発表年:1975年
ez的ジャンル:ラブリー・ヴォイス系UKフォーキー・ソウル
気分は... :愛の妖精!
今回は永遠のラブリー・ヴォイス!UKの黒人女性シンガー・ソングライターLinda Lewisの『Not a Little Girl Anymore』(1975年)です。
一度聴いたら忘れられない個性的かつラブリーな声の持ち主、Linda Lewisの紹介は、『Fathoms Deep』(1973年)、『Lark』(1972年)に続き3回目となります
本作『Not a Little Girl Anymore』(1975年)はRepriseからAristaへの移籍第一弾アルバムとなります。
メイン・プロデューサーは『Lark』以降、Lindaの作品を手掛け、1977年には彼女と結婚する元FamilyのギタリストJim Cregan。3曲のみThe Main IngredientのTony SilvesterとBert DeCoteauxがプロデュースしています。
レコーディングには、Max Middleton(el-p、key)、Robert Ahwai(g)、Clive Chaman(b)、Bernie Holland(g)といったHummingbirdのメンバー(Lindaは彼らの1st『Hummingbird』に参加)をはじめ、Philip Chen(b)、Bob Babitt(b)、Richard Bailey(ds)、Gerry Conway(ds)、Jeff Miromov(g)、Jerry Friedman(g)、Lance Quinn(g)、Jim Cregan(g)、Snowy White(g)、Lowell George(g)、Derek Smith(key)、Duncan MacKay(org、syn)、Jean Roussel(el-p、syn、org)、Carlos Martin(congas)、Darryl Lee Que(congas)、Jack Jennings(per)、Phil Kraus(per)、
本作には彼女の最大のヒット曲「It's In His Kiss」(UKチャート最高第6位)が収録されています。今回起用したTony Silvester/Bert DeCoteauxがプロデュースしたディスコ調の曲です。このあたりはAristaがテコ入れした甲斐があったようですね。
しかしながら、今日、本作のハイライトといえば、フリーソウル・クラシック「I Do My Best To Impress」だと思います。エレピのメロウ・サウンドとLindaのラブリー・ヴォーカルが結びついた本曲にこそ、Linda Lewisの魅力が凝縮されていると思います。それと比較すると、「It's In His Kiss」はビミョーですね。
個人的には、「I Do My Best To Impress」以外に、「Not A Little Girl Anymore」、「Love Where Are You Now」というTower Of Power絡みの2曲、ラブリー・レゲエ「My Grandaddy Could Reggae」がオススメです。
Lindaのラブリー・ヴォイスは正に愛の妖精ですね。
全曲紹介しときやす。
「(Remember The Days Of) The Old School Yard」
Cat Stevens作。壮大なストリングスと共に始まるドラマチックなオープニング。Lindaの愛くるしいハイ・トーン・ヴォーカルがドラマチック・サウンドの中を駆け巡ります。作者Cat Stevensヴァージョンは『Izitso』(1977年)に収録されています。
https://www.youtube.com/watch?v=7G3ArZtRt4w
「It's In His Kiss」
Tony Silvester/Bert DeCoteauxプロデュース。Rudy Clark作。Betty EverettのR&Bヒットで知られる楽曲をディスコチックにカヴァー。シングル・カットされ、UKチャート第6位という彼女のキャリア最大のヒットとなりました。確かにヒットしたのが頷けるキャッチーな仕上がりですが、Linda Lewisらしいかといえば話は別。少しオーバー・プロデュースかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=c7pwHuZNENY
「This Time I'll Be Sweeter」
Tony Silvester/Bert DeCoteauxプロデュース。Pat Grant/Gwen Guthrie作。Martha Reeves、Marlena Shaw、Angela Bofill、Roberta Flackも取り上げた名曲をカヴァー。この曲もLindaらしさでいえばビミョーですが、Lindaのピュア・ヴォーカルが栄える素敵なメロウ・バラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=ZBU-u8nTmTw
「Rock And Roller Coaster」
Tony Silvester/Bert DeCoteauxプロデュース。Linda Lewis作。Tony Silvester/Bert DeCoteauxプロデュースの中ではコレが一番好き!Lindaの自作曲というのが大きいのかもしれませんが、ソウル系プロデューサーの色とLindaの個性のバランスが一番とれていると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=dqQekMPMvwM
「Not A Little Girl Anymore」
タイトル曲はDavid Bartlet/Emilio Castilo/Stephen KupkaというTower Of Powerのメンバーによる作品です。少し切ないLindaのヴォーカルとMax Middletonのエレピの組み合わせが絶妙な甘く切ないメロウ・チューンに仕上がっています。バック・コーラスを務めるCapability Brownの好サポートもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=nP-ML9MJnX8
「Love Where Are You Now」
Bobby Tench/Ian Samwell作。Tower Of Power Horn Sectionが参加し、Greg Adamsがホーン・アレンジを手掛けています。少し抑えめのヴォーカルながらも、Lindaらしいラブリー感が伝わってくる1曲。こういうの大好き!Tower Of Power Horn Sectionもさすがのホーン・アンサンブルを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=tXsBbaczA8A
「My Grandaddy Could Reggae」
Linda Lewis作。ラブリーなレゲエ・チューン。このあたりはジャマイカ系イギリス人のLindaらしい1曲に仕上がっています。開放的なレゲエ・サウンドとLindaのラブリー・ヴォーカルがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=od-QF1nOZdk
「I Do My Best To Impress」
Linda Lewis作。前述のようにフリーソウル・クラシックとして人気の高い1曲。やはり、このメロウ・グルーヴが一番Lindaらしいですね。ここでもMax MiddletonのエレピとLindaのヴォーカルが織り成すメロウ・ワールドがサイコーです。
https://www.youtube.com/watch?v=yXqLQ4xtN7E
「May You Never」
John Martyn作品をカヴァー。SSW作品らしい味わい深い仕上がり。Little FeatのLowell Georgeがスライド・ギターで参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=PfsnDJ5C4Uo
「Love, Love, Love」
Linda Lewis作。本編のラストは愛に満ちたビューティフル・バラードで締め括ってくれます。
僕の持つCDには、「Cordon Blues」、「Walk About」、「The Seaside Song」、「The Other Side」、「Baby I'm Yours」の6曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。
Linda Lewisの他作品もチェックを!
『Say No More』(1971年)
『Lark』(1972年)
『Fathoms Deep』(1973年)
『Woman Overboard』(1977年)
『Hacienda View』(1979年)
『A Tear and a Smile』(1983年)
『Second Nature』(1995年)
『Born Performer』(1996年)
『Whatever』(1997年)
『Kiss of Life』(1999年)