
発表年:2015年
ez的ジャンル:コスモポリタン系女性チェロ奏者/SSW
気分は... :無垢な心・・・
今回はワールド新作からDom La Nena『Soyo』です。
本作の主人公Dom La Nenaは1989年、ブラジル、ポルト・アレグレ出身の女性チェロ奏者/シンガー・ソングライター。
幼少期に家族とパリに移住し、5歳でピアノを習い、8歳からはチェロを始めます。さらには高名なチェロ奏者に師事し、13歳のときから5年間アルゼンチン、ブエノスアイレスでチェロを学びます。パリに帰国後はJane Birkin、Jeanne Moreau等のバックを務め、キャリアを積み重ねていきます。
2013年にはUK出身フランス在住の男性SSWのPiers Facciniとの共同プロデュースでデビュー・アルバム『Ela(邦題:彼女)』をリリースし、ブラジル、クラシック、ジャズのエッセンスを取り入れた繊細なアコースティック・サウンドと哀愁ウィスパー・ヴォイスで音楽ファンを魅了しました。
2ndアルバムとなる本作『Soyo』では、リオの人気ロックバンドLos HermanosのメンバーであったMarcelo Cameloを共同プロデューサーに迎え、殆どの演奏を彼女とCameloの2人で手掛けています。
また、レコーディングはパリ、リスボン、メキシコ・シティで行われ、ミキシングはサンパウロ、マスタリングはマイアミというように世界を股に掛けたアルバム制作となっています。
実際に音を聴いてみると、予想以上にブラジル色が強く、クラシック、ジャズの素養を持つウィスパー・ヴォイス系ブラジル人女性SSW作品と思って聴けば、間違いないと思います。このあたりはMarcelo Cameloの影響もかなり大きいのだと思います。
何より、Dom La Nenaの無垢なウィスパー・ヴォイスに癒されまね。
温かみのある声、澄み切った声、寂しげな声・・・すべてにグッときます。
彼女の歌声を聴いていると、自分だけの大切な時間を過ごしている気分になれるのがいいですね。
派手さのある作品ではありませんが、音楽で大切なものは何かを再確認させてくれる1枚です。
全曲Dom La Nenaのオリジナルです。
全曲紹介しときやす。
「La Nena Soy Yo」
オススメその1。このオープニングを聴いて、僕は本作の購入を決めました。瑞々しく透明感のあるウィスパー・ヴォイスと温かみのあるアコースティック・サウンドにすっかり魅了されてしまいました。
「Vivo Na Mare」
哀愁のメロディと寂しげなサンバのリズムがグッとくる1曲。この儚い感じがたまりません!
https://www.youtube.com/watch?v=lln-DcHwmAw
「Menino」
オススメその2。キュートなウィスパー・ヴォイスと少しマッタリしたメロウ・サウンドにグッとくる1曲。次第にリズムが鮮明になってくる感じがいいですね。
「Juste Une Chanson」
ブラジル音楽にクラシカルなチェロのピチカートとフレンチ・テイストが加わる彼女らしい1曲。聴いていると童心に戻っていきます。
「Golondrina」
哀愁モードの1曲。クラシカルなエッセンスと南米SSWらしい雰囲気が上手く融合しています。
「Lisboa」
素朴な味わい深さが魅力の1曲。どこかノスタルジックな感じもいいですね。
「Llegare」
オススメその3。ピアノとチェロによるクラシカルなサウンドがベースながらも、カラフルでポップなサウンドに仕上げている素敵なドリーミー・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=Ao2H-C9CIkA
「Volto Ja」
オススメその4。キュートなウィスパー・ヴォイスの魅力が引き立つメロウ・サンバ。「Menino」と同じく少しマッタリしたメロウネスにハマります。
「Era Una Vez」
哀愁ワルツ。こういった憂いを帯びたウィスパー・ヴォイスも南米SSWらしいのでは?
「Carnaval」
哀愁サンバ。寂しげなリズムとウィスパー・ヴォイスが織り成すセピア色の音世界が何とも味わい深いです。
「El Silencio」
"静かなる音楽"好きの人はグッとくるであろうエンディング。美しい音世界に包まれ、心清らかな気分で締め括ってくれます。
『Ela』(2013年)
