☆Monkey House『Headquarters』
ヘッドクォーターズ
発表年:2012年
ez的ジャンル:Steely Danフォロワー系AOR
気分は... :ここまで徹底すればお見事!

今回はMonkey House『Headquarters』(2012年)です。2012年発売ですが、国内盤が先日発売され、再び注目されているアルバムです。

Monkey Houseはトロントを拠点とするミュージシャン/プロデューサーDon Breithauptのソロ・プロジェクト。

本作『Headquarters』以前に『Welcome to the Club』(1992年)、『True Winter』(2000年)という2枚のオリジナル・アルバムと編集盤『Big Money』(2005年)をリリースしています。

また、彼は映画/音楽ライターとしても知られ、Steely DanのAOR名作『Aja』(1977年)について研究した書籍『Aja』(2007年)は話題となりました。同書は2012年に『スティーリー・ダン Aja 作曲術と作詞法』として日本でも紹介されています。

そんなDon BreithauptSteely Dan研究の成果を自らのサウンドに反映させたアルバムが本作『Headquarters』です。

Don自身がプロデュース&アレンジを務め、ソングライティングも共作3曲も含めて全て彼が手掛けています。共作者の1人は兄Jeff Breithaupt、もう1人はAORファンにはお馴染みのカナダ人SSW、Marc Jordanです。

また、レコーディングにはSteely Danのサポート・メンバーであったDrew Zingg(g)、Michael Leonhart(tp)といったミュージシャンも参加しています。

アルバムにはモロにSteely Danな楽曲と、Don Breithauptが自分の色を出した楽曲から構成されていますが、良くも悪くもSteely Dan風の演奏が魅力のアルバムであり、Donの独自色を出した演奏にはさほど惹かれませんでした。

諸手を挙げて称賛するようなアルバムだとは思いませんが、Steely Dan好きの人は思わずニンマリしてしまう演奏が満載のアルバムであり、その意味では要チェックだと思います。

Steely Danフォロワーの決定打的な1枚であり、ここまでやれば"あっぱれ"という気もします。

全曲紹介しときやす。

「Checkpoint Charlie」
オススメその1。曲調、サウンド、女性コーラスも含めて、『Aja』に入っていそうなオープニング。Steely Dan好きの人は思わずニンマリしてしまうのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=H9gdR6TmCXw

「Where's Mantis Evar?」
オススメその2。この曲もモロにSteely Dan調ですね。違うのは、DonのヴォーカルがDonald Fagenよりもマイルドな点くらいでしょうか。Steely Dan作品のクロスオーヴァー・フィーリングを見事に再現しています。

「Faith In The Middle」
本曲はSteely Dan風というよりも、Don BreithauptらしいAORチューンに仕上がっています。Hip-Hopを通過してきたAORって感じが印象的です。

「Revolver」
ギター・サウンドが印象的な1曲。あまり僕好みの雰囲気ではありませんが・・・
https://www.youtube.com/watch?v=9i8LLwN-Pc4

「You On The Brain」
Don Breithauptの色が出た1曲。スクラッチを取り入れた試みが成功しているのかどうかはビミョーですが。
https://www.youtube.com/watch?v=T78kJGc3INI

「The Thinking Man's Me」
イントロを聴いて、モロにSteely Dan風と思いきや、Steely Danになりそうで、ならないところが面白い1曲。

「I Could Do Without The Moonlight」
オススメその3。スティール・ドラムのアクセントが心地好い1曲。演奏全体のメロウな雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Y8U6-5H7WHk

「Too Much, Too Much」
オススメその4。ラテン・フレイヴァーの効いた1曲。Steely Danの前期と後期が融合したような雰囲気が気に入っています。

「December Girls」
オススメその5。穏やかなメロウ・サウンドとSteely Dan風のヴォーカル・パート&ホーン・アンサンブルが心地好いです。
https://www.youtube.com/watch?v=zs5lyvicPIU

「Right About Now」
オススメその6。この曲もSteely Dan好きの人はニンマリな1曲なのでは?Donald Fagenが書きそうなメロディですね。
https://www.youtube.com/watch?v=CK6I5kqPBtA

「Lebanon」
オススメその7。Marc Jordanとの共作曲。哀愁モードの素敵なAORチューンに仕上がっています。

「The Man You Love To Hate」
Steely Dan研究の成果がよく出た1曲。そういう耳で聴くとかなり楽しめる1曲なのでは?

「Emily Einstein」
Donのマイルドなヴォーカルとメロウ・サウンドがよくマッチしています。

「Second Avenue Subway」
本編のラストはラテン/トロピカルな雰囲気で締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=9NdC97gW9yw

「I'm Not That Guy」
国内盤ボーナス・トラック。AOR好きの人は気に入るであろうクールな仕上がりです。

『スティーリー・ダン Aja 作曲術と作詞法』(2012年)
スティーリー・ダン―Aja作曲術と作詞法
posted by ez at 11:34| Comment(2) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする